FAIRY TAILの原作が終わってしまいましたが、2018年にアニメが放送するようですね! 今から凄く楽しみです!
そして気づいたら平均評価がついてる!? 本当にありがとうございます!!
白いエクシードに手を引かれ、ハッピー達は浮遊島の外れにある彼の家に連れてこられた。
「兵隊達は? まさかもう通報されてて――!?」
不安げに呟くハッピーにエクシードが「カー!」と怒鳴りつけた時、頭巾を被ったハッピーと同じ青色のエクシードが野菜の入った籠を持って、ハッピー達に近づいてくる。
「ラッキー、今日は早かったのね……あら?」
彼女がハッピー達に気づくと、ラッキーは鼻を鳴らしてどこかへ去っていってしまった。
「こんにちは、私はマール。あなた達のお名前は?」
頭を下げて挨拶を返すハッピーに優しく尋ねると、三人は戸惑いながらも問いに答える。
「オイラハッピー……」
「シャルル……」
「フィール……です」
それぞれの名前を聞いて、マールは頬を緩ませる。
「そう、素敵な名前。とにかく中へどうぞ」
マールに促されて家に入り、椅子に腰を下ろして事情を話すとマールが魚を持ってきた。
「あらあら、それは大変だったわね」
と言ってマールが三人の前に皿によそわれた魚を置くと、ハッピーの目にハートが浮かぶ。
「おじさん! おばさん! 匿ってくれてありがとう!」
「カー! 飯食え、飯!」
礼を述べるハッピーにラッキーが怒鳴った後、シャルルとフィールも礼を述べる。
すると、三人の前に魚を置いて家の奥に消えたマールが戻ってきた。
「家の人ってば、王国の考え方と反りが合わなくてね。昔追い出されちゃって、こんな所で暮らしてるのよ」
「カー! 要らんこと言わんでええ!」
大声で怒鳴るラッキーを「はいはい」とマールが宥めていると、「そっか、それでオイラ達を」と納得したように呟く。
「そんなんじゃねぇやい!」
口を尖らせ、目を逸らして言うラッキーを見てハッピーが笑っていると、ラッキーの目が吊り上がる。
「飯食ったら仕事手伝え! カー!」
「あ、あい!」
「カー! これ着ろ! そして早く食え!」
とハッピーを怒鳴りつけるラッキーを見て、マールは頬を緩ませていた。
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ご飯を食べた後、ハッピーは落暉を手伝って畑を耕していたが、慣れない作業のためか苦戦していた。
「カー! 腰が入ってねぇ! それでも男か!」
声を荒げるラッキーに、「だって……こんなの初めてだし……」とハッピーが訴えるが、「言い訳すんな!」と一蹴して仕事を続けさせる。
「ふぃ……おじさん、鍬ってこんなに重いんだね。オイラビックリだよ」
「そりゃおめぇ、そいつは人生の重みってやつだ。カー!」
額の汗を拭きながらそう言ったハッピーに、ラッキーも手を休めて告げる。
「なんだか随分大げさだな……でも聞こえると怒られるから黙っとこっと……」
とハッピーがめんどくさそうに呟くが、その呟きが聞こえていたラッキーは「全部聞こえてんぞ! カー!」と顔を真っ赤にして激怒する。
「カー! 見てろ! "男"ならこうやって腰入れろ!」
「"漢"?」
ハッピーに見本を見せる為にラッキーが畑を耕していく傍らで、ハッピーは男と聞いてエルフマンを思い浮かべていた。
「カー! これくらい出来て当たり前だろうが!」
「おじさん凄いね!」
畑を耕して胸を張るラッキーにハッピーが賛辞を贈ると、「見てんじゃねぇ!」とラッキーが一喝する。
「自分で見てろって言ったくせにもう忘れちゃってるよ……でも聞こえると怒られるから黙っとこっと……」
「だから全部聞こえてんぞ! カー!」
「あい!? ごめんなさい!」
という二人のやり取りを無視して、ベランダではシャルルとフィールがマールに頼まれた果実の身を取る作業を黙々と続けていた。
