笑顔は太陽のごとく…《決戦の海・ウルトラの光編》   作:バスクランサー

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なんかお気に入りが結構増えていて嬉しいです。
ありがとうございますm(_ _)m

本編どうぞ。


それぞれのスタート

 ーーー戦いの後。

 ウルトラマンダイナは再びその体を光に変えて、スペリオルのコックピットへと戻って行った。俺はスペースマスケッティの通信周波数を調整する。幸いにも、すぐにスペリオルの周波に合わせることが出来た。

「こちら第35鎮守府提督、救援機・スペースマスケッティ。スーパーGUTS・ガッツイーグルαスペリオル、応答願います。」

 対して、通信マイクの向こう側から聞こえてきたのは…

「こちらガッツイーグルαスペリオル・アスカ・シンです。援護ありがとうございます。そちらの方は、全員無事ですか?」

 若く活力のある、そんな声だった。

「こちらは全員無事です。こちらこそ、我が第一艦隊を助けていただいて、ありがとうございます。」

 そして俺は、ここで一つ提案することにした。

「よろしければ、我々の鎮守府にでも寄って行かれませんか?」

「いやいや!?え、いいんですか!?」

「はい。せめてものお礼がしたいので…」

「えっ、あ、じゃあ…お言葉に、甘えて…」

 どうやら彼にとっては予想外だったようだが、アスカさんは応じてくれた。スペースマスケッティとスペリオルは、仲良く並列飛行しながら、鎮守府へと進路をとったーーー

 

 ーーー第35鎮守府

「おかえり、提督。その人が、さっき言っていたアスカさん、だよね」

「ああ。」

 帰投の最中に、アスカさんとは無線で色々と話をしたのだが、どうやら彼は艦娘という存在を以前から知っていたという。

「この宇宙は広いからな、どっかで噂が入ってくるのさ」

 あの一件以降、ずっとこことは別の宇宙を旅していたらしいーーー

 

 ーーーちなみに、艦娘たちの反応はと言うと。

 鎮守府の臨時着陸場所に着陸させたスペリオルの周りには、明石や夕張といった工廠組や、飛鷹に日向といった生粋の艦載機好きが群がっている。

「おお〜…これがリアルサイズなのか…!」

「是非ともデータを取らせていただきたいですね!」

「おーおー、データ取るのは構わないけど壊すなよー?」ーーー

 

 ーーーまた、埠頭では急な来客にも関わらず、食堂の間宮や鳳翔が料理を持ってきてくれた。第一艦隊のメンバーも、高速修復材ですぐに合流し、軽く親交パーティ一みたいな感じのムードだ。と、

「あの、アスカさん、よければこれ、食べてみてください。」

 アスカに声をかけたのは、レイだった。

「お、美味しそうなスープだな。ところで、君は?」

「こいつは色々あって、二ヶ月ちょっと前に、深海からうちに来たレイっていう奴だ。普段は、私の用務員としての仕事や、厨房の手伝いをしてくれていてな。このスープも、レイが作ったんだ。」

 長門がアスカに説明する。

「ほぉー。よしっ、じゃあありがたく、いただきますっ!…んんっ、これは美味ぇ!」

「やった!ありがとうございます!」

 アスカさんに撫でられ、レイは嬉しそうにニコニコしている。最近のレイは、だいぶこのようないい笑顔を見せてくれることが多くなった。何よりだなーーー

 

 ーーー「レディとして、アスカさんの話を聞き逃すわけにはいかないわ!」

「電も気になるのです!」

「宇宙を旅してた時の話、色々聞かせて欲しいっぽい!」

 駆逐艦娘を筆頭に、様々な宇宙でのアスカさんの体験を聞こうと集まっている。

「おーし、お安い御用だ!」

「うちの者がすみません、お疲れのところを…」

「いやいや!俺も楽しいですからいいんですよ!よかったら提督さんも聞きます?」

「…ありがとうございます、そうさせてください!」

 私もまるで母親に絵本を読み聞かせてもらっている子供のように、童心に返って楽しませてもらった。

 そして、パーティーの雰囲気がだいぶ落ち着いてきた頃ーーー

 

 ーーー「そろそろ頃合いかな…提督さん、俺はそろそろここを離れようかと思います」

「えっ、いいんですか?もう少しゆっくりされて行っても…」

「それもいいけど…やっぱりなんというか、俺は宇宙を旅している方が、性に合ってるかな、って思いまして」

「…そうですか…わかりました。またこの世界に来たら、是非寄っていってください!」

「ははっ、そうさせてもらいます!」

 

 俺は響と共に、スペースマスケッティでアスカさんの乗るスペリオルを見送ることにした。

「今日は本当にありがとうございます」

「いや、こちらこそ!」

 そして俺は、パーティ一の時には言えなかった質問を、彼にぶつけてみることにした。

「…そういえば、どうして我が艦隊が、危機に陥っていることを知ったんですか?」

「うーん…一言で言うと、呼ばれた?というか、そんな感じかな」

「…呼ばれた?」

「ああ。宇宙を旅してたら、急に声が聞こえたんだ。『君の元いた世界の地球で、助けを求めている者がいる』、ってな。」

「声、ですか…。なんかすみません、変な質問をしてしまって。」

「いえいえ。それじゃ、そろそろ。」

「どうかお気をつけて」

「ラジャー!」

 アスカさんは再び、白い歯を出してこちらに笑顔を見せてくれた。スペリオルの機体が光に包まれ、いつの間にか空に空いた穴に入っていき…穴ごと消えた。

 

「声、か…」

「気になるね、司令官」

「ああ。まぁとりあえず、帰るか」ーーー

 

 ーーー宇宙空間 ガッツイーグルαスペリオル

 アスカ・シンは地球を後にし、再びスペリオルで宇宙を旅していた。と…

 

「アスカ…アスカよ…」

 

「…またあんたか。さっきはありがとうな、すんでのところで間に合った。

 んで…あんたは一体何者なんだ?」

 

 少し間を置いて、その声は答えた。

「今はまだはっきりとは言わないでおこう」

 

「…おいおい」

 

「…ただ、一つだけ言うとすれば…」

 

「………」

 

「私もまた、君と同じ類の者、という事だ」

「えっ!?

