世界を忌み嫌う武器商人と過去を捨てた兵士   作:のんびり日和

12 / 50
11話

鈴がネイサンに宣戦布告をした後の昼休み。ネイサンは授業で使った教材などを机の中に仕舞い、席を立つ。そして教室を出て食堂へと足を向ける。

ネイサンは食堂で出されるデザートが大好きで、特にクレープを重ねて作ったミルフィーユが特に好物なのだ。

 

(さて、今日は何を食べようかな)

 

そう考えながら廊下を歩いていると曲がり角から大きめの巾着袋を2つ持った真耶が出てきた。

 

「あ、マクトビア君此処に居たんですね。よかった~、食堂に行っても居なかったのでもうお昼をとり終えて帰っちゃったのかなって思ってたんです」

 

「何か用ですか山田先生?」

 

ネイサンがそう聞くと真耶は頬を赤く染めながら持っていた巾着袋の一つをネイサンへと手渡す。

 

「え、えっと実は今朝方マクトビア君には内緒でお弁当を作ったんです。その、一緒に食べませんか?」

 

そう言われ、ネイサンは別に一緒に食べるくらいならいいかと思い、真耶の提案を承諾する。

そして2人は人目が余りない屋上へと行き、手近にあったベンチへと腰かけネイサンは真耶から受け取った巾着袋から弁当を取り出し、ふたを開ける。

中身は定番の卵焼きにミートボール、更にカイワレ大根のお浸しなど栄養が偏らないバランスのいいおかずが入っていた。

 

「へぇ~、バランスのいい弁当の中身ですね」

 

「そ、そうですか? そう言っていただけるとありがたいです」

 

そう言い真耶はご飯に手を付け、ネイサンも弁当のおかずに手を付け始める。

 

 

「―――ご馳走様でした」

 

「お粗末様です」

 

弁当をきれいに食べ終えたネイサンは手を合わせてそう言い、真耶もお礼を込めてそういう。

そしてネイサンはスマホを取り出し、ギャズから送られた最近出た新しい銃のカタログを見始めた。

 

「えっと、マクトビア君。何を見ているんですか?」

 

真耶は何を見ているのか気になりそう聞くと、ネイサンは特に隠すことではないなと思い、スマホの画面を見せる。

 

「いや、知り合いから新しい銃や、カスタムパーツなどのカタログを送ってくれたんで、確認をしていたんです」

 

「へぇ~。あ、このアサルトライフル中々良さそうですね」

 

ネイサンは真耶が良いと言ったアサルトライフルを見ると、それはKTR-08だった。

 

「なるほど、確かにKTR-08はいい銃ですね」

 

KTR-08は、AKの弱点の一つである拡張性の低さを無くすために、レールシステムを追加されている。更にリロードをしやすくする為にマガジンキャッチ部分を改良しグリップを握ったままの状態で、人差し指でマガジンキャッチを押しマガジンの排出が出来るよう改良されているのだ。

 

「弱点だった拡張性をレールシステムを取り入れて、ヴァーティカルグリップなどを組み込めるよう出来てますし、ストックはM4と同じ伸縮可能の物なので取り回しも良さそうです」

 

真耶が楽しそうに説明しているのを見て、ネイサンは本当に銃とかが好きな人なんだなと思いながら、真耶の銃の解説を聞きながら昼休みを過ごした。

 

 

 

そして数日後、クラス別代表戦が開かれた。

ネイサンはアリーナのピット横にある休憩室に行く途中にクラスメイト達から

 

「マクトビア君、頑張ってね!」

 

「デザートフリーパスの為に勝ってね!」

 

「目指せ優勝!」

 

と応援を受け、ネイサンはクラスの想いを背負いながら試合に臨もうとした時アナウンスが入った。

 

『お知らせします。1組対3組の試合なのですが、1組のセシリア・オルコットさんが体調不良の為、試合を棄権いたしました。その為3組は不戦勝の為、このまま2組対3組の試合を行おうと思いますので、選手はピットへと移動してください』

 

「なんだアイツ。試合棄権したのか」

 

ネイサンはそう呟きながらピットへと移動した。その途中、タンカで運ばれていくうなされたセシリアを目撃したが、特に心配すると言ったこともせずピットへと入り準備する。

そして準備を終えたネイサンはアリーナへと出ると、向かいのアリーナから鈴も出てきた。

 

「まさか、こんなにも早くアンタと戦えるとはね」

 

鈴は好戦的な目つきでそう言い、ネイサンも負けられないと言った真剣な表情を浮かべていた。

 

