IS-Lost/Load-   作:reizen

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FGOのイベント、終わっちゃいましたね……。
ヒョウタン、牛若丸の礼装にしようか牙とかモニュメントとかにしようか迷っています。

……ちなみに、牛若丸の礼装は2枚あります。1枚ドロップしました。


ep.7 真剣勝負は突然に

 気が付いたら寝ていたみたいで、俺は体を伸ばしながら顔を洗ってリフレッシュするために洗面所に向かっていると、チャイムが鳴る。

 俺はそれを無視すると何度も鳴らされた。

 

「あー、もう! うるせえんだよ!」

「よぉ。鳴らしたんだから早く出てくれよ」

「勝手に来てその言いようとは、随分な扱いだなおい」

 

 織斑だった。というか、何の用だよ。

 

「にしても本当に一軒家に暮らしてんだな。俺も一緒に住んでいいか? 寮の中だと女子が下着姿でいるから目のやり場に困るんだ」

「そうか。それは大変だな。俺も男だし気持ちはわかる―――だが断る」

 

 織斑はどこの芸人だと言いたくなるほど仰天したが、まさかこいつには自覚がないのか?

 

「何でだよ!? 同じ男同士だし、良いだろ!!」

「ここは俺のプライベートハウスだ。お前みたいな馬鹿を入れて俺の知能数が減ったらどう責任取るつもりだ?」

「馬鹿って……」

「オルコットの言葉に簡単に言い返す間抜けを馬鹿というのは考えてみれば本物の馬鹿には失礼だな。その点を踏まえてお前のことはこれからは「カス」や「ゴミ」と呼ぶことにしよう」

 

 大体こいつのせいで俺の人生は狂っている。

 そもそもあの大学に行けたら俺の人生はまさしく薔薇色と呼ばれるのに相応しい道になってたんだ。それをこいつがIS学園の試験会場で迷った挙句に何故か触れたせいでこうなった。

 

「いくら何でもそれは酷いぞ!?」

「そんなことより、お前ちゃんとISの練習してんだろうな? もし当日負けたら両手両足切断しろよ」

「何でそうなるんだよ!? っていうかそっちの方は良いのかよ! 授業を途中でフケて、あの後色々と大変だったんだぞ」

 

 そんなこと、俺の知ったことではない。

 

「そうだ。俺、これから剣道場に行くんだけど―――」

「茶番が終わるまでは部活禁止な」

「ちげぇよ! 箒が実力を見るから準備して剣道場に来いって言ってんだよ」

「………誰そいつ?」

 

 生憎クラスメイトの名前は織斑とオルコットぐらいしか知らない。元々周りとつるむ気は一切なかったし、まずそんな暇はないだろうしな。

 

「篠ノ之箒。俺の幼馴染だ」

「…………」

 

 少し考えてみる。

 今度の戦闘はいくらアホでカスで脳味噌スッカスカのゴミクズ野郎とはいえ、こいつの勝敗によって今後の展開が決まる。知っておいて損はないだろう。

 ということで俺は見学だけすることにした。

 

 

 

 

 

「織斑」

「何だ?」

「いや、すまない。単細胞……じゃないな。単細胞でも物は使いようだ。こいつの場合はカスだな」

「さも当然のように人を馬鹿にするなよ!?」

 

 はっきり言って、何でこいつはオルコットに喧嘩を売ったのかわからん。

 

「どういうことだ」

「いや、どういうことって言われても……」

「どうしてここまで弱くなっている!?」

 

 どうやら織斑は過去は強かったようだが、今ではその面影は全くない。

 

「受験勉強してたから、かな?」

「中学では何部に所属していた?」

「帰宅部。3年連続皆勤賞だ」

 

 それ、この状況じゃ誇れねえよ。ま、俺の場合皆勤賞とかできたことないけど。

 

「鍛え直す! IS以前の問題だ! これから毎日、放課後3時間、私が稽古をつけてやる!」

「え? それはちょっと長いような―――っていうかISのことをだな」

「だから、それ以前の問題だと言っている!」

 

 果たして剣道のすべてがISで使用できるかはさておき、体力は必要だろうな。

 とはいえ篠ノ之も普通じゃないな。ちょっとググってみるか…………へぇ、こいつ剣道の全国大会で優勝してるのか。出場しているだけでも十分称賛ものだろうに。

 

「情けない。ISを使うならまだしも、剣道で男が女に負けるなど……悔しくはないのか、一夏!」

「そりゃ、まぁ……格好悪いとは思うけど」

「格好? 格好を気にすることができる立場か! それとも、何だ。やはりこうして女子に囲まれるのが楽しいのか?」

 

 ここがIS学園じゃなかったら楽しいだろうな。あと、女尊男卑の女がいなかったらの話だが。

 

「楽しいわけあるか! 珍獣扱いじゃねえか! その上、女子と同居までさせられているんだぞ! 何が悲しくてこんな―――」

「わ、私と暮らすのが不服だというのか!?」

 

