FAIRY TAIL 海竜の子   作:エクシード

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今回から天狼島編スタートです。




天狼島編
ベストパートナー


 

 

 

 

 

 

「「「予知能力?」」」

 

 僕とウェンディ、リサーナさんの三人で聞き返すと、シャルルはフフンと鼻を鳴らして「そうよ」と答えた。

 

「女王が言ってたでしょ? 未来を予知する力があるって」

 

「意識するようになってからは、少しだけコントロール出来るらしいです」

 

 フィールの返答にシャルルは得意気な顔をし、僕とウェンディが「凄いねシャルル!」と褒めていると、リサーナさんが自分が将来誰と結婚するのかとシャルルに尋ねる。

 

「そんなに先の未来を見るのは無理。う~ん……そうね、例えばそこにマカオが居るでしょ? もうすぐワカバが来て、ギルドの若者についての会話が始まるわ」

 

 僕達がマカオに視線を向けて唾を飲んだ時、シャルルの言葉通りワカバさんが煙草を銜えてマカオさんに挨拶し、マカオさんの隣に座った。

 

「凄い!」

 

「ホントに来たね、シャルル!」

 

 シャルルの予知が当たった事に興奮していると、リサーナさんに「しっ! まだこれからよ!」と制され、再びマカオさん達に視線を向ける。

 

「今年もこの時期が来たねぇ!」

 

「懐かしいもんだな……」

 

 ワカバさんが話しかけると、マカオさんは読んでいた新聞を置いて昔を思い返す。

 

「オレらも若ぇ頃は、燃えてた時もあったよなぁ」

 

「今の若ぇ者はすげぇよ実際――ケツとか!」

 

「ケツかよ!?」

 

 お尻を振りながらそう言ったワカバさんに、マカオさんはテーブルを叩いてツッコミを入れる。

 するとワカバさんは「あれ? お前乳派?」と質問し、マカオさんと睨み合う。

 

「オレはガキ居んだぞ! 若ぇ女のケツ見たってよぉ……」

 

「脚ならどうだ?」

 

「そ、そりゃかぶりつきてぇ!」

 

 どんどん会話が脱線していく二人を苦笑いで眺め、僕達は視線をシャルルに戻す。

 

「シャ、シャルルの予知、本当に当たったね!」

 

「す、凄いねシャルル!」

 

 目を合わせてくれないシャルルにそう言うと、シャルルの隣に居るフィールが「会話の内容は最悪でしたけど」と付け足し、リサーナさんもフィールの発言に同意する。

 

「こんなの予知しても仕方ないけどね……」

 

 半笑いするシャルルにそれでも凄いと言うと、シャルルは少し照れてまだ完全にはコントロール出来ないと語った。

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

 翌日、ギルドのメンバーの殆どが妖精の尻尾(フェアリーテイル)に集まっていた。

 妖精の尻尾(フェアリーテイル)は大きいギルドの為メンバーが多く、これだけの人が一つの空間に集まっているので中々に賑わっている。

 

「これ、何の騒ぎですか?」

 

「えと、マスターから重大発表があるんだって」

 

「楽しみだね、シャルル!」

 

「興味無いわ」

 

 僕がフィールの問いに応えている横で、ウェンディに抱き抱えられたシャルルが淡々と述べた。

 しかし、興味無いと言うシャルルとは対照的に、ナツさん達はみんなソワソワとしてマスターの発表を待っている。

 

 辺りを見回して落ち着かない様子のナツさんに、ハッピーが「ナツ、落ち着きなよ」と促すと、ステージの幕が上がり、マスター、エルザさん、ミラさん、ギルダーツさんの四人が姿を現した。

 

 歓声が上がり、みんなは口々に「早く発表してくれ!」とマスターに願う。するとマスターは咳払いをして、真面目な顔で口を開いた。

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)古くからの仕来たりにより、これより"S級魔導士昇格試験"出場者を発表する!」

 

 その言葉にみんなは歓声を上げ、エルザさんとギルダーツさんが静かにしてマスターの話を聞くよう注意すると、みんなは口を閉じ、マスターが話を続ける。

 

