ハリーポッターと機関銃   作:グリボーバルシステム

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投稿遅れました!
転勤したのでまた更新速度が落ちるのと、携帯から執筆アンド投稿なのでおかしなところが発生してるかもしれません。

感想などありがとうございます。
皆さん、コロナには気をつけて下さい!


case51 4th player 〜4人目の選手〜

ホグワーツ生で炎のゴブレットに自分の名前を書いた羊皮紙を投入した学生は数えるほどしかいない。

ダームストラングとボーバトンの生徒は元々、選抜メンバーが来ていたこともあって、全員が羊皮紙をゴブレットに投入していた。

 

エスペランサの知る限りホグワーツ生で投入した学生はセドリックを含めても10名足らず。

その内、付与されるであろう課題をクリアできる技能を持つ者はセドリックくらいなものだ。

グリフィンドールからはクィデッチの選手であるアンジェリーナ・ジョンソンがエントリーしていたが、センチュリオンで死戦を潜り抜け、日々、訓練に励むセドリックには劣る。

 

フレッドとジョージは老け薬を使用して、ゴブレットの前に引かれた年齢線を突破しようと試みたが、これは敢えなく失敗した。

老け薬はメジャーな薬であるから、対策されていて当然だろう。

 

このような経緯から、エスペランサをはじめとしたセンチュリオンの面々はセドリックの選抜を信じて疑っていなかった。

 

ただ、センチュリオンでのセドリックの活躍を知る由もないハリーたちはそうでもないようで、専らグリフィンドールから選抜メンバーが出ることを期待している。

昨年のクィデッチでセドリックにハリーが敗北したこともあり、ロンを含めた大勢のグリフィンドール生はセドリックを快く思っていない。

恐らく、そのうちの6割以上はイケメンで優秀なセドリックに嫉妬しているのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

闇の魔術に対する防衛術の授業は服従の呪文に対する免疫を高めるというエスペランサ好みの実践的な授業になった。

 

「インペリオ 服従せよ」

 

ムーディが呪文を唱える。

ほとんどの生徒が服従の呪文の効果で奇妙な行動を起こすが、何名かの生徒は抵抗することに成功した。

 

ハリー、ネビル、そしてエスペランサ。

 

エスペランサとネビルは日頃から精神的に鍛えているため、服従の呪文に対して抗うことが割と容易であった。

 

「上出来だ。このクラスは3人もの生徒が服従の呪文に抵抗した」

 

ムーディは殺風景な教室を回りながら褒める。

 

「もっとお前たちはヤワだと思っていたが、何名か根性のある生徒もいるのだな。他のクラスでも、ポッターやルックウッド並ではないが、服従の呪文に免疫のある奴らがいた」

 

それを聞いたエスペランサとネビルは目を見合わせる。

それらの学生はほとんどがセンチュリオンの隊員だった。

 

「だが、まだ完璧に抵抗できているわけではない。お前たちが相手にするであろう連中の呪文の威力は今かけた呪文の比では無いくらい出力が高いからだ。闇の魔術を駆使する敵を相手にした場合、どのような戦い方が理想か、誰か答えられる者はいるか?」

 

ムーディが質問をする。

当然のごとくハーマイオニーが手を挙げていた。

 

「グレンジャーか。答えてみろ」

 

「はい。強力な防衛呪文か逆呪いです」

 

「なるほど。教科書通りの回答だ。しかし、それでは役に立たん。何せ、闇の魔術には逆呪いは存在せんし、禁じられた呪文に盾の呪文は効果がない。ルックウッド。お前ならどうする?」

 

急に聞かれたが、エスペランサは答えを用意していた。

 

「複数の戦闘単位での行動、もしくは先制攻撃です」

 

「ほう。興味深い。詳しく説明してみろ」

 

「現代戦闘における戦闘単位は最低2名です。片方の戦闘員をもう片方がカバーすることで戦闘能力をあげるためですが、魔法界の戦闘は主に決闘方式、つまり1対1が基本です」

 

「続けろ」

 

「闇払いや魔法警察の訓練も、魔法省の公式発表を見れば、基本的に個人戦闘を想定したものばかりです。この戦闘体系は禁じられた呪文に対して脆弱です。ですが、ツーマンセル以上の組織を編成することで、片方が呪文を受けても、片方が反撃することができます」

