すみません。若干スランプなのか書くスピードが恐ろしく遅い上に全然集中出来てない(汗
今回見にくいかもしれません。申し訳ない!
フィールにエクスタリアまで連れていってもらった僕達は女王様と話をする為に城を目指して街中を歩いていたのだが、僕達を見たエクシード達がどんどんと寄ってくる。
「あいつら確か堕天の……それに人間まで……?」
「何しに来たの……」
エクシード達は僕達を囲んでジロジロと観察し、大人は子供を庇うようにして僕達を警戒する。
「女王様に会わせてください」
「このエクスタリアに危険が迫っています」
僕とウェンディがエクシード達にそう言うと、少し背の高い黒色のエクシードが住人を掻き分けて僕達に近づいてきた。
「君達困るよ! 堕天と人間はエクスタリアへの侵入は禁止だよ!?」
住人達にナディ様と呼ばれていたエクシードが右手を振りながらそう告げると、シャルルが「そんな事言ってる場合じゃないの」とナディさんを睨み付ける。
「あなた達、命が惜しいのなら私達の言うことを聞きなさい」
フィールが住人達を一瞥して言い放つと、ナディさんが、フィール達を追いかけたニチヤは何処に行ったのかと尋ねる。
「王国軍に
シャルルは冷静にそう告げると、ナディさんはその言葉に絶句して体を小刻みに震わせた。
しかし、周りの住人達は近衛師団がやられる訳がないと笑いだし、必死に逃げるよう説得する僕達に石を投げ始めた。
「いたっ!」
投げられた石が額に当たったウェンディが頭を押さえるが、エクシード達は「人間は出ていけ!」と叫びながら容赦なく石を投げ続け、体中に鈍い痛みが走る。
「そんなに……そんなに人間が嫌いなら、私達を好きにして!」
「でもシャルルとフィールは関係ない! 君達の仲間だろ!? お願いだから二人の話を聞いて!」
腕で頭を守りながら必死でそう訴えるが、ブーイングは酷くなり、投げられる石の量は増えていく。
僕はフィールを庇うように覆い被さり、石が当たらないように守る。
********
あれから体中を襲う鈍い痛みに耐え続け、空が暗くなり始めた時、突然大きな振動が起きて今まで絶え間なく僕達に投げられていた石が止まった。
恐る恐る目を開けると、エクシード達はエクスタリアに来る途中に見た巨大
僕達もその方向に視線を移すと、島の端側が薄暗く染まる空を赤く照らしていることがわかった。
「王国軍が攻めてきた!」
「女王様の力を知らない人間共め……!」
住人達は口々に人間への罵声を口にしており、ナディさんは額に汗を浮かべて膝が震わせている。
「
「いいえ、まだよ。島の縁で止まってるみたい」
赤く染まる空を見て不安げに呟かれたウェンディの言葉をシャルルが即座に否定する。
「二人ともごめんね……こんなはずじゃ……」
僕が俯いて謝罪の言葉を述べようとすると、フィールが「まだ諦めちゃダメです!」と言って住人達を説得しに駆けていく。
「皆さん聞いてください!」
「堕天め……まだ居たのか!」
エクシードがフィールに石を投げつけるが、石はフィールを庇ったナディさんに直撃した。
「フィール!」
僕はナディさんがフィールを庇った事に驚いて一瞬思考が止まったが、すぐにフィールの元へ駆け寄ると、頬に傷をつけたナディさんが口を開いた。
「石は……投げたら危ないよ」
「で、でもそいつらは堕天――」
「――この人達は! この人達はぼきゅ達に危険を知らせてくれたんだよ! でも誰も聞かなかったからこんなことになっちゃったんだ!」
動揺したエクシードが言い訳を述べようとするが、ナディさんはその言葉を遮って住人達を説得し始めた。
「何を言っているんですか! こんなの、女王様の魔法があればへっちゃらですよ!」
エクシード達は全員が「女王様!」と叫び始め、事態の収拾がつかなくなってナディさんが困惑し始めた時、透き通るような綺麗な声が響いた。
「もういいのです。ナディ」
その声を聞いたナディさんが振り返ると、四人の老人と使用人のようなエクシードを引き連れた、背の高い、シャルルと同じ白色のエクシードがいた。そのエクシードの服には豪華な装飾が施され、羽のようなマントを羽織っている。
「女王様!?」
どうやらこのエクシードが女王のようで、突然の事に僕達は座り込んでいるだけだったが、周りのエクシード達は次々に女王様に頭を垂れる。
「あの人が……」
「女王様……」
僕達が呆然として女王様を見ていると、女王様と視線が合う。
女王様は少しの間僕達を見つめた後、目を閉じて口を切る。
「皆さん、どうかお顔を上げて下さい。そして落ち着いて私の話を聞いてください」
住人達の中にはここに女王様がいることに疑問を覚えた者も居るようで、ざわざわと話し声が聞こえてくる。
