インフィニット・ストラトス~ドイツの黒き皇帝~(凍結) 作:鈴木颯手
ヴィルヘルム六世が入学してから四日、シャルル・デュノアが入学してから五日が経過したころアルベルトから待ちに待った知らせが届いた。
『調べた結果高官の部下が買収されていたことが判明しました。多額の金で戸籍を改竄していたようです』
「そいつはどうした?」
『諜報部隊と海にダイビングへ行ったと聞いております』
「そうか。それでやはりシャルル・デュノアは女か?」
永遠のダイビングに行った奴に興味もないヴィルヘルム六世はシャルル・デュノアについての報告を聞く。
『はい。本名はシャルロット・デュノア。デュノア社のご令嬢ですが愛人の子ということが分かっております』
「動機は?…まあ、聞かなくてもある程度は予想がつくがな」
ヴィルヘルム六世はそう肩をすくめていう。
「どうせシュヴァルツェア型のデータが目的だろ?」
『その通りです。男性用ISと言えどそのデータは十分に転用可能です。どうやらそれを行うために派遣したようです』
「何とも幼稚な計画だ」
実際入学してからシャルル・デュノアは男とは思えないような行動をしておりスパイには向いていなかった。明らかな付け焼き刃であった。
『それで、デュノア社はどうしますか?部隊の編成は完了しています。何時でも乗り込めます』
「分かった。最高のタイミングで乗り込ませる。その時には指示を出す」
『分かりました』
それを最後に通信は切れた。ヴィルヘルム六世は一度部屋に戻りラウラを連れてシャルル・デュノアがいる部屋に行く。
「…確かシャルル・デュノアと織斑一夏は同部屋だったな」
「はい」
ヴィルヘルム六世は説明が面倒だと思いながらドアをノックする。しばらくして扉が開いた。開けたのは織斑一夏であった。
「は、ハインリヒか。どうしたんだ?」
何故かかなりの動揺を見せる織斑一夏にヴィルヘルム六世は用件を伝える。
「シャルル・デュノアはいるか?」
「あ、ああ。でも今風邪を引いたみたいで」
「いるならいい。失礼する」
「あ!ちょ、ちょっと!」
織斑一夏の静止を聞かずに二人は中に入る。寮内はどこも同じ部屋で窓側の席に反対方向を向いて別途に入っているシャルル・デュノアの姿があった。
「ゴホンゴホン!ど、どうしたのハインリヒ?」
「…シャルロット・デュノア」
その言葉を聞いてシャルル・デュノア、もといシャルロット・デュノア及び何故か織斑一夏まで固まる。
「な、何の事かな?僕はシャルr「しらを切る必要はないぞ」…」
「既にお前がデータを取るために高官を買収しているのは調べがついている。…ああ、すまんな。あんたの親が買収したんだったな」
「…全部お見通しなんだね」
シャルロット・デュノアはあきらめたようでベットから出てきた。ヴィルヘルム六世が一歩近づくと織斑一夏が間に入ってきた。
「…なんだ?」
「あんた武装親衛隊なんだろ?頼むシャルロットを助けてやってくれ」
織斑一夏がそう頼んでくるが時既に遅しである。
「無理だ。既にデュノア社の企みは皇帝陛下の耳に入っている。先程デュノア社の解体が決定された。テレビをつけてみろ」
そう言ってテレビをつけされる。そこには緊急ニュースがやっていた。
【速報です!先程デュノア社にドイツ帝国軍の強制捜査が入りました!】
「「!?」」
そのニュースを見たシャルロット・デュノアと織斑一夏は驚いていた。そんな二人を無視してヴィルヘルム六世は話を続ける。
「デュノア夫妻及び重職についていた者全てはアウシュヴィッツ収容所に強制連行、他の中間管理職等は普通の刑務所に服役。残りの者たちはある程度は働き口を斡旋するがリストラと言う形になるな」
その内容にシャルロット・デュノアは顔を青くする。他国にはあまり知られてはいないがアドルフ・ヒトラーが残した負の遺産があった。その一つがアウシュヴィッツ収容所でドイツ革命時に殺されなかった粛清対象者が入れられたのだ。その行いは酷く収容された二千人は半年で二百人にまで減る重労働をさせられたのだ。
そのためドイツ帝国領内では子供が悪いことをすると「アウシュヴィッツに連れていかれるよ」と言われている。因みに収容所は皇帝が代替わりする度に改善されており昔ほど酷くはないがそれでも死者が出るほど辛いことに代わりはなかった。更に言えば昔ではあり得なかった出所したものもいたりする。
「…終わったみたいだな」
テレビにはドイツ軍によって連行されるデュノア夫妻の姿が写っていた。
「さて、シャルロット・デュノア」
「は、はい!」
ヴィルヘルム六世に呼ばれビックリするシャルロット・デュノア。
「…高官達はアウシュヴィッツ収容所への連行が妥当だと言っていた」
それを聞いて死人のように顔を青くするシャルロット・デュノア。そこへ織斑一夏が割り込んでくる。
「何でだよ!?シャルロットは何も悪いことなんてしてないだろ!?」
「だがこいつはデュノア社のスパイとしてここに来たんだ。本来はあり得ないドイツ帝国からな」
実際よほどの事がない限り来年にならないとドイツ帝国から男子が来ることはない。
「…来てもらおうかシャルロット・デュノア。迎えのヘリを手配してある。後一時間程でつく」
ヴィルヘルム六世は冷たい声でそう宣言するのであった。
アウシュビッツにユダヤ人は入っていないよ。無能が入っただけで。
最近ヘルシングの某最後の大隊を出そうか迷っています。出すとなるとしばらく先になりますが。