 そう言って竹刀を振り下ろす篠ノ之。間一髪で織斑は片手で受け止める。とりあえず面はそのまま落とせよ。

 にしても篠ノ之、不安定すぎるだろ。何でそこでキレる。

 

「お、落ち着け箒。俺はまだ死にたくないし、お前もまだ殺人犯になりたい年頃でもないだろ」

「………そもそも殺人犯になりたい年頃とかあるのかよ」

 

 思わず突っ込んだが、まぁこれは止めるか。

 

「まぁ、篠ノ之も落ち着いて竹刀を収めろ。後、殴るのは頭部じゃなくて腹にしてくれ。どこかのアホがこのゴミの頭をぼかすか殴ってるからとっくに思考が後退してる」

「………それは千冬さんのことか?」

「メインはそいつだろうよ。そうじゃなかったら最初から俺みたいに女と別室になるように家を建ててもらってるからな」

 

 その言葉に篠ノ之は驚いていた。

 

「い、家……?」

「1年生用の寮の隣に家があるだろ? あれ、俺の部屋……まぁ、形的に家と言っているがな」

 

 結構広いからな。出て行く時は荷物が多くて辛いだろうが。

 

「それよりさっき気になったんだけど」

「何だ?」

「普通、幼馴染だからって男と同室って嫌だろ。真っ当な女なら教員に抗議しているはずだ。「男と同居なんて恥ずかしいから嫌だ」とな。それをしないのは、ハニトラ専門か淫乱女か好―――」

 

 ―――パシンッ!!

 

 間一髪で竹刀を回避した。あっぶね。

 

「全く。俺みたいなデブじゃなかったら普通に死ぬぞ」

 

 引き戻そうとする竹刀を足で止める。

 

「その足をどけろ!」

「退けたら殺されるから嫌。それよりもお前が織斑の事がす―――」

「黙れ!!」

 

 なるほど。これはビンゴだな。道理で付いてきたら俺を睨んできたわけだ。

 

「大体察したが、これだけ言われてもらうわ」

「何だ?」

「男を舐め過ぎだ。そうやって殴ったら従うなんて思っているなら今すぐその感情を捨てるんだな。お前には無理だ」

 

 そう言って竹刀から足を退ける。

 

「………貴様」

「そう睨むな。だがはっきり言わせてもらうとアンタみたいなのがそんな感情とその胸を持っていても宝の持ち腐れ。性格を少しは変える努力はしないと、人は離れていく。ましてや、男なんて猶更だ。もしかしたら、今アレがお前の所にいるのは単純にこの学園内で知り合いだからなだけかもしれないな」

 

 ………というか普通、浮気したわけでもないのにこうポンポン殴られると誰だって嫌になるぜ?

 

「………お前は……どこを見て……」

「にしても大きいな。まだ15か16だろ? それでその大きさは中学の時点でヤってホルモン放出しまくった結果か、もしくは遺伝………か?」

 

 こいつ日本人だよな? その割には胸が大きすぎないか?

 そう考え込んでいると、俺は身の危険を感じて回避した。

 

「貴様の方こそ……その性格を矯正してやる!」

「……ちっ。どうやらアンタは大きなお友達が必要なようだな!」

 

 織斑の竹刀を奪って振り下ろされる竹刀を受け止めた。

 

「なにっ!?」

 

 そのまま竹刀の先端を下に向け、篠ノ之のバランスを崩して後ろから叩いた。

 

「―――!!?」

「ところで一つ聞きたいんだが、竹刀で思いっきり首の後ろを叩いたらどうなるんだろうな?」

「………参った」

 

 どうやらようやく落ち着いてくれたらしい。

 

「全く。少しは人の話を聞く努力でもしろよ。確かにマジマジと見るのは悪かったが、だからと言って将来的にも見られるわけなんだし男にとってもその胸は毒だし魅力だ。もう少し自分の肢体を見つめ直して作戦を練った方が良い」

「………だがこいつは―――」

「まぁ、今の俺らの特殊性を考えて彼女なんざ作るものじゃないがな」

 

 竹刀を織斑に投げて返すと迫られたので反射的にゴールデンボールを彼方に向かってシュートした。

 

「…………」

「ああ、悪い。反射的にやってしまった」

「……はん…しゃてき………て」

「まぁ、昔ちょっとヤンチャが多い学校にいたからな。その対処法を使ってしまった。悪かったな」

 

 本来なら、玉蹴りの後に両目を指2本とフレンチキスさせて道路が近いなら突き飛ばすが、今回は反射的に蹴ったこっちに非があるので形だけ謝っておく。

 

「にしても凄いな。全国で優勝した箒相手に―――」

「別に。あんなのは初歩的な心理戦の1つだ。激昂している相手なら単純な奴ほど簡単な攻撃してこない。なのに無駄に力を籠めるからそれを逃がせば簡単に流せる。まぁ、本当ならあの行為は向こうに全面的に非があるから、最初に受け止めずに喉を突いて呼吸を乱れさせてから、拘束して裸にして隅々まで撮影してネットにアップすれば社会的に抹殺できるが」