そんな中女王様の声が響くと、住人達は一斉に口を閉じて女王様の言葉を聞き逃さないよう集中した。
「今、エクスタリアは滅亡の危機に瀕しています。これは最早抗えぬ運命。なので私は一つの決断をすることにしました」
女王様がそう言うと、「人間を全滅させるんですね!」等といった声が周囲から発せられ、女王様の後ろにいるエクシード達の顔が曇る。
住人達が期待の眼差しで女王様を見つめると、女王様はマントを脱ぎ捨てペンダント等のアクセサリーを取り外す。
「真実を話しておかなければならないと言う決断です。私はただのエクシード。女王でも、況してや神でもありません。」
女王様は
「私には、人間と戦う力などないのです。見ての通り、私は片翼です。エクシードにとって翼――エーラは魔力の象徴。二つ揃ってこそ真の魔力を発揮できる……私の魔力は、とても弱いのです」
女王様の口から告げられた真実に、その場の全員が言葉を失っていた。
「隠していて本当に申し訳ありません。ウェンディさんにテューズさん。シャルルさんとフィールさんと言いましたね? あなた達にも……ごめんなさい。全部私のせいです。どうか、ここにいる皆さんを恨まないで下さい」
あまりの事に状況を飲み込めず、「どういうことですか?」と尋ねると、女王様の後ろにいたフィールと同じ紫色のエクシードが女王様の隣に立ち、杖を持った老人達が僕達に説明してくれる。
「女王と言うものを作り出した、我ら長老にこそ責任がありますじゃ。私達はとても弱い種族ですじゃ。大昔、人間達に酷いことも沢山されてきました。だから自分達を守るために、私達には力があると人間に思い込ませたのですじゃ」
「そして、エクシード全体が自信を取り戻せるようエクスタリアの民達にも神の力を信じさせました」
「神の力と言っても、その全部が、儂等事情を知っとる一部エクシードのハッタリじゃ」
「しかし、初めは信じなかった人間達も、やがて神の力に恐れを抱くようになってきた。例えば、殺す人間を決める人間管理。本当は全部後付けです。私達が殺す人間を決めている訳ではないし、そんな力も当然ありません」
4人の長老達がそう説明すると、住人達は汗を浮かべて困惑しており、今まで目を閉じて話を聞いていた女王様の隣に立ったエクシードが喋り始める。
「私の隣に居られるシャゴット様には、少しだけ未来を見る力があります。人の死が見えるのです。それを恰も女王の決定により殺していると思わせたのです」
「そんなの嘘だぁ!」
エクスタリアの真実を知らされた子供達は泣き始め、シャゴットさんに人間達をやっつけてと願い求める。
「詭弁だわ!」
子供達の声をを受けたシャゴットさんが顔を歪めた時、シャルルが声を荒げてシャゴットさんを睨む。
隣に居たウェンディが突然声を荒げたシャルルに驚くが、シャルルは構わずに怒声を発する。
「あんたに力が有ろうが無かろうが、私の仲間を殺すように命令した。それだけは事実!」
「シャゴットはそんな命令はしておらん! きっと女王の存在を利用した人間の仕業――」
「違う!!」
シャルルの意見を聞いた老人の一人が、慌てて弁解しようとしたが、シャルルがその声を遮った。
「変な記憶を植え付け、私の心を操り、
「それは……」
シャゴットさんが気まずそうに視線を落とすと、シャルルの誤解を解こうとナディさんが飛び出してきた。
「ち、違うんだ! これには話せば長くて深い事情が――」
「どんな事情があっても、それだけは許せない!」
怒りを爆発させるシャルルに、ウェンディが「今はその話はよそうよ」と宥めようとした時、ナディさんの後ろでシャゴットさんが剣を引き抜いた。
シャゴットさんはその剣を投げ、投げられた剣はナディさんの横を通過してシャルルの前に転がった。
「シャルルさんの言い分はごもっともです。あなた達には何の罪もない。なのに一番辛い思いをさせてしまった。私の罪は、あなたの手で裁いて下さい!」
老人達の制止も聞かずにシャゴットさんはシャルルに頭を差し出す。
「人間もエクシードも、両方愛せるあなたにこそ、その権利があります!」
「シャルル……」
ウェンディが不安げにシャルルを見つめると、シャルルは目の前に落ちた剣を拾い上げた。
「さぁ、皆さんはここを離れて! 私は滅び行くエクスタリアと運命を共にします!」
シャゴットさんが住人達にそう呼び掛けると、シャルルは手に剣を握って足を踏み出した。
「シャルル! ダメだ!」
シャルルを止めようと体に力を入れた時、フィールが僕の前に立ちはだかって腕を広げる。
「フィール!?」
「手出しは不要です。黙って見ていて下さい」
