城下町のダンデライオン 平行世界の弟   作:最弱氏

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大晦日!『世論調査』

12月最終日はみなさん何か知っていますか?

……そう。大晦日ですね。

皆様を、もう年を越す準備は出来ていますか?

それと、しつもんなんですが、皆様は大晦日に観るテレビ番組は何ですか?

 

……え?紅○歌合戦?

……え?ガ○使

 

違うんだよね。それが、こっちの大晦日の特番はこれ、

 

『櫻田家!チキチキ年末世論調査会!!』

 

この番組が年越しには、欠かせないそうだ。

俺にはさっぱり、意味がわからない。

 

『王家のごきょうだいの中から次期国王を決める選挙に先駆け、今宵、全国民回答による世論調査を開催いたします!』

 

この番組なんて、俺たちが国王を決める選挙になった瞬間に始まった番組だ。しかも、放送が大晦日ということで、これを観なかったら年は越せないって、いう奴も現れて今の状態になる訳だ。

 

「実質、本番の国王選挙みたいなものだよね?」

 

岬はそういった。

 

「あくまで現段階での順位よ。これで王様が決まったらおかし……」

 

奏が岬にそういっていると、

 

「…れ…がれ……下がれ…」

 

こたつから何か呪文を唱えている人の声が聞こえているんだが……

 

『それでは、早速順位を発表して参りたいと思います!」

 

「順位下がれ順位下がれ順位下がれ順位下がれ…」

 

そんなことを唱えている人物は、俺の双子の姉ーー茜だ。

 

「茜、ちょっと黙ってろ」

 

達樹は茜にそういった。

 

「無理だよ!たっくん!私、ベスト3常連だよ!私にとって、重大発表なのー!」

 

茜は達樹に必死にいった。

 

「知るかよ…」

 

「そんなに王様になりたくないの?」

 

岬が茜にいう。

 

「案外ビリかもよ〜」

 

光がにっこり笑っていった。

 

「「いや、ビリは修ちゃん/修にぃで確定だから。それはない」」

 

茜と達樹は、はっきりいっていいほどにいった。

 

「おい、こら」

 

修は二人にいった。

 

『まずは、第10位から!』

 

司会者がそういった。

 

『第10位!1億5千万票中、382万票、第三王女ーー茜様です!」

 

「えっ!?うそ!?やったあ!!」

 

茜は大喜びし、

 

「おおみそかー!!」

 

そう叫んだ。

 

((((((((ビリなのにめっちゃ喜んでる))))))))

 

八人兄妹は心の中でそう思った。

 

「つか、なんだ。その掛け声は……」

 

達樹は茜の掛け声にツッコミを入れた。

 

「へぇ、意外ね」

 

すると葵が年越しそばをトレイに乗せ持ってやってきた。

 

葵の左手の薬指には、指輪がはめてあった。

シルバーリングのシンプルな指輪だった。

葵は、達樹を見て、にっこりと微笑んだ。

達樹も微笑むのであった。

 

「本当に葵姉さんと達樹が婚約するなんてね。……兄妹なのに」

 

奏はそういった。

 

そう、達樹と葵は婚約しているのだ。誕生日の時に告白して、誕生日パーティーの時に婚約指輪渡したんだ。え?恋人になって、すぐに婚約っておかしいだろだって、いいじゃん俺は、これはこれで満足だよ。

えっ?兄妹で、結婚は無理だろうだと? 近親相愛だと!?

