笑顔は太陽のごとく…《決戦の海・ウルトラの光編》   作:バスクランサー

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お盆休みしてたため更新遅れました。
すみません。

では本編です、どうぞ。

※1回間違えて編集途中のを投稿してしまいましたorz
重ね重ねすみません。


運命の海域

 ーーー洋上

「こちらミライ、現在のところ異常ありません」

「こちら第35鎮守府、了解です。切れるまで通信をつなぎっぱなしにしてください。それが切れたのか…海域に到達した合図です」

「GIG…!…はっ、すみません!」

「GUYSの名残なら、気にしないで、GIGでいいですよ」

「あ、ありがとうございます!」

 マイクからは通信独特のサァーッという音が聞こえ続けている。まだ海域に入ってはいないようだ。

 今回出撃した艦隊の全員には、妨害電波対策用の艤装を取り付けてある。しかし、第41鎮守府などから受け取ったデータ曰く、妨害電波はかなり強力であり、今回の艤装でも完全に影響を無視出来ないらしい。近距離通信なら問題ないが、鎮守府との遠距離通信は間違いなくアウト、というわけだ。ただ、逆にこことミライさんの通信を繋いでおき、それが切れれば、目標域突入ということが分かる。

「ミライさん、分かっているとは思いますが…」

「現場に着いたら、必然的に僕が指揮を執るんですよね…全力を尽くします」

「頼みます」

 会話は終わっても、通信はまだ途切れない。緊張の糸は全く緩まないまま、数分が過ぎていった時。

「まもなく、目標海域に到達しまーーー」

 

 ブツッ

 

「!?ミライさん、ミライさん!?」

 通信が途絶えた。つまり、艦隊が目標海域に突入したということになる。

「頼むぞ、ミライさん…」

 俺は無事を祈りつつ、万が一に備えての準備を始めたーーー

 

 ーーー洋上

「鎮守府との通信が途絶えました。海域に突入したということになります。…総員、これまで以上に索敵を厳重に!」

 艦隊に張り詰める緊張の糸。

「索敵機発艦可能な方、できる限りの数をお願いします!」

「分かりました!」

 筑摩が我先に、搭載していたガッツウィング1号を三機全て発艦させた。

「私も行こう!ストライクビートル発艦!」

「こっちも!マットジャイロ発艦!」

 日向、飛鷹も続々と発艦させていく中…

「…利根姉さん?」

 利根だけが、艦載機を発艦させない。よく見ると、その顔は怯えているようにも見える。

「大丈夫ですか…?」

「あ、あぁ…大丈夫なのじゃ」

 そうは言うが、手が小刻みに震えている。

「利根さん、無理はしないで。ただ、これだけは覚えていてください。

 僕が…僕達がついていますから」

 ミライが近距離無線で励ますと、利根は一度だけコクリと頷いた。

 無理もない。完全には復活していない状況で、自らの希望とはいえかつての忌まわしい海域にいるのだ。そのトラウマの根源となったカタパルトは、そう簡単に動かせるものではないだろう。

 と、その時だった。

 

「ストライクビートルより入電!敵艦見ゆ!」

 

 日向の叫びから十秒も経たないうちに、そいつは空から襲いかかってきた!

「全員姿勢を低く!」

 ミライの咄嗟の一声。反射的に身を屈めた艦隊の上スレスレを、そいつは掠めるかのごとく飛んでいった。

「こ、こいつは何なのじゃ…!?」

 それに答えたのもまた、ミライだった。

「こいつは、アリゲラ…!?」ーーー

 

 ーーー宇宙有翼怪獣アリゲラ。ミライの在籍していた頃のGUYSと、別個体が交戦したことのある宇宙怪獣だ。

 アリゲラのその特徴…それは、陸上、空中、さらに海中、果ては宇宙においても、その力を遺憾無く発揮することにある。

 空を飛べば戦闘機など簡単に抜き去り、海の中でもGUYSオーシャンの誇るメカ・シーウィンガーをも上回る機動性を持ち、陸上ではミライ…ウルトラマンメビウスと一進一退の激闘を繰り広げた強者だ。

 さらに今回のこの個体は深海棲艦との融合を遂げており、以前のような赤や青の派手な体色から一転、不気味な黒い装甲を白地の身体中に纏っている。さらに、元々アリゲラは目がなく、肩から発する超音波によって、コウモリのように位置を探るのだが、深海棲艦の瞳が、目など無いはずの顔にらんらんと二つ、怪しく光っていた。全身にはこれまでの深海棲艦獣に比べては小型の砲塔が、いくつにも取り付けられている。刃のような腕はその鋭さを増し、尻尾も屈強なものとなっていた。もはや、ミライの知っているアリゲラではないーーー

 

