インフィニット・ストラトス~ドイツの黒き皇帝~(凍結)   作:鈴木颯手

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第三話

「さて、気を取り直して皇宮へようこそ。俺は君たちを歓迎するよ」

 

説教を受け終えた若干疲労した顔で少女たちを迎える。

 

少女たちはきれいになったため銀色の髪が幻想的な風景を出している。

 

「改めて自己紹介を。俺はドイツ帝国皇帝フリードリヒ・フォン・ヴィルヘルム・ヴィクトル・プロイセンだ。長いから好きな様に呼んでくれて構わない」

 

その言葉に後ろに控えていたドイツ帝国宰相アルベルト・フォン・バイルシュミットはヴィルヘルム六世を睨む。気軽にそんな事を言うな、と目が語っており見えていない筈のヴィルヘルム六世も肌で感じており少女たちは震えあがっていた。

 

それを無理矢理遮断して少女たちに話しかける。

 

「それで、君たちの名前を教えてくれないか?聞いていなかったからな」

 

ヴィルヘルム六世の言葉に少女たちは戸惑う。やがて目を閉じた少女が言う。

 

「…名前は…ありません。ずっと…番号で呼ばれていました」

 

それを聞いたヴィルヘルム六世は一瞬無表情となるがすぐに困惑した顔になる。

 

「それは困ったな。…よし、俺が名前を付けてやろう」

 

ヴィルヘルム六世の言葉に少女たちは驚く。そしてアルベルトじゃ呆れた。

 

「あの、いいんですか?」

 

「別に構わないよ。こんな俺が名づける名前でいいのなら」

 

このドイツ帝国どころか影響力のある国や地域で嫌がるものはいないだろう。もし断れば熱心な信者にボコボコにされる可能性もあるが。

 

「それじゃあ、お願いします…」

 

「任せろ。…よし!君はクロエでそっちの君がラウラだな」

 

目を閉じた少女がクロエ、もう一人がラウラとなった。名前を貰った二人は感動しているがヴィルヘルム六世はこれからについて話す。

 

「君たちは今日から暫くの間はここで生活してもらう。念のために一般常識を確認して足りないところを教えていくつもりだ。特に問題はないか?」

 

「は、はい」

 

「むしろありがとうございます」

 

クロエとラウラは戸惑いつつもお礼を言う。

 

「よし、今日はもう遅いから細かいことは明日からにして今日はもう寝よう」

 

さあ、こっちだとラウラとクロエの手をとり案内する。それを慌ててアルベルトが止める。

 

「お止めください!ラウラ殿とクロエ殿は私が責任を持って寝室に案内しますのでどうか陛下はお休みになってください!」

 

「そ、そうか?なら頼むぞ。流石に眠くなってきていたところだ」

 

アルベルトの必死な様子に若干引きつつも自身も眠いからと寝室に一人向かった。

 

そのようすを見ていたアルベルトは見えなくなると影に控えていたものを呼び出した。

 

「陛下は寝室に向かいになられた。急いで先回りして…分かっているな?」

 

アルベルトの言葉に影に控えていたものは一礼して再び影に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィルヘルム六世が寝室に入ったときに違和感に気づくのと扉の影からナイフを持った男が動いたのはほぼ同一であった。

 

ヴィルヘルム六世は男がつき出したナイフをかわし伸びた腕を掴んだ。

 

「また刺客か。これで何度目だったかな?」

 

ヴィルヘルム六世はため息を吐きつつもう片方の手に隠し持ったナイフを突き刺してこようとする男をかわし両手をつかみ×の字に手を交差させるとそのまま中心地点を蹴りあげた。中心地点は丁度関節のところになっておりヴィルヘルム六世の一撃により一瞬で腕が絶対に曲がらない方向に曲がってしまう。更にヴィルヘルム六世の一撃はかなりの威力があったのか骨が肉を突き破り欠けた骨が飛散し、周りに散らばった。

 

「グアアァアァァアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアァアアァァァアァッ!!!!!!!!」

 

刺客はたまらず悲鳴を上げてしまう。顔は脂汗でびっしょりで折れた手からは血が滝のように出ている。

 

「陛下!何事で…!?刺客だ!陛下を狙う賊が出たぞ!」

 

そこへ刺客の悲鳴を聞いて駆け付けた高官の声によって衛兵がすぐにやってきた両手を失った刺客は連れていかれた。今後両手を治療しつつ雇い主を調べるために尋問していくことおなるだろう。

 

ドイツ帝国では相手の身体を傷つける拷問は禁止されている。その代わりにヒトラー政権時に開発された断眠拷問が奨励されている。

 

これは絶えず体に刺激を与えて寝かさない方法で遅くても一週間で受けたものは発狂死してしまう。既に何人もの刺客がこれにより死んでいたり音を上げて雇い主を話してしまったりするためとある時代の皇帝の時は「刺客殺し」としてとても使われた時期があったとか。


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