更新遅れてすみません。最近以前に比べて忙しくて……
少しずつ書いたので読みにくい部分が多いかもしれませんが、ご了承下さい。
今回の話の後半は深夜テンションで暴走して思い付いた話なので、先に謝っておきます。ごめんなさい。
という訳で、番外編として緩く見て下さい。結構ふざけたつもりなので(笑
ウェンディ〇〇〇△△計画
「ま、まじかよ……」
「おめぇ……生きてたんか……!?」
僕達がギルドに帰るとみんなはリサーナさんを見て動きを止め、マカオさんとワカバさんが震える手でリサーナさんを指してそう尋ねる。
リサーナさんがコクリと頷くと、みんなは歓喜の表情を浮かべてリサーナさんに駆け寄っていき――
「汚ぇ手で触んな!!」
みんなの勢いに怯んだリサーナさんの肩を抱いて、ビーストソウルを発動させたエルフマンさんが全員殴り飛ばした。
エドラスで彼らと同じ反応をして、同じようにエドルーシィさんに蹴り飛ばされたナツさんとハッピーは苦笑いしながらその光景を見つめ、その横でミラさんがクスクスと笑っていた。
「良かった……ギルドがちゃんと元のままで」
「なるほど、アニマの事も全く知らねぇようだしな」
「とにかく、無事で何よりだ」
無事だった
「リサーナ!」
「マスター!」
マスターに声を掛けられたリサーナさんは笑顔で振り返り、みんなの視線もマスターに向けられる 。
「信じておった……」
「え?」
「ギルドで育った者は、みなギルドの子じゃ……子の心配をしない親が何処に居る、そして子を信じない親が何処に居る。事情は後でゆっくり話してくれればよい、ナツ達もな」
マスターが視線をナツさんに移すと、ナツさんは「あぁ、じっちゃん!」と笑顔で元気よく返事をした。
「とにかく、よぉ帰って来た!」
「マスター……帰って来たんだよね……私、帰って来たんだよね……?」
涙目のリサーナさんがそう言うと、マスターは優しい表情で両手を広げ、周囲のみんなも優しい眼差しでリサーナさんを見守っている。
「そうじゃよ。ここはいつでもお前の家じゃ。おかえり、リサーナ」
「「「「おかえり! リサーナ!!」」」」
「うぅ……ただいまぁ!!」
リサーナさんは泣きながらマスターに駆け寄り、勢いよくマスターに飛び付いて抱き締める。マスターはリサーナさんに飛び付かれた反動で後退して、後ろの柱に激突してしまった。
「マスター!?」
たんこぶを作ったマスターを見てマスターを心配した僕は駆け寄ろうとしたが、リサーナさんに頬擦りをされて困ったような笑みを浮かべるマスターは幸せそうで、後でマスターに治癒魔法をかけてあげようと思いながら、僕はもう少しリサーナさん達を見ている事にした。
********
「「「「乾杯!!」」」」
今日はギルドにリサーナさんが帰って来たと言うことで、みんなで宴を開く事になった
「やっぱギルドは最高だぜ!!」
「あいさー!」
テーブルを蹴り飛ばしていつも通り暴れだすナツさんにエドラスの話を聞いたみんなは、「向こうのナツもあんな感じなのか?」と疑問に思う。
すると、リサーナさんが振り返り、エドルーシィさんにいじめられているエドナツさんの真似をし、その姿を想像したみんなは肩を震わせて笑いを堪えていた。
「オレは見せ者じゃねぇ!?」
「可愛いのよ!」
吠えるナツさんを無視してエドナツさんの事をみんなに話すリサーナさんの後方で、その様子をカウンターに座って眺めているギルダーツさん。
そのギルダーツさんに見られている事に気づいたハッピーがギルダーツさんに近づいていくと、ギルダーツさんはニヤリと笑う。
「よぉ、ハッピー。お疲れだったな」
「あい! てな訳で、テンション上がったついでに暴れまくってる
呆れきった表情のハッピーの言葉に、ギルダーツさんは呵ヶ大笑して「宴が終わったらな」と返し、二人の会話を聞いたルーシィさんは「会話が黒い……」と呟いて若干引いていた。
「んなもん待ってられっか! 今すぐ勝負し――ンガッ!?」
ギルダーツさんは自分と勝負しようと駆け寄ってきたナツさんの頭にチョップを入れ、ナツさんの頭が床にめり込む。
その騒がしさに、今日初めてギルドに来たリリーは度肝を抜かれ、騒がしいギルドだと評した。
「私達も最初はそう思いましたよ……」
「第一印象はみんな同じなのね」
「楽しい所だよ?」
騒ぐみんなを見ていたリリーが、「ここに居る者全員が体内に魔力を持っていると言うのか……」と呟いて唾を飲んだ時、エルザさんが来てそれがアースランドの魔導士だと言い、突然後ろから現れたエルザさんにリリーは驚いていた。
「そう言えば、確かリリーはエドラスでエルザと同僚でしたよね?」
フィールがそうリリーに尋ねると、シャルルも「あぁ、そうだったわね」と思いだし、ハッピーは魚を頬張りながら「また一緒だね」と言ってエルザさんとリリーを交互に見る。
「しかし、大切なのは魔法そのものではない。魔法を持つ者の心。そうだろ? リリー」
「ふん、別人とは言え、一人でも知ってる顔が居ると落ち着くもんだな」
お互いに見合って口角を上げ談笑していると、みんなの方でテーブルが空を舞っているのが目に入った。そちらに視線を移すと、テーブルを飛ばした犯人であるガジルさんが顔を出していた。
「こらァ!