「…………いや、流石にそれは可哀想だろ。っていうか何でそんな発想になるんだよ」

「俺に向かって来る奴って、大体頭がおかしい奴らだったから。過去にパンツすら脱がされて写真を撮られたことがあるからな。後でそいつらを全校集会を乗っ取って「援助交際で稼いでいるみだらなJKです。激しいセックス希望です」という文を作って男たちの性欲を駆り立ててから警察に逮捕させたけど。いやぁ、あの時は凄かったな」

 

 ひん剝かれているところに警察が乱入させてわいせつ罪で逮捕。去り際に「ザマァwww」と笑ってクールに去ったら後ろから罵倒されたが、所詮は負け犬の遠吠えだ。

 

「じゃあお前の実力は大体わかったから帰るわ」

「え? 何でだ?」

「帰って勉強。俺はお前と違って真面目なんでね」

「………いや、真面目なら途中で帰ったりしないだろ」

「あれは別だ。大体、全体的にアホしかいないのが悪い。お前も含めてな」

「俺はアホじゃねえよ!?」

 

 ………いや、はっきり言ってアホの代表格はお前だけど。

 ま、ここで問答したって時間の無駄だ。とりあえず今は更識に時間があるか聞いてみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 不登校になってから2日が経った放課後。俺たちは今、真剣勝負をしている。

 俺の戦績は7戦7敗。勝負はあと3戦のみ。だが、更識も本気だ。何故ならこの戦いは―――貞操を賭けている。

 

 織斑の実力を考えて俺の身体能力を向上させる必要があるので、時間がある時や休憩時にこうして相手をしてもらっている。

 

「………やるわね」

 

 俺は息が上がっているのに、向こうは息を切らしていない。だが目は鋭いのは賭けの条件が問題だった。

 

 ―――更識に1勝すればキス、3勝すればおっぱいを吸える、5勝すれば抱き枕、10勝すればセックスできる、だ

 

「良いわよ。私、負けないから」

 

 なお、この時の言葉は本当だったのは気付いていたが、目が死んでいた。

 お互い胴着を着ておらず、片や体操服で片や今度の試合用に厳選した服装をしている。

 

「……でも、1つ聞いていいかしら?」

「………何だ?」

「何でさっきから執拗に私の胸とか尻とか足とか狙って来るの!?」

 

 ………馬鹿が。そんなこともわからないのか。

 

「胸や尻は女の弱点。足を潰せばそのまま持って帰って色々なことをできるかな」

「酷い! もう性欲の塊と言っても過言じゃないわ!」

「………もしかしたら、精神年齢が14辺りで止まっているのが原因かもしれないな」

「………青春を犠牲にしすぎでしょ」

 

 そうでもしなかったら日都なんかに合格できるか。

 

「仕方ない。こうなったらあと3勝しておっぱいを吸う!」

「言動最悪すぎるでしょ!?」

 

 ふん。それもこれも………すべて我が内に眠る野生を解放するためだ。

 目覚めろ我が内に野生よ! 女を食らうため目覚めろ、オスの本能!

 

「食らいつく!!」

 

 ―――ま、結果は言うまでもないけどな

 

「………夜塚君、正直私はあなたのことを尊敬してたわ。勉強する姿勢もこうして戦って強くなろうとする気持ちは買うけど………はっきり言って気持ち悪い!」

「………うーん。やっぱり失敗だったのか?」

「何がよ」

「性欲を力に変えて戦う方法は」

 

 更識を選んだのはおそらく男のすべてが欲する体型をしているから。バランスが整っているという点ではこいつは凄い。そのために恥を捨てて向かってみたが、どうやら失敗だったようで……。

 

「もしかして、私と戦うこと自体が問題だったんじゃないかしら?」

「どういうことだ?」

「………ほら、私を独り占めしたいとか欲求心とか………仮に、私が織斑君に告白されたりしたら―――」

「………ああ、つまり俺と織斑でお前を取り合うのね。だけどその前に俺の圧勝だろうけどな」

「何で?」

「単純なキリングマシンが勝手に殺しに行ってくれるから」

 

 あれならば間違いなく勝手に殺しに行ってくれるはずだ。

 

「そう言えば、前々から思っていたんだけど………どうして私のことは警戒しないの……?」

「いざとなれば妹に手を出すから」

「…………なるほど。こっちも人質を取られていたわけね」

 

 当然だ。初日に帰った後に妹が日本の代表候補生をしていることは把握済み。何故かIS学園に行くことが知られているのはプライベートがないんじゃないかと考えているが、おかげでIS学園の1年生だということはわかった。

 

「でも、もし妹に手を出したら殺すわよ」

「お前が変なアクションを起こさなければな。ま、もしオルコットみたいな奴だったら―――」

「それはないわ」

 

 あ、殺意が怖いので収めてください。そろそろ冷汗が止まらないです。

 そんなこんなで、俺たちは1週間を迎えた。その間、俺は更識に負けたので仕方なく学校に通ったが、やっぱり家で勉強している方がはるかにマシだった。




透「妹に手を出したら命が危ないので、妹との接触は様子見、と」

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