ハリーポッターと機関銃   作:グリボーバルシステム

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感想誤字報告ありがとうございます!
いよいよ神秘部の戦いです。
原作キャラ死亡注意です。


case84 Deathfight! vs Death Eaters 〜死闘!vs死喰い人〜

幸いにも元センチュリオンの隊員に追いつかれる事無く、エスペランサはハリー達と合流し、セストラルに乗る事が出来た。

 

無事にロンドンに着いた一行は魔法省に入る。

魔法省の入門方法が電話ボックスだった事にも驚いたが、予想よりも簡単に魔法省に入れた事の方にエスペランサは驚いた。

 

これではヴォルデモートも死喰い人も入りたい放題だろう。

エスペランサ達は特に咎められる事もなく魔法省内部の神秘部のある階まで来れてしまったのだ。

 

神秘部の入り口でエスペランサはネビルに待機するように命じた。

 

「ネビル。お前はここに残れ」

 

「どうして!?僕も行くよ!」

 

ネビルは憤慨する。

 

「俺が何故、センチュリオンを2つの分隊にわけて編成してたか分かるか?」

 

「支援部隊の確保、柔軟な任務への対応、それから……片方が全滅した時の予備戦力の確保」

 

「そう言う事だ。神秘部でもし仮にヴォルデモートと戦闘がはじまった場合、俺達は壊滅する可能性がある。その時に応援を呼べる要員を確保しなくてはならない。それに、敵はまさか予備の戦力を俺達が確保しているとは思わないだろう。不意を突くことも可能だ」

 

「そういうことなら……わかった。じゃあ、これは君が持っていってくれ」

 

ネビルは持っていた破片手榴弾2つをエスペランサに渡した。

 

「助かる。もし、1時間経っても俺達が戻らなかったら闇祓い局に行って応援を呼べ。恐らくキングズリーなら相手にしてくれるはずだろう」

 

「了解」

 

エスペランサ達はネビルを入り口に残し、神秘部に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神秘部はその名の通り、神秘に満ち溢れた部屋が多く存在する部門だった。

 

何の為に存在するか見当もつかない部屋。

不気味なものが格納されている部屋。

エスペランサとネビル、それからハリー以外のダンブルドア軍団は多かれ少なかれ怯えている。

 

ロンは少しの物音にも慌てて杖を構えたし、ハーマイオニーは周囲を警戒しようとしていたが、その範囲が広すぎて逆に効率が悪い。

 

エスペランサはいつ敵に襲われても良いようにハリー達にフォーメーションを組ませた。

ハリー達はそれぞれバラバラに神秘部の通路を歩いていたのだが、その動きは当たり前だが素人である。

攻撃を受ければあっという間に全滅するだろう。

 

エスペランサはハリーを先頭にした菱形隊形を組ませることにした。

建物の内部で部屋から部屋へと移動する際には、菱形の隊形で移動するのが効果的だ。

この隊形ならば、狭い通路でも隊員は有効な射撃が可能であり、同士撃ちも避けられる。

 

前方をハリーが警戒、右側をジニー、後方をハーマイオニー、左側をルーナが警戒する。

こうすることで、一人一人の警戒範囲を限定する事が出来た。

また、360度全方位を警戒する事もできる。

 

ロンとエスペランサは互いに背を向けあいながら、ハリー達の後方5メートルを歩く。

 

こうする事で敵は的を一つに絞る事が出来なくなる。

また、ハリー達が攻撃されてもエスペランサ達が反撃する事が可能な訳だ。

 

各部屋にエントリーする際も、クロスフックというエントリー法を徹底させ、通路を横切る際も必ず支援射撃が可能な移動をさせた。

 

神秘部のどこに敵が潜んでいるか分からない現状では警戒を怠る事は出来ない。

 

無数の脳みそが格納された部屋や、不気味で巨大なアーチのある部屋を抜け、ついにハリーの夢に出て来たと思われる部屋にたどり着く。

 

