笑顔は太陽のごとく…《決戦の海・ウルトラの光編》   作:バスクランサー

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旅に…旅に行かせてくれ…。

最近スケジュールが合わない。やだもう。
相変わらず風邪も酷いです…。

ごめんなさい本編どうぞ。


恐怖の霧

 ーーー第35鎮守府 執務室

「臨時の対策会議か…」

「どうしたんだい?司令官」

 先程、極東支部から急ぎの通達が来た。それ曰く…

「最近、特定の海域で、同じ状況における艦娘の失踪事件が相次いでいるらしい。そしてそれがどうも、千歳のものと同じなんだ。」

「え!?」

「狙われるのは他の個体より高い能力の艦娘ばかり、突如立ち込める冷たい霧とともに姿を消す…な、同じだろ?」

「確かに、これはまずいね…」

「それで、明日マルキュウマルマルから、この件に関する対策会議がある。」

「千代田さんにも、帰ってきたら知らせなきゃだね…。」

「そうだな…」

 一旦今の仕事を中断し、明日の会議に備えての準備を進めることにした。

「千歳の件の資料、コピーしてあったよな」

「これだね、はい」

「ありがとう。他になにか要る物はあるかな…」

 とその時、通信が入った。

「司令官、書類整理は任せて、通信に出て」

「ありがとう響、頼む」

 俺はマイクを握る。千代田たちの艦隊からのようだ。

「こちら第35鎮守府、どうした?」

「提督!

 お姉の…お姉の航行記録レコーダーが見つかった!!」

「何だって!?それは本当か!?」ーーー

 

 ーーー艦隊が帰還して検査をした後に、すぐさま会議室に移り、データの解析を行うことにさた。念の為、千代田の他、響、大淀、明石、そして千代田のいた艦隊の旗艦・霧島、レイ、ムサシさん、そしてミライさんにも同席してもらっている。

 ちなみに航行記録レコーダーというのは、報告の補助や万が一の事態を考慮して、全ての艤装に搭載されている記録用の小型装置のことだ。

 よく航空機などに搭載されであるアレの艦娘艤装バージョンである。小さいながらも、音声や操作記録などを正確に記録することができる優れものだ。

 

「まず、レコーダーの見つかった海域は?」

「今、スクリーンに出します」

 霧島がカタカタと手際よくパソコンを打ち、プロジェクターによってスクリーンに海域が映し出された。

「千歳が失踪したという海域から、しばらく南に行ったところの海域か。でも何故今、そして何故ここで?」

「私の方で分析をしましたが、おそらく海流に乗ってきたのでしょう。

 千歳さんはまず、生死は考えない事として間違いなく完全に海の中に入りました。その時、彼女は自らの意志でこれを離脱させたのでしょう。これは艤装の内部に搭載されていますからね。

 ちょうど例の海域には、水深の深いところを南に進む海流がある事が分かりました。レコーダーはその海流に乗って、長い時間流されていたと思われます。そして、その海流が水面へと浮上するのが…」

「見つかった地点近く、というわけか」

「はい。可能性はかなり高いでしょう。」

「ありがとう霧島。それで明石、レコーダーに記録されていたデータは?」

 明石が頑丈なケースから、中のレコーダーを取り出しながら答える。

「内部を確認しましたが、奇跡的にほぼ損傷はありませんでした。とにかく、中身を再生してみましょう」

 レコーダーをコンピューターに接続する。果たして、その中身は…

 

「ちょうどここからのようですね…霧が出てきた時の記録は。」

 波音がスピーカーから流れ始めた。やがて、一人の声がそこに入ってくる。

「何よ、この霧…何も見えないし、冷たい…」

「お姉の声だ…!」

 思わず声が漏れる千代田。スピーカーからは、変わらず千歳の声が流れ続けていた。しかし…

「…はっ、何よ、これ…!?

 足が…凍ってる…!?そんな馬鹿な…!」

「今、確かに凍ってるって!?」

「どういうことだ…!?」

 ありえない言葉が聞こえ、それはさらに続く。

「何で…体が凍ってくの…!?や、やだ…体が、動か、ない…!」

 怯える千歳の声とともに、緊迫した空気が会議室に流れる。そして…

 

 ガシャッ!!

 

「ツカマエタ…!サァ、コイ…」

「ひゃっ…!深海棲艦…!?