「今年の試験会場は天狼島! 我がギルドの聖地じゃ。各々の力、心、魂、儂はこの一年見極めてきた。参加者は八名――」

 

「ナツ・ドラグニル!」

 

「よっしゃ!」

 

 ナツさんは拳を握り、ハッピーが「やったねナツ!」と言って喜んでいる。

 

「グレイ・フルバスター!」

 

「やっとこの時が来た……!」

 

 グレイさんはマスターを見つめ、僅かに口角を上げる。

 

「ジュビア・ロクサー!」

 

「え? ジュビアが?」

 

 ジュビアさんはまさか自分が呼ばれるとは思っていなかったらしく、目を見開いて唖然としている。

 

「エルフマン!」

 

(おとこ)たる者、S級になるべし!」

 

 ニヤリと笑うエルフマンさんに、リサーナさんが「頑張って、エルフ兄ちゃん!」とエールを送った。

 

「カナ・アルベローナ!」

 

「……」

 

 カナさんが呼ばれて後ろのマカオさん達は嬉しそうにしているが、当のカナさんは浮かない表情で俯いてしまっている。

 

「フリード・ジャスティーン」

 

「ラクサスの跡を継ぐのは……!」

 

 フリードさんは決意したような眼差しで覚悟を決めている。

 

「レビィ・マクガーデン」

 

「私……とうとう……!」

 

 レビィさんは嬉しさに片手で口元を押さえ、その後ろでジェットさんとドロイさんが「レビィがきたー!」と諸手を上げて歓喜していた。

 

「メスト・グライダー」

 

 今までマスターに背を向けていたメストさんは名前を呼ばれて振り返り、周囲から「去年は惜しかったよな~」等と言った声が上がっている。

 

「そっか、みんなこのメンバーに選ばれたいから、みんな自分をアピールしてたのね……」

 

「うわぁ……! みんな頑張れ!」

 

「応援してます!」

 

 ルーシィさんはスッキリしたような表情で述べ、僕とウェンディは豪華なメンバーに胸を踊らせ、試験を楽しみに思う。

 

「今回はこの中から合格者を一名だけとする! 試験は一週間後、各自体調を整えておけぃ!」

 

 合格者は一名だけと言う言葉に一同はどよめき、誰が合格するかを予想し始めて一部では賭けが行われていたりする。

 

「全くもう……相変わらず騒がしいギル――!?」

 

「……どうかしましたか? シャルル」

 

 その言葉とは裏腹に楽しそうなだったシャルルの表情が一変し、目を見開いて何かに驚愕し始めた。

 突然変わったシャルルの様子をフィールが心配して声をかけると、シャルルは「べ、別に……」と言って誤魔化したが、フィールが首を傾げてシャルルから視線を戻した刹那にシャルルは目を細め、固まってしまった。

 

「初めての者も居るからの、ルールを説明しておく」

 

「選ばれた八人のみんなは、準備期間の一週間以内にパートナーを一人決めてください」

 

「パートナー選択のルールは二つ。一つ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーである事。二つ、S級魔導士はパートナーには出来ない」

 

 マスターに変わってミラさんとエルザさんがルールについて説明し、僕達はそのルールを聞いて納得する。

 

「あぁ……エルザさん達と組んだら……」

 

「絶対にS級になれそうだね……」

 

 ウェンディと苦笑いを浮かべていると、マスターが試験内容の詳細は天狼島に着いてから発表すると告げ、再びみんなは口を閉じてマスターの話に耳を傾けた。

 

「今回の試験も、エルザが貴様等の道を塞ぐ」

 

「今回は私もみんなの邪魔する係やりまーす」

 

 ミラさんはそう告げて挙手し、みんなに衝撃が走る。

 更にはギルダーツさんも参加する事が判明し、嬉しがるナツさんを除いてみんなの顔色が青く染まる。

 

「選出された八名とそのパートナーは、一週間後にハルジオン港に集合じゃ。以上!」

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

「今年は偉くハードルが高ぇな……」

 

