FAIRY TAIL 海竜の子   作:エクシード

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エドラス編
アースランド


「二人とも、だいぶこのギルドに慣れてきたみたいね」

 

 ギルドにやって来たルーシィは、上着を脱ぎながら最近加入したウェンディ達を気にかけて声をかける。

 談笑していたウェンディ達からは、笑顔と共に元気の良い返事が返って来た。

 

「みなさんのお陰です」

「仕事もそこそこしてるから、生活の方も大丈夫そうだしね」

 

 シャルルの言葉に、ルーシィの動きが止まる。何を隠そう、生活費がピンチなのだ。

 思い出したくない事を思い出してしまい、ルーシィは身震いするとがくりと肩を落とした。

 

「家賃が……うぅ、仕事行かなきゃ……」

「いい年齢ですし、貯金くらいしておいたらどうなんですか?」

「出来たらとっくにしてるわよ!」

 

 フィールの指摘に、ルーシィは悲痛な叫びを上げる。

 確かに趣味に使っている分もあるが、決して多くのお金を使っている訳ではなく人並みくらいだろう。仕事量も他の者達より少ない訳ではない。

 であるのに、何故こうも金欠に陥ってしまうのか。それは彼女のチームの影響が大きかった。

 戦闘能力に長けたナツ達が多い為、彼らの仕事はその殆どが戦闘関連。仕事に行って戦闘が起こらなかったことなど、滅多になかった。

 危険な仕事故に報酬もそれだけ高額になるのだが、彼らの場合は違う。

 高額な報酬を受けたところで、その大半は戦闘時に起こした街の破壊などの弁償代として報酬から引かれてしまう。

 決して全額払うというわけではないのだが、それでも元の額と比べると手元に残るのは雀の涙程度。それを等分割するのだから、収入として得られる金額は心許ないものだった。

 ナツ達は一人一人が高い戦闘能力を持っているため個人での仕事が出来るが、彼らとは違いルーシィはまだ一人で仕事に行くには不安が残るのだ。

 

「たまにはどこも壊さずに仕事をしてほしいわ……」

 

 哀愁を漂わせながら愚痴るルーシィにかける言葉が見つからず、テューズ達は苦笑を浮かべる。

 そんな時、ギルドの扉が勢いよく開かれた。

 

「「大変だ!!」」

 

 慌てた様子で飛び込んできたマックスとウォーレン。何事かとギルドの全員が2人に視線を向けた時、マグノリア中に鐘の音が鳴り響いた。

 

「鐘の音?」

「なんでしょかね?」

 

 何かを知らせる為なのだろうが、それが何なのかが分からない。切りのいい時間でもないことから時刻を知らせるものでもない。

 この街に来てまだ短いテューズは初めての事に疑問符を浮かべ、フィールと顔を見合わせる。

 その一方で、この鐘の音を知っているらしいナツ達は思わず立ち上がり、その瞳を輝かせていた。

 

「この鳴らし方は……!?」

「まさか……!」

「「「ギルダーツだぁ!!!」」」

 

 興奮気味にその名が叫ばれたギルダーツという人物。

 初めて耳にした名前にテューズが首を傾げていると、ルーシィによってギルダーツはギルド最強の魔導士なのだと説明が成された。

 

「まぁ、私も会った事ないんだけど…」

「最強の……魔導士……!」

 

 まだ年端もいかない少年にとって、最強という肩書は魅力的なもの。ギルダーツとは一体どのような人物なのだろうかと、ソワソワと落ち着きのない様子でテューズは期待に胸を膨らませる。

 そんなテューズを見て、フィールは穏やかな笑みを湛えた。

 

「テューズ、随分と期待しているようですね」

「うん! だって最強の魔導士だよ? 楽しみだな……!」

「……それは別にどうでもいいけど、この騒ぎようはなんなの?」

 

 ギルダーツの帰還に、ギルドの魔導士達は酒を片手に歓声を上げている。

 人間が飛び交う程の盛り上がりを見せるギルドは、歓声によって建物が震えるのではないかと思ってしまう程に賑やかだ。

 

「お祭りみたいだね、シャルル」

「ホントに騒がしいギルドね……」

「皆が騒ぐのも無理ないわ……3年振りだもん、帰ってくるの」

 

 突然の声に振り返ると、そこにいたのは和やかなな表情のミラだった。

 3年も帰っていなかったという情報に驚愕し、その間一体何をしたいなのかとルーシィが問いを投げる。

 

「勿論仕事よ? S級クエストの上にSS級クエストってのがあるんだけど、その更に上に10年クエストって言われる仕事があるの。10年間、誰も達成した者はいない……だから"10年クエスト"。ギルダーツはその更に上、100年クエストに行ってたのよ」

 