 やだっ、引っ張らないで!やめて、やめてよぉ…」

 鋭い金属音、その後の深海棲艦と千歳の声を最後に、スピーカーからはブクブクという水の音しか聞こえなくなってしまった。

 

「お姉…お姉ぇぇええ!!」

「千代田さん、落ち着いて!きっと大丈夫、大丈夫だから!」

 涙を流す千代田を、ムサシさんが抱き寄せて慰める。

「凍らせて確実に動きを封じ、そして海中に拉致する…卑怯なやり方だな…。」

「でも、レコーダーを離脱させたということは、まだ千歳さんは意識があった…」

 響がつぶやく。しかし、今の言葉でピンと来た。

「…いや、あったじゃない。

 おそらく、今も彼女は生きてる。可能性はそっちの方が高いかもしれない」

「本当!?」

「あくまでも可能性の話だが…もし千歳を沈めるつもりなら、ピンポイントだろうと霧の中で始末することも出来たはずだ。

 おそらく海底に連れ去り、艦娘の分析でもするつもりだろう。他の個体より高い能力の艦娘たちばかり狙っていたのも、これなら説明がつく…!」

「でも…どうやって助ければいいんでしょう…?」

「問題はそこだ。

 危険ではあるが、奴の狙う高い能力の艦娘を連れていき、やつを誘き出すしかないのか…。

 とにかく、明日の会議で情報交換するしかないな…」ーーー

 

 ーーー翌日 第35鎮守府

 会議室特殊ブース

「ーーーこれが昨日発見されたレコーダーです。」

 仮想空間に、レコーダーに記録されていた音声が流れる。

 昨日、長官に何とか報告を間に合わせて、今日の会議でこのデータを出すことが出来た。ホログラムの他の提督たちの反応は様々だったが、とりあえず、危険性は全員が周知したようだ。

 とりあえず、海域を野放しにするわけにもいかず、高い能力の艦娘を入れない艦隊で、定期的に巡回をするという結論に至った。

 しかし、今回も俺は残った。昨日報告と一緒に、あることを頼んでおいたのだ。

「やあ。貴重なデータをありがとう。

 それと、君に頼まれていたこと、分かったよ」

「本当ですか、ありがとうございます」

「他の個体より高い能力の艦娘…その共通点といったところだったね。確かに、あの海域や、千代田さんのためにも分かっておきたいよね」

「はい。それで、具体的にはどのような点が?」

 すると、長官はこう答えた。

「…妖精さんだよ。」

「妖精さん?」

「どうやら、そういう艦娘に付く妖精さんは、他の妖精さんと違うんだ。平均的な艦娘のものと艤装を交換しても、いつの間にかその艤装にも発生している。」

「なるほど…」

「さらに、ここからが最も今回の件に関しては重要だろう。その妖精さんは、特殊なオーラのようなものを発生させていることがわかったんだ。それが直接艦娘の強さに影響を及ぼす訳ではなさそうなのだが、おそらく敵はそのオーラを感知して、目標を定めているはずだ。

 深海棲艦は、レイ君のような超深海生命体を改造したもの、地球のエネルギーを司る存在が元なら、感知できても何ら不思議ではない」

「なるほど。ありがとうございます」

 俺は長官からの言葉を受け、早速考えを巡らせたーーー

 

 ーーー翌日。

 考えがまとまったので、俺は重要になるであろうある艦娘に声をかけた。

「明石?頼みたいことがある」

「え、私ですか?」

 

 俺が考えた作戦。

 それは、例の海域に、艦隊とともに明石を同行させるという事だ。明石は高い能力の個体、加えて工作艦という珍しい艦種だ、敵も見逃しはしないはずだ。

 ただ、明石は戦闘力には難がある。そこで、応急修理要員として、スカイマスケッティに乗せていく、というものだ。

 このことを彼女に話すと…

「分かりました!お役に立ってみせます!」

 よかった、快く引き受けてくれたーーー

 

 ーーーその一方で、ムサシさんによるレイの調査が終了した。身体及び精神状態、共に異常はなく、基本的には他の脊椎動物と同じ体の構造らしい。

「ありがとうございます、ムサシさん」

「ありがとうございます」

 二人でお礼を言う。

「こちらこそです。レイさんも提督さんも、調査へのご協力ありがとうございました」

 すると、ムサシさんはその後にこう続けた。

「あの、実はひとつお願いがありまして…」

「何でしょう?」

「…僕を、千代田さんと千歳さんに関する、事件のめどが立つまで、この鎮守府に置かせていただけませんか?

 千代田さんも心配ですし、何よりこれからその海域に行くことでしょうし、お力添え出来ることがあれば、してあげたくて…」

「分かりました。そちらのスケジュールなどが良ければ、こちらとしては大歓迎です。」

「本当ですか!?ありがとうございます!」

「こちらこそ。

 よろしくお願いします」

 千歳の救出作戦に向け、また一歩前進した。ムサシさんが見守ってくれる、千代田にとってもそのことは大きい。

 俺は、来る作戦決行の日に備え、準備をさらに進めることにしたーーー




というわけで今回も読んでいただきありがとうございました(`・ω・´)

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それとこの場を借りてお知らせです。
現役学生の筆者、十月中旬に中間考査を控えております。
なので、その前後で更新スピードが遅くなったり、もしくは更新を一時停止する可能性が高いです。
何卒よろしくお願いしますm(_ _)m

何はともあれまた次回です!

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