「あァん?」
「ははは! そりゃいいや」
床から頭を引き抜いたナツさんはガジルさんの言葉に青筋を立て、ギルダーツさんは笑いながら「やれやれー!」と二人を煽っている。
「あんたらもエライ奴に目をつけられたわね……」
「あぅ……」
「あはは……はは……」
同情の眼差しと共に送られてきたルーシィさんの言葉に何も返せないでいると、レビィさんが「大丈夫だよ……多分」と僕達慰めてくれる。
ナツさんとガジルさんもすっかりその気になり、ナツさんの「望む所だ!」と言う言葉にハッピーが「望まないでよ……」とツッコミを入れるも、ナツさん達は止まらない。
「言っとくが、オレのリリーは最強と書いて最強だぜ?」
「ハッピーは猫と書いて猫だぞこんにゃろう!」
「あのさ、オイラ一瞬で負けちゃうよ……?」
どんどんと白熱していく二人にハッピーがそう言うと、頬に手を添えたシャルルがニヤニヤと笑いながらハッピーを見る。
「だらしないわね、やる前から諦めてどうすんの?」
その言葉にハッピーはシャルルに期待されていると思ってやる気を出すが、その横でフィールがシャルルに耳打ちをする。
「ガジルは私達もリリーと戦わせる気なんですよ? ハッピーと一緒にナツ達を止めないのは、何か策があるからなんですか?」
そう言われたシャルルの動きが固まり、顔色がどんどん青くなって冷や汗をかきはじめる。
「ハッピー! 今すぐあのバカ共を止めるわよ!」
「うぇ!?」
血相を変えたシャルルがハッピーを連れてナツさん達を止めに行こうととするが、リリーが二人を手で制した。
「安心しろ、こう見えても向こうでは師団長を任されていた。無駄な喧嘩は怪我をするだけだからな、元からオレに戦う気ははない」
「意外と大人なのだな」
リリーに感心してエルザさんが言葉をかけると、リリーは「奴等が幼稚なのでは?」と呆れながら言葉を返す。
その後に、ナツさん達に向けていた視線をフィール達に戻し、よろしくといってハイタッチをするリリーを見て、僕とウェンディは心の底から安堵した。
「で、何で本人達が喧嘩してるんですかね……?」
「グレイとエルフマンまで混ざってる……」
いつの間にか喧嘩を始めていたナツさん達を見て、フィールは頭に疑問符を浮かべ、シャルルは腕を組んで顔を顰めている。
「激しくぶつかり合う肉体と肉体! ジュビアも!」
「脱ぐな!!」
服を脱いで喧嘩に参戦しようとするジュビアさんをルーシィさんが止めると、フリードさん達も参戦しようと腕を鳴らす。
「あわわわわ……」
「皆さん落ち着いて……」
僕達は若干震えながらフリードさん達を制止しようとしていると、後ろでルーシィさんが「やっぱりこうなるのよね……」と腰に手を当てて独り言ちた。
「
と言う声と共に現れたリサーナさんが後ろに立ち、リサーナさんは目が合ったルーシィさんと笑い合う。
「ところでナツ、向こうの儂はどんなんじゃった?」
参戦してきたナブさんを拘束し後ろから頬を引っ張っていたナツさんに、ギルダーツさんと飲んでいたマスターが声をかける。
反対の自分が気になると言うマスターに、ナツさんは頭を掻きながらエドラスのマスターを見た事があったか思い返す。