 ギルドの中でも、限られた選りすぐりの実力者のみが受ける事の出来るS級クエスト。

 それでさえエルザ程の実力者であることが最低条件となる高難度の仕事だと言うのに、その上の更に上。それさえも超えた超高難度。

 名前から分かる通り、100年という長い年月を経ても誰一人として達成出来なかった仕事なのだ。

 どれほど難しく危険なのか、想像することすら叶わないほど規格外の話に、ルーシィは汗を滲ませた。

 

『マグノリアをギルダーツシフトへ変えます。町民の皆さん、速やかに所定の位置へ!』

 

 次元の違う話に愕然としていたルーシィ達の耳朶を震わせたのは、繰り返し街中に響くアナウンス。

 我に返った彼らに浮かんだのは、知らない言葉により齎される再三に渡る疑問。

 

「あの、ギルダーツシフトって……?」

「外に出てみれば分かるわよ」

 

 ミラに促され、外に出たテューズ達は驚くべき光景を目にした。

 街中の建物が、否、街そのものが地響きを立てて変形を始めていた。建物を支える大地ごと二つに分かれ、ギルドまで続く一本の大きな道となった。

 

「ま、街が……割れたぁぁっ!?」

「なんなのよこれ!?」

「はぁ……頭が痛くなってきました」

 

 まさか街が変形するなど、誰が予想出来るだろうか。

 想定外のスケールににシャルルは目を見開いて額に汗を浮かべ、フィールは呆れのあまり頭痛を覚えていた。

 

「ど、どうして道が……?」

「ギルダーツは触れたものを粉々にする魔法を使うんだけど、ボーッとしてると民家も突き破って歩いて来ちゃうの」

 

 詰まる所、ギルダーツたった一人の為だけに街一つを丸ごと改造したという事。

 一人の男と一つの街を天秤にかけたなら、当然街に重きが置かれる。しかし、ギルダーツの場合ギルダーツではなくマグノリアの改善が行われた。

 普通ならあり得ない。だがそうまでされる程にギルダーツという男は強力で、大きな影響力を持っているのだ。

 

「どんだけバカなの!? そのために街を改造したってこと!?」

「凄いね、シャルル!」

「そうね……凄いバカ……」

 

 ギルダーツへの期待を募らせるウェンディと、嘆息するシャルル。その隣で街を注視していたテューズは、その並外れた視力を以ってしてギルドへと歩いてくる一つの人影を捉えていた。

 

「来たぁぁぁ!!」

「あい!!」

 

 同じく卓越した視力を持つナツもギルダーツの姿を捉えており、興奮気味に叫びを上げる。

 ナツの叫びによって他の者達もギルダーツへと視線を向け、ギルド全員から憧憬の眼差しを一身に受けながら、ガシャガシャと重厚音を鳴らして歩くその男は遂にギルドの扉を潜った。

 茶色い髪をオールバックにした男はゆっくりと辺りを見渡すと僅かに視線を落とし、小さく溜息を落とした。

 

「ギルダーツ! オレと勝負しろ!」

「いきなりそれかよ!?」

 

 ギルダーツがギルドに到着するや否や、早速ナツが勝負を吹っかける。それに驚き、まずは労ってやれよと漏らすエルフマン。

 だがしかし、ギルダーツは喧嘩を吹っかけてきたナツには一目もくれず、ギルダーツを出迎えるミラの方へと目を向ける。

 

「お帰りなさい」

「ん? お嬢さん、確かこの辺りに妖精の尻尾ってギルドがあったはずなんだが……」

「ここよ。それに私、ミラジェーン」

「ミラ……?」

 

 小首を傾げたギルダーツの脳裏に浮かんだのは、記憶の中にいる生意気そうに口角を上げた少女の顔。

 目の前にいるミラと名乗った人物と比較すると、表情や雰囲気は別人と言っていいレベルだが、確かに同一人物だと分かった。

 その変貌ぶりに息を呑んだギルダーツは、目を見開いてミラの肩に手を乗せる。

 

「随分変わったなァ! お前! つーかギルド新しくなったのかよ!」

 

 子どものようにキョロキョロとギルドを見回すギルダーツ。そんな彼に突進していく影が一つ。

 

「ギルダーツ!」

「おぉ、ナツか! 久し振りだなァ!」

「オレと勝負しろって言ってんだろー!!」

 

 3年振りの再会。成長した少年の姿に嬉しそうな笑みを浮かべ、再会を喜ぶギルダーツにナツは飛びかかっていく。

 猪の如く突進して来るナツに、ギルダーツは片手を向ける。

 

「また今度な」

 

