世界を忌み嫌う武器商人と過去を捨てた兵士   作:のんびり日和

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えぇ~、1組にネイサンを入れず3組に入れて、真耶さんも3組の副担任にしました。担任は例の3人の中で、教師に向いてそうな人を選びました。後の二人は何処かで出ます。


3話

入学式当日、ネイサンは余裕をもって行こうと荷物などを詰めたカバンをとろうとしたが、前日に準備したはずのカバンがそこにはなくネイサンは寝ぼけてほかのところに移したのかと思い部屋中を探したが見つからなかった。

 

「可笑しいな、この部屋にないとすると何処に。……あ!」

 

暫く考えていたネイサンはカバンの行方が何処か見当がつきその場所へと向かう。そして泊まっているホテルのある一室の前へと着き扉をノックする。

 

「ココさん、入りますよ」

 

そう言ってネイサンはココの部屋へと入ると、ネイサンが前日に用意したカバンを渡さんと言わんばかりに力強く抱いてベットの上に座っているココと、どうしようかと思い悩んでいるバルメがいた。

 

「……やっぱりココさんでしたか。そのかばん返してください」

 

「嫌」

 

「嫌って、それがないと僕が困るんですが」

 

ネイサンは困り顔になりながらもココからカバンを返してもらおうとするが、ココは力強く抱きしめ、返そうとしなかった。

 

「ココ、寂しいのは分かりますがネイサンを困らせるのは流石に可哀想ですよ」

 

バルメもやんわりとネイサンにカバンを返してあげるように言うが、ココは返す素振りを見せなかった。

 

「はぁ~、ココさん。本社からの指示ですから仕方がないじゃないですか」

 

ネイサンがISを動かせるという事は本社にも伝えられ、本社からネイサンにHCLI社の企業代表として学園に入学するよう、指令がきたのだ。学園に入学しても給料は支払われ続ける上に、何かしら希望があるならば可能な範囲で叶えると言う条件付きでだ。そこでネイサンは入学するにあたって、寮の部屋を一人部屋にすること。織斑千冬が担任じゃないクラスにするように頼んだ。本社からの返事は部屋に関しては学園がどうにかしてくれるとのこと、そしてクラスは学園が協議したところ、本来は1組の所を3組に変更しましたと通達がきたそうだ。学園側も千冬がネイサンを自分の弟だと思い込んでいることが後々問題になるのではと危惧し、事前に考えていたとのこと。

 

「むぅ~、どうしてネイサンにISが乗れる反応が出るのよ! そこはルツやトージョでいいのに!」

 

「ココ、文句を言っても仕方がありませんよ」

 

バルメはやんわりなだめながら、ココがカバンを離した一瞬の隙をついて、カバンを取り返す。

 

「はい、ネイサン」

 

「すいません、バルメさん」

 

「あぁ~! ちょっとバルメ、何するの!」

 

ココは頬を膨らませながら怒る。それを見たネイサンはある提案をココに提示する。

 

「ココさん、毎晩携帯に電話するからそれで我慢してもらえませんか?」

 

ネイサンの提案にココは暫く悩み、最後は諦めたように息を吐く。

 

「……分かった。けどちゃんと毎日電話すること。一日でも遅れたらその分私の元に戻ってきた時にデートすること。いい?」

 

ココの提示した条件に苦笑い気味となるネイサンだが、それくらいならいいかと思い、ココの条件を飲んだ。そしてネイサンはココやレーム達に見送られながらIS学園へと向かった。

 

 

 

 

それからネイサンは学園の門へと到着し、自分のクラスに連れて行ってくれる学園職員を待っていると一人の女性が走りながらやって来た。

 

「す、すいませぇ~ん! 遅くなりました~!」

 

女性はネイサンの元へと着いた途端、膝に手を置きながら息を整える。ネイサンは先日、学園に荷物を届けに行った際にいた女性だと気付く。

 