 腕を組んでため息をつくグレイさんに、その隣に座っているルーシィさんがみんなは今回が初挑戦であることが意外だと言う。

 

「オレは燃えてきた! 絶対S級になってやる!!」

 

「ぬぁぁ!! 漢エルフマン、S級への道が遠ざかるぅ!!」

 

 炎を吐き、やる気満々のナツさんを見て、エルフマンさんは頭を抱えて体を仰け反らせた。

 

「大変そうですね……」

 

「みんな頑張ってくださいね」

 

 思い煩っているエルフマンさん達にそう声をかけると、ルーシィさんが何かに気づく。

 僕もルーシィさんの見ている方向に視線を向けると、そこにはフリードさんと、そのパートナーになったビックスローさんが雑談している姿があった。

 

「そう言えばみんな、もうパートナーは決まってるの?」

 

「オレは勿論ハッピーだ」

 

「あい!」

 

 ルーシィさんの疑問にナツさんは即答し、ハッピーはずるいとエルフマンさんが声を上げる。

 

「もし試験内容がレースだったら、空飛べるなんて勝負にならねぇ!?」

 

「別にいいんじゃない?」

 

 リサーナさんが首を傾げて言葉を返し、グレイさんも別に構わないと告げる。

 ハッピーは戦闘になったら困るだけだと言ってグレイさんがハッピーを見ると、ハッピーは「酷い事言うね……」と顔を青くする。

 

「オイラは絶対ナツをS級魔導士にするんだ!」

 

「こればかりは仲間と言えど絶対譲れねぇ!」

 

 拳を突き出すハッピーに同調してナツさんも立ち上がり、「こうしちゃいられねぇ!」と叫んで修行をする為に二人はギルドを飛び出して行ってしまった。

 

「ふ~ん……私が居ない2年の間に、ナツがS級の試験に参加するようになってるなんてね……」

 

 頬杖を突いてナツさんの飛び出して行った扉を見つめていたリサーナさんは、ルーシィさんの視線に気づいて微笑を浮かべる。

 

「ナツはね、一人前の魔導士になればイグニールに会えると思ってるの。この試験にかける思いも人一倍なんだろうね」

 

 それを聞いたルーシィさんは「そっか」と言って扉を見つめ、優しい笑みを浮かべている。

 

「あの……ジュビアはこの試験を辞退したい……」

 

「え!?」

 

「どうして……?」

 

 体をくねくねさせながら呟かれたジュビアさんの言葉に驚いて、どうしてなのかを聞いてみる。

 

「だって……その……パートナーに……」

 

 ほぼそぼそと呟くジュビアさんに、「何だって?」とグレイさんが聞き返す。

 するとジュビアさんは言葉を詰まらせてしまい、俯いてもじもじとしている。

 

「あんたのパートナーになりたいんだって」

 

「あぁ?」

 

 それを見かねたルーシィさんがグレイさんに耳元でジュビアさんが辞退したい理由を囁く。

 それを見たジュビアさんは「ほら! やっぱりルーシィが狙ってる!」と泣きながらルーシィさんを指差して睨み、ルーシィさんは「狙ってないわよ!?」と反論する。

 

「グレイ様! ルーシィをパートナーにするつもり何ですか!?」

 

「悪ぃが、オレのパートナーは決まってる」

 

 グレイさんの言葉にルーシィさんが疑問符を浮かべると、スーツ姿のロキさんが「久しぶりだね、みんな」と挨拶しながらグレイさんの後ろに立つ。

 

「ちょっとぉぉ!?」

 

「去年からの約束でね」

 

「ルーシィ、悪いけど試験期間中は契約を解除させてもらうよ。心配は要らない、僕は自分の魔力でゲートを潜って来た。だから、君の魔法は使えなくなったりしないよ」

 

 目を丸くしているルーシィさんにロキさんがそう伝えると、ルーシィさんは「なんて勝手な星霊なの?」と汗を浮かべてプルプルと震えている。

 

「でもおめぇ、ギルドの一員って事でいいのかよ。ロキ」

 

 眉を顰めたエルフマンさんが尋ねると、ロキさんはシャツを脱いで背中のギルドマークをみんなに見せた。

 