 おい、それってどういう事だよ!?」

 

 しかし、その声はそれ以上声をかけては来なかった。しかし、アスカはその言葉から、すぐに浮かんだ可能性を口にする。

 

「さっきのあの声もまた…

 ウルトラマンなのかもしれない…」ーーー

 

 ーーー翌日夕方 憲兵養成学校

「…また怪獣か…」

 その日の訓練を終え、ある青年は、寮にある自室のパソコンでウェブニュースを見ていた。そこには、あのサメクジラ、そしてそれを倒したウルトラマンダイナの写真がある。気象観測用の人工衛星が偶然捉えていたらしい。青年はそれを見ながら、一つ大きくため息をつく。

「兄さんたちも言ってたけど…深海棲艦と融合した怪獣なんて…一体何が…」

 彼ーーーヒビノ・ミライは、少し前の、故郷での会話を思い出していた。

 

 ーーーM78星雲 宇宙警備隊本部

「エース、ご苦労だった」

「ありがとうございます、ゾフィー兄さん。とにかく、深海棲艦の戦力は増強を繰り返し、怪獣までもが出てきています。このままでは地球が…」

 隊長のゾフィーに報告するのは、地球での任務を終えたウルトラマンエース。

「早急に事の真相を調べる必要がある。エース、深海棲艦や怪獣、そして君が会ったレイという超深海の生命体のことについて、皆に話してくれ」

 

 ーーーそして。

「超深海生命体を誘拐、そして改造して地球に送り込む…手口としてはそれで間違いないだろうな」

 と、ウルトラマン。

「ああ。エレキングも、私やマックスがピット星人に率いられた個体と戦ったが、それ以前に一体の宇宙怪獣だ。野生の個体もいることだろうから、兵器として手に入れることは難しくはないはずだ」

 と、セブン。

「黒幕の正体か…もしかしたら…」

「どうした、タロウ?」

「いや、私はかつて、過去に誘拐された少女が改造されてなった怪獣・メモールと戦いました。手口としても近い、と思いまして…」

「となると…ドルズ星人か?」

 

「そう決めつけるのは早いかもだぜ、隊長」

 

「ゼロ…」

「前に俺が一緒に戦った、ウルトラマンコスモスが地球を守っていた頃には、ノワール星人という奴が、地球の怪獣をメカ改造してコスモスに仕向けたらしい。改造の技術っていう観点からしたら、そっちの方が近いかもな…」

「そうか…何か他にある者は?」

 

 名乗り出たのは、ウルトラマンパワード。

「参考程度ですが、私が戦ったドラコやゼットンの個体は、バルタン星人によって徹底的な武装改造を施されていました。私を分析し尽くしていましたし、バルタン星人のもつ数々の超能力を活かせば、誘拐も不可能ではないはずです」

 

 その後も多くの候補が出たが、結局搾るには至らなかった。

「ここはとにかく、また1人地球に仲間を送る以外に方法は無さそうだな…。今は80たちがいるが、そのレイとやらの、より近くで守る必要がある…」

「ならば…」

 エースがある提案をした。

「地球に向かわせた者を、憲兵として鎮守府に着任させる、というのはいかがでしょうか?」ーーー

 

 ーーーそこで、まだ比較的若いヒビノ・ミライ…実の名をウルトラマンメビウス、彼に白羽の矢が立ったというわけだ。

 過去、彼が地球にいた時、人間のクズを体現したかのような某ジャーナリストによって正体を地球人にバラされていたのだが、皮肉にも今回それが役立ってスムーズに手続きが進み(そもそもまずGUYSのライセンスがあるだけで結構ポイントが高い)、更に憲兵養成学校の入学面接ときには…

 

「次の方、入って、どうぞ。…って!

 ミライ!?ミライじゃねえか!!」

「リュ、リュウさんっ!!」

 

 面接官、もとい養成学校の校長が、なんとかつてGUYSだった時の同僚、アイハラ・リュウだったこともあり、すんなりと入学できた(コネとか言ってはいけない)。

 だが事実彼は優秀で、最低期間を終え、必要な単位を取れれば卒業となる憲兵養成学校の独特の規定カリキュラム(その代わり結構厳しい)を次々とクリアしていき、このままのペースなら、もうすぐ一人前の憲兵として鎮守府に着任許可の知らせが届くころとなった。

 

「とにかく、まずは憲兵として着任しないと始まらないな…」

 ミライはそう呟くと、パソコンを閉じた。

 そしてその日のうちに、彼は校長に呼ばれ、間もなく憲兵養成学校を卒業、鎮守府に着任してもらいたいと言われることとなるーーー

 

 ーーー数日後 第35鎮守府

 俺は鎮守府の正面玄関に来ていた。大本営からの通達によると、療養を依頼された艦娘、及びその姉妹艦が今日ここに着任するらしい。

「あれかな、司令官」

 響が指さす先、遠くの道路に、大本営の専用車が見えた。

「ああ。どうやら、来たようだな」

 そう答え、俺は手に持っている、艦娘のデータが書かれた紙に目を落とした。そこに書かれていたのは…

 

「要療養艦娘 川内型軽巡洋艦三番艦 那珂」ーーー




※次の章にはミライさんは登場しません

最後まで読んでくれてありがとうございました!

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ではまた次回で!

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