世界を忌み嫌う武器商人と過去を捨てた兵士   作:のんびり日和

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15話

男装した女子、シャルル事シャルロットを放置したネイサンは教室へと入り、クラスメイト達に挨拶を交わし自分の席で何時もの予習を始める。

それから時間は経ち、放課後。ネイサンは教材の入ったカバンを背負いクラスを後にし廊下を歩いていると、壁にもたれるように誰かを待っている鈴を発見した。

 

「鈴、こんなところで誰かと待ち合わせですか?」

 

「ん? あぁ、アンタを待ってたのよ」

 

そう言われネイサンは首を傾げると、直ぐに何をするのか見当がついたのか手を叩く。

 

「もしかして訓練に付き合えってことですか?」

 

「正解。どうせこの後することって、アンタの場合明日の予習とかでしょ? だったら少しだけ私の訓練に付き合いなさいよ」

 

「まぁいいですよ」

 

そう言いネイサンは鈴と共にアリーナへと向かった。

 

アリーナへと到着し、ISを身に纏いアリーナへと出ると鈴が先に出て待っていた。

 

「所で鈴、今日はどういった訓練をするんだ? 一応言うが、今日は他の生徒達もいるみたいだから模擬戦みたいな事は今日は無理だぞ」

 

「そうね。それじゃあ近接訓練やらない? この前はアンタの指導の下で龍咆の訓練したし」

 

「構いませんよ」

 

ネイサンは鈴と近接訓練を行うため、拡張領域から近接用のナイフを取り出し構える。鈴も同じように双天牙月を構え訓練しようとするとピットから一機のISが出てきた。

 

「おい、お前ら」

 

そう呼ばれ鈴とネイサンは顔を向けると、銀髪の少女がISを身に纏って立っていた。ネイサンはスコールから渡されたレポートにあった人物、ラウラ・ボーデヴィッヒか。と内心思いつつ用件を聞く。

 

「何か用ですか? 今から訓練をするんですが」

 

「……中国代表とHCLI社の企業代表だな? どちらでもいい、私と戦え」

 

ネイサンはうわぁ戦闘狂かよ。と思いつつ隣の鈴に目線を向ける。鈴はめんどくさいと言わんばかりの顔で答えた。

 

「悪いんだけど、今からこいつと訓練するからまた今度にして」

 

そう言い鈴はネイサンに続きをさせようと促す。ラウラはそれが気に食わなかったのか、キャノンを2人の方へと向ける。すると

 

『其処の生徒、何をしているの! 学年と名前を言いなさい!』

 

そうアナウンスが聞こえ、ラウラはISを解除し舌打ちをした後アリーナから去って行った。

 

「……アイツ撃つ気だったわよね?」

 

鈴は睨むように目線をラウラが出て行った方向へと向ける。

 

「まぁ戦わせるために撃とうとしたでしょうね。鈴」

 

ネイサンに呼ばれ、鈴は目線をネイサンの方へと向ける。

 

「あぁ言った奴の挑発は乗らない方がいいですよ。後で手ひどくやられる可能性がありますから」

 

「……分かったわ」

 

ネイサンの忠告に鈴はイラついた思いを胸に仕舞いつつネイサンと訓練を開始した。数十分後、ネイサンと鈴は訓練を終えアリーナを後にする。2人が出た後、ISを身に纏った黒髪のポニーテールの生徒が大声で怒鳴っている姿が目撃されたとか。

 

寮へと続く廊下を歩いていると、鈴がさっきの事を聞いた。

 

「ネイサン、アイツの挑発には乗るなって理由、訳を聞いてもいいかしら」

 

「ん? あぁ、それですか。あぁ言った戦闘狂は最初に相手を挑発させて怒りで調子を狂わせるんですよ。だから頭に血を上らせる前に一度冷静に考える間を作れば、相手のペースに乗せられずに済むっていう訳です」

 

「なるほどね。って、それじゃあ私が短絡的って事じゃない!」

 

鈴はフガァー!と怒鳴り、ネイサンに肩パンを繰り出す。

 

「ちょっ! 痛いですって」

 

「うっさい。アンタが余計なことを言わなきゃこうならなかったのよ!」

 

そう言われそんな理不尽な。と心の中でツッコミを入れつつ寮へと戻っていった。

 

 

一方シャルル事、シャルロットは今朝のネイサンへの挨拶に何かミスでもあったのかと思い、寮の部屋で一人考え込んでいた。

 

「挨拶の仕方とかは間違ってなかったし、別段不審がられるようなこともなかったはずなんだけど。何でだろう」

 

既にネイサン、そして一部の教師には既にシャルロットの正体が既にバレているという事はシャルロットはまだ気が付いていなかった。

 

「……明日もう一度挨拶をして、友好関係を結べるようにしよう。もしそれがダメだったら……」

 

シャルロットは目線を机の上に置いてあるピッキング道具へと向けた。シャルロットは自身が自由になるためなら仕方がないと自分に言い聞かせながら。

 




次回予告
次の日、また3組の近くでシャルルことシャルロットと会ったネイサンは、前回と同じような対応をしてクラスへと入る。放課後、射撃訓練をすべくアリーナへと向かう途中、鈴と合流して中へと入ると、ある光景が広がっていた。

次回
問題事~特にならない仕事はしたくないんだが~

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