笑顔は太陽のごとく…《決戦の海・ウルトラの光編》 作:バスクランサー
そしてこの間の行事で体の節々が痛いのです。
さらにプライベートのあれこれ…
まあ、頑張りますずい。
本編どうぞです。
ーーーついにこの日が来た。
千歳の救出作戦決行の日である。入念に準備を重ね、何とかこぎつけた。
「今回のメンバーは、昨日発表した通り、旗艦を金剛として、加賀、千代田、川内、不知火、そして響。
それからスカイマスケッティで、俺と明石、ムサシさんも同行する。
何か質問は?」
一瞥し、質問はないという意思を確認し、俺は言葉を続ける。
「いいか?必ず命だけは持って帰ろう。千歳と一緒に!」
「了解!!」
出撃の準備を整え、俺たちはスカイマスケッティの格納庫に、艦娘たちは出撃ドッグへと向かう。
「お姉…必ず、助けるから…!待ってて!」ーーー
ーーー艦隊は今のところ、順調に例の海域へと向かっていた。常にレーダーに気を配り、索敵も最大警戒のもと行う。ミイラ取りがミイラになるなんてことになったら元も子もない。
「提督、到達予想時刻は…?」
「予定通りならあと約四十分だ。」
「そっか…」
千代田、焦ったらいかん。急いては事を仕損じる…が、真っ直ぐそうは言えない状況だ。彼女だって、愛する姉のことが気が気でないのが、出撃以前から、もっと言えば出撃のメンバー入りを伝えた時から感じられているーーー
ーーー「千代田。千歳の救出作戦の日程、それから出撃メンバーが決まった。
もちろん、お前もその一人だ」
「本当!?いいの!?」
「当たり前だろ?千代田が一番、千歳のことを心配してるのはよく分かってるつもりだ。
お前自身伝えたいこともあるし、成長した姿を見せたいんだろ?」
「うん」
「…なら、千歳のためにも、出撃してくれるか?」
「…もちろん!私、頑張る!!」ーーー
ーーー「成長したな、千代田も」
「どうしたんですか提督、いきなりそんなことを」
「いや、そう感じたから言っただけだ。深い意味は無いよ、明石」
スカイマスケッティの中、話し合う俺達。
「でも、僕から見ても本当に…頼もしくなったなって感じます。多分、以前より今の自分と向き合うことができるようになっているんだと思います。」
スカイマスケッティのコックピット、ジオアトスのフロントガラスのその向こう、前に進む艦隊を、そして千代田を見ながら言うムサシさん。
「千代田さん…大丈夫ですよね…」
「大丈夫だ。彼女ならきっと。
…それと明石、艤装はいつでも展開できるようにしておいてくれな」
「…はい!」
ーーー幸いにも敵の艦隊と交戦することなく、俺たちと艦隊は例の海域へと辿り着いた。
「加賀、千代田。索敵の様子は?」
「こちら加賀、敵影は見当たりません」
「千代田、同じく確認できません」
…おそらく、この海域は一連の事件の主犯が支配しているようだ。
「よし。
スカイマスケッティはこれから、ワイズ・クルージング機能を利用、同時に明石の艤装を展開させて敵をおびき出す。総員、これまで以上の警戒を頼む。
敵は必ず千歳たちの居場所を知っているはずだ。気を引き締めていこう」
「「「「「「了解!」」」」」」
ワイズ・クルージング機能とは、元はGUYSオーシャンのメカ・シーウィンガーに搭載されていた機能だ。海面スレスレを飛行することにより、燃料が節約でき、レーダーにも映りにくくなる。海上限定だが、かなり役立つ機能であり、このスカイマスケッティにも、明石のチューニングによってつけられている。さらには明石についている妖精さんのオーラを、より届きやすくする、という効果も得られる。
「今のところレーダーに目立った反応はなし…か。」
「もうちょっと頑張ってね、妖精さん…」
やはりすぐには食いつかない。しかし、まだまだ粘る。千代田のためにも、行方不明になった千歳たちのためにも…!
「テートク!こちら金剛デース!」
突然通信が入った。金剛からのようだ。
「霧が、冷たい霧が、急に立ち込めてきたデース!」
「なんだって!?」
見ると、金剛たちから見て二時の方向、押し寄せる波のように白いものが近づいているではないか!
「霧が来る…!加賀、今だ!」
「ガンローダー、発艦します」
あらかじめ、霧が立ち込めた瞬間、加賀にガンローダーを発艦させるように頼んでおいた。
「メテオール解禁。
パーミッション・トゥ・シフト・マニューバ」
淡々と、しかし正確に作業をこなす加賀。ガンローダーがマニューバモードに変形し、機体下部を霧に向ける。
「ブリンガーファン・ターンオン…!」
マニューバモードのガンローダーが、二筋の竜巻を発生させ、霧を全て吹き飛ばした!
「提督!霧の発生地点が掴めたよ!」
「こっちも目視で確認した!だが…」
「海の中からか…!」
スカイマスケッティの俺たち三人も、その状況の異常さを理解する。なんせ、海の中の一点から霧がもうもうと、火山ガスのように吹き出しているのだから。
「ですが提督、おそらく敵はそう深い位置には居ないはずです!今ここで叩けば…!」
「よし!川内、不知火、響!
魚雷一斉発射だ!念の為扇状に、広範囲を頼む!」
「分かった!不知火ちゃん、響ちゃん!」
「いくよ…!」
「正体を…現せっ!」
三人横一列から、扇の骨のように広がる魚雷。そしてその魚雷は…そのまままっすぐ進み、全てが着弾した。
もう一度言う。広がっていて、全弾命中することは考えにくいのだが、今ここに全てが着弾した。
「なぜだ…!?」
「敵の攻撃に相殺されたとか!?」
「いや、あの爆発の仕方から、それはありえない!