 一言だけ返し、笑みを浮かべたギルダーツ。それを見た刹那にナツの視点は変わり、気づいた時、ナツの視界が捉えたのはギルダーツの頭頂部だった。

 いつの間にやら天井にめり込む程に投げ飛ばされたナツは呆気に取られたが、ギルダーツに瞬殺されるなど昔と変わらぬいつものこと。

 悔しがる訳でもなく、改めて示された格の違いに胸を躍らせるナツは辺りを見渡すギルダーツを天井から眺めていた。

 

「や、やっぱ、超強ェや……!」

 

 暫く見ない内に、あの小さかった子ども達(ガキ共)が随分と成長したものだ。

 そんな事を考えて懐かしさに浸るギルダーツと視線が合い、テューズは背筋が伸びるのを感じた。

 

「……いやぁ、見ねぇ顔もあるし、ホントに変わったな……」

 

 そんなテューズの様子に気づいていないギルダーツは、呼び掛けられた声に振り返る。

 その先にいたのは、神妙な面持ちでカウンターに腰をかけるマカロフだった。

 

「おう! マスター、久し振り!」

「……仕事の方は?」

 

 マカロフの問いに対して、ギルダーツは後頭部に手を添えるとまるで何かを誤魔化すかのように呵呵大笑する。

 突然笑い出したギルダーツに周囲の者達は首を傾げたが、ただ一人、マカロフだけはその結果を察して諦めるように瞼を閉じた。

 一頻り笑ったギルダーツは足りなくなった空気を大きく吸い込み、吐き出す。そうして、今度は困ったような笑みを浮かべた。

 

「……ダメだ。オレじゃ無理だわ」

 

 その一言に衝撃が走った。

 100年もの間達成されない程に困難だということは分かっていたが、こうして無事に帰ってきたギルダーツを見てギルドの者達はきっと達成してきたのだろうと無意識に思い込んでいたのだ。

 だがしかし、結果は違った。

 

「そうか……ぬしでも無理か」

「すまねぇ、名を汚しちまったな」

 

 残念そうに言葉を落としたマカロフに、ギルダーツは頭を下げる。

 するとマカロフは静かに首を横に振り、笑みを浮かべるとギルダーツに優しく言葉をかけた。

 

「いや、無事に帰って来ただけで良いわ。ワシが知る限り、このクエストから帰って来たのはぬしが初めてじゃ」

 

 マカロフから労いの言葉をかけられ、ギルダーツは心なしか纏う雰囲気が穏やかに変わり、マカロフに背を向けるとヒラヒラと片手を振る。

 

「オレは休みてぇから帰るわ……ひぃ…疲れた疲れた」

 

 去り際、ナツに対して後で家に来るようにと言い残し、ギルダーツはギルドから去って行く。

 最短ルートで帰るつもりなのか、それともただ単にボーッとしていただけなのか、ギルダーツはギルドの壁を壊して行ってしまった。

 後に残った瓦礫の山を呆然と眺めながら、テューズは己の中に沸き立つ何かを感じていた。

 

(あれが最強の魔導士……!)

 

 一見するとただのおじさんのように見えてしまうが、ナツを一瞬で退けた実力や、所々の所作から滲み出る強者の風格。

 聖十の称号こそ持っていないが、以前出会ったジュラと比較しても決して劣らないだろう。いや、或いはジュラ以上だろうか。

 圧倒的な経験不足から他人の強さを正確に測る、ということはテューズにはできない。だが実際に、ギルダーツの実力はジュラと比べて遜色ないどころか、勝っているだろう。

 妖精の尻尾最強の魔導士。それを前にしてテューズが感じたのは憧れ。そして不安。

 自分も強くなりたいと強く思う一方で、自分なんかがあそこまで強くなれるのか? という不安はどうしても頭を過ってしまう。

 

「ねぇフィール、僕もあんな風に強くなれるのかな? ……戦えるのかな……?」 

「強くなる必要なんてありませんよ。貴方とウェンディは、私が必ず守りますから……絶対に」

 

 フィールからの返答。守るというその言葉がテューズに齎したのは、安心感などではなく胸騒ぎ。

 険しい顔や口調から、強迫観念に近い何かを感じ取った。

 

「じゃあ、僕もフィールを守るよ。ちゃんと強くなる」

「そういう問題では──いえ、何でもないです……」

 

 喉元まで出かけた訂正の言葉を飲み込み、俯くフィール。彼女の様子を見ていたテューズは悲しげに眉を寄せた。

 聡明な彼女には珍しく、自分の意思は伝わらなかったのだろうと。

 本当に言いたかったことは、それほどまでに気負わないで欲しいということ。長い付き合いなのだから、今のフィールに余裕がなかったことくらいはテューズにも容易に見抜くことができた。

 いつもならテューズの意図を組むことが出来たフィールだが、今はそれすらも出来ていない。

 

(……隠し事が原因……かな?)