「コッチは誰が来ようと負ける気はない」

 

そう言いネイサンはAMWS-21を両手に展開すると、鈴も双天牙月を両手に持ち構える。

そして試合開始の合図が鳴り響く。

 

「悪いが速攻で片づけるからな!」

 

そう言いネイサンはAMWS-21を鈴へと向けトリガーを引く。36㎜チェーンガンの弾丸は真っ直ぐと鈴の方へと行き、鈴はそれを難なく躱していく。

 

「射撃主体のその機体であたしにどれだけ持ちこたえられるかしら?」

 

そう言いながら鈴は攻撃を躱しつつ接近する。そしてある程度の接近されたところで鈴はネイサンの懐に潜り込み斬りかかる。ネイサンは攻撃を掠る程度で躱す。

 

「まさかあの攻撃を躱しながら接近するとはな」

 

「これでも反射神経はずば抜けてるのよ」

 

ネイサンは片方のAMWS-21を仕舞い、近接ナイフを構え、更にアヴェンジャーの弾種をキャニスター弾へと変更し近接を許さないようにする。

 

「さて、これは避けれるかしら!」

 

そう叫び、鈴は自身のISの2つの浮遊ユニットから何かを飛ばす。ネイサンはその場からブースターを吹かし躱す。

 

「……圧縮空気か」

 

「へぇ~、初見で躱せるなんてあんたが初めてよ!」

 

そう言い鈴は次々と衝撃砲から圧縮空気を放つ。ネイサンは兎に角躱しつつ状況打破の一手を探す。そしてネイサンは顔に付けているバイザーの機能で鈴の顔を観察したところ、衝撃砲を撃つ際に目線をその方向へと向けている事に気づく。

 

「……なるほど。照準機能を使っての射撃は不得意な感じか」

 

そう呟きネイサンはアヴェンジャーを照準機能を自動から手動へと切り替え、地面に銃口を向け、一斉射する。その結果は分かり切ったように大量の土煙が発生した。

 

「!? ……なるほど、姿を隠して隙をついて攻撃って訳ね。けどそんな方法が効くわけないでしょ!」

 

そう言い鈴は衝撃砲で土煙を晴らそうと適当に撃ち込む。何発か撃ち込んだ後、土煙は晴れて行く。だがネイサンの姿が見えずにいると背後からミサイルの接近を知らせるアラートが鳴り響く。

 

「後ろ!?」

 

そう言いミサイルを躱す鈴。だがその躱した位置が悪かった。鈴は目線をアリーナの地面へと向けると自分の方にアヴェンジャーとAMWS-21の銃口を向けているネイサンの姿が見えたのだ。鈴はさっきのミサイルは囮だと気づく。

 

「しまっ!」

 

「Checkmate」

 

そう呟くと同時にネイサンはキャニスター弾とチェーンガンを放つ。鈴は何とか体勢を整えつつ躱すが、キャニスター弾だけはどうしても避け切ることが出来ず数発ほど貰う。

 

「チッ! やったからにはこっちだって!」

 

そう叫び鈴は攻撃を繰り出そうとしたが、その前に試合終了のアラームが鳴り響く。

 

『そこまで! タイムアップの為、双方のSEの残量で勝敗を決めます』

 

そうアナウンスされ、ネイサンと鈴はどっちだと思い固唾を飲んで見ていると、スクリーンに結果が出た。

 

『SEの残量の結果、僅差でA-10thunderboltⅡの方が多かったため、優勝は3組です。おめでとうございます!』

 

そう言われネイサンはガッツポーズを掲げる。隣にいた鈴は悔しそうな顔を浮かべる。

 

「あぁ~、負けた! ……ねぇ」

 

ネイサンは鈴に呼ばれ体を向ける。

 

「次は絶対に負けないから!」

 

「こちらも、そう簡単に負けるつもりはない」

 

そう言い互いに手を差し出し握手を交わす。

 

『では、これにて第○○回クラス代表戦を終了します!』




次回予告
デザートフリーパスを勝ち取ったネイサンは早速デザートを食べに食堂に行く。そしてその帰り道、篠ノ之と遭遇。いきなり道場に来いと言われるがネイサンは断り帰ろうとする。篠ノ之は無理矢理連れて行こうとしたが、ねじ伏せられる。そしてGWに突入し、ネイサンは突然ココから学園の門前へと来るよう言われ行くと、何故かココが居た。
次回償いのデート~ロケットで宇宙にお散歩しに行くか、私とデートするかどっちにする?~

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。