今回でドロマアニム戦終了です。
そして気づいたらUA20000突破!? お気に入りももう少しで200!? 本当に驚きました、この間100突破したばかりなのに……本当にありがとうございます、嬉しい限りです! これからもよろしくお願いします!!
「ナツ! 頑張ろう!」
「うん! アースランドの
リサーナに励まされ、自身を奮い立たせたナツは武器を持ちなおして兵に挑んで行く。
「立てるか? アースルーシィ」
「うん、ありがとう」
エドルーシィはルーシィに肩を貸して体を起こさせるとルーシィは穏やかな笑みを浮かべ、隣でロキはがその光景を、目にハートを浮かべて見惚れていた。
一方グレイはエドグレイの厚着に驚き、同様にエドグレイも上半身裸のグレイを見て驚いていた。
「「オレ!? て言うか服!」」
「脱げよ!」
「着ろよ!」
二人のグレイが睨みあっていると、兵を絞め上げたエドジュビアが「グレイが二人とかあり得ない!」と言いながら鬱陶しそうに二人を見ていた。
「な、なんて羨ましい……!」
「は?」
エドジュビアは腕で兵の首を絞めている。
その為エドジュビアの胸が兵の顔に当たっているのをエドグレイが羨ましそうに眺め、グレイがその事に困惑しているとエドグレイは激昂する。
「お前はオレなのに何も感じないのかよ! 愛しのジュビアちゃんのあの姿を見て!」
「愛しのジュビアちゃんだァ!?」
鼻息を荒くして語るエドグレイにグレイが顔色を青く染めると、エドグレイは「ジュビアちゃん愛してる!」と絶叫するが、目を吊り上げたエドジュビアにうるさいと一蹴されてしまった。
その他ではジェットとドロイ、レビィのチームシャドウギアが最強チームとして敵を蹴散らし、その光景にルーシィは愕然とする。
「グレイがジュビアにデレデレ……それにジェットとドロイが最強候補!? なんか色々違いすぎ!」
「見て、シャルル。
ハッピーが涙を拭ってシャルルに言葉をかけると、シャルルの目が薄らと開き、その視線は兵と交戦する
「別世界であっても、みんなの本質は変わらない。仲間の為に戦うのが
フィールがそう語ると、シャルルは目に涙を浮かべて優しくと微笑む。
「何処に行っても、騒がしいギルドなんだから……」
「てめぇ等! 本気で自分等が間違ってねぇとでも思ってんのか!?」
「そ、それは……!」
グレイが兵の襟を掴んでそう問い詰めると、 エドミラが周囲の兵を警戒しながらそんなことないとグレイに伝える。
「この中にも国王に反対している者はいるはず……逆らえば命がないから、已む無く従っているのよ!」
「争いなんて虚しいばかり……みんなでティーパーティーでもしていた方が、よっぽど楽しいですのに!」
そう言ってエドミラは兵を斬り、エドカナはステッキで兵を殴り付ける。
「それでも今は、こいつらを撃退するしかない!」
そこにルーシィも加わって兵と戦う一方で、倒れたシャルルを看ていたハッピーとフィールに、流れ弾が飛んできていた。
「ハッピー……フィール……」
「だ、大丈夫です!」
「オイラ達が守ってあげるから!」
シャルルを庇おうと前に出たハッピーに銃弾が迫った時、エドウェンディがハッピーと銃弾の間に入り込んで手に持ったトンファーで銃弾を弾く。
「エドラスのウェンディ!?」
「あなた達、エクシードね? 大丈夫? 一緒に居てあげようか?」
エドウェンディがハッピー達に駆け寄ってそう尋ねると、シャルルは微笑んで優しく断った。
「大丈夫よ。ハッピーとフィールが居てくれ――ウェンディ後ろ!」
シャルルが見たのは、ハッピー達を守る為に飛び出したエドウェンディの後を追って来た兵。
その兵は、自身に背中を向けたエドウェンディを銃で狙っていた。
「しまっ――!」
エドウェンディが振り返った時、兵は銃を撃たずに倒れ、その後ろには短剣を振り切ったエドテューズが居た。