 

 フィールとシャルル。この二人が何かを隠していることは、テューズもウェンディも感覚的にではあるが察していた。

 だからといってそれを追求するようなことはしないし、フィール達が話すべきでないと判断しているならそれでも良いと思っている。

 だがそれが原因で支障をきたしているというのであれば、力になりたいとも思ってしまう。

 故に、打ち明けて欲しいという思いも強まってしまうのだ。

 

「フィール、何かあったら言ってね?」

「……えぇ、勿論」

 

 言葉とは裏腹に、フィールは避けるようにして顔を背ける。

 それはまるで苦しんでいるようで、テューズはそれ以上何もいえなかった。

 

 

 

 

 それから数日後。仕事に行くわけでもなく、ギルドでテューズ達と談笑していたルーシィはたった今聞いた日付に首を傾げた。

 

「777年7月7日?」

「私達に滅竜魔法を教えたドラゴンは、同じ日にいなくなってるんです」

 

 777年7月7日。7で揃えられた日付と複数のドラゴンが消えた事、偶然の一致とは思えず、ルーシィはこの日付と何か関係があるのではと考えを巡らせる。

 

「そういえば、前にナツがガジルの竜も同じ日に姿を消したって言ってたかも……」

 

 結局出てきた記憶はその程度。これでは何の手掛かりにもならないと再び考えにふけるルーシィの隣で、フィールはマグカップを置くと顎に手を添える。

 

「私達の間では七夕などの行事がありますし、その日はドラゴン達にとっても何かの行事があったとか……?」

「行事ねぇ……ドラゴンの行事なんてあんまり想像つかないけど」

「うーん……遠足の日だったとか?」

 

 至って真面目な顔でそう述べたルーシィに、フィールとシャルルは顔を合わせるとルーシィに対して嘆息と共に呆れたような視線を向けた。

 

「ルーシィさんも、たまに変なこと言いますよね……」

「天然……なのかな……」

 

 テューズとウェンディもルーシィのずれた意見に苦笑を浮かべていると、身の丈ほどの大きさがある魚を持ったハッピーが満面の笑みで駆け寄ってきた。

 

「シャルル〜! これ、オイラが獲った魚なんだ。シャルルにあげようと思って……」

 

 緊張するハッピーが差し出した魚にはプレゼント用にリボンで装飾されている。

 だがしかし、ハッピーのアプローチも虚しくシャルルはプイッと顔を背ける。

 

「いらないわよ。私、魚嫌いなの」

「そっか……じゃあ何が好き? オイラ今度──」

「──うるさい!! ……私につきまとわないで」

 

 ハッピーを明確に拒絶し、そう吐き捨てたシャルルは鼻を鳴らしてその場を後にしようとする。

 その酷な対応にウェンディが苦言を呈するが、シャルルは振り返る事なくそのままギルドから出て行ってしまった。

 

「あ! 待ってシャルルー!」

 

 ルーシィがハッピーを心配そうに見つめる中、強い拒絶にたじろいでいたハッピーだったが、シャルルの姿が見えなくなるとすぐにその後を追って行った。

 

「シャルル……どうしてあんなにハッピーの事……」

「……理由もなく嫌いになんてなりませんよ」

 

 悲しそうに呟いたテューズにそう返し、フィールはハッピーの後姿を見つめる。

 だが、その視線は好ましいものではなく、フィールのハッピーに対する評価が決して高くはない事を示していた。

 大切な仲間であるハッピーに良い感情を抱いていないことを察し、ルーシィは眉を顰める。

 

「じゃあどんな理由があるのよ? ハッピーが何したっての?」

「……何をした、と言うより、何もしていない……いえ、何も知らないから……ですかね」

 

 いまいち要領を得ない答えに、ルーシィだけでなくテューズ達も首を傾げる。その様子を一瞥すると、フィールは特に補足する訳でもなくそのまま話を続ける為口を開く。

 

「私もシャルルも、本当の意味でハッピーを嫌っている訳ではないんです……これは嫌悪というよりも……」

 

 嫉妬、なのだろう。

 その言葉を飲み込み、歯軋りをしたフィールはシャルルを追うと言って翼を広げて飛び立って行った。

 突然飛び立った親友にテューズが手を伸ばすが、届くはずもなくその手は空を切る。

 

「やっぱり、シャルル達の様子って……」

「……秘密にしてる"何か"が関係してるだろうね」

 

 ギルドに来てから、否、ハッピーと出会ってから二人の様子はどこかおかしい。

 ハッピーを見ることで自身の立場を再認識させられ、まるで見えない何かを警戒する様にピリピリと張り詰めていた。

 だがテューズ達がそこまで知っているはずもなく、彼らは気を張り詰めている親友達を案じて彼女らの去って行った先を眺める。

 

「……雨、降りそうですね」

 