バカヤロウ!それがどうした!?そんなもん関係ねぇよ!俺は葵を愛するって決めてんだよ。

 

「いいんだよ、奏姉さん。俺が決めたことだから」

 

達樹はそういった。

 

「ふふふっ、達樹のそういうとこ大好きだよ❤︎」

 

葵は達樹の隣に座り、首を達樹の肩に預けた。

 

『第9位!391万票、第一王子ーー修様!」

 

「修ちゃんは相変わらずだね」

 

「岬、それは違う。今回は茜より上だ」

 

修はそういった。

 

「票数はそんなに変わらないじゃん!」

 

茜は修にそういった。

 

「なんだと!?」

 

ギャーギャー

 

「やだわぁ、底辺のみにくい争いって。栞、聞いたらダメよ」

 

奏は、そういうと栞の耳を塞いだ。

 

「この様子だと次は光かしら?」

 

奏はいたずらそうな笑みでいった。

 

「年下の輝と栞より順位が下なわけないじゃん」

 

光は余裕のある笑みでいった。

 

「じゃあ、8位は栞かな?」

 

「くふふっ、岬ちゃんかもよ?」

 

光はにししっと笑う。

 

『第8位!512万票、第五王女ーー光様!」

 

「……………」

 

 

「無言だな」

 

「そ、そうだね」

 

達樹と葵はそういった。

 

『第7位!643万票、第四王子ーー輝様!」

 

「妹の栞より下なんて兄としての威厳が……」

 

輝は涙を流していた。

 

「輝、お前はこの兄を超えたんだ。誇りを持て」

 

「兄上!!」

 

修は、輝にそういった。

 

「修ちゃんの威厳はいいの?」

 

岬がジッーとした目でいった。

 

「俺は…………茜より上だから俺の威厳は保たれる」

 

修は、間を置きそういった。

 

「しつこいよ!それに、さっきの間はなに!」

 

『第6位!705万票、第六王女ーー栞様」

 

「栞、頑張ったわね〜」

 

「く、くすぐったい。奏お姉さま」

 

「栞選手、ご感想を」

 

修は、マイクを持つ真似をし栞にインタビューした。

 

「た、たまたまなの……」

 

栞は恥ずかしいのか、小さい声でいった。

 

「だそうですが、光選手」

 

修は、項垂れている光にインタビューした。

 

「……」

 

無言。

 

「で、でも光。私より上だよー」

 

茜は光を元気づけるが、

 

「ビリの人に褒められてもー!!」

 

グサッ!

 

光は泣きながらいった。

 

茜は言葉の矢を受けた。

 

『第5位!1728万票、第四王女ーー岬様!」

 

「遥に負けたー!?」

 

岬は目に涙をためていった。

 

『第4位!1867万票、第三王子ーー遥様!」

 

「まー、そうだうね。って、岬!なんで泣いてんだよ!?」

 

「泣いてないもん!?」

 

『第3位!2541万票、第二王女ーー奏様!」

 

「これは、わかってた」

 

「俺もだ」

 

「あんたら、殴るわよ?」

 

『第2位!2793万票、第二王子ーー達樹様!」

 

「ん?俺か、そんなに人気なのか?」

 

「ふふふっ、それだけ人気があるってことだよ……本当に」

 

「そうかな?あと、なんか怖いよ?」

 

「そんなことはないけど、もし浮気したら……ね?わかってる?」

 

「は、はい」

 

葵は濁った目で達樹にいい、達樹は返事をした。

 

『第1位!3018万票、第一王女ーー葵様!」

 

「まー、こうなるだろうな」

 

「わかってた?」

 

「わかってたよ。葵のことは、だいたいわかる」

 

「じゃあ、私が今、なにを考えているかわかる?」

 

「わかるよ。これだろ?」

 

「んっ……」ちゅ

 

「イチャイチャしないでくださいー」

 

『うんうん』

 

「うるさいな〜」

 

達樹は耳を抑えた。

 

「ん?トータルで約1億5千万のはずよね?今の合計だと無投票で、3千万以上あるけど……」

 

奏がそういった時、

 

『申し訳ございません!先に発表いたしました茜様の投票数ですが、一桁間違えていた模様で、正式な投票は、3820万票となりよって』

 

どうやら、茜の投票数が間違っていたようだ。

 

「えっ……?」

 

茜はポカーンと口を開けた。

 

『1位は茜様ということになります!おめでとうございいます!!』

 

 

 

「イヤァァァアァァァアー!!!!」

 

茜の絶叫の声が櫻田家に響き渡った。

 


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