それを見たエドウェンディは顔を歪め、エドテューズはエドウェンディの元まで歩いてくると、エドウェンディの頭を短剣の柄頭で殴り付けた。
「いたっ!?」
「ホントに能無しだな、君は! 敵に背中を見せるなんて正気か!? 後ろくらいちゃんと確認しとかんか!」
エドテューズが目を吊り上げて説教すると、エドウェンディは頭を押さえてエドテューズを睨み付ける。
「あんたなんかに助けられるなんて……!」
「全く……今回は貸しだ。後で利子つけてたっぷり返してもらうとしようか」
ニヤリと笑ってエドテューズがそう言うと、エドウェンディは舌打ちして「どさくさに紛れて殺してやろうかしら」と呟きながらシャルルを抱き抱える。
シャルルを抱き抱えたエドウェンディは安全な場所まで移動してそこにシャルルを休ませると、その間流れ弾を弾いて警護していたエドテューズが口角を上げる。
「これも貸しだな」
その言葉を聞いて青筋を立てたエドウェンディは、エドテューズの脛を蹴ってシャルル達に向き直る。
「~~~~~!!!」
「私も近くに居るから、何かあったら守ってあげる。安心してね。それと、そこに倒れてる奴は盾にしてもいいから」
エドウェンディは笑顔でそう言いながら、脛を抱えて苦しんでいるエドテューズを指さして立ち去っていった。
「大丈夫ですか……?」
「くそ……恩を仇で返すとは……絶対後で泣かしてやる……!」
フィールが声をかけると、涙目で右足の脛を擦りながらエドテューズは立ち上がってフィール達に視線を向ける。
「まぁ、あいつの言うように守ってはやるさ。何かあったら遠慮なく呼ぶといい」
エドテューズはフィールの頭を二回程優しく叩くと、「覚悟しとけ、ウェンディ……!」と呟いてウェンディの後を追って行った。
「二人ともオイラ達の知ってる二人とはちょっと……だいぶ違うけど、でもやっぱり優しいね」
二人の行った先を眺めて呟かれたハッピーの言葉に、シャルルとフィールは笑みを浮かべて無言で頷いた。
********
ドロマ・アニムの起こした爆風で地面に打ち付けられた四人を見て、国王は高笑いを上げる。
『貴様等に勝ち目は無いぞ!』
「ぐ……う……みんな魔力が無ぇって苦しんでるのに、王様ってのは随分大量に持ってるんだな」
フラフラと立ち上がったナツの顔は険しく、構えを取ってドロマ・アニムを睨み付ける。
『フフフフフ……王が民から国税を取るのは当然であろう。このドロマ・アニムは常に世界中の魔力を吸収し続ける究極の魔導兵器。故に、禁断の兵器でもある。起動させたからには、世界の為に勝つ義務がある!』
「何が世界よ……!」
「勝手に魔力を奪っておいて……!」
「よくそんな事が言えたもんだな……!」
ウェンディ、テューズ、ガジルも起き上がってドロマ・アニムを睨み、ナツは両手に魔力を込める。
「オレ達は生きるためにギルドに入ってるからな……世界の事なんか知ったこっちゃねぇけど、この世界で生きる者の為にお前を倒すんだ!」
『何度立ち上がろうと、貴様等はこのドロマ・アニムには勝てん! 魔力を持つ者が世界を制する。それがこの世界の必然だ!』
ドロマ・アニムの槍から無数の魔法弾が放たれ、ナツとガジルは弾を躱しながらドロマ・アニムとの距離を縮める。
「自分に都合のいい理屈ばかりこねてんじゃねぇ! バカ野郎!」
「必然だか何だか知らねぇが、こんな物はオレ達がぶっ壊してやる!」
「天竜の――」
「海竜の――」
「「――咆哮!!」」
ウェンディとテューズの
『フハハハハ! 魔力の無駄遣いは止めて欲しいな! 貴様等の魔力は全て儂の物なのだから』
「冗談抜かせ! オレの魔力はオレの物だ! 他の誰の物でもねぇ! "鉄竜棍"!!」
ガジルがドロマ・アニムの尻尾を攻撃するが、ドロマ・アニムは体中から魔力を放出してガジルを吹き飛ばす。
『貴様等の魔力も、命も、全ては儂の所有物だ!』
ドロマ・アニムは全身に不気味な赤い魔力を纏い、ナツを除く三人は膝をついて息を切らす。