 ついさっきまで燦々と輝いていた太陽はゴロゴロと音を立てる黒雲に身を隠し、誰の目から見ても天気が崩れるのは明らかだった。

 そんな空模様を眺め、ルーシィは突然音を立てて立ち上がる。

 

「ちょっと!? シャルル達って傘持ってないわよね!? 風邪引いちゃうんじゃない!?」

 

 ルーシィの言葉に目を見開く二人。数瞬の沈黙の後、二人は勢いよくギルドから飛び出して行った。

 

「ちょっ!? 二人とも傘! ……行っちゃった」

 

 余程心配なのか体ひとつで駆け出した二人の背中にルーシィが声をかけるも、聞こえていないのかその背中はすぐに見えなくなってしまい、一人取り残されたルーシィは静かにその場に立ち尽くした。

 

 

 

 

「シャルルー!」

「フィールー!」

 

 降り頻る雨音にかき消されぬよう、ウェンディとテューズは声を振り絞って二人を探す。

 傘も持たずに飛び出した二人は体中を雨に濡らされており、テューズは雨を吸収して重みを増し、額にピッタリと張り付いた邪魔な前髪を掻き分ける。

 そうして目を凝らした先に、二つの影を視認した。

 

「ウェンディ! あれ!」

「ッ! シャルル!」

 

 綺麗な毛並みが見る影もないほど雨に濡れているシャルル達の下へウェンディが駆け寄っていくと、シャルルは驚いたように瞬きをして薄目でウェンディを見る。

 

「あんた達、傘もささずに風邪引くわよ」

「シャルル達もでしょ!」

 

 膝を屈めて目線を合わせ、ウェンディは怒ってますと言わんばかりに頬を膨らませた。

 

「私達ギルドに入ったばかりなんだから、もっとみんなと仲良くしなきゃダメだと思うの」

「必要ないわよ。アンタ達がいれば私はいいの」

 

 ウェンディの意見を一蹴するとシャルルは顔を背けるようにそっぽを向き、その態度にウェンディは眉に皺を寄せる。

 心なしか先ほどよりも頬が膨らんだウェンディは、テューズからも何か言ってと振り返った。

 

「うーん……まぁ僕も仲良くした方がいいと思うけど……」

 

 歯切れの悪いテューズがチラリとフィールの様子を一瞥すると目が合うが、フィールは気まずそうに視線を逸らしてしまう。

 フィールとてテューズ達の迷惑にはなりたくないし、彼らが仲良くするよう望んでいるならその通りにしようとは思う。

 だが何も知らずに能天気に日常を満喫しているハッピーを見ると、それが羨ましく、妬ましく、どうしようもなく癪に触るのだ。

 自分達と違って姿の見えない脅威に怯えることなく、自身の使命に苦渋を味わうこともなく、心の底からナツとの日常を謳歌している。

 仲良くしようとしても、その感情を殺し切ることが出来なかった。

 

「善処は……します」

「そうしてくれると嬉しいけど、無理はしないで……ね……」

 

 優しく言葉をかけていたテューズだが、途中でフィールではない何かに意識が向いているようだった。

 目をまん丸くしたテューズの瞳はフィールを捉えておらず、そのずっと奥へと向けられている。

 一体何を見ているのかとフィールやウェンディが視線を向けると、そこにはこちらへ歩いてくる何者かの姿があった。

 

「……誰?」

 

 布で顔を覆い隠し、背に数本の杖を背負った男。

 正体不明の男をシャルル達が警戒していると、男はボソリとウェンディとテューズの名前を呟いた。

 

「……え?」

「その声……」

 

 男から発せられたのは、聞き覚えのある懐かしい声。雨のせいで匂いは消えてしまっているが、その声はテューズ達に敵か味方かも分からない男に対して安心感を覚えさせた。

 

「まさか君達が一緒にいて、しかもこのギルドに来るとは……」

 

 そう言った男は顔を覆っていた布を脱ぎ、素顔を晒す。その顔を見て、テューズ達は喫驚した。

 青い髪に、右目にある特徴的な紋章。この間再会した、記憶を失くした恩人と同じ顔。

 

「「ジェラール!?」」

「ど、どういう事!? アンタ確か……!」

「今は評議院に捕まっているはず……一体どうやって!?」

 

 そう。ジェラールという名の男は、確かに評議院に連行され捕らえられた。それはテューズ達もその目で見ている、間違い様のない事実。

 故に、ジェラールが目の前にいることが信じられなかった。脱獄したという知らせもない今現在、ジェラールの身柄は評議院によって厳重に拘束されている筈なのだから。

 

「それは私とは別の人物だ」

「そんな!?」

「でも、どう見たってジェラールだよ……!?」

「私は妖精の尻尾(フェアリーテイル )のミストガン。7年ほど前に君達と会った時はこの世界のことはよく知らず、ジェラールと名乗ってしまった」

 

