世界を忌み嫌う武器商人と過去を捨てた兵士   作:のんびり日和

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投稿遅れて申し訳ないです。リアルが本当に忙しくなってきたため、今後もちょくちょく投稿が遅れますが、どうかよろしくお願いします。


20話

夜、ネイサンとチェキータ達はとあるビル近くに停めた車の中にいた。

そしてそれぞれ黒い服装をしていた。

 

「それじゃあ、作戦を説明するわね。目的はこのビル内に居る要人の暗殺で数は3人。企業を運営している女幹部2人に、武器を密売している女よ。ISは持ってないから直ぐに片が付くわ」

 

チェキータはそう言いながら三枚の女性の顔が写った写真を見せる。

 

「それじゃあ、そろそろ行きましょうか」

 

そう言い、チェキータ達はドクロが描かれたバラクラバを被る。一人は車に残り、残りの4人はビルへと向かう。

ビル内へと入った4人。ポーはブレーカーがある部屋へと向かい、3人はエレベーターを使わず、外に置かれた非常階段を使い最上階まで昇る。そして扉をピッキングで開き中へと入る。そして長い廊下を進むと一際派手な扉が有った。

 

「この部屋ね」

 

チェキータはそう呟き中の様子を伺う。

部屋の中にはネイサン達の目的の女性3人が机をはさんで向かい合うように談笑していた。

「全くうまくいったわね」

 

「えぇ。警察はガス漏れによる事故だったと処理したらしいし、後はあそこに儲けになりそうな店を建てるだけよ」

 

「本当に事が上手くいきすぎて怖いわぁ」

 

そう談笑している3人中、チェキータ達は持っていた拳銃のスライドを引き、初弾を込める。

 

「消灯のお時間よ」

 

そう無線越しにチェキータが言うと、ブレーカーのある部屋へと向かったポーがブレーカーを落とした。当然部屋は真っ暗となり部屋の中にいた女性達はうろたえた。

 

 

「いきなり何なのよ!」

 

「ちょっと何でいきなり電気が消えたのよ!?」

 

「わ、分かんないわよ!」

 

3人が狼狽えている中、3人は平然と中へと入りそれぞれ銃を構える。

 

「こんばんわ~」

 

チェキータがそう言うと、部屋に居た女性たちは一斉に声がした方向に向くと月明かりにドクロのバラクラバを付けたチェキータ達を見つけた瞬間、額に衝撃を受け絶命した。

 

「さて、仕上げをして帰るわよ」

 

そう言いそれぞれ絶命した女達の手に持っていた拳銃を握らせ引き金を引く。撃った相手は死体となった女だ。

 

「さて仲違いによって金を奪い合った結果による殺し合いと言う感じに出来たわね」

 

「だったらこれもばら撒いときますか」

 

そう言いネイサンは机の上に金の入ったアタッシュケースを置いておく。そしていくらか札を血の海にばら撒く。

 

「工作完了ね。それじゃあ撤収よ」

 

そう言いチェキータ達はビルから脱出し、その場を去った。

その後、電気工事士が電気整備の為ビル内に入り現場を発見した。業者はすぐに警察に通報し、到着した警察はチェキータ達の工作によって金を巡っての仲違いによる殺し合いだと判断し、容疑者死亡のまま送検した。

 

仕事を終えたネイサンは学園の門前まで送って貰い、学園内へと入って行った。するとネイサンは門にもたれる様に座っていた鈴を見つけた。

 

「鈴、そんなところで何をしているんですか?」

 

そう声を掛けると、鈴は顔をあげる。

 

「……あいつ等を殺してくれたの?」

 

「えぇ。君が望んだとおり片付けてきました」

 

そう言いながら学園内に入ろうとするネイサン。

 

「ありがとう、ネイサン。お父さんの仇をとってくれて」

 

鈴は力の無い自分に悔しがるように手を握りしめ、ネイサンに感謝する。ネイサンは素直にその感謝を受け取れずにいるが、気持ちを切り替え鈴に話しかける。

 

「……それじゃあ鈴、条件の通り今日から殺しの事教えていくから後でアリーナに来てください」

 