 

マグル界ではあたりまえの考え方だが、魔法界では組織としての戦闘は行われない。

 

例えばマグル界の軍隊は分隊、小隊、中隊と戦闘単位を区分し、また、職種を分けることで、組織を運用する。

これにより、多種多様な任務へ対応させるとともに、互いの部隊をカバーする作戦を展開することが可能となる。

しかし、魔法省の組織した闇払いなどの警察組織はこれをしていない。

基本的に全員が戦闘員であり、戦闘単位は一つのみ。

特に選考理由もなく、古株が指揮を執り、戦闘になれば各個に戦いはじめる。

 

もっとも、使用武器が魔法の杖のみであることから、部隊を編成した戦いよりも個人戦闘の方がやりやすいという点はあるが。

 

「で、先制攻撃というのは?」

 

「その名の通りです。相手が攻撃してくる前に攻撃する。最も簡単な防衛方法です。他にも、抑止力の行使などがありますが」

 

「待って!私たちが習うのは防衛術よ。先制攻撃は防衛術には入らないわ」

 

ハーマイオニーがエスペランサの意見を否定する。

 

「ハーマイオニー。先制攻撃が防衛手段であるかどうかは今現在も議論されているものだ。だから、一概に否定も肯定も出来ない」

 

「先制的自衛権のことを言っているのかしら?あれは国連憲章51条にまつわる議題よ。魔法界には適用されないわ」

 

「それは魔法界が、いや、魔法省が自衛権に関する明確な法令をいまだに定めていないからだろう?」

 

ギャアギャアと言い張る2人を他の生徒は「またか」という目で見ている。

 

ムーディの授業ではほぼ毎回、この2人が言い争っている。

ムーディの授業は8割が実技、残りの2割がエスペランサとハーマイオニーの言い争いだ。

 

ムーディは2人の言い争いを興味深そうに聞き入っている。

彼はエスペランサの持つ知識に興味があるようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

センチュリオンの活動には重火器を組み合わせた戦闘訓練が多くなっていた。

センチュリオンの総員は19名。

戦闘部隊は2つ。

本来なら重火器専門の部隊を編成したいところだったが、現状では不可能である。

ただし、将来的に重迫部隊や対戦車部隊を編成するために、総員に重火器の扱いを理解させる必要があった。

とは言え、エスペランサは対ゲリコマ作戦用の部隊出身。

迫撃砲部隊の指揮も運用も素人である。

運用は手探りであった。

 

「何とか対空ミサイルは頭数だけでも揃えることが出来たけど、これが魔法生物に効果あるかどうかはわからないね」

 

必要の部屋の片隅で兵器をメンテナンスするフナサカはそうぼやく。

ここ数日、彼は戦闘訓練に参加せずに、必要の部屋に格納されている武器の整備を行っていた。

 

「対空ミサイルは熱源誘導式だ。今まで使っていた火砲は自動追尾の魔法をかけていたが、熱源誘導式の武器ならその魔法も必要ない。有効な武器だとは思うぞ」

 

「確かにそうだけど。エスペランサ。対空ミサイルは元々、ヘリや戦闘機を落とすための武器だろう?土台、魔法生物を倒すような設計じゃないんだ。威力不足は否めない」

 

必要の部屋が出してくれた対空ミサイルは携帯SAMと呼ばれるミサイルで、開発は日本の自衛隊である。

性能と信頼性は問題ないが、迫撃砲や対戦車榴弾よりも威力は落ちる。

 

「威力を上げるには魔法を使うしかないな」

 

「そもそも、対空兵器を運用する意図は何?今まで通り、81Mやカールグスタフじゃ駄目なの?」

 

「ああ。過去に3校対抗試合では飛行能力を持つ魔法生物が投入されている。セドリックがそいつらを仮に相手にするとしたらやはり、対空兵器が必要とされるだろうな」

 

「セドリックが確実に選ばれるような言い草だね」

 

「あいつ以上に能力を持つ学生は現状でいない」

 

「それは認めるけど。でも、3校対抗試合はホグワーツの生徒だけじゃなく、魔法省の役人も見るんだろ?魔法省の役人の前でマグルの兵器を使うのは我々の存在を仄めかすことになるからまずいんじゃないか?」