 ミストガンの告白に、その場の全員が石のように固まった。

 "この世界"とミストガンは言った。まるでこことは別に世界があり、彼はその事を知っているような発言。

 彼の言葉に、シャルルとフィールは全身から嫌な汗が吹き出しているのを感じた。

 その様子にテューズ達は気づかない。彼らもまた、ミストガンの言葉に衝撃を受けていたからだ。

 7年ほど前、ジェラールと名乗る少年と出会った時のことをよく覚えている。ニルヴァーナの一件でジェラールはその記憶を失くしてしまったと思っていたが、それは間違いだった。

 同じ顔、同じ名前でも彼らは全くの別人。

 もう自分達の知るジェラールとは会えないと思い込んでいた分、その衝撃は凄まじい。

 

「じゃあ……あなたが僕達を助けてくれた……?」

 

 震える声で問いかけるテューズにミストガンが頷いて肯定を返すと、テューズは気の抜けたように座り込み、ウェンディは目に大粒の涙を浮かべた。

 

「ずっと……ずっと会いたかったんだよ……」

「会いにいけなくて、すまなかった」

 

 嗚咽を漏らしながら涙を拭うウェンディとテューズ。再会を嬉しく思うのはミストガンとて同じだが、残念な事にそれどころではない状況。その表情は険しいものに変わった。

 

「今は再会を喜ぶ時間はない。今すぐこの街を離れるんだ」

 

 そう告げたミストガンは、傷を負っていたのか顔を歪めて膝をつく。心配する二人を手で制すると、彼は悔しそうに唇を噛んだ。

 

「私の任務は失敗した……大きくなりすぎたアニマは、もはや私一人の力では抑えられない……間もなく、マグノリアは消滅する……!」

 

 空を睨むミストガンの言葉によって再会の喜びは吹き飛び、テューズ達は言葉を失った。

 この街が消滅する。到底信じられない話ではあるが、他でもないミストガン(ジェラール)の言葉だ。とても冗談とは思えない。

 しかし、そんな規模の話をはいそうですかと飲み込めるほど彼らは大人ではなかった。

 

「ど、どういうこと……? 全然意味分かんない……」

「消滅なんてそんな……本当なの?」

 

 どうか間違いであって欲しい。

 寒さからか、将又恐怖からか。体を震わせた二人の切実な願いは、いともたやすく絶たれてしまう。

 

「終わるんだ……消滅は既に確定している」

 

 はっきりと宣告され、その場に立ち尽くすウェンディ達にミストガンはせめて君達だけでも逃げて欲しいと懇願する。

 だが、それは2人には届かなかった。

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル )は……!? ギルドのみんなはどうなるの!?」

「そうだよ! まだギルドにはみんなが──」

「全員……死ぬということだ……」

 

 諦めたように俯き、首を横に振ったミストガンはそう告げた。

 その答えを聞き、拳を握りしめた2人は踵を返してミストガンに背を向け、ギルドへと駆け出していく。

 

「みんなに知らせなきゃ!」

「よすんだ! もう時間がない! せめて、せめて君達だけでも──」

「──絶対嫌だ!!」

 

 悲痛な声を上げ、腕を伸ばしたミストガンは目を見開いた。

 振り返った2人の目には、彼の知っていた2人からは想像も出来ない強い意志が篭っている。

 

「このギルドに来て日は浅いけど、みんな大切な仲間なの!」

「仲間を見捨てるなんて死んでも嫌だ! 僕達だけ逃げるなんてあり得ない!」

 

 真っ直ぐな瞳に射抜かれ、ミストガンは言葉を発することが出来なかった。

 彼の中にいる2人はまだ幼く、泣き虫で、気が弱くて、誰かがついてあげなければならなくて。

 だが現実はどうだ。遠くなっていく2つの背中は、暫く見ない間にあんなにも大きくなった。

 あの2人が諦めないというのなら、自分もまた足掻こうではないか。

 小さく笑い、体に鞭を打って立ち上がったミストガンは2人とは反対方向へ歩き出す。

 

「ちょっとアンタ、どこいくつもり!?」

「二人を置いて逃げるつもりですか!?」

「違う。私は私に出来る限りのことをしてみる。妖精の尻尾(フェアリーテイル )の魔導士として」

 

 再び布を装着して顔を隠したミストガンは、シャルル達に2人を頼むと言い残して立ち去った。

 取り残されたシャルルとフィールは互いに顔を見合わせる。

 

「シャルル、もしかしてこれは私達のせいなんじゃ……」

「……だとしても、やる事は変わらないわ。私はウェンディ達を守る!」

 

 

 

 

 水飛沫を立てながら必死にギルドへ走る2人。その最中、何かに躓いたウェンディが転んでしまいテューズの足も止まる。

 

「私はいいから! みんなを!」

「ッ! 分かった!」

 