そう言い学園内へと入って行くネイサン。鈴は涙が溜まっている目を拭い、自身の新しい道を歩む為に頑張ろうと歩き始める。

 

(お父さん、御免ね。けど、もう大切なモノを失いたくないから、この道を進むって決めたの。だからこんな娘でも空から見守っててね)

 

鈴はそう思いながら学園内へと入って行った。

 

アリーナで動きやすい服装に着替え終えた鈴は軽く準備体操をしていると、大きめの箱を持ったネイサンがやって来た。

 

「それ何なのネイサン?」

 

「これですか? 訓練用の銃と、実銃が入ってます」

 

そう言い箱を置き蓋を開ける。中には2丁のアサルトライフルと2丁のハンドガンが入っていた。

 

「実弾を使った訓練はまだ早いのでまずは訓練用のを持ってもらいます」

 

そう言い銃口がオレンジ色に塗られているアサルトライフルと拳銃を渡される鈴。

 

「それとこれを付けてください」

 

そう言いネイサンが鈴に渡したのはチェストリグとレッグホルスターだった。

 

「これを? 分かったわ」

 

そう言い鈴は不器用ながらチェストリグとレッグホルスターを付ける。

 

「それじゃあまずレッグホルスターに拳銃を。そしてアサルトライフルを体から斜めになるようかけてください」

 

ネイサンにそう言われ鈴は拳銃をレッグホルスターに仕舞い、アサルトライフルを掛ける。

 

「では基本的な構えをするので、真似てください」

 

そう言いネイサンはマガジンのささっていないACRを構える。

 

「構える際に注意してほしいのは、撃つときは足を肩幅程開きます。そして銃を前に出すようにして肩、左手、右手、頬の4ヵ所で銃を抑えます。こうしないとライフルの反動に体が耐えきれず銃を大きく跳ね上げてしまい大変危ないです」

 

そう言われ鈴はライフルをしっかりと握りしめ、肩や頬で抑えるように構える。

 

「サイトを覗いている際、もう片方の目は周囲を警戒するために使うため閉じないように」

 

「わ、分かったわ」

 

鈴は慣れない銃の扱いに悪戦苦闘しながらも訓練に付いて行った。

 

「よし、では次にアサルトライフルからサイドウェポンに代えてください」

 

そう言われ鈴はライフルを下ろし、レッグホルスターから拳銃を抜く。

 

「サイドウェポンはライフルの弾が切れた場合、もしくは銃が故障した場合に使います。他にも狭い空間において拳銃はライフルより取り回しが容易の為、重宝出来ます。ではもう一度ライフルを構えてください」

 

そう言われ鈴はアタフタしながら拳銃をレッグホルスターに仕舞おうとしたが、うっかり落としてしまう。

 

「まだ初日だからそんなに焦らなくても大丈夫ですよ。落ち着て」

 

そう言われ鈴はう、うん。と言い落した拳銃を拾いレッグホルスターに仕舞いライフルを構える。

 

「では続けます。サイドウェポンに切り替えて」

 

そう言われ鈴はライフルを下ろし拳銃を構える。その際、鈴は片方の手で構えてしまう。

それにネイサンはすかさず注意する。

 

「鈴、片手で銃を撃つのは出来るだけ避けるように」

 

「え? でも映画とかドラマで片手で拳銃を撃ってるシーンとか一杯あるわよ」

 

「あれはテレビだからこそ出来ることなんです。実際に片手で拳銃なんか撃ったところで当たる確率なんて低いんですよ」

 

へぇ~と鈴は感心しながら拳銃を両手で構える。

 

「ではそろそろ的当てをしましょうか」

 

そう言い的を置くネイサン。

 

「チェストリグにマガジンがささってますよね? それを銃にさしてください」

 

そう言われ鈴はマガジンを銃に差し込む。

 

「鈴に渡している銃はガスの力で弾を飛ばす物なので、実際の銃と同じ動作が必要です。では次に横にあるレバーを引いて下さい」

 

そう言われ鈴はレバーを引き、放す。

 