「あら、二人とも上手ね」
ボウルを持って家から出てきたマールに簡単だと告げて、二人は取った身を液体の入っているボウルに入れていく。
「あらまぁ……」
と、マールがハッピーとラッキーの様子を見て微笑んでいるが、二人の表情は未だ重い。
「冷たい飲み物が出来たわよ! 少し休みましょう?」
畑仕事をしている二人にマールがそう呼び掛けると、元気な返事と共に二人が飲み物を取りにきて休憩を始めた。
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休憩を終えたハッピーとラッキーは屋根の掃除をすると言って再び外へ行き、シャルルとフィールは家の中で紅茶をもらっていた。
「うわぁ!?」
「カー! 仕事中は余計な事考えるんじゃねぇ! それが終わったら次は薪割りだぞ!」
「あい!!」
という二人の会話が家の中まで響き、シャルルは浮かない顔で外を眺める。
「この家に来てからまだ一度も笑ってないわね。二人とも、せっかく可愛い顔なのにね」
残念そうに呟くマールの声を聞いて、二人とも暗い顔で手に持った紅茶を眺め始める。
「とても笑える気分じゃないのよ……」
「胸の中が不安で一杯で……」
「苦しい事があるのね? でも、そういう時こそ笑うといいのよ?」
二人の視線は優しく語りかけるマールに移り、「でも……」と弱音を吐く。
すると、マールは作業を続けながら口を開いた。
「そうね、そう簡単にはいかないわね……」
その言葉を聞いて俯いたフィールは昔を思い出す。
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『フィール!』
手に木の実を持ってこちらに駆けてくるテューズ。
テューズはまだ小さい自分の前に来ると、満面の笑みで木の実を差し出した。
『見て見て! 今日はこんなに大きな木の実が採れたんだ!』
『凄いですね。これだけあれば今日のご飯は充分でしょう』
木の実を凝視して呟くと、テューズは木の実を半分に割って片方を差し出す。
『……? この木の実はテューズの手柄ですよ? なぜ私に分けるんですか?』
首を傾げて尋ねると、テューズも頭に疑問符を浮かべる。
『手柄とか関係ないでしょ? 僕達友達なんだから当然だよ?』
『友…達……?』
呆然としていると、テューズは笑顔で木の実を手渡してくれる。
『『フィール』』
続けて思い出すのは、いつもと変わらぬ笑顔で自分を呼ぶ少年と少女。
(テューズ……ウェンディ……私は……)
『ハッピー、シャルル、フィール、あなた達一体……!?』
『連行って……!?』
愕然とした顔で自分を見る、助けられなかった二人。
(私は……二人を……)
********
「ふぃ……お風呂気持ちよかったぁ……」
ベランダに移って思い出に浸っていると、フィールの隣に仕事を終わらせて風呂に入っていたハッピーが腰を下ろす。
「ウェンディ……テューズ……」
フィールの隣に座っているシャルルがそう呟くと、マールが家から出てくる。
「お疲れ様。ここ、お風呂上がりは気持ちいいでしょ?」
「あい、とっても!」
「ハッピーとシャルルにフィール、だったわね? アースランドで生まれたんでしょ? 誰が名前をつけてくれたの?」
マールが三人に尋ねると、ハッピーが立ち上がって元気に返答する。
「ナツ、友達だよ!」
「私達もそう……」
「友達……です……」
二人がそう答えると、顔を真面目なものに変えたハッピーが口を開く。
「その友達が王都に捕まってるんだ。オイラ達、助けに行かないと!」
ハッピーの言葉を聞いたマールは、変わらず優しい笑顔で「人間を助けるのね?」と述べる。
「エクスタリアでは、その考え方は間違ってるのよね……?」
シャルルがマールに問いかけると、マールは表情を変えずにシャルルに視線を移す。
