インフィニット・ストラトス~ドイツの黒き皇帝~(凍結)   作:鈴木颯手

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シャルロッ党の方すいません。


第三十二話

「ハハハハハハハっ!!!クラーラとコルネリアの奴「ヴェアウォルフ」と「フォート」を使ったか!」

 

皇帝専用席を後にして次が試合のためピットで様子を見ていたヴィルヘルム六世はクラーラとコルネリアがまとう機体を見て声をあげて笑った。

 

「大佐殿、あれは何ですか?」

 

ラウラも予想外だったのか困惑の表情で訪ねてくる。気分がいいヴィルヘルム六世はそれに答えた。

 

「あれはドイツ帝国が量産型として作ろうとした失敗作だ」

 

「失敗作?」

 

「そうだ。だが、別に問題がある訳ではない」

 

「ではなぜ?」

 

ラウラの疑問にヴィルヘルム六世は「簡単だよ」と言う。

 

「あれを扱いきれる人間がいなかったからさ」

 

「どういうことですか?」

 

「本来あれらは高機動、高火力を体現するISになるはずだった。…いや、それ以上となってしまった。結果求められる操縦技術が高すぎて一握りの者しか扱いきれなくなってしまったんだ」

 

「そうだったのですか」

 

「まあ、あれはラウラやクロエ、ターニャは問題なく使えるだろう。だが、三人とも最新鋭機を持っているからな。他のもので使えたあの二人に渡したってわけだ」

 

ヴィルヘルム六世が言う通り二人のISは性能が高く織斑一夏とシャルル・デュノアは何とか耐えている状態であった。

 

「そんな機体だからな。ここの生徒相手には無双してしまうから「モーゲンタウ」を支給したってわけだ」

 

「つまり、あれが出た時点で」

 

「クラーラとコルネリアが勝つのは時間の問題さ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぁあぁ!」

 

コルネリアの一撃を受けて織斑一夏は大きく吹っ飛ばされる。試合開始からすでに十分。織斑一夏の纏う白式はボロボロでシールドエネルギーももうすぐで二桁になろうとしていた。

 

「この程度か?本当に同じ第三世代なのか疑わしいぜ」

 

対するコルネリアは損傷らしい損傷はなくつまらないのか欠伸を掻いていた。

 

それに織斑一夏は怒り何度目とも知れない突撃を慣行するも

 

「…ほんっと学習能力がねぇなぁ」

 

何度目とも知れない回避をして「フライクーゲル」で切り裂く。

 

「ぐっっ!ま、まだだぁ!」

 

切り裂かれて吹き飛びそうになるもこらえて反撃しようとするもそれすら避けられる。

 

「くそっ!あたらねぇ!」

 

「おいおい、まさかその程度の腕で俺に当てるつもりだったのか?てっきり遊んでいるのかと思ったぜ」

 

悪態をつく織斑一夏にコルネリアは心底驚いた表情を作る。しかし、すぐに獰猛な獣のような表情に変える。

 

「で、今更なんだがそれってお姉さんの武器と同じなんだってな」

 

「…それがどうした」

 

「いやぁ、使う人が違うだけでこうも変わるなんてな。俺からすれば今あんたが握っているのがただの屑鉄に見えるね」

 

「っ!千冬姉のことを悪く言うな!」

 

そう言って織斑一夏は突っ込んでくるもそれは先ほどから変わらない動きであるため簡単に避けられてしまう。

 

「織斑千冬がそんなに大切か?」

 

「当たり前だ!千冬姉は世界一凄い姉なんだ!」

 

その言葉を聞いたコルネリアは鼻で笑う。

 

「ハッ、あいつが?凄い?確かにすごいかもな。…一般常識が備わっていないあたりとかな」

 

「おまえぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

コルネリアは笑いながら攻撃とも呼べない粗末な攻撃を避けていく。

 

「くそ!正々堂々と戦え!」

 

「なんで?お前にそんなことをする価値がないのに」

 

「ふざけるな!」

 

「ふざける?Die gute(いいや)Legitime Bewertung(正当評価だ)

 

瞬間、織斑一夏を今までとは比べ物にならない衝撃が襲う。その衝撃は決して目の前のコルネリアの攻撃ではなかった。「まさか」と織斑一夏は後ろを向く。

 

Ich warte darauf(待たせた)。こっちは終わった」

 

「おうおう、はやいねぇ~。そっちは織斑一夏(こいつ)よりも骨があったと思ったんだが」

 

そこにはこちらに砲門を向けるクラーラと悔しそうに俯く負けたシャルロット・デュノアの姿があった。

 

「さて、早速ですが織斑一夏、Auf Wiedersehen(さようなら)

 

瞬間織斑一夏の意識は暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話は少し前まで遡る。シャルロット・デュノアとクラーラの対決は白熱した展開を見せていた。シャルロット・デュノアは自分が得意とする高速切替(ラビット・スイッチ)でスペック差をものともせずに戦っていた。しかし、

 

「ぐぅ!」

 

それでも世代差は大きく次第にダメージが蓄積されていた。

 

「中々やりますね。流石はデュノア社の娘」

 

クラーラもシャルロット・デュノアよりも少ないが確実にダメージが入っておりそのことを称賛した。

 

Aber(しかし)!それでも私達には勝てない!」

 

クラーラは背中にあるミサイル発射管からミサイルを放つと同時に左手の三門レーザー砲を放つ。

 

「くっ!」

 

シャルロット・デュノアは動き回りつつ追ってくるミサイルを迎撃していく。しかし、迎撃に集中してしまいクラーラの接近に気が付かない。

 

「しまt」

 

「はぁ!」

 

左手の三門レーザー砲をブレードモードにすると横なぎに切りつけた。これをシャルロット・デュノアは避けきれずにもろに食らう。

 

「くぅ!」

 

「…もう、シールドエネルギーも残っていないでしょう。諦めたらどうですか?」

 

クラーラの言う通りシャルロット・デュノアのシールドエネルギーは二桁に突入しており一発でも貰ったらそこで終わるような状態であった。しかし、シャルロット・デュノアはあきらめない。

 

「負けるもんかっ!このトーナメントで優勝して僕は自由を手に入れるんだ!」

 

その言葉に思わずクラーラは笑ってしまう。

 

「何がおかしい!?」

 

「いえ、無知とは幸せなのだと思いまして」

 

どういうこと?とシャルロット・デュノアが聞く前にクラーラは伝える。彼女の今後を。

 

「あなたにはこのトーナメントが終わり次第強制送還されることとなっています」

 

「…え?」

 

シャルロット・デュノアは思わず固まってしまう。それに対してクラーラは続ける。

 

「確かに大佐殿は約束されました。優勝出来たら収容所送りを取り消すと。しかし、収容所送りを取り消すとしか言っていません」

 

「…あ」

 

「つまりあなたにはどちらにせよ強制送還されることは決定していたのですよ」

 

クラーラは三門レーザー砲を向けるが反応しない。シャルロット・デュノアは心の中で何かが崩れる音を聞いて動けなくなっていた。

 

「安心してください。陛下の計らいでサンテ刑務所への服役が決まっています。よかったですね。里帰りが出来ますよ」

 

クラーラはそう言ってレーザー砲を放った。もろに受けたシャルロット・デュノアはシールドがからとなった。

 

「さて、コルネリアの援護に回りますか」

 

そうつぶやくとこちらに背を向ける織斑一夏へとレーザー砲を放ったのであった。

 


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