普段からは考えられない険しい顔で睨まれ、僕は動くことが出来ずにいた。
住人達がシャゴットさんと一緒に居たいと言って残ろうとするのを聞き、この国は滅びる運命だと言って逃げるよう説得するシャゴットさんの頭上に、シャルルは剣を振り上げる。
「「シャルル!」」
その光景にはっとして僕とウェンディが声を上げると、シャルルは剣を振り下ろし、振り下ろされた剣はシャゴットさんの前に深々と突き刺さった。
「勝手に……勝手に諦めてんじゃないわよ!! 自分達の国でしょ! 神や女王が居なきゃ、何も出来ないの!? 今まで嘘をついてでも、必死に生きてきたんじゃない! なんで簡単に諦めちゃうの!」
涙を流して叫ぶシャルルに全員の思考が止まって、その視線がシャルルに集中する。
「弱くたっていいわよ! みんなで力を合わせれば、何だって出来る! この国は……滅びない……私の故郷だもん! 無くなったりしないんだから!! 私は諦めない! 絶対止めてやる!」
羽を広げたシャルルは
「私はエクスタリアが嫌いです。テューズ達を傷付けたエクシードが嫌いです。でもどれだけ嫌おうともこの国が私の故郷であり、エクシードは私の同族であると言う事実は変わりません。だから守りたいと思うんです。たとえ嫌いであろうとも、死んでほしくないんです」
そう言い残し、フィールもシャルルの後を追って飛び去って行った。
エクシード達全員が涙を流して二人の飛び去った先を見つめるなか、ナディさんが泣きながら翼を広げた。
「ぼきゅも行ってくるよ。だって、この国が大好きだから!!」
ナディさんが雄叫びを上げてた飛び立つと、その後に続いてエクシード達が次々に
「……ウェンディ」
「うん。私達も行こう!」
僕達が走りだそうとすると、さっき僕達に石を投げたエクシード達に声をかけられた。
「ウェンディさん、テューズさん、オレ達があなた達を連れていきます!」
「だからお願いです。私達に力を貸して下さい!」
********
エクシードに背中を掴んでもらって
赤い光を放出している
エクシード達の先頭を飛んでいると、後ろからエクシード達の声が聞こえた。
「自分達の国は、自分達で守るんだ!」
「危険を侵して、この国と民を守り続けきた女王様の為にも!」
そう叫んでエクシード達が速度を上げると、今度は背中から声が聞こえた。
「ウェンディさん、テューズさん、シャルルさん、フィールさん、さっきはごめんなさい!」
「みんな、今はこれを何とかしよう!」
「みんなで力を合わせれば止められる!」
全員でナツさん達と一緒に全身全霊を込めて
「お願い! 止まってぇぇ!!」
「止ま――れぇぇ!!」
叫びを上げて押した刹那、
「何!?」
「眩しっ!」
その眩しさに目を閉じた時、下から突風が吹いて、飛ばされまいと押していた
飛ばされた時にエクシードが僕を離してしまったようで、僕の体は重力に従って落ちていく。
「うぅ……フィール?」
突然体が上空へ持ち上げられ、目を開けると、フィールが僕を掴んでいてくれた。
「テューズ、あれ……」
フィールから視線を
「
「どうなってるの……」
やがてその浮遊島も光の粒子となって消滅し、僕達が困惑していると。懐かしく、そしてどこか安心できる声が耳に入った。
「アースランドに帰ったのだ」
声のした方に視線を向けると、そこには白い生物の上にジェラール――もといミストガンが立っていた。
「全てを元に戻すだけの巨大なアニマの残痕を探し、遅くなったことを詫びよう。そしてみんなの力がなければ間に合わなかった。感謝する」
「おぉ!」
「元に戻したって?」
喜ぶナツさんの背中を掴んでいるハッピーが尋ねる。
「そうだ。
ミストガンの言葉を聞き、僕達の顔に笑顔が浮かぶ。
エクシード達が歓声を上げて喜んでいる中、ナツさん達と笑い合っているとミストガンが人形の黒いエクシードに話しかける。
「リリー、君に助けられた命だ。君の故郷を守れてよかった」
「えぇ……ありがとうございます。王子」
顔を隠していた布とマスクを取ったミストガンが礼を述べると、リリーさんは感涙していたが、突如リリーさんの体が貫かれた。
「黒猫!」
「リリー!!」
体を貫かれたリリーさんは、地上へと落ちて行った。その後ろから黒いレギオンが飛行してこちらへ向かっており、その中心で髪の短くなったエドラスのエルザさんが鬼の形相で僕達を睨んでいた。
「まだだ――まだ終わらんぞ!!」
プロローグ1.2.3の統合が完了しました。現在4.5を2.3に応急の変更をし、こちらも統合するために現在編集中です。
編集より次話投稿を優先しますが、更新が遅れるかもしれません。ご了承下さい。