 頷いて走り出したテューズの姿を確認し、立ち上がろうとしたウェンディの瞳に異常な光景が飛び込んできた。

 水溜りに写る空模様。信じがたい光景に思わず上を見上げるが、自分の目で見ても異常な空は変わらない。

 

「なに……あれ……」

 

 空を覆う雲が渦を巻いて一つの大きな穴を作り出し、穴の先は闇に包まれていてどうなっているのかも分からない。

 その光景に胸騒ぎを覚えた刹那、穴の先で何かが光った。

 ミストガンの言う消滅まであと僅かだと悟り、ウェンディは目一杯の力で地面を蹴りギルドへと急ぐ。

 一方で、テューズもまた異常な空に気付いていた。折角ギルドに辿り着いたというのに、テューズはギルドの前で石のように固まってしまった。

 

「あれは……まずい! みんな!」

 

 本能的にあれが危険であると理解し、ギルドにいる仲間へ危険を知らせようと叫びを上げる。

 しかし、その声は突如発生した大きな風切り音に掻き消されてしまった。

 次の瞬間、テューズの視界が歪んだ。否、テューズの目の前にある、ギルドそのものが歪んだ。咄嗟に自分の手を見てみると、自分の手もギルド同様に歪んでいた。

 

「ぁ……あぁ……!」

 

 心臓の鼓動が早くなる。自分の体さえも歪んでしまっているという現実を目の当たりにして、正常な呼吸を保てない。

 先程まで耳朶を震わせていた風切り音は頭に入ってこず、代わりに荒い呼吸音が世界を支配した。初めて直面した死というものはとても恐ろしく、頭が真っ白になる。

 その時、頭の中に一つの声が響いてきた。

 

「テューズ!!」

 

 自身を呼ぶ声に振り返ると、そこに居たのは顔を真っ青に染めたウェンディ。

 バランスを崩しながらも必死に走り、手を伸ばしているウェンディにテューズもまた手を伸ばす。しかし、あと少しで届きそうという時に、テューズは謎の光に包まれた。

 構わず光に伸ばしたウェンディの手は何かに弾かれ、体もろとも吹き飛ばされる。

 尻餅をついたウェンディが目にしたのは、竜巻のようにして空の穴に吸い込まれるマグノリアだった。

 

「……うそ」

 

 次の瞬間には、目の前の光景は真っ白な平原に変わっていた。

 街など最初から無かったかのように、痕跡は何一つとして残されていない。

 マグノリアはミストガンの言葉通り、完全に消滅したのだ。

 

「……テューズ?」

 

 状況を理解出来ないウェンディがとった行動は、目の前で消えた少年を探す事。

 譫言のように少年の名を口にしながら、ウェンディは辺りを見回す。だが、幾ら探した所で真っ白な世界が広がっているだけだった。

 

「嫌……そんな……」

 

 幼い頃から共に過ごしてきた、兄弟のような少年が目の前で死んだ。

 受け入れられない現実にウェンディはその場にへたり込み、頬を伝う涙は真っ白な地面に吸い込まれる。

 

「何で……何で私だけここにいるの……? テューズも、街も、みんな消えちゃったのに……何で私だけ……!」

 

 震える手を見つめるウェンディには涙を拭う気力すら無く、心は完全に折られてしまった。

 そんな時、絶望する少女の前で地面が音を立てて盛り上がった。

 恐怖に染まるウェンディが後退りすると、盛り上がった地面に罅が入り、そこからは桜色の髪を覗かせる。

 

「ぷはっ!? な、何だぁ?」

「ナツ……さん?」

 

 地面から顔を出したナツは突然の出来事に訳がわからず頭に疑問符を浮かべていた。

 

「ウェンディ……? あれ? ここ何処だ?」

 

 キョロキョロと周囲を見渡すナツの疑問は当然のものだろう。

 普通、この平原を見てここがマグノリアだとは思わない。街が消滅したなんてことより、何らかの魔法で知らない場所に転移されたと考えた方が余程現実的だった。

 

「何も……憶えてないんですか?」

「寝てたからな」

「ここ、ギルドですよ?」

「……はぁ?」

 

 地面を抉り、埋まっていた下半身を抜き出したナツはウェンディに怪訝な面持ちを向ける。

 この何もない場所がギルドなど、ウェンディは頭でも打ったのではないかとさえ思ってしまう。

 

「突然空に穴が空いて、ギルドも街もみんな吸い込まれちゃったんです! テューズまで消えちゃって、残ったのは私達だけで……!」

「ウェンディ、どっかに頭ぶつけた? エライこっちゃ……」

 

