笑顔は太陽のごとく…《決戦の海・ウルトラの光編》 作:バスクランサー
行事や体調不良などて書くだけの暇が無かった、ていうのが大体の理由です。
これからはまた更新ペースを元通りにしていけたらなと思っておりますので、よろしくお願いしますm(_ _)m
では、本編どうぞ。
ーーー「人質!?…なんて卑怯なの…!」
怒りの表情の千代田。
「とにかくだ、千代田、一旦引け!」
「待って提督!!」
千代田の声が響いた。
「お姉は…私が助ける!」
磔にされた千歳たちを見つめて、千代田は決意した。そして全速で向かっていく。
「こうなったら、もう止まらないな…」
そうなれば後は、彼女の思いに応えるべく、全力でサポートをするしかない。
「総員、千代田を援護しろ!こちらは上空から牽制する、金剛たちはその位置からでいいから後方支援に徹してくれ!」
「了解ネー!fire!」
「ウラー!」
「みんな…ありがとう!
よし、私も!」
千代田は飛行甲板を構え、装備していたマットアロー1号を2機発艦させるーーー
ーーー「サッキノ言葉ガ聞コエテイナカッタノカ?愚カナヤツダ、喰ラウガイイッ!!」
レイキュバスが火炎弾を連続で放つ。速射機関砲を撃ちつつ向かってくるマットアローを粉々に破壊、更には千代田と磔の千歳たちを諸共焼き尽くそうと迫るが…
「させるかよっ!」
飛んできたミサイルが火炎弾を相殺した。スカイマスケッティの援護射撃だ!
「卑怯な真似なんかさせるかよっ!」
さらに追い討ちをかけるように、川内、響、不知火の魚雷がレイキュバスに襲いかかる。
「ソンナモノガ、キクカ…!」
だが、レイキュバスの固い装甲の前には、ダメージを与えることさえ困難である。
「諦めるな!とにかく攻めて攻めて、隙を作るぞっ!」
「はいっ!」
しかし、遠距離から仕掛ければ相手からの砲撃や冷凍ガス、火炎弾が襲い来る。だからといって至近距離を攻めれば、鋏で威嚇されてしまう。状況は明らかにこちらに不利だ。少しの隙を作ることさえできない。
「鬱陶シイヤツラメ…!散レェッ!」
「ぐわっ!!」
レイキュバスから放たれた砲弾が、スカイマスケきッティの後部に直撃してしまった!
「提督!?」
「司令官!?大丈夫!?」
「三人とも怪我はないけど、メインエンジンがやられた!一旦戦線を離脱する、すまない!」
炎上し、損傷している機体を懸命に安定させつつ、少し離れた海上に不時着するスカイマスケッティ。
「ど、どうしよう…!」
しかしそう焦っている間にも、レイキュバスの攻撃はほぼ一方的に続く。こちら側の健闘も虚しく、レイキュバスの勢いは衰えるどころか加速していくように感じられる。
しかもだ。レイキュバスは、だんだんとこちら側を退けさせつつ、千歳たちの磔台へと歩みを進めているのだ。
「このままじゃ…!」
千代田は再び艦載機を放つが、まともに攻撃の機会すら与えられず、冷凍ガスの餌食になってしまった。
「やっぱり…駄目なの…!?」
思わず漏れる、心の声。それに対して返ってきたのは…
「そんなことはないよっ!」
通信機からの、ムサシの声だったーーー
ーーー「ムサシさん…!」
「千代田さん…!君はまだ、守れるんだ!大切なものを守る力を、持っているんだ!お姉さんに、伝えたいことがあるんだろう?一人でだめでも、みんながついている!」
その言葉に、俺も、明石、そして響たち艦隊のメンバーも頷く。
「…エエイ!ヌルイ茶番ハソコマデダ!オマエラ全員、海ノ底へ沈メテヤル!」
「そんなことはさせない!
みんなは、僕が守る!
みんなと一緒に…未来を、掴む!」
「黙レ黙レ黙レ!沈メッ!!」
こちらに向けて火炎弾を放つレイキュバス。しかしムサシさんの意図を汲み取った俺は、すかさずコックピットとなっている、ジオアトスのスイッチを押す。
「アトスレーザー、発射!」
ルーフの砲台からレーザーが放たれ、火炎弾を相殺。そしてスカイマスケッティのウイング上に出たムサシさんは、懐から棒状のアイテムを取り出した。
「君の力を貸してくれ…!」
ムサシさんの願いに反応するかのように、そのアイテム…コスモプラックが淡く光る。それを見たムサシさんは、コスモプラックを天高く掲げ、叫んだ!
