女性恐怖症の社畜が(精神的に)逝くストパン 作:KEY(ドS)
アンインストール?(でき)ないです。
息も絶え絶えとなりながらも、
サーニャがいたところから離脱することに
成功した。
が、さきほど彼女に舐められた首筋の湿り気具合に
心臓がきゅうううっと締め付けられるような不快感が体を包む。
もう、ゴールしてもいいのではないか。
ネクタイをロープ代わりにして自殺しようとした
あの時の気持ちが脳内によみがえり、ポケットに忍ばせていた
護身用のナイフでリストカットしそうになる。
が、すんでのところで踏みとどまり、
ナイフを落とす。
膝から崩れ落ち、体を震わせながら地面に両手をついた。
・・・・う・・ああ・・・・。
嗚咽が漏れ、涙がこぼれそうになるのを必死にこらえる。
ちくしょう、ちくしょう、とシリアス気味に
振る舞っても、格好さえつかない。
そんな私の背中をさする誰かの手。
「だ、大丈夫ですか!?」
ぼうっとした意識で声のする方を振り向けば、
そこには、明らかにパンツ丸出しのような恰好をした、
黒髪の少女がいた。
・・・・芳佳・・・・ちゃん?
にこり、と慈愛に満ちた彼女の笑みを見て
安心したのか、意識はそこで途切れた。
■
「まーた気絶したのか。」
またかよ、と黒塗りの高級そうな革製のソファーに
ふんぞり返って足を組みなながら茶色の葉巻をふかし、
天井に向かって白い息をぷはあ、と吐き出す神様。
まただよ、と思いつつも彼の正面にある
ぼろっちいソファーに座り、やけくそ気味に
置いてあったポテチをガツガツと食べる。
意識を失うか、寝るたびに彼に会うこととなる。
「今回、就寝以外で起きていられた時間は67分・・・・。タイム伸びてるな。」
毎回気を失っては、ここに来ることもしばしば。
で、神様が私がどれくらいおきられていたかタイムを計って
面白がるという図が毎回繰り広げられる。
ああああああああ、と頭を抱えてソファーにふて寝する。
私がこんな風に発狂しているのにも理由がある。
それは・・・。
プッ、という何かの電源が付く音が聴こえ、
芳佳の声も聞こえてきた。
『ん・・・・・。えへへ、へへ、へへへ・・・・。』
「良かったな。彼女にえらく愛されてるぞ。」
耳を両手でふさいで、聴かざるのポージングを取り
現実から目をそらす。
今、彼が見ているのはきっと、あの世界で気絶している
私がどうなっているかという状況だろう。
ふざけたことに、テレビに私の姿が映るというのだ。
つまり・・・。
『ああっ。すごいっ。こんなに近くで・・・・っ。』
「おおー。すっげぇ。外でそんなことすんのか。」
どんなことしてんの、と聴きそうになったが、
本当に狂いかねないから辞めておいた。
背中から聴こえる芳佳の艶っぽい声。
『・・・っ♡♡・・・っ♡♡』
「AVよりやべぇ。」
神様がガチ引きトーンの声でそういったので
何が起きているのかものすごく気になったが
現実逃避を決めこむ。
『いいよね・・・♡♡これもきっと神様がくれた褒美だよね・・・♡♡』
「そうだよ()」
勝手にそんなものをプレゼントするな。
心の中でそう思っていると、現実に戻らなければならない
一言を芳佳が言い始めた。
『・・・・・誰もいないところに引きずって・・・。』
「さすが軍人なだけあって、人の運び方がうまいなー。」
がばっとソファーから起き上がってテレビの画像を見てみれば、
そこには、恍惚とした笑みで私の体を引きずって、どこかに
向かう彼女の姿が。
「戻んなくっていいのか?あのままだと、お前、"パパ"になるぞ。」
サーっと血の気が引いていった。
何とか意識を取り戻して帰ってきた私が目を開けると、
鼻と鼻がくっつくほど近くで私をたまらぬ笑みで見つめてくる
彼女の姿があった。
どうやら、戻っても、戻らなくても地獄だったらしい。
羨ましいでしょう(震え声)