 心配そうに頭を撫でるナツの手を振り払い、ウェンディは本当なのだと切に訴える。

 だが、空に現れた穴に街ごと吸い込まれたなど、ナツには妄言としか思えなかった。

 今まで数多くの仕事をこなし、数えきれない程の魔法を見聞きしてきた。だがしかし、街一つを吸い込む魔法なんてものは見たことも聞いたこともない。

 故に、到底信じられる話では無かった。

 

「でも、何で私達だけ……」

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)の持つ、特殊な魔力のお陰でしょうね」

 

 誰に問うわけでもなく呟かれたウェンディの疑問。それに答える声などないと思っていたが、予想外に聞き慣れた声が返ってきた。

 思わず声のした方を向くと、翼を広げたシャルルとフィールの姿がそこにはあった。

 

「よかったわ。あなた達だけでも無事で」

 

 その言葉とは裏腹に、シャルルは少しも安堵した様子はない。そんな彼女の見つめる先では、ウェンディが涙しながら首を横に振っていた。

 

「違うの……テューズが、一緒に消えちゃって……ごめん、ごめんなさいフィール……私が、もっとちゃんとしていれば……!」

「……いえ、ギルドにいたナツも無事だったんです。恐らくテューズも無事なはず。匂いで探る事は出来ますか?」

 

 やってみると小さな声で返し、嗚咽しながらウェンディは周囲の匂いを探る。しかし、嗅げども嗅げどもテューズの匂いなどせず、目からは涙が溢れてくる。

 

「ダメ……わかんないよ……」

「……いや、微かに匂うぞ」

 

 そう言ってナツは体勢を低くし、犬のように地面すれすれに鼻を近づけて匂いを嗅ぐ。

 微かな匂いを辿って行き、一番匂いの強い場所に辿り着くとナツは手に炎を纏った。

 

「ここだァ!!」

 

 炎を纏った拳を地面に叩きつけ、ナツは地面に罅を入れる。そのまま地面に突っ込まれた手で何かを掴むと、勢いよくそれを引き摺り出した。

 そうして地面から現れたのは、未だ気を失っているテューズの姿だった。

 

「ホントに……生きてた……!」

 

 両手で口を覆うウェンディの横で、実は内心気が気ではなかったフィールは安堵の息を漏らす。

 テューズの下へ移動し、フィールは優しくテューズの頬を叩いた。

 

「テューズ、起きてください」

「ん……ぅ……」

 

 薄らと目を開いたテューズはまだボーとしているらしく、何度か瞬きを繰り返すと空に向かって手を伸ばす。

 

「あれ……? 僕、たしか……天国?」

「バカ言わないでください。貴方はちゃんと生きてますよ」

「え? フィール?」

 

 テューズの間抜けな表情に気が抜けそうになったが、気を持ち直して状況を理解出来ていないであろうテューズに説明をする。

 

「残念ですが、マグノリアは文字通り消滅しました。残ったのは私達と貴方達滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だけです」

「ほ、本当に……消滅したんだ……」

「ちょっと待て! 本当に消えちまったのか!?」

「まだ信じてなかったの? 残念だけど、街は消えたわ」

 

 シャルル達からもそう言われ、ナツは口を大きく開けたまま愕然とした。数瞬を置いて我に返り、ナツは大声を出してみんなの事を探し出す。

 

「無駄ですよ。私達以外の魔力を持つ人間は、アニマに吸い込まれて消滅しています」

「アニマ?」

「さっきの空の穴のことよ。あれは向こう側の世界、"エドラス"への門」

「お前らさっきから何言ってるんだよ! みんなはどこだよ!?」

「ナツさん落ち着いて!」

 

 淡々と仲間が消滅したなどと語るシャルル達に苛立ちを覚え、声を荒げ今にも2人に手を出しそうなナツをウェンディとテューズが必死に宥める。

 しかしテューズ達も思うところがあるらしく、シャルル達は何を知っているのか、何故無事だったのかと疑問を呈した。

 その時、大慌てで翼をはためかせるハッピーが飛来してきた。

 

「ナツゥ! なにこれ!? 街がぁぁ!?」

 

 混乱するハッピーを一瞥すると、シャルルは険しい表情で口を開いた。

 

「私達は向こう側の世界"エドラス"から来たの。そこのオスネコもね」

「え?」

 

 突然そんな事を告白され、ハッピーは茫然とする。自分が本来は異世界の住人なのだと知らされて、驚かない者などいないだろう。

 驚いているのはテューズ達も同じこと。一体どういう事なのかと尋ねると、フィールの表情は苦しげなものに変わった。

 

「……この街が消えたのは、私達のせいって事です」




 長かった……7000字近くから14000字へ修正。もう加筆修正というより0からの書き直しです……
 閑話休題、読むのが怠くなってしまうのを避けるために頻度多めで改行を多用していますが、かえって読みにくいということになってませんかね? 
 なんの支障もないようならこのままこのやり方で続けていきます。

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