「僕はまだ妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士だよ。ギルドの誇りをかけてグレイをS級魔導士にする」

 

「頼りにしてるぜ」

 

「任せて」

 

 二人が笑い合っていると、ルーシィさんが「この二人ってこんなに仲よかったっけ」と頬を膨らませる。

 

「つー訳で、お前も本気で来いよ。久しぶりに熱い闘いをしようぜ?」

 

「あ、熱い……熱い愛撫(たたかい)!?」

 

 頬を赤く染めて妄想を膨らませるジュビアさんに、「ちょっとお姉さん」とシャルルがツッコミを入れる。

 

「私がジュビアと組むわ!」

 

 リサーナさんが立ち上がり、「本気かリサーナ!?」と驚いているエルフマンさんにエドラスのジュビアさんとは仲が良かったと伝え、ジュビアさんの手を握る。

 

「決定ね!」

 

「まさかこの子もグレイ様を狙って……」

 

 ニコニコと笑うリサーナさんをジュビアさんは警戒し、その様子に「どんだけ歪んでるのよ」とルーシィさんはため息をつく。

 

「ちょっと待てよリサーナ! それじゃオレのパートナーが居ねぇじゃねぇか!」

 

 机を叩いて涙を流すエルフマンさんに、リサーナさんはさっきから熱い視線を送ってる人がいるとカウンターの方を見るように促す。

 

 そこにはフリードさんがビックスローさんを選んだ事でむくれているエバーグリーンさんがエルフマンさんを見つめており、エルフマンさんは石にされそうだと顔を引き吊らせていた。

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

「どうしたの、シャルル?」

 

「朝からずっと大人しいよね?」

 

 ギルドの帰りの雪道、シャルルにそんな疑問をぶつけてみると、シャルルはこの試験は嫌な予感がしている事が分かった。

 

「予知能力ですか?」

 

「……あんた達は絶対参加しちゃダメだからね」

 

「二人とも絶対ダメですよ」

 

 シャルルはフィールの質問に答えずに僕達に視線を向け、フィールは無言で目を細めて僕達を睨んでくる。

 

「大丈夫だよ、僕達をパートナーにする人居ないって」

 

「私達より強い人は一杯居るもんね」

 

「それはどうかな? 天空の巫女」

 

 突然かけられた声に驚いて振り返ると、そこに居たのはS級試験に選抜されたメストさん。

 メストさんは自らをミストガン――エドラスのジェラールの弟子だと語り、僕達はその事実に驚愕した。

 

「君達の事はミストガンからよく聞いている」 

 

 そう言いながらメストさんは突然上を見上げ、口を開けた。

 メストさんに何をしているのかを聞くと、メストさんは雪の味を知りたいだけだと述べ、シャルルとフィールはメストさんを警戒している。

 

「力を貸してくれないか?」

 

「それが人に物を頼む時の態度なの!?」

 

「ふざけてるんですか!?」

 

 腕を組み、雪を食べながら頼むメストさんにシャルルとフィールは目を吊り上げる。

 

「すまん。どうもオレは知りたいことがあると、夢中になってしまう癖があるのだ……ウェンディ。君の力があれば、オレはS級の世界を知ることが出来る。頼む、力を貸してくれ」

 

 メストさんに頭を下げられてウェンディが困惑していると、ウェンディに抱かれていたシャルルがウェンディの腕をほどいてメストさんを睨み付ける。

 

「ダメよ! どうしてもって言うなら、テューズにしておきなさい! ウェンディは絶対ダメ!」

 

「そうですよ! 戦闘ならテューズの方が役に立つはずです! テューズにしておきましょう!」

 

(さっきは絶対にダメとか言ってなかったけ!?)

