インフィニット・ストラトス~ドイツの黒き皇帝~(凍結)   作:鈴木颯手

9 / 45
さっきランキングを見たらのってた。初めてだ。
あまりの嬉しさに狂喜乱舞してしまった。これからもバンバン投稿していきます。


第八話

「クロエにラウラ、初めて見るISの試合はどうだった?」

 

ドイツ帝国が勝利してから少しして皇帝専用席で観戦していたヴィルヘルム六世はいまだに呆けている二人に聞いた。

 

「…とても凄かったです」

 

「…」

 

クロエが辛うじてそれだけ言ってラウラはいまだに呆けている。ヴィルヘルム六世はそれを苦笑しつつ話す。

 

「まあ、高度なISの試合を見れば誰でもそうなるだろう。俺も第一回モンド・グロッソを見たときはそうなったしな」

 

加えて二人はISを初めて見たことになる。研究所から保護してからまだ一週間しか経っていない。その期間はずっと皇宮にいたためISどころか外の世界は全て新鮮に思えるだろう。何せ初めて見るのだから。

 

「あ、次の対戦表が出たようですよ」

 

「お、本当だ。えっと、何々。次は…」

 

 

そこでヴィルヘルム六世は思わず固まってしまう。そこにはスペイン代表対日本代表と書いてあったからだ。ヴィルヘルム六世は先程のやり取りを思いだし無表情となってしまう。

 

「…陛下?」

 

「どうかしたのか?」

 

ふとヴィルヘルム六世の手になにかが触れる。手を見れば二つの手が。その先を追えば不安そうな顔をした二人の顔があった。

 

「陛下物凄く怖いです」

 

その言葉にヴィルヘルム六世は思わず自分の顔をさわってしまう。

 

「…すまない、少し嫌なことを思い出した」

 

顔を左右にふっていつもの表情を作る。

 

「さ、俺はもう大丈夫だから試合を見よう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【シールドエンプティー!勝者、日本代表織斑千冬!】

 

そのアナウンスにとてつもない歓声が響く。あまりの音量にクロエとラウラのみならず後ろに控えていた武装親衛隊も目を回してしまう。

 

そんな状態でもヴィルヘルム六世は険しい表情で織斑千冬を見ていた。それは見る人が見れば睨み付けているようにも見えた。

 

【私はブリュンヒルデ。あなたよりも影響力は上ですよ?】

 

【皇帝、あなたも所詮与えられた玩具を喜ぶ子供でしかない】

 

「…くそが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一回戦は終了して第二回戦は明日行われるため既に半数近くがアリーナを出て予約していた宿泊施設に向かったりベルリンの観光をしていたりする。

 

「今日の試合はとても凄かったです。ありがとうございました」

 

「とても楽しかったです」

 

迫力ある試合を見れたクロエとラウラは皇宮に向かう車の中でヴィルヘルム六世にお礼を言う。とても楽しかったらしく二人の顔はキラキラ輝いていた。

 

「それはよかった。俺も見せた甲斐があるよ」

 

ヴィルヘルム六世は二人の様子を微笑ましく思いながら返答する。年頃の少女らしく話題はともかく話に花を咲かせているメイド服を着た銀髪美少女は眼福である。

 

「第二回戦は勝ち上がった八か国の代表が戦うからな、一回戦よりも高度な試合が見れると思うぞ」

 

「本当ですか!?」

 

「それは楽しみです!」

 

ヴィルヘルム六世の言葉に二人は身を乗り出して聞く。

 

「イタリア結構強かったよね」

 

「アメリカも凄かったよ!アリーナが爆発してたもん!」

 

「まあ、俺としてはドイツを応援してほしいけどな」

 

はしゃぐ二人を眺める。

 

「そろそろつくから降りる支度をしろよ」

 

「「はーい」」

 

皇宮につくとアルベルトが待っていた。アルベルトが待っているときは大抵何かしらの事があるときと理解しているヴィルヘルム六世はクロエとラウラを使用人に任せアルベルトと執務室に入った。

 

「…で、何があった?」

 

ヴィルヘルム六世は真剣な表情でアルベルトに聞く。

 

「試合中、不自然なことをしている輩を目撃したと情報が入りました」

 

「不自然なこと?」

 

「はい、織斑千冬の試合をカメラに納めていたとのことです」

 

「それだけならどこにでもいる織斑千冬のファンだろう。あんなのの何がいいのか」

 

ドイツ帝国にも織斑千冬のファンは一定数いる。ドイツ帝国では男女平等を掲げて差別的なことをしたやつを厳しく取り締まっていた。

 

「それがテレビ局が使うような大型のカメラに電波を発していたアンテナがあったそうです」

 

「…」

 

その事を聞いてヴィルヘルム六世は黙る。基本テレビ局は全て指定の場所でしか撮影が許可されていない。その分見やすいようにと色々と配慮をしていた。そんな状態ゆえに観客席でそんな邪魔なものを使っているのは不自然であった。

 

「そいつらはその後どうした?」

 

「織斑千冬の試合が終わり次第会場を去ったそうです。後をつけさせた結果これが」

 

そう言ってタブレットの画面を見せてくる。画面には二人の男と白衣を着た女性が映っていた。

 

「指名手配中の違法研究者です。主にISを専門としておりVT兵器の製作に関わっています」

 

「…となると目的は」

 

「織斑千冬の稼働データ」

 

あまりの事態に思わず頭を抱えてしまう。

 

VT兵器はドイツ帝国どころか世界中で禁止されている兵器でドイツ帝国は他国以上に厳しく取り締まっているがそれでも漏れは出てしまう。画面に映っているのはその漏れたものたちの一人だ。

 

「…とにかく、明日も人を変えてデータを取りに来る可能性がある。今まで以上に警備を厳しくするように」

 

「了解しました!」

 




第一回戦結果
◯イギリス対カナダ●
◯ドイツ帝国対オスマン帝国●
●スペイン対日本◯
●南アフリカ対アメリカ◯
●メキシコ対イタリア◯
◯インド対タイ●
◯ロシア対ブラジル●
●フィリピン対中国◯

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。