 

「そこは、俺たちの参謀様が良い案を考えてくれるさ」

 

エスペランサは武器庫の向こうにある訓練場を顎で指した。

そこには、訓練指導中のセオドールが居た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

代表選手の発表はハロウィンパーティーの後に行われる。

 

いつもより豪華なハロウィンパーティーのご馳走にエスペランサは気分を良くしていた。

センチュリオンの隊員たちはセドリックが選ばれることに何の疑いも持たなかったが、セドリック本人はそうでもないようで、テーブルの上に盛られたご馳走に手もつけていない。

顔は真っ青だ。

エスペランサはグリフィンドールのテーブルで糖蜜パイを頬張りながらその姿をチラリと見ていた。

 

「このご馳走も、しもべ妖精たちが作っているのよね」

 

エスペランサの横に座るハーマイオニーが呟く。

 

「また、SPEW(反吐)かい?パーティーの時くらい忘れろよ」

 

「でも、ロン!しもべ妖精たちはハロウィンにも関わらず、労働させられているのよ?」

 

「まあ、前時代的だよな。無給料で朝から晩まで働かされるなんて、英国じゃあり得ないだろ」

 

「僕はダーズリー家でそんな扱いだったよ」

 

結局、ハーマイオニーはほとんどデザートなどを食べずにパーティーを終えてしまった。

 

やがて、テーブルの上に出されていた皿などが魔法で撤去されると、ダンブルドアが席から立ち上がり、口を開く。

 

ダンブルドアはいつもの教職員テーブルに座っていたが、本日はダンブルドアの両脇にカルカロフやマダム・マクシーム、バクマンとクラウチも居る。

 

教職員テーブルの前には、例の炎のゴブレットが置かれていて、メラメラと青い炎を灯していた。

 

「さて、ゴブレットは代表選手を決めたそうじゃの。名前を呼ばれた学生は教職員テーブルに沿って右に歩き、隣の部屋に入るように」

 

おおお、と歓声があがる。

 

やがて、ゴブレットの炎が青から赤に変わり、突如、炎の中から羊皮紙が飛び出した。

 

ダンブルドアはその羊皮紙を器用にキャッチして羊皮紙に書かれた名前を読み上げる。

生徒たちはシンと静まりかえり、その名前が呼ばれるのを待った。

 

「ダームストラング代表選手はビクトール・クラム!」

 

おおおおおおっと歓声がさらにあがる。

 

ロンは「そうこなくっちゃ」と興奮していた。

スリザリンの席ではセオドールが杖から花火を噴射している。

カルカロフは「ブラボービクトール!」と口笛を吹いていた。

とんだ贔屓である。

 

「続いて、ボーバトン代表はフラー・デラクール!」

 

今度は歓声に混じって嗚咽も聞こえてきた。

ボーバトンの選ばれなかった学生たちが卒倒しているのも見える。

 

「ホグワーツ代表選手は・・・」

 

皆、息を飲んで発表を待った。

 

「セドリック・ディゴリー!」

 

ハッフルパフのテーブルが沸いた。

センチュリオンの隊員たちも立ち上がって歓声をあげている。

 

ロンが「そんなぁ」と悲痛な声を上げていたがエスペランサは気にしなかった。

 

セドリックはハッフルパフの生徒だけでなく、センチュリオンの隊員それぞれに肩を叩かれながら、選手が控える隣部屋へと向かっていった。

向かう途中で、セドリックとエスペランサは一瞬だけ目が合う。

言葉は交わさずとも、エスペランサの言いたいことは彼に伝わったようだ。

 

「流石だ。セドリック。お前の力量はゴブレットにも認められたんだ」

 

エスペランサは1人、そう呟いた。

 

 

やがて、歓声も止み、大広間に静寂が訪れる。

しかし、炎のゴブレットは4度目の赤い炎を吹き出し始めた。

 

そして、羊皮紙が飛び出る。

 

ダンブルドアは静かにそれを手に取った。

 

「・・・ハリー・ポッター」

 

 

4人目の代表選手が誕生した瞬間である。




少し短いですがすみません。
やっと3校対抗試合が書けます。
長かったぁ

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