「そんな事ないわ、素敵な事よ。友達にエクシードも人間も関係ない。だって、見た目が違くても大好きって心の形は同じなの」
フィールが「心の……形?」と聞き返すと、マールは言葉を続ける。
「そう。大好きの心の形はみんな一緒」
しかし、その言葉を聞いてもシャルルの顔は晴れず、自分の心は自分ではない誰かに操られてると呟いて俯いている。
「今話してる言葉さえ私の物なのかどうか――」
「シャルルの言葉だよ! シャルルの心だよ!」
シャルルの言葉を遮ってハッピーが力説すると、俯いていたシャルルとフィールはハッとしたように顔を上げる。
「オイラ達のみんなを助けたいって心は、オイラ達の物だ! 」
「そうね、今はちょっと迷ってるみたいだけどきっと大丈夫よ。こんな素敵な
「あなた達は自分の心を見つけられる。ううん、本当はもう持ってるの、後は気づけばいいだけなのよ。大好きの気持ちを信じて」
マールの言葉にシャルルとフィールが静かに微笑むと、マールが「ようやく笑ってくれたわね。とっても可愛いわ」と二人の笑顔を褒め、シャルルがマールに「おばさん変わってるのね」と笑う。
「あら、そうかしら?」
「エクシードはみんな自分を天使か何かのように思ってます。人間は劣等種だと言ってました」
フィールがそう言うと、マールは目を瞑って思い出すように語り始めた。
「そうね……昔はね、そういう考えだった。でも子供を女王様に取られてね……
マールの話を聞き、三人は戸惑いながら顔を見合わせる。
「その計画に反対したせいで、私達は王国を追い出された。その頃からね……私達は神でも天使でもない、私達は……ただの親なんだって気づいたの。そしたら、人間だとかエクシードだとか、どうでもよくなってきたわ。
家の人も口は悪いけど、私と同じ考えなのよ?」
マールがそう語っていると、家の中から「カー!」という怒声と共にラッキーが顔を出す。
「下らねぇ事話てんじゃねぇよ! おめぇらもいつまで居やがる! 辛気くせぇ顔しやがって、生きてるだけで幸せだろうが! 甘えてんじゃねぇぞ!」
怒声を上げながらハッピーを追い回していたラッキーだが、突然足を止めて三人に向き直る。
「早く出てけ!!」
「あなた、そんな急に……」
突然出ていけと言い出すラッキーにマールが困惑するが、ハッピーはその通りだと言ってシャルルとフィールの二人を見る。
「オイラ達、早くみんなを助けないと」
二人がハッピーの言葉に頷くと、腕を組んだラッキーが視線をハッピー達から逸らして口を開く。
「怯えたままじゃ、出来ることも出来ねんだ。最近の若いのはんなことも分かんねぇのか!」
ラッキーがそう言うと、ハッピーが何か分かったように目を見開き、口角を上げて家をでた。
「ありがとう! おじさん! おばさん!」
家を出て少し歩いた所でハッピーが振り返って礼を言うと、ラッキー達の声が響いてくる。
「カー! 二度と来んな!!」
「気をつけてお行き!」
二人の声を聞いて走り出すと、ハッピーが走りながらシャルル達に視線を向ける。
「二人とも、さっきおじさんの言ってた言葉の意味わかる?」
「ええ、わかったわ!」
「エドラスに着いた時、私は不安で一杯でした」
フィールの言葉に二人が同意すると、三人は王都の見える崖から飛び降りる。
「でも今は違う!」
三人は空中で一度手を繋ぎ、すぐに離して体に力を入れる。
「進まなきゃいけないから!」
「飛ばなければならないから!」
ハッピーとフィールが叫ぶと、シャルルは少しだけ目を閉じてラッキーの言葉の意味を思う。
(私達はエクシード、このエドラスにおいて唯一体内に魔力を持つもの。魔法が使えなかったのは心が不安定だったから!)
決意した眼差しで王都へ飛び降りた三人の背中に、天使のような翼が生える。
(自分の心の形が見えたとき、翼が私達を前へ進ませる!)