「ここだ!間違いない!」

 

高い天井に、無数に置かれたそそり立つ棚以外には何もない部屋だ。

棚には小さな埃っぽいガラスの球がびっしりと置かれている。

おそらく水晶玉だろう。

間隔を開けて置かれた青く燃える蝋燭で通路は薄暗く照らされている。

 

「暗いな。それに棚がこう多いと待ち伏せに気付きにくい。ブービートラップも仕掛けやすい部屋だ」

 

暗視スコープを持ってこなかったことを悔やみつつ、エスペランサが言う。

 

「97列目の棚だ。そこでシリウスは捕まってる。皆、気をつけて!」

 

「97列目ね。ルーモス・光よ」

 

ジニーが杖で棚を照らす。

棚には列の番号が記されていた。

 

「53列目ね。こっちは54列目。だとすると97列目は向こうになるわ」

 

エスペランサは既に安全装置を外していたM733を97列目の方向へ向ける。

部屋の奥は不気味なまでに静かで、誰かが拷問されている気配など微塵もない。

 

一行は80列目を過ぎ、やがて90列目に到達する。

 

「この辺だ。この近くでシリウスは襲われていた」

 

「見たところ、誰もいないけれど……」

 

「そんな筈はない……ここで僕は見た…」

 

焦燥するハリーにロンが声をかけた。

 

「ねえ、ハリー。これを見て。ここ」

 

「何だい?こんな時に」

 

「いや、この水晶玉。君の名前が書いてあるんだ。ほら、ここ」

 

ロンが指さす棚には一つの水晶玉が置かれていた。

その水晶玉の下には古びたラベルが貼られている。

 

そして、そのラベルには「S.P.TからA.P.W.B.Dへ。闇の帝王そしてハリーポッター」と書かれていた。

 

「何だこれ?予言か何かか?」

 

エスペランサは他の水晶玉を一つ手に取ってみた。

その水晶玉には『S.P.TからA.P.W.B.Dへ。魔法界に変革と混乱をもたらす者』と書かれている。

 

「エスペランサ。勝手に触っちゃダメよ」

 

「別に水晶玉くらい触っても大丈夫だろ!?」

 

『闇の帝王の復活と共に更なる闇がこの世を覆う。災いを引き起こす源は我々とは相違する英知とそれをもたらす者にある。しかし、引き起こすのは災いのみならず。闇を払う力も同時に教示する存在と彼はなるであろう』

 

エスペランサが手に持つ水晶玉が一人でに喋り始める。

霧の彼方から聞こえるようなその声に彼は聞き覚えがあった。

 

「びっくりしたー」

 

「どうやら予言で間違いないようね。ハリーの名前が書かれた予言は何の予言なのかしら?」

 

ジニーが興味津々といった顔で水晶玉を見る。

ハリーは自分の名前が書かれた予言に手を伸ばし、そして、手に取った。

 

 

「よくやったぞ、ポッター。さあ、こっちを向きたまえ。そしてそれを私に渡すのだ」

 

 

ハリーが水晶玉を手に取った瞬間、背後からルシウス・マルフォイの声が聞こえた。

 

反射的にエスペランサは回れ右をして声のした方へM733の銃口を向けた。

 

「ルシウス・マルフォイか!」

 

黒いローブに身を包み、ハリーに杖を向けたルシウス・マルフォイがそこに居た。

ルシウス・マルフォイだけでは無い。

どこからともなく周り中に黒い人影が現れ、エスペランサたちの退路を完全に断った。

 

フードの裂け目から目をギラつかせ、十数本の光る杖先が、エスペランサ達に向けられる。

 

銃口をルシウスに向けながら、エスペランサは瞬時に敵の数を把握する。

 

「15人…か」

 

恐らく目眩しの呪文か何かで隠れていたのだろう。

 

ハーマイオニーもロンも皆、恐怖に顔が引き攣っていた。

 

「それをこっちに渡すんだ。ポッター」

 