「エドラスのじっちゃんな…………ん? 待てよ?」
ピタリと動きを止めたナツさんが思い出したのは、エドラスの国王であるファウスト。
彼がエドラスの
「な、なんじゃ……?」
「もしかしたら、王様やってッかもな!」
ナツさんは間近で見られて顔を引きつらせたマスターに上を見上げてそう言うと、マスターとギルダーツさんはナツさんに合わせて上を見上げる。
しかし、見上げた先にあったのは天井だけだった為に、ナツさんが何を見ていたのか理解できなかった二人は顔を見合わせて首を傾げる。
「じゃあオレはどうだよ? 向こうのオレはどんなだった?」
「いや……ギルダーツは名前も出なかったな。ひょっとしたら蛙とか魚だったかもしんねぇ」
「酷ぇ!?」
ナツさんが何を見ていたのかは気にしない事にしたギルダーツは、胸を躍らせながらナツさんに尋ねた。
しかし、ナツさんにエドラスでは人外だったかもと言われてギルダーツさんはショックを受け、ナツさんは悪戯が成功した子供のように「プププ!」と口を押さえて笑い出した。
「ナツ! 何してやがる!」
「休憩こいてんじゃねぇ!」
「漢にあるまじき行為!」
乱戦を繰り広げているグレイさん、ガジルさん、エルフマンさんに呼ばれてナツさんが振り返ると、フリードさんがやれやれといった表情でナツさんに歩み寄る。
「自ら始めた争いに背を向けるとは……そもそも争うと言う言葉の意味を――」
「喧しい!」
ナツさんは炎を纏った手でフリードさんを殴り飛ばし、次はグレイさんに飛びかって行った。
********
「……ん?」
何か叫び声が聞こえたような気がして目を覚まし、横を見ると右手を突き上げて眠るナツさんの姿があった。
どうやら、僕達はあのまま騒ぎ続けて眠ってしまったらしく、ギルドは荒れていてみんな色んな所で眠っていた。
「……あんな穴あったっけ?」
目を擦りながら上を見上げると、天井に人型の穴が空いていた。見覚えが無い為に疑問に思う。
少しずつ意識が覚醒していき、隣でシャルルとフィールを抱いて眠るウェンディを見た僕はあることを思い付く。
(今ならウェンディに気づかれずに"あの計画"を進められる……?)
ギルドのみんなが眠っている間に調理場に入り、目的の物を探す。
探していた物はすぐに全て見つかった。ギルドには申し訳ないが使わせて貰う。そして、僕の考えた通りの物が出来上がり、一番難しかった"完全には隠さず、なおかつ気づかれないように隠す"事が出来た。
(本当はシャルルにも協力して欲しいんだけど……)
もし反対された時の事を考え、その妄想を振り払うように首を振る。もし失敗したらウェンディには辛い思いをさせる事になり、シャルルの怒りを買う。その場合、僕はただじゃすまないだろう。
計画の実行は明後日。その日ウェンディは朝からシャルル達と出かけ、昼に帰ってくる。それまでの間に完成させる。
********
そして二日後。言っていた通りウェンディは出かけ、家に居るのは僕一人。
以前の手順を辿って完成させた刹那、玄関の扉が開く音が聞こえた。
(そんな!? 聞いてたより早すぎる!?)
