女性恐怖症の社畜が(精神的に)逝くストパン   作:KEY(ドS)

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つづいちゃったよ()


社畜とサーニャ(てんす)

おはよう、こんにちは、こんばんは。

 

夢の中に出てきた神様に対してそう言っておく。

 

「よお。楽しんでいるか?」

 

ええ、そりゃあもう。

死にそうなくらいには楽しんでますよ。

 

私がそう意趣返しすると、自慢のリーゼントを

揺らしておかしそうに笑い転げる神様。

 

くっそう。

ほんっとうにたちが悪い。

 

 

私が女性恐怖症だと知って、

こんな女の子ばかりいる世界に送り込みやがって。

 

 

口に出して言ったら何をされるかわからないので、

心の中で愚痴る。

 

いひ、いひと顔の筋肉をけいれんさせ、

過呼吸気味になるほど腹をかかえて笑っていた

ヤンキー神は眼尻にたまった涙を手でぬぐう。

 

 

そして真面目な顔つきになった。

 

 

「つっても、ブラック会社にいたころよりましだろ?

また、毎日エクセルをぽちぽちするお仕事したいか?」

 

そういわれると前世の記憶が蘇ってきて、

吐き気がこみあげてきた。

 

終わらない仕事。

残業。

先に帰る仕事場の仲間たち。

 

一人取り残される私。

 

あ、やばい。

手が震えてきた。

 

 

最近は、お酒を飲みすぎることもなくなってきたのに。

 

 

「ほら。おちつけ。ひっひーふー。」

 

私に子供を産めと申すか。

 

 

 

夢が覚め、現実の世界へと戻ってきてしまった。

 

 

共同部屋のベッドから降りて、周りで寝ている

同僚たちを起こさないようにそーっとドアを開け、

外に出る。

 

長い廊下を歩き、庭に出て、外に設置してある

テーブルと椅子に腰かけ、一息つく。

 

 

体は汗でべたついて、気持ちが悪いほどぬめっていた。

 

 

ああ、いやな夢だった・・・・。

 

 

でも、そんな夢でも覚められたら困る。

 

 

だって・・・・・。

 

 

 

 

 

「ここにいたんだ。」

 

 

 

後ろからかけられた声に振り向く。

 

 

 

そこには、頭からケモノ耳を出し、嬉しそうな顔で私を見つめてくる

一人の少女がいた。

 

 

 

顔立ちは優しそうで、髪は銀色のショートカット。

 

 

身長は140cmあるかどうかという大きさ。

 

 

振り返った態勢のまま固まり、苦笑いで応対する。

 

 

と、同時に周りに誰もいないか確認する。

 

 

 

他に女性がいたら大惨事だ。

 

特に、彼女と仲がいいあの子に見つかったらそれこそ・・・。

 

 

大丈夫、大丈夫。

いける、いける。

 

 

社畜として生きてきた経験(地獄)を思い出せ。

あの頃に比べたらこんなもの屁でもない。

 

 

何か言おうと口を開こうとしたら、彼女が歩み寄ってきて、

私の顔を間近で覗き込んできた。

 

 

じーっと見つめてくる彼女。

 

女性が怖い私にとって、

この状況は地獄以外の何物でもなかった。

 

 

・・・あ、あの?

 

 

「・・・・ん。」

 

 

ぺろ、と首筋を突然舐められた。

 

突然の行為にびく、と体を震わせる。

 

一体何をしているのだろうか。

 

 

サ、サーニャ・・・?

 

「しょっぱい・・・。いやな夢でも見たの?」

 

 

汗の味で私が悪夢を見ていたことを見抜いた彼女に

今度は別の意味で恐怖する。

 

こわE。

 

 

 

エスパーか。

 

あ、ある意味エスパーだった。

 

 

 

しばらく首元を舐められていたが、

スっと彼女が私から離れる。

 

 

 

冷や汗が収まり、ほっとすると、

また急接近され、心臓が飛び跳ねる。

 

 

 

耳元でぼそりとささやかれた一言。

 

 

「・・・いつでも、見守っている、ね?

私を選んでくれると信じてるけど、もしそうじゃなかったら・・。」

 

な、なかったら・・・・?

 

 

その先を口にはせず、意味ありげに笑う彼女。

 

きっと、私でなければ惚れていたであろう

魅惑的な笑みを浮かべる。

 

 

これが、私の日常。

 

 

前世とは別の意味で地獄。

 

 

ハーレムと書いて地獄というのは、

大奥があった時代から変わらないらしい。

 

 

 

神様。

 

助けてください。

 

 

 

あ、神様のせいでこんな状況になっているから無理なんだった。

ふぁっく。

 

 

 

 


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