ルシウスがハリーに催促するが、ハリーは水晶玉を渡そうとしない。

 

エスペランサはここでヴォルデモートの狙いがようやく分かった。

どうやら、予言の隠された水晶玉は予言の当事者でないと扱う事が出来ないらしい。

 

ヴォルデモートは何故かは知らないが、この97列目に存在したハリーに関する予言を手に入れる必要があったのだろう。

しかし、予言を手に入れるには前述の通り、ハリーも必要。

故にハリーを神秘部に誘い出すための罠を仕掛けたのだ。

 

であるならば、エスペランサが触った水晶玉の予言はエスペランサに関わるものだったのだろうか。

彼はふと疑問に思ったが、今はそんな事を考えている暇は無いと思い、思考を戻した。

 

「シリウスはどこにいるんだ!?お前たちが捕まえているんだろ?これが欲しければシリウスを解放しろ」

 

ハリーの問いかけに死喰い人達が笑いはじめる。

 

「ハリー。シリウス・ブラックはここに居ない。これは罠だったんだ。お前にその予言の入った水晶玉を取らせるためのな」

 

「おやおや。お馬鹿なポッター坊やと違って、そっちの短髪坊主は賢いじゃないか」

 

ゾッとする程の猫撫で声だった。

声の主はルシウスの後ろで杖を構える魔女だ。

ボサボサの髪とサディストの本性を具現化したような目。

顔立ちだけは整っている。

 

「ベラトリックス・レストレンジか」

 

「あら?私の事を知っているようだねえ。で、あんた誰だい?」

 

「エスペランサ・ルックウッドだ」

 

エスペランサが名乗った瞬間、ベラトリックスのさらに奥にいるフードを被った死喰い人がピクリと反応した。

 

「へええ。お前がアエーシェマの言っていたルックウッドかい」

 

「ベラトリックスは少し黙っていろ。時間が惜しい。お話は後だ。ポッター、はやく予言を渡せ。渡せば誰も傷つけん」

 

「ルシウスのやり方は回りくどいんだ。そこの一番小さい小娘を拷問するのを、ポッターに見せれば、こいつも直ぐに予言を渡すだろう」

 

ベラトリックスが舌舐めずりをしながら杖をジニーに向けた。

 

「僕たちの誰かを襲えば、これを壊すぞ?」

 

ハリーは水晶玉を掲げてベラトリックスに言う。

 

「小僧!」

 

「お前達はヴォルデモートにこの予言を持ってこいって言われてるんだろ?手ぶらで帰れば制裁されるんじゃないのか」

 

「あのお方の名を口にするか!?」

 

ベラトリックスが怒りを剥き出しにする。

 

「汚らわしい唇で、あの方の名前を口にするな。混血の分際で!」

 

「ヴォルデモートも混血だ。知らなかったのか?」

 

ハリーがベラトリックスを挑発する。

他の死喰い人もこの二人のやり取りに完全に気を取られていた。

 

「こいつめ!クルーシ…」

 

「やめろ!ベラトリックス!予言を壊されたら元も子もない」

 

ルシウスとベラトリックスが言い争うこの一瞬の隙にハリーはエスペランサに「棚を破壊してくれ」と指示を出した。

それを聞いたエスペランサは小声でハーマイオニー達に同じ指示をする。

全員に指示が行き渡ったことを察したハリーが号令をかけた。

 

「よし!今だ!やれ!」

 

「「「「 レダクト・粉々!」」」」

 

ハリー達が一斉に呪文を唱える。

粉々呪文は四方八方の棚に直撃し、無数に置かれていた水晶玉が片っ端から破裂した。

 

降り注ぐガラス片から身を守ることに専念した死喰い人達はハリー達が逃げる隙を生んでしまう。

 

「走れ走れ!逃げろ!」

 

ハリーが叫ぶのが聞こえる。

 

しかし、エスペランサは粉々呪文の当たっていない無傷な棚の裏に入り、そこから混乱状態にある死喰い人に攻撃をしかけた。

 