「ではサイトを覗きながら的を撃って下さい。今回は何処を撃っても構いません」

 

そう言われ鈴は引き金を引く。バスバスバスと弾が飛び出て的に当たる。そしてカチカチと音が鳴り、弾が切れたと鈴は判断した。鈴は射抜いた的を見て、ふふぅ~ん。と鼻を鳴らす。

 

「案外簡単ね」

 

「そりゃあガス銃だったら誰だって簡単に的を射抜けますよ。けどこれだったらどうですかね?」

 

そう言いネイサンは耳あてと銃口に何も塗られていないライフルと実弾が装填されているマガジンを鈴に手渡す。

 

「ちゃんと耳あてをしてくださいよ」

 

そう言われ鈴は言われた通り耳あてをして先ほどと同じようにマガジンを挿し、銃を構えて撃つ。だが最初の一発で肩に来た衝撃に顔を歪める。

 

「ちょっ!? さっきと全然違うじゃない!」

 

「そりゃあ実弾ですからね」

 

そう言いながらネイサンは鈴からライフルを回収し、マガジンを抜き本体から弾を抜く。

 

「今回は1発のみですが、これから先はもっと撃てる様に指導していきますので、ちゃんと付いて来てくださいね」

 

そう言いながら実銃とマガジンを箱に仕舞うネイサン。

 

「分かったわ。その代わりちゃんと指導してよね相棒(バディ)!」

 

鈴は肩を抑えながら笑顔をネイサンに向ける。ネイサンは朗らかな笑みを浮かべながら首を縦に振った。

 

 

鈴に殺しの技術を教え始めて数日が経ったある日、1年生達は臨海学校の為旅館へと来ていた。

 

「では、皆さん。それぞれパンフレットに書かれている部屋へと移動してください」

 

そう言われ生徒達はそれぞれパンフレットに書かれている部屋へと向かっている中、ネイサンは一人パンフレットを見ながら首を傾げていた。

 

「僕の名前が無いですね」

 

そう呟いていると、一人残っているネイサンを見つけたスコールが近寄る。

 

「どうかしたの?」

 

「いや、部屋割に自分の名前が無くて」

 

「それだったら心配ないわよ。貴方には離れの客室に「あの、少々宜しいでしょうか?」あら、女将さんどうかされましたか?」

 

スコールに話しかけた女将は申し訳なさそうな顔である事を打ち明けた。それを聞いたスコールは驚いた表情を浮かべ、直ぐに了承し考え込みネイサンに謝った。

 

「マクトビア君ごめんなさい。実は女将さん曰く離れにある客室の洗面所とかの水周りが今故障してるらしのよ。だから悪いんだけど教師と同じ部屋でもいいかしら?」

 

そう言われネイサンははぁ。と渋々と言った感じで了承し相部屋となる教師の部屋へと案内された。スコールは扉をノックすると、部屋から出てきたのは真耶だった。

 

「あれ、スコール先生どうしたんですか? それにマクトビア君も」

 

「実は――――」

 

スコールは先ほどの件を話し、同室を真耶にお願いした。話を聞いた真耶は任せて下さい!と胸を張って了承した。

そしてネイサンは部屋の中へと入り荷物を置く。

 

「すいません、山田先生。突然同室になって貰って」

 

「い、いえ! 大丈夫ですよ!……むしろ嬉しいくらいですし」

 

「はい? 何か言いました?」

 

「い、いいえ!? 何も!」

 

頬を真っ赤に染めながら首を激しく横に振る真耶に、ネイサンは首を傾げつつも海パンなどを入れた袋を持って立ち上がる。

 

「それじゃあせっかく海に来たので行ってきます」

 

「は、はい! 行ってらっしゃいませ」

 

部屋から出て行ったネイサンに真耶は頬を真っ赤に染めながらカバンに入れている水着を取り出す。出てきたのは黄色のビキニでこれを着た自分を想像する。

 

(マクトビア君……うんん、ネイサン君がこれを見たら綺麗って言ってくれるでしょうか?)