慌ててアレを隠すとシャルルが部屋に現れ、続いてフィールとウェンディも帰ってきた。
「お、お疲れ! 随分早かったね!」
冷や汗をかきながらそう尋ねると、ウェンディは「うん、思ってたより早く終わったの」と言葉を返す。
なんとか誤魔化せたと思って安心した時、フィールが怪しむような視線を僕に向けている事に気づいた。
「な、なに? どうかしたの?」
「……いえ、今日のテューズは少し様子がおかしいので」
「そ、そんな事……無い…よ?」
フィールから視線を外して言うと、フィールは少しの間僕を睨んだ後にため息をついて、「まぁいいです」と告げて離れていく。
(危なかった……)
「で、あんたは何で台所に居るわけ?」
シャルルに問われてビクリと肩が震えたが、「何か軽く作ろうと思って……」と言い訳する。
すると、ウェンディが「私も何か食べようかな?」と言いながら台所に来た。
「あ、じゃあこれ食べる?」
「え? でもいいの?」
目をぱちくりさせるウェンディにコクリと頷くと、ウェンディは僕に礼を述べて引き返して行く。
ウェンディに目的の物を渡せた事に安堵して胸を撫で下ろし、僕もテーブルにつこうとする。
「待ちなさい。あんた、何企んでるの?」
鋭い視線を向けてくるシャルル。僕は一瞬ドキリとしたが、話すのが早くなっただけだと判断してシャルルに僕の計画を打ち明けた。
「ふ~ん……ま、いいんじゃない? 私は別に止めないわ。ウェンディのためにもなるだろうし」
腕を組んでいるシャルルに協力してもらいウェンディの元へ行くと、ウェンディは僕の渡した料理を食べていた。
「あ、テューズ。これ美味しいね!」
笑顔で料理を食べるウェンディを見て、僕はシャルルと顔を見合わせる。ウェンディに食べて何ともないのかと聞くと、ウェンディは何ともないよと言って首を傾げた。
「えっとね……その料理には――」
「梅干しが入っているのよ」
梅干しを使い、梅干しが入っていると気づかれない程度に梅干しの味を残した料理をウェンディに食べてもらって梅干しを克服してもらう。
これが僕の考えたウェンディ梅干し克服計画。
料理に梅干しが入っていると知ったウェンディは顔を青くし、料理から僕達に視線を移す。
「本当に……? 本当に梅干しが入っているの?」
「うん。ウェンディは梅干しをちゃんと食べれたよ!」
苦手だった梅干しを食べれたウェンディの顔は明るくなり、「今なら普通の梅干しも食べれるかな!?」と僕に詰め寄ってくる。
「さ、さぁ? 食べれるんじゃないかな……?」
「無理ね」
「無理だと思います」
シャルルとフィールに無理だと言われて落ち込むウェンディが可哀想で、僕はウェンディに試してみようと提言した。
「よ、よし! いただきます!」
梅干しを丸々一個口に含んだウェンディは、口をすぼめて悶え始める。ウェンディは水で梅干しを流し込むと、肩を落とした。
「大丈夫? ウェンディ?」
「うぅ……酸っぱい……やっぱり普通の梅干しは無理だよ……」
********
「――――って言う事があったのよ」
翌日、ギルドでシャルルが昨日起こった事をルーシィさん達に話すと、グレイさんが「ウェンディは梅干しが苦手なのか……」と顎に手を添えて何かを考えていた。
「はい。ウェンディは食べるだけじゃなく、見るだけでも酸っぱくなるらしくて……
「へぇ……見るだけで……な……」
僕の話を聞いたグレイさんがニヤリと笑っていたが、物理的な意味で僕はグレイさんを止めることが出来ないので、何事も無いよう祈る事にした。
ウェンディが梅干しを食べた後、普通の梅干しをウェンディに食べさせた僕が悪いと言うフィールの意見によって、僕はウェンディの命令を何でも一つ聞くと言う事になった――と言う事もフィールがルーシィさん達に説明する。
「ふぅん……で、ウェンディはテューズに何を命令するの?」
「はい、買い物に付き合ってもらおうと――」
「そんなんじゃつまんないって~、おねーさんいい罰ゲーム知ってるから!」
ルーシィさんの問いにウェンディが答えると、酒瓶を片手にベロンベロンになったカナさんがウェンディの頭に手を乗せる。
「カナさん!?」
「ここは私に任せときなぁ……ヒック……」
エルザさんの「カナ、酒臭いぞ」と言う指摘を無視して、カナさんは僕の元に来るとウェンディが着るような服を取り出した。
「これ、何だか分かる?」
「女性ものの服……ですよね? それがどうしたんです?」
「これはあんたが着る服だよ?」
「――――は?」
その発言にその場にいた全員が固まり、カナさんは僕にジリジリと近寄ってくる。
僕はカナさんから逃れようと後退るが、やがて壁際に追い込まれて逃げ場が無くなってしまった。
「カ、カナさん? 一旦落ち着きましょ? それに僕男ですし、ね?」