リズミカルにM733の引き金を引く。

発射された2発の5.56ミリ弾は一番近くにいた2名の死喰い人の頭に命中した。

 

悲鳴も上げずに死喰い人は血飛沫を上げて倒れ込む。

 

「あそこだ!棚の裏だ!ラバスタンがやられた!」

 

既に絶命した死喰い人に駆け寄ったルシウスがエスペランサを指差して叫ぶ。

死喰い人側としても戦闘開始直後に2名の仲間が殺されるとは思っていなかったようで、混乱が広がっていた。

 

「ぶっ殺してやる!そこか!」

 

義弟のラバスタンを殺された怒りで顔を真っ赤にしたベラトリックスがエスペランサの隠れる棚を丸ごと吹き飛ばした。

だが、エスペランサは既にその棚の裏から退避していたため、攻撃は不発に終わる。

 

「ルックウッドは後回しだ。まずはポッターを追え!予言を確保するんだ!」

 

ルシウスの指示で死喰い達は棚の間を駆け抜け、ハリー達を追う。

ワルデン・マクネアもその一人だった。

 

魔法省危険動物処理委員会の死刑執行人であるマクネアはハグリッドのバックビークを処刑しようとした男だ。

彼は魔法生物を惨殺することだけでなく、殺人にも快楽を覚える狂人である。

 

今回もハリー達ホグワーツの生徒を殺害出来る良い機会だと思い、積極的に作戦に参加していた。

彼は杖ではなく、刃物での殺しを好む。

それゆえに左手で杖を持ち、右手には魔法生物殺害用の斧を持っていた。

 

マクネアは獲物を狙う狩人の如く、棚と棚に挟まれた狭い通路を走る。

が、そんな彼にエスペランサが襲いかかった。

 

棚の裏に隠れていたエスペランサは暗殺者の如く、走ってきたマクネアの首に手を回し、口を塞ぐ。

そして、他の死喰い人に勘づかれないように通路の奥へ引き摺り込んだ。

 

「ぐっ!き、貴様ぁ」

 

マクネアはもがいたが、エスペランサの力は想像以上に強かった。

回された腕は確実に首を締め付け、呼吸が出来なくなる。

足をばたつかせようとしたが、その瞬間に股間を蹴り上げられ、意識が飛びそうになる。

 

体格に自信のあるマクネアは自分より遥かに小柄な子供に拘束されている今の状況が理解出来ないでいた。

 

そして、ふと自分の首筋に刃物があてられていることに気付く。

その刃物はマクネアが見たこともないようなナイフだった。

 

「な、何を……」

 

「………」

 

完全に怯えあがったマクネアは自分の首を締め付け、ナイフを突き立てているエスペランサを見る。

エスペランサは何も言葉を発しない。

殺意の篭もった目でこちらを睨んでいるだけだ。

 

「い、嫌だ。た、助け……」

 

首が締まる中、必死で命乞いをしたマクネアだったが、エスペランサは容赦なく彼の頸動脈をサバイバルナイフで切り裂いた。

 

 

部隊行動もせず、バラバラに行動した死喰い人達はエスペランサに次々と殺されていく。

ホグワーツの生徒に人が殺せる訳がない。

数の面でも、魔力の面でも圧倒的に死喰い人が優位だ。

そうたかを括っていたルシウスはここではじめて恐怖を覚える。

 

間違いない。

 

エスペランサ・ルックウッドは死喰い人よりも遥かに多くの戦場を経験し、そして、人を殺してきたに違いない。

 

彼にとって、死喰い人を各個撃破するのは容易いに違いない。

 

「バラバラになるな!2人以上で行動しろ!」

 

ルシウスは叫んだが、その言葉に従う死喰い人はいない。

彼らは所詮、闇の魔術任せの荒くれ者でしかなく、軍人では無い。

戦闘に関していえば素人だったのだ。




少し短いですが、今回はここまでです。
原作キャラは敵側のみ死亡ということで

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