 ーーー「アリゲラは全身武器だらけだ、おまけにスピードも尋常じゃない!みんな、気をつけて!」

「こ、攻撃開始じゃ!」

 海上からは利根たちの砲撃、上空からはスカイマスケッティのファントン光子砲が放たれるが…

「は、速い!」

 アリゲラはその全てを容易く避けきった。そして空中で急旋回し、こんどはこちらの番だと攻撃に転じた。全身の小型砲台から、絶え間なく砲弾の豪雨が降り注ぐ。

「うわぁぁぁぁっ!」

 必死の回避行動のおかげか、艦隊の損害は軽微。しかし、アリゲラの持つ砲台の恐ろしさを気づかせるには十分すぎる一撃だった。

 これまでの深海棲艦獣の砲撃より威力は低いが、その分連射性能の高さは大型のものとは桁違いだ。それ故に素早さの高いアリゲラとの相性が良いのである。

「くっ…ガッツウィング1号の妖精さん、制圧射撃を!」

 これは一旦相手の動きを封じるしかない。艦載機を発艦させていた筑摩たちは、すぐに指示を出す。戻ってきたガッツウィング1号、ストライクビートル、マットジャイロがニードルレーザーやミサイルを放つ。しかし、アリゲラの動きは全く弱まらない。

「装甲まで強化されているのか…!?」

「このままじゃ泊地にすら近づけん!

 こいつは強敵だが…攻撃と救助の二手に分かれるか、ミライ殿…!?」

「…それしかない…!利根さんと筑摩さん、僕と一緒に泊地へ!残りの4人は、アリゲラを引きつけていてください!」

「任せてくれ!そう簡単には沈まん!」

 日向からの応答を聞き、ミライはスカイマスケッティのミサイルを全てアリゲラにぶち込み、隙を作った。

「今だ!」

 ミライ、利根、そして筑摩は、遠くにかすかに見える第102泊地へ急いだーーー

 

 ーーー第102泊地 執務室

「蒼龍…残りの食料は…?」

「持ってあと3日だよ…!」

「飛龍、資材の方は…?」

「入渠や補給を考えると、もう1回の出撃分しかありません…!」

「くっ…!みんな頑張れ、耐え抜くんだ…!きっと、きっと助けが来てくれる…!」

 第102泊地は、その維持能力を刻一刻と失いつつあった。

 数年前にここに着任した提督は、かつて利根へのひどい仕打ちをし、更迭された提督に代わって着任、なんとか全員の信頼を得て、戦いの中でもみんなで平和に過ごしつつあった。

 しかし一週間ほど前、そいつ…アリゲラはやって来た。

 大本営から深海棲艦獣に関しての注意勧告はここにも来ていたが、迎撃体制を整えるにはあまりにも突然過ぎた。

 それでも必死に抵抗をした。しかし、アリゲラの前には、現提督とケッコンカッコカリをした、二航戦の蒼龍、飛龍さえも全く歯が立たず、鎮守府の設備も今いる執務棟を含めた一部を残して更地にされ、外部との連絡も封じられた。

「提督…私達、どうなっちゃうの…!?」

「ここで終わりなんて…やだやだぁ…!」

「大丈夫…きっと大丈夫だから…!」

 いつ心が折れてもおかしくないこの状況。この3人以外のここのメンバーたちも同じだ。

「くっ!」

 提督は無駄だとわかっていても、通信マイクを取らずにはいられなかった。

「こちら第102泊地!救助を求む!

 こちら第102泊地!誰か、誰かいませんか!応答をお願いします!」

 しかしやはりというか、返答は返ってこない。

「ちくしょう、ちくしょう…!!」

 悔しさを顔に滲ませ、うなだれる提督。が、その時だった。雑音混じりのマイクが、明らかに異なる音を伝えたのだ。

 

「ザーッ…ちら…ザッ…じゅふ…ザザーッ…せよ、第102はく…応答せよ…」

 

「!!!」

 提督はそれが何かを察した瞬間、スグにマイクに呼びかける。

「こちら第102泊地!こちら第102泊地!

 我々の声が聞こえますか!?応答願います!」

 そしてその向こうからは、先程よりも随分とはっきりとした声。

 

「こちら第35鎮守府調査艦隊、旗艦利根!」

 

「利根さん!?」

「利根さんなの!?」

 その声を聞き、蒼龍と飛龍がマイクに寄ってくる。

「2人とも久しぶりじゃな。だが話している時間はない!急いで泊地の全員を、非常用出口へ集めるのじゃ!」

「わ、分かった!蒼龍、飛龍!」

「「はい!」」

 救助が来た。それが、折れかけていた心に光を差し込ませた。

 そこからの動きは素早く、程なくして全員が非常用出口へと集まった。

「利根さん!全員集まったよ!」

「よし!」

 すると、出口前の海に、スカイマスケッティから大型緊急避難艇が投下される。

「みんな、乗って!」

 上空のミライが呼びかけで、一斉に乗り込む第102泊地の面々。多少窮屈ではあるが、なんとか全員を乗せられた。

「やつが来ないうちに!急ぎましょう!」

 利根、筑摩が船の脇につき護衛する。スカイマスケッティも上空から、付かず離れず一定の距離を保っている。

 しかし…

 

「利根!利根!?こちら日向!

 すまん、こちらで食い止めているのも限界だ…!そっちにアリゲラが向かった!」

「何じゃて!?」ーーー




今回も読んでいただきありがとうございました!

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不定期更新が続いていますが、次回もぜひよろしくですm(_ _)m

ではまた!

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