インフィニット・ストラトス~ドイツの黒き皇帝~(凍結)   作:鈴木颯手

8 / 45
活動報告にアンケートをのせておきました。是非そちらもお願いします。


第七話

「くっ!」

 

オスマン帝国の代表アイセルの一撃をうけて地面に落下したアルビーナは直ぐに体勢を立て直して次の攻撃に備えた。

 

「へぇ、意外とダメージは入っていないみたいだねぇ」

 

アイセルは上空からアルビーナの様子を見てそう考察しているが実際は結構なクリーンヒットでシールドは半分を下回っていた。

 

「(次同じことをされたら負ける!)」

 

それはドイツ帝国に傷を残すようなことである。自国で開催されたにも拘らず一回戦で大したダメージを与えることもできずに負けたとあってはアルビーナが代表の座を降りるだけでは済まないような出来事である。

 

仮にそうなった場合各国に対する影響力は下がり代わりにアメリカが台頭してくるであろう。この世界におけるアメリカの影響力は極限まで低い。せいぜいカナダや南アメリカ諸国、日本や中国の主要都市くらいであろう。

 

ドイツ帝国の影響力はそれを越えヨーロッパ全土だけではなくソ連解体で介入したロシア、中国の西方自治区、東南アジアにアフリカと巨大な影響力を有していた。もし第三次世界大戦が起きればドイツ帝国とアメリカの戦争となるだろう。

 

アルビーナはアサルトライフルをしまい北方研究所が作り上げた対IS用マシンガン「ウェスティンフォックス」を取り出す。先端に光る刃を取り付けたそれをアイセルに向けて構える。

 

「またそんな玩具を取り出して…。そんなんであたしの装甲は抜けないよ!」

 

アイセルはイグニッション・ブーストを発動。先程とは比べ物にならないスピードで接近する。そのスピードはイタリアのテンペスタを優に上回っており見る人が見れば一瞬で移動したようにも見えるスピードであった。

 

しかし、アルビーナは冷静にアイセルに一発だけ撃つ。放たれた弾はぶれることなくアイセルの右肩の装甲にぶつかり、

 

大爆発を起こした。

 

「んな!?」

 

いきなりのことに驚いたアイセルは軌道がずれてあらぬ方向へ飛んでいき地面に激突した。そのときの勢いはすさまじく寸前に起きた大爆発を上回っていた。もしあれがアルビーナに当たっていれば負けていたどころか怪我をおった可能性すらあった。

 

「ッ!…一体何をしたんだい?まさか爆発するとは思わなかったよ」

 

直ぐに体勢を立て直したアイセルは警戒しつつアルビーナに訪ねる。

 

「…最新武器、とだけ言っておきます」

 

それだけ言うとアルビーナは三点バーストでアイセルに放つ。アイセルはそれを避けるために上空に逃げる。避けられた弾は地面や壁にぶつかって爆発を起こした。

 

「…なるほど、弾に衝撃が加わると爆発するってところかね。ったく厄介な武器だね」

 

アイセルはウェスティンフォックスの性能を見破り悪態をついた。

 

ウェスティンフォックスは北方研究所の自信作で銃口より出た弾が大きな衝撃を受けると爆発するという仕組みだ。上手くいけば敵に大ダメージが与えられると言うことだがその特性上自分の近くでは使えないため遠距離用の武器であった。

 

「だけど爆発するってことは自分の近くでは使えない…。なら!」

 

アイセルは今度はアルビーナの回りを回りながら近づいていく。

 

「当たらずに近づけばいい!」

 

アルビーナが気づかないうちに後ろへ回ったアイセルは再びイグニッション・ブーストを発動。一瞬でアルビーナを近接ブレードの射程圏内に納めた。

 

「貰った!」

 

気付いたアルビーナが振り返ろうとするが振り下ろされる近接ブレードの方が若干早い。そして近接ブレードがアルビーナの体を、

 

ガキィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!!!!

 

切り裂くよりも早く間に入った剣により弾かれた。

 

「んな!?」

 

近接ブレードが弾かれ体ががら空きとなったところに素早く後ろに下がりつつフルオートにしたウェスティンフォックスを放つ。

 

アイセルが避けようとするが避けきれずにほぼ全弾を受けてしまう。そして装甲のない腹の部分だったため絶対防御が発動。大きくエネルギーを消費して、

 

【試合終了!オスマン帝国代表シールドエンプティー!勝者ドイツ帝国代表アルビーナ・フォン・バッケスホーフ!】

 

空となり試合終了のアナウンスが流れると割れるような歓声が響く。アルビーナは見事勝利したのである。

 

「…いや~、まさかあのタイミングでブレードを出すとはね」

 

「あの時取り出していなかったら負けていたのはこちらでした」

 

「だろうね。…はぁ、勝てると思ったんだけどね~」

 

「私だって負けるわけにはいきません。開催国として、ドイツ帝国の代表として、無様をさらすことは避けないと行けません」

 

「そうかい、ならせいぜい頑張るんだね。あたしはこれからあいつに説教を受けるだろうからね」

 

アイセルが向ける視線の先には顔を真っ赤にして喚いているオスマン帝国IS総まとめ役がいた。

 

「それは…お疲れ様です」

 

「全くだよ」

 

アイセルは今後のことを考えて再びため息をはいた。

 

何はともあれドイツ帝国はオスマン帝国に勝ち無事に二回戦へと駒を進めるのであった。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。