「コスモーース!!!」
眩い光がムサシさんを包み、一体化して空中へ昇っていく。そして、徐々にそれは巨人の形へと変わっていく。
深い青と、煌めく銀の体。
溢れ出る優しさを感じさせる表情。
今ここに降臨した、巨人の名は…
「ウルトラマン、コスモス…!」
「ムサシさん…!」
ゆっくりと、波を立てないように海面に足をつけるコスモス。そして、レイキュバスを正面に見据える。
「誰ガ来ヨウト同ジダ!クラエッ!!」
レイキュバスの砲撃が、一斉にコスモスに迫ってくる。が、コスモスは一歩も引かない。腕を前に突き出し、そこからエネルギーを壁のように展開させていく。
「ムーンライトバリア!!」
バリアに当たった砲弾は、全て上下に逸れていく。当然、コスモスにダメージはない。
「小癪ナ真似ヲ…!」
突進してくるレイキュバス。しかしコスモスは、最小限の無駄のない動きで、受け流すように交わしつつその背中に張り手を突く。
「ムッ!?」
突進空振りの勢いも相まって、レイキュバスは止まることが出来ず、バランスを崩して海面に思いきり顔を突っ込む形となる。
「千代田さん、今だ!
一緒に、お姉さんたちを助けよう!」
「は、はい!」
コスモスに名を呼ばれた千代田は、勇気を振り絞って力強く前に進む。その行先には…千歳たちの囚われている磔台。
「ルナレインボー!!」
その磔台に向かって、コスモスは突き出した両手から光線を発射した。七色の輝きをまとう光線が氷の地面ごと磔台を包み込む。すると氷の中から、千歳たちが救い出されていくではないか。そう、ルナレインボーは、怪獣の体内などに取り残された人を救出できる力を持つ。それを今、氷に閉じ込められていた千歳たちの救出に応用したのだ。
「よし、すぐに安全な場所へ…」
「運バセルカァ!」
なんと、体制を立て直していたレイキュバスから、遠距離砲撃と火炎弾の弾幕がコスモスに襲い来る!
「しまった!」
コスモスは咄嗟に、防御技のリバースパイクバリアで防ぐことを試みた。
だがおかしい。本当に自分を狙っているようには思えない。いくつかの弾、半分ほどは海面に落ちて派手に水面を揺らす。言うなれば手当り次第に撃ちまくっているような…まさか!?
その瞬間、レイキュバスの真の狙いに気づいたコスモス。そう、レイキュバスはコスモスのみならずその周囲にも攻撃することで、コスモスの救助を妨害すると同時に、必然的に千歳たちを再び海底へ誘おうとしていたのだ!
磔台から解放され、彼女たちを縛るものは無い。しかし、この状況ではそれは最も危険なパターンなのだ。意識のない彼女たちなど、降り立ったところで攻撃で海面を荒らしさえすれば勝手に沈むだろう。たとえ意識が目覚めても、それにあがなうほどの体力があるはずもない。下手に手を加えて彼女たちの身を砕くよりよほど楽で、さらに分析の続きもしやすい。
コスモスは防戦一方、彼女たちを救えるまでの余裕はない。
そう、ウルトラマンコスモスには。
「ムサシさん!」
一人の少女が、コスモスに呼びかけた。千代田だ。
「後は私に任せて!お願い、もう少しだけ、持ちこたえて!」
千代田は次々と立ちはだかる、荒れ狂う波たちを乗り越えつつ叫ぶ。
「千代田さん…分かった!」
千代田を信じ、コスモスは防御に徹する。精一杯のエネルギーを使い、バリアの強度と範囲を大きくする。
「お姉…今助けるからね!」
水霧の中、千代田は水面に浮かぶ千歳たちを追って…消えた。
「千代田…」
「千代田さん…?」
全員が、見えない霧こ中を見つめる。数秒が何十分にも、何時間にも感じられる。
無事なのか、救出はできたのか…
コスモスもバリアを保ちつつ祈る。
そして…
未だ立ち込める水霧の中から、微かに複数のジェットエンジンの音が響いてきた。
「あれは…!」ーーー
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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また次回です!