考えられる状況は一つしかないです、提督さん!」
「まさか!」
ムサシさんの言葉に、俺は急いで艦隊に呼びかける。
「総員後退!その場から距離を取れ!急ぐんだ!!」
「What!?」
「いいから!奴が浮上してくる!」
既に艦隊が後退運動に移ったとき、海面には巨大な影が。なんとか全員が安全と思われる位置まで回避した時には…
「まさか…こいつだって言うの!?」
「でも、そうとしか考えられないデス…!」
奴が、その禍々しい姿を海上に見せていた。
左右の手先は、鋭い大小の鋏。
その目は青くらんらんと光っている。
甲殻類のようなその見た目からも、その体の堅さは確実に分かる。
さらにその体の至る所に、茶色ベースの地に黒光りする深海棲艦の装甲、そしてこちらを狙う砲台。
「怪獣…!?」
「ああ、間違いない!
コイツこそが、一連の事件の犯人だ!
宇宙海獣レイキュバス!!」ーーー
ーーー宇宙海獣レイキュバス。データによると、かつてウルトラマンダイナとの交戦記録がある。
その時は、強烈な冷凍ガスでダイナを一時戦闘不能まで追い込んだという。おそらく艦娘誘拐の際も、これを使ったに違いない。
また、両腕の鋏の威力も侮れず、その装甲で相手からの攻撃を寄せ付けない。
かなりの強者だ。
そしてレイキュバスは、その口を開き、青い目で艦隊に狙いを定める。
「気をつけろ!冷凍ガス攻撃だ、回避しろ!」
「Roger!!」
金剛たちがさらに後退し、冷凍ガス攻撃を避ける。さっきまで彼女たちがいた所には、氷の地面が出来上がっていた。捕まっていたら間違いなく危なかっただろう。
が。
「提督、千代田さんが!!」
「え?…はっ!
千代田、何をやっているんだ!?」
なんと千代田は、氷の地の向こう側、つまり、レイキュバスのすぐ側にいたのだ。他の者達が後ろに避ける中、彼女だけは前に避けて冷凍ガスを逃れたのだろう。
しかし、今の状況は、一番危険なものだ。
「千代田っ!!」
「千代田さんっ!!」
レイキュバスを見上げる千代田、千代田を見下ろすレイキュバス。両者の距離はほんのわずかだ!
「くそっ!ミサイル発射!」
スカイマスケッティのミサイルがレイキュバスに命中する。大してダメージを与えられてはいないようだが、隙は作れたはずだ。
「千代田!今のうちに逃げろ!」
が、彼女は一向に引く様子を見せない。…もしや!?
「あいつ…自分一人で千歳たちを奪還するつもりか…!?」
「無茶よ!!」
「戻るんだ、千代田さん!」
俺たちの呼びかけにも応じず、千代田は必死な眼差しでレイキュバスに叫ぶ。
「あなたがお姉たちをさらったの!?」
「…アア、ソウダナ。」
「…!!
今すぐお姉を、お姉たちを返して!!」
少しの沈黙の後、レイキュバスは答えた。
「フム、デハソウシヨウカ…
…トデモ、言ウト思ッタカァ!!」
レイキュバスは右腕の鋏を振り上げる!
「野郎っ!!
ファントン光子砲、発射!!」
正面から攻撃を仕掛けるも、レイキュバスはまたも動じない。
「…チッ、虫ケラメ…!」
そう言ったレイキュバスの目が…青から赤へ変わる。
「えっ!?」
「まずい!!」
俺は回避行動に専念することにした。文字通り目の色が変わったレイキュバス、赤い目の時の攻撃は…
「…そんな、火炎弾!?」
明石が驚くのも無理はない。冷凍ガスと火炎弾を同一の怪獣が使いこなすなど、まず誰も想像しない。
「しっかり掴まってください!」
俺は全速で火炎弾の弾幕を回避した。
レイキュバスの火炎弾、威力もさる事ながら、いちばん怖いのはその長すぎる射程と高すぎる命中精度だ。かつては南極の地上から、成層圏付近の戦闘機隊を撃ち落としたほどである。
「外シタカ…シカシ、私ノ力ヲ思イ知ッタダロウ?」
怯えた目の千代田だが、すぐにそれを隠すかのごとく言葉を返す。
「で、でも…!
私はお姉たちを取り返すまで、絶対に退かない!」
「ホゥ…ナラバ、
特別ニ、姿ヲ見セテヤロウ」
そう言った瞬間、先程できた氷の地面がひび割れ、何かがせり上がってくる。後ろを向いた千代田は、上がってきたものに気づき…愕然とした。それは、俺たちも、金剛や響たちも同じだった。
「お姉っ!?」
そこには十字架の形をした、四つの氷の磔台。
そしてその中にそれぞれ、磔となった千歳、鳥海、秋月、伊168の姿が見える。意識はないようで、ガックリとその首を傾け、目を閉じている。
「ハハハ、安心シロ、空気穴ハ作ッテアル」
「そんな問題じゃない…!」
千代田の怒りの声を無視して、レイキュバスは言葉を続ける。しかしそれが、怒りに燃える千代田を一瞬でどん底に突き落とした。
「デモ…
モシ、下手ニオマエガ、イヤオマエタチガ動コウモノナラ…
モット大キナ穴ガ、
コイツラノ体ニ空クコトニナルゾ…?」ーーー
というわけで今回も読んでいただきありがとうございました!
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また次回…多分テスト勉強のためまた遅くなりますが、
気長に待って頂けると嬉しいです。
では。