 

そう思いながら水着を着た自分に感想を送ってくれるネイサンを想像し真耶はイヤんイヤんと茹蛸みたいに染まった顔を手で隠し顔を振る。

その頃水着に着替え終えたネイサンは浜辺へと到着し、近くにある自販機で飲み物を買っていた。

すると背後からそぉーと近付く人物に気付き、気付いていないふりをしているが背後ギリギリになったところで手を鉄砲の形にし背後に居た人物に向ける。

 

「まだ気配が殺しきれてませんよ、鈴」

 

「あぁ~、もう! あと少しって処だったのに!」

 

鈴は悔しそうにネイサンの横を通り自販機にお金を入れジュースを買う。

 

「ですが、以前よりかは気配が殺しきれてますよ。後は射撃技術ですね」

 

そう言われ鈴はうぅ~ん。と悩んだ声をあげる。

 

「ナイフはISでも使ってるから、大丈夫だけど銃だけはねぇ」

 

「出来ないと部隊ではお荷物になっちゃいますから、それだけは回避しないといけませんからね」

 

そう言われ鈴は、ネイサンに世話になりっぱなしのため少しでも恩が返せるよう努力しないとと思いあることを頼む。

 

「ねぇネイサン。夏休みって何処か行く?」

 

「夏休みですか? 実家に一度帰りますよ。 それと久しぶりに部隊の皆にも会いますし」

 

「だったら、私も一緒に行きたいんだけどいい?」

 

「一緒にですか? まぁ雇い主にも鈴の事を報告しないといけませんし、別に良いですよ」

 

そう言いネイサンは、バルメさんあたりに鈴の訓練を見てもらうのもいいかもしれないと考えを浮かべていた。

そして鈴とそこで別れ、ネイサンは一人浜辺を歩いていると、背後から声を掛けられた。

 

「あ、ネイサン君此処に居たんですか」

 

そう言われ振り向くと其処には頭に麦わら帽子をかぶり、黄色のビキニを着た真耶が立っていた。

 

「どうも山田先生。その水着お似合いですね」

 

そう言われ真耶は頬を染めながらあ、ありがとうございます。と言う。

 

「えっと、ネイサン君は泳がないんですか?」

 

「そうですね、もう少ししたら泳ぎに行きますよ」

 

そう言いネイサンはパラソルがある場所に移動し、日陰に座る。真耶もその横に座る。

 

「そう言えば、呼び方替えられたんですね」

 

「え!? えっともしかしてダメですか」

 

真耶は少し悲しそうな表情を浮かべながらそう聞くと、ネイサンは首を横に振る。

 

「いえ、何時もネイサンと呼ばれていて下の方で呼ばれたのは余り無かったものですから。そっちの方がしっくりくるので大丈夫ですよ」

 

そう言われ真耶はそうですか!と喜び海を眺める。

 

「……ネイサン君は学園を卒業したら何をするんですか?」

 

突然の真耶からの質問にネイサンはうぅ~んと悩んだ声を出すが、直ぐに答えを出した。

 

「まぁ変わらずHCLI社社員護衛PMCの一員ですかね」

 

そう言われ真耶はそうですか。と元気のない声で返した。ネイサンはそのことに気が付いていたが、生徒が危ないことをするのが心配なためなんだろうと解釈しまた海を眺め始めた。真耶はネイサンの傍に居たいと言う思いがずっとあったが、言った所で彼とは離れ離れになるしかないと言う未来しかなかった。自身に身に付けているのはISに乗る技術、それも大会などで有利に戦うための物。実戦で、しかも生身の状態で戦えると言えば否である。だからこの思いが言えなかった。

そして時間は過ぎていき、遊ぶ時間は終了しネイサンは結局泳ぐことは無く旅館で夕飯をとり眠った。




次回
臨海学校2日目、専用機持ち達は訓練の為岩場に来ていると束が一つのコンテナと共にやって来た。そして箒を呼び自身が作ったISを渡す。そしてネイサンに箒と戦って欲しいと依頼される。箒は負けるはずないと思っているが、渡された機体にある秘密がある事を知る由も無かった。
次回
モルモット~ISはあげるとは言ったけど、強いISを渡すなんて一言も言ってないよぉ~。~

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