「えっと、大丈夫ですか山田先生?」

 

「え? あ、はい大丈夫です。も、もしかして名前、憶えててくれたんですか?」

 

「……まぁ仕事先で会った人物の名前は出来るだけ憶えておくようにしてるので」

 

「そ、そうなんですか」

 

真耶は乱れた呼吸を整え終え、改めて自己紹介を始めた。

 

「では改めて自己紹介をさせていただきます。今日から貴方と同じ3組の副担任を務めます、山田真耶と言います。よろしくお願いしますね」

 

「こちらこそお願いしますね。山田先生」

 

互いの挨拶を終え、学園へと入って行った。クラスへ向かう途中で真耶は職員室にネイサンの着替えなどが入った荷物を運びに行き、ネイサンは3組のクラスへと向かった。3組に着いたネイサンは中へと入ると談笑していた女子生徒達は突然入ってきた男性に驚いた表情を浮かべていた。ネイサンはそれらに気にせず席に着き、教材などを入れたカバンを机の横に引っ掛け、学生手帳に書かれている施設の位置や規則などを確認し始めた。突然入ってきたネイサンにクラスにいた女子生徒達は取り合えず、どう話しかけるか相談し始めた。それから数十分後真耶が出席簿を持って中へと入ってきた。教壇の前に着いた真耶は空中投影で名前を出して挨拶を始めた。

 

「はぁ~い、皆さんおはようございます! 私が本日から皆さんの副担任を務めることになりました、山田真耶と言います。どうかよろしくお願いしますね!」

 

「よろしくお願いします」

 

「「「よ、よろしくお願いします」」」

 

真耶の挨拶の後、ネイサンが率先するように挨拶するとその後を続くように数人の生徒達も同じように挨拶を返す。

 

「はい、お願いしますね。では廊下側の人から自己紹介と何か一言お願いします」

 

「は、はい。有澤智花と言います。中学では手芸部に入ってました」

 

その後もクラスの女子達の挨拶は続いて行く中、前方の扉が開き一人の女性が入ってきた。女性はそのまま教壇へと着き、挨拶をする。

 

「自己紹介の途中ですいません。このクラスの担任を務めるスコール・ミューゼルって言います。どうかよろしくお願いしますね」

 

そう言うとクラスの生徒達はお願いしますと言い、頭を下げる。

 

「ふふふ、まだ肩の力が抜けてないようね。それじゃあ時間も押しているようだし、最後にマクトビア君の自己紹介で終わりましょう」

 

スコールにそう言われ、ネイサンは立ち上がり挨拶を始めた。

 

「ネイサン・マクトビア。まぁよろしく」

 

そう言って席へと着くと、スコールはやんわり注意を飛ばしてきた。

 

「もぉう、それだけじゃ何もわからないわよ。他に言う事は?」

 

「時間が余りないので休み時間にでも聞きに来てくれ。答えられる範囲だったら答えるので」

 

そう言うとスコールはため息を吐く。

 

「それじゃあ質問がある人はマクトビア君の言う通り、休み時間に聞きに行ってちょうだい。ではこの後は授業があるから遅れないようにね」

 

そう言ってスコールと真耶は教室から出て行った。2人が出て行った後に生徒達はネイサンに群がり、質問を投げ渡す。ネイサンは答えられる範囲で答えつつ、一人ひとり丁寧に対応していった。

 

 

 

その様子を廊下で見ていた一人の女性は舌打ちをして去って行った。




次回予告
放課後となり、ネイサンはスコールに屋上に来るよう呼ばれる。そして屋上に来たネイサンにスコールは自分の正体と目的を伝える。それを聞いたネイサンはスコールの上司によろしく伝えておいてと伝え、屋上を後にする。その後ネイサンは自分の寮の部屋の場所を真耶から聞き驚く。
次回幼き頃からのあしながお姉さん~何時も見守っていてくれてありがとうって伝えておいてくれ~

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