ナツは「ふざけんな!」と怒声を上げるが、ドロマ・アニムの放つ攻撃を受けて倒れてしまう。
『アースランドの魔導士、尽きる事の無い魔力を体に宿す者達。その中でもこやつ等の――ドラゴンの魔導士のこの出鱈目な魔力。寄越せ、その魔力を。世界はこやつ等を欲しておる。』
哄笑を上げる国王に四人は立ち上がろうとするが、ダメージが大きいのか体を起こす事が出来ず、倒れたまま鋭い視線をドロマ・アニムに向ける。
『地に落ちよ、ドラゴン。絶対的な魔法兵器――ドロマ・アニムがある限り、我が軍は不滅なり!』
体に力を入れ、必死に起き上がろうとするナツ達を見た国王は口角を上げる。
『まだ起きるか! 大したものだ! その魔力、素晴らしい! 我が物となれ、ドラゴンの魔導士!』
ドロマ・アニムが槍を振ると、四人の倒れる地面が光り、魔法が放出されて四人を打ち上げる。
悲鳴を上げて倒れた四人を見下ろし、ドロマ・アニムは槍を天に掲げる。
『もっと魔力を集めよ。空よ、大地よ、ドロマ・アニムに魔力を集めよ!!』
すると、王国付近の自然からドロマ・アニムは魔力を奪い、奪い取った黒く禍々しい魔力を槍に集める。
『感じるぞ……この世界の魔力が尽きようとしているのを! だからこそ、こやつ等を我が手に!!』
ドロマ・アニムが魔力を集める間に何とか立ち上がったナツ達に、ガジルが声をかける。
「
「はい……」
「あれを四人でやるんですか?」
ナツ達三人の視線がガジルに集まると、ガジルはドロマ・アニムを睨んでコクリと頷く。
「何が起こるか分からねぇから控えておきたかったが、やるしかねぇ!」
「分かりました!」
「やりましょう!」
「よし!」
四人は手を広げて空気を吸い込み、魔力を高める。
その魔力が高まる様子に、国王は邪悪な笑みを浮かべた。
「火竜の――」
「鉄竜の――」
「天竜の――」
「海竜の――」
「「「「――咆哮!!!!」」」」
四人の口から放たれた火、鉄片、風、水が合わさった極大の
「やったか……?」
しかし、上空から響く国王の笑い声が耳に入り空を見上げると、遥か上空に跳躍して
「あんなに跳躍力があったのか……」
「あんなに高く……」
「そんな……四人同時の咆哮が当たらない……!?」
「もう一度だ!!」
ナツの言葉に三人ももう一度
『竜騎拡散砲!!』
上空から降る無数の魔法弾を前に四人に逃げ場はなく、全身に魔法弾が命中して倒れ、倒れた四人の前にドロマ・アニムが着地した。
『世界の為、このエドラスの為、儂と貴様等の違いはそこよ。世界の事など知らぬと貴様は言ったな。この世界で生きる者に必要なのは、ギルドなどではない!
永遠の魔力だ。民が必要としているのだ。貴様と儂では、背負う物の大きさが違いすぎるわ!』
四人は再び立とうとするが、魔力が尽きて体に力が入らない。
『いくら無限の魔導士と言えど、一度尽きた魔力は暫くは回復せんだろう? 大人しく我が世界の魔力となれ。態度次第では、それなりの待遇を考えてやってもよいぞ?』
(もうダメだ……立ち上がれない……)
(体が……動かない……)
(ここまでか……)
三人が諦めかけた時、ナツは土を握り締め、地面に頭を擦り付けてまで立ち上がろうとしていた。
「諦めんな……! まだ……終わってねぇ……! かかって来いやこの野郎――!!」
「――オレはここに立っているぞォォ!!!!」
吼えるナツに国王は顔を歪め、ドロマ・アニムの足で立ち上がったナツを踏み潰そうとするが、ナツはそれを受け止める。
「ナツさん……」
「魔力が無いのに……」
「どうしようもねぇだろ……バカ野郎……!」
「――捻り出す!!」
ドロマ・アニムの重量に地面に罅が入り、ナツは膝をついてドロマ・アニムの足を押し返そうと踏ん張り続ける。
「明日の分を――捻り出すんだァァ!!!」
雄叫びと共にナツの押し返す力は強まっていき、遂にはドロマ・アニムの足を押し返して転倒させた。
「
(明日の分……!)