「大丈夫、大丈夫! あんた女みたいな声してるし、小っちゃいし、肩幅狭いし、絶対似合うって! おねーさんが保証するから!」
カナさんの言葉にショックを受けながらも、カナさんの腕の下を潜り抜けて逃走する。が、僕は急ぐあまりテーブルに躓いて転んでしまった。
「さ、おねーさんが優しく着替えさせてあげるからね?」
「あ! ちょっと!? は、話し合いを! 話し合いをしましょう!!」
僕も必死に抵抗するが、カナさんは両脇に手を入れて僕を抱き上げ、僕はそのまま連行されてしまった。
連行される最中にウェンディ達に助けを求めたが、みんなは愕然とした表情で僕を見ていて、思考が止まっているようだった。
「ほら、まずは服を脱ぎな」
「い、嫌ですよ!」
カナさんは僕を個室に連行すると鍵をかけ、手をワキワキさせながら近づいてくる。
「そんなに怖がんなくていいから……そら!」
「あ! そこは――!」
カナさんは僕の足を掴んで靴下を脱がせると――
「こちょこちょこちょ!」
「あはは! や、やめ! カナさッ! ホントにダメですって! あははは!!」
僕の足裏をこちょばし始めた。
「今だ!」
笑わせられて脱力したところを狙ったカナさんが僕に飛びかかり、僕は脱力していた為に抵抗する事が出来ずに着替えさせられる。
********
「どう? 可愛いだろ?」
「………………」
フリフリのワンピースを着せられてみんなの元へ戻ると、みんなは僕を見て絶句している。
「だ、誰だお前!?」
ナツさんがそう叫んでいるが、当然だろう。僕は服を着せられるだけでなく、髪型も変えられてしまった。
そして、鏡を見て可愛い女の子だと思ってしまった自分が恨めしい。
「もう……帰っていいですか?」
「ダ~メ! 他のみんなにも見せて――テューズ!?」
カナさんの言おうとしていることを察した僕は全速力で逃げ出した。
街に出ても僕だと気づかれないだろうと高を括って街を走る。家につくと髪止めを取り、服を変えて布団に飛び込んだ。
*******
『お! 中―――い顔――――じ―――か。こい――高―――――じ――ぇか?』
『だ――いが……こ――キ、親に借――――めに―ら―――しく―な、こ――――とき―――――が死ん――――る』
■暗■■窟で蝋■に照■■れた二人■男が話■■■る。視界■ノイズ■■り、■■■人が覗■■■■■■。
『あぁ……―――こり―……ま―誰―――きが居んだ―。部―――れとけ』
『―屋っ――前……』
『――間違―――だろ?』
『――な……』
男■一■■髪を■か■■■へ■■で行き、■■■り込■れる。
『―が来――愛―――しろ――』
そ■■け告げ■と、男■■た道■■■返■て行■■。
*******
「テューズ! テューズ!」
「ん……へ? ウェンディ――い゛!? 」
体を揺さぶられて目を覚ますとウェンディの顔が目の前にあり、驚いて起き上がった拍子にウェンディとぶつかってしまった。
鈍い痛みに襲われる頭を押さえて、なぜウェンディがここに居るのかと質問する。
「朝になってもテューズが起きてこないから、様子を見に来たの。そしたら凄く魘されてて……」
「魘される……?」
(……どんな夢を見てたんだっけ……?)
なにか夢を見ていた気がして思い出そうとしていると、ウェンディが不安げな表情で「大丈夫なの?」と聞いてくる。
「もう大丈夫……」
「ホントに? 無理しないでね?」
「大丈夫だよ……あ、そう言えばあの後って……」
ウェンディに昨日僕が逃げ出した後の事を聞いてみると、カナさんがエルザさんに叱られ、僕に謝りたいらしい。
「僕も逃げちゃったしな……カナさんには何か申し訳ないな……」
「ふふ……可愛かったよ?」
可愛かったと言われ、頬を膨らませてウェンディを睨むと、ウェンディは笑いながら「ごめんね」と言って手を合わせる。
その様子に僕は一度ため息をつき、ギルドに行った後は何処へ行くのかと尋ねる。
「行くって……何で?」
「買い物……行くんじゃないの?」
そう言うとウェンディは嬉しそうに返事をし、準備をすると言って自分の部屋に戻る。
僕も早く着替える為にクローゼットを開き、丁寧に収納されていた僕が昨日着たワンピースを隅に追いやって、いつもの服に着替える。
(今日も一日頑張ろう!)
僕は気合いを入れ、部屋の扉を開いた。
いやぁ、酷かったですね。深夜テンションって思考が暴走するんですよ……。
何で女装させようという発想になったのか……自分でも謎ですね。ホントに勢いだけなので訳が分からない……これは黒歴史になりそうです。
最後のテューズの夢についてですが、以前書かないと言っていた裏設定です。この先、裏設定を前提で書く部分があるので、少しだけ書くと思います。
まぁ、戦闘とかはないので番外編でホントに少しずつって感じだと思います。