 

 シャルル達は必死にメストさんを説得し、メストさんは困惑しながらウェンディを一瞥する。

 その様子にシャルルは動きを止め、先程よりも鋭い視線でメストさんを睨んだ。

 

「あんた……何でテューズよりもウェンディがいいわけ?」

 

「そ、それは……」

 

 シャルルの問いにメストさんは気まずそうに視線を逸らし、シャルルは表情を変えてフィールと一緒にウェンディの前に立ち、守るように手を広げる。

 

「あんた男か女かで選んだんじゃないでしょうね!?」

 

「ウェンディに近づかないで下さい! ペド!」

 

「やめろ! せめてロリコンと――いやそれもダメだ!」

 

 メストさんに失礼な事を言ったフィールを慌てて抱えてメストさんに謝ると、メストさんは息を整えて咳払いをする。

 

「いや、分かってくれればいいんだ。オレは評――じゃなくて!」

 

「ひょ……?」

 

「い、いや、今のは忘れてくれ。とにかく、詳しくは言えないがオレは断じてロリコンではない。で、ウェンディ。答えを聞いてもいいかな?」

 

 メストさんに見つめられたウェンディは気まずそうに僕を見る。

 僕の事は気にしなくていいと伝えるとウェンディはメストさんにパートナーになると伝え、答えを聞いたメストさんは満足そうに帰って行った。

 

「ウェンディ! あれ程ダメって言ったのに!」

 

「だ、だって色々助けてもらったミストガンに、何一つ恩返しが出来なかったし……」

 

「エドラスを救ったじゃない。それで充分よ!」

 

「でもそれは結果的にそうなっただけで、私の気持ち的にはミストガンの代わりにメストさんを手助けしたいの!」

 

「ダメったらダメ!」

 

 激昂するシャルルとウェンディが言い争いを始め、結局二人はお互いに譲らずに喧嘩を続けながら家に帰った。

 

 

 

 

 

********

 

 

 

 

 

(あぁ……これは長く続くな……)

 

 次の日の朝、二人の喧嘩はまだ続いているようで、二人はお互いに口を利かなくなっていた。

 僕とフィールはどうやって二人を仲直りさせるか頭を悩ませながらギルドに向かい、そこでルーシィさんがカナさんのパートナーになった事を聞いた。

 

 

 

「テューズ、帰らないんですか?」

 

 辺りが薄暗くなり、ギルドの外に出て動かない僕にフィールが不思議そうに聞いてくる。

 

「うん、少し寄りたい所があるから。……だからごめん……先に帰って」

 

「……そうですか、私はそれほど気にしなくてもいいと思いますが……余り遅くならないようにして下さいね?」

 

 察したフィールはそれだけ言うと家に向かい、僕はフィールの後ろ姿にごめんと一言謝って反対側に足を進めた。

 目指した場所は公園。公園の中央に聳え立つ大木に背を預けて踞る。

 

 今日、ルーシィさんがカナさんのパートナーになったと聞いて、僕は少しショックだった。

 S級魔導士としてみんなの邪魔をするエルザさん、メンバーに選ばれたナツさんとグレイさん、パートナーに選ばれたルーシィさんとウェンディ。

 

(僕が……僕だけが行けない……いつもクエストに行くメンバーの中で、僕だけがギルドに残る……。

 

――何も、誰かと張り合おうなんて思ってる訳じゃない。力の優劣なんてどうでもいいし、僕がみんなよりも弱いなんて事は百も承知だ。

 

 それでも、僕一人だけが試験に参加出来ないと言う現実を突きつけられると、一人だけ取り残されたような気がして、心が折れそうになる)

 

 顔を埋めた膝が濡れ、肩が震えて嗚咽が漏れる。

 誰も居ない公園は物音ひとつなく、自分の嗚咽が聞こえてしまう。

 

 そんな中、誰かの足音が耳に入り、目を擦って顔を上げる。

 

「おぉ、こんな所に居ったのか。探したぞ、テューズ」

 

「マスター……?」

 

 顔を上げて目に入ったのは、優しい笑みで僕を見るマスターだった。

 

 

 

 

 

 






ごめんねメスト……でもやっぱりロリコンのイメージがあるんだよ貴方……

そしてテューズはパートナーに選ばれず……サブタイトルのベストパートナーはナツ達の事で、テューズは関係ありませんでした。
実際、いつも一緒に居るメンバーの中で自分だけ選ばれなかったとしたら、相当へこむと思います。


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