ナツを見ていたガジルは力を入れ、テューズの腕を掴む。
「行けるか……チビ!」
「――はい!」
二人が立ち上がろうとした時、ドロマ・アニムが起き上がってその赤い双眸でナツを見下し、国王の怒声が響いた。
『身のほどをわきまえよ! 儂を誰だと思っておるかァァ!!!』
ナツの足元を爆破してナツを打ち上げた国王が絶叫した刹那、上空に脅威ありとモニターに示されて警戒音が鳴り響き、視線を上に向けるとそこには足裏を合わせたガジルとテューズがいた。
「力を合わせる必要なんかねぇ!」
「力は! 願いは!」
「「繋げればいい!」」
テューズに蹴り出され勢いをつけたガジルは、ドロマ・アニムの足背を貫き、ドロマ・アニムが空へ跳躍出来ぬよう貫いた先の手を十字型の鉄杭に変えて固定する。
『足を――!』
「ロックした! これで空中へは逃げられねぇ!」
『お、おのれ! 小癪な! 離れんか!』
「離すかよ! クズ野郎!!」
ドロマアニムが足を必死に引き抜こうとするのをガジルが押さえ、空に打ち上げたナツの視界にウェンディが映る。
「ウェンディ! オレに向かって咆哮だ! 立ち上がれ!!」
「はい!!」
片目を閉じ、満身創痍だったウェンディはナツを信じて立ち上がり、残っていた僅かな魔力を捻り出す。
「うぅぅぅ!!! 天竜の―――咆哮ォォ!!」
(野郎……ガキの
ウェンディの
『こ、これで撃ち落として――!!』
「あぁぁぁ!!!」
雄叫びと共に再びドロマ・アニムの警戒音が鳴り響き、上空の脅威を知らせる。
驚いた国王が上を向くと全身全霊の力を腕に込めたテューズがドロマ・アニムを鋭く睨んでいた。
「海竜の―――砕牙ァァ!!」
水を纏ったテューズの右手がドロマ・アニムの右目を貫いた。今まで正常に外の様子を映していたモニターにノイズが走り、照準を合わせていたナツが大きくぶれる。
『しまった! これでは狙いが――!』
「今です! ナツさん!!」
「お前しかいねぇ! 行け!
「おォォォォ!!!!!」
テューズとガジルの叫びに呼応してウェンディの
『これは……
「火竜の劍角ゥゥ!!!!!」
ナツの一撃はドロマ・アニムの装甲を突き破って国王を引きずり出した。その時国王には、ナツ達が別のものに見えていた。
――ドロマ・アニムの足を押さえる鋼鉄の竜。
――ドロマ・アニムの頭を握る青黒い鱗で覆われた竜。
――白い羽で覆われた竜の咆哮で飛翔した、ドロマ・アニムを貫く炎のように赤い竜。
国王はナツに放り投げられて地面に打ち付けられ、ナツも全力を使った為にうまく着地出来ずに地面に落ちる。
ナツがドロマ・アニムを貫いた事を視認したガジルとテューズがドロマ・アニムから腕を引き抜いて離脱すると、ドロマ・アニムは膝をついて爆散した。
爆炎を背にナツが獣のように四足で身を起こして国王を睨み付けると、国王ファウストはその光景に恐怖した。
(儂は……儂はこんなものを欲しがっていたのか……!?)
ガジル達三人も立ち上がってナツ同様ファウストを睨む。ファウストはその光景に、自身を睨みつけ咆哮を上げる四頭の竜を幻視した。
「た……助けてくれぇ……!」
その光景の恐ろしさにファウストは意識を失い、それを見た四人はそれぞれ笑みを浮かべる。
「だはははは! 王様やっつけたぞぉ! こう言うの何て言うんだっけ? チェクメイトか!」
「あはは……ナツさん、それは少し違いますよ?」
「チェクメイトは王様をやっつける前の宣言ですよ」
「ギヒッ! バカが!」
ナツが諸手を上げて喜んでいると、突然地面が振動した。ガジルが敵の増援の警戒を始めると、ウェンディが上を指さして言葉を失っている事に気づいた。
「おい、どうし――なっ!?」
「浮いている島が……落ちてきた……!?」
空を見上げたナツ達がその光景に驚いていると、今度は周囲の地面から魔力が空へと吸い寄せられていく。
「一度城下町に戻りましょう! 街の人達が心配です!」
「そうだね、私達にも何か出来る事があるかも!」
「あぁ、こっちのオレなら何か分かるかも知れねぇ」
ガジルの言葉を聞いたナツが歩き出し、三人もナツの後を追って城下町へと急いだ。
どうでしたかね? 個人的にエドテューズの口調が難しかった……何であんな感じにしたんだろ……?
そして次でエドラス編終了! ……予定です。
私事で恐縮ですが、諸事情により8月5日の土曜日まで"一切"執筆活動をする事が出来ません。そして書き溜めもありません。なので次話投稿は遅れるかと思います。申し訳ありません。