「行こう! みんなを助けなきゃ!」
シャルルの言葉に返事をして三人が王都へ向かうと、城の窓から金髪の女性が吊るされているのが見えた。
「あれ、ルーシィじゃない!?」
「落とされるんじゃないですか!?」
と会話しているうち、ルーシィが窓から落とされた。
「助けるわよ! 」
「あい! ルーシィ!!」
「ハッピー! シャルル! フィール!」
落下しているルーシィを空中でキャッチしようとハッピーが速度を上げる。
「もう大丈夫だよ! オイラが助けに来たから!」
ハッピーがルーシィに近づくが、速度を上げ過ぎたためか狙いがずれて壁に直撃し、ハッピーの後ろを飛んでいた二人がルーシィをキャッチした。
「ありがとう……あれ、あんた達羽……」
「心の問題だったみたい」
「今は問題なく使えます」
二人がルーシィを持って上昇していると、「久しぶりで勢いつけすぎちゃった」と言ってハッピーが頭を掻きながらルーシィを持ち上げる。
「これは一体……その女は女王様の命令で抹殺せよと!」
ルーシィが落とされた位置まで戻ると、エドラスのエルザが、エクシードがルーシィを助けた事に驚愕ていた。
「命令撤回よ」
「しかし、いくらエクシードの直命でも女王様の命令を覆す権限はないはずでは……? その女をこちらにお渡しください」
驚きながらもこちらを睨むエルザにハッピーが汗を浮かべながら二人を見ると、フィールが腕を組んで前にでる。
「頭が高いですよ、人間。この方を誰と心得る」
突然の事に呆然とするハッピーを隠すようにフィールが退き、シャルルがエルザを睨みながら口を開く。
「私は
「は、はっ! 申し訳ありません!」
二人の言葉を受けて跪くエルザにシャルルが
「今すぐ解放しなさい」
「それだけは私の権限ではなんともなりません」
頭を垂れたままそう言うエルザに、シャルルがいいからやるように強く言うが、その刹那エルザの横から叫び声が響いた。
「エルザ! その三人のエクシードは堕天だ! エクスタリアを追放された者共だ!」
そう叫びながら駆けてくる人間と同じ大きさの鎧を装備した黒いエクシード。それを見てルーシィが仲間なのかと尋ねるが、ハッピーは分からないと言って困惑する。
「とにかく、堕天だとばれた以上彼らは追ってきます!」
「逃げるわよ!」
「ちょっとあんた! 姫じゃないの!?」
先に逃げる二人の後を、ルーシィを持ったハッピーが慌てて追う。
「ありがとう、三人とも」
西塔に向かっていると、不意にルーシィが三人に礼を言う。
シャルルがルーシィに怒ってないのかと問うと、ルーシィは「何を?」と笑顔で聞き返す。
「捕まったのは私達のせいですし……」
「でもこうして助けてくれたじゃない。ね?」
ルーシィが背中にいるハッピーに尋ねると、返ってきたのは「ごめんねルーシィ」という謝罪。
「だから、全然怒ってないってば……それよりあんた、女王様の娘って方が驚きなんだけど」
「オイラも知らなかったよ」
ハッピー達がそう言うが、シャルルははったりだと返す。
二人はその言葉に驚くが、ハッピーはシャルルの顔を見て頬を緩ませる。
「その顔何ですか? ハッピー」
「ううん、いつものシャルルだなと思って」
フィールもシャルルを見て、「ですね、いつものシャルルです」と嬉しそうに言うと、シャルルは鼻を鳴らして「ハッピーうるさい」と指摘する。
「え゛、なんでオイラだけ!?」
自分だけうるさいと言われてショックを受けるハッピーの下で、ルーシィが驚いたようにシャルルを見つめる。
(あれ? 今ハッピーって……)
「はいはい……それより、早くウェンディとテューズを助けに行くわよ」
「ついでにナツも、ですね?」
フィールがシャルルの言葉を補足すると、ハッピーが再び衝撃を受ける。
「いつの間にかナツが呼び捨てになってる!?」
「さ、西塔の地下に三人が閉じ込められてるはずで――なぜ笑ってるんです? ルーシィ」
フィールが言葉を止めて微笑んでいるルーシィを指摘すると、ルーシィは「別に~」と笑って前を見る。
「あ、あれじゃない? 西の塔って」
ルーシィがそう言って指を指した時、後ろから何か音がした。
疑問に思って振り返ると、ニチヤ率いる近衛師団がハッピー達の後を追ってきていた。
「見つけたぞ! 堕天共!」
「うわぁ!? 猫が一杯!?」
大量のエクシードを連れて追ってくる近衛師団にルーシィが驚く中、シャルルの空中はまずいという指示を受けて地上に降りようとするが、そこでフィールの制止が入る。
「待ってください! 地上にも敵が!」
シャルルが地上に視線を向けると、そこでは王都の兵達がシャルル達を睨み付けていた。
はい、改めて平均評価8になりました。ありがとうございます!!
まさか平均評価がつくなんて思ってなかったので本当に嬉しいです。
私は小説を書くのは今回が初めてなので、まだまだ見にくい点も多いと思いますし、自分の言葉のレパートリーの無さに悩んでいます。なので、見にくい点や直してほしい所など言って頂けると嬉しいです。
私もそういった点を指摘して頂けると成長出来ますので、遠慮なく言ってください。
これからもよろしくお願いします!!