インフィニット・ストラトス~ドイツの黒き皇帝~(凍結)   作:鈴木颯手

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どうしてこうなった


第十八話

「…あの、陛下」

 

「どうした?」

 

顔を真っ赤にしたクロエはヴィルヘルム六世の膝の上で縮こまっていた。

 

クロエとラウラ、ターニャが専用機を持ってから一月ほどが経過した。ターニャはともかくクロエとラウラは専用機持ちとしてふさわしい実力を身に付けつつあった。

 

そんな日常であったが二人が戻ってきたときにヴィルヘルム六世が言ったことも実行されていた。つまり毎日ヴィルヘルム六世はクロエとラウラと一緒に寝ているのだ。最初の頃は二人とも恥ずかしくて中々眠れない日々が続いたが一月も経てば慣れ今では違和感はあるものの普通に眠れるようにまでなっていた。

 

そんな状況でヴィルヘルム六世とクロエがこのような状況になっているのかと言うと単純な話で部屋で待機していたクロエを後ろから抱き寄せてヴィルヘルム六世が自身の膝の上に乗っけたのだ。

 

その事に驚き顔を真っ赤にしてクロエはされるがままとなっていたのだ。

 

流石にこのままと言うわけにはいかずクロエは声をかけているのだが中々上手く言えなかった。四年前、ヴィルヘルム六世に冗談混じりの告白を受けてからずっと心の中では意識し続けていたのだ。そのせいで縮こまっていたのだ。

 

「そ、そろそろ離していただけると、嬉しいのですが…」

 

「ダメ」

 

クロエのお願いにヴィルヘルム六世は即答した。

 

「で、でも」

 

「ダメ」

 

「あ、あの」

 

「ダメ」

 

「…はい」

 

有無を言わさない拒否の言葉にクロエは結局ヴィルヘルム六世のされるがままとなってしまった。

 

「…それとクロエ」

 

「な、なんでしょうか?」

 

顔を真っ赤にしたクロエは若干吃りながら返事をする。

 

「ドイツ帝国の皇族が俺一人しかいないのは分かっているな?」

 

「は、はい」

 

クロエは理由を掴みかねているのか真っ赤にした顔をヴィルヘルム六世に向けてくる。

 

「前までは国外の奴が嫁候補を送って来ていた程度だったが最近はアルベルトも嫁を選べと煩くてな」

 

ヴィルヘルム六世としてはあまりそういうことに興味はない。確かにヴィルヘルム六世とて男。綺麗な女性を目で追いかけたりするがそれだけだ。そのためドイツ帝国の未来を考えている宰相のアルベルトや他の高官達も嫁を迎えろ!と騒いでいたのだ。

 

「そこでだ、俺は嫁をとることにした」

 

「それは…、おめでとうございます…」

 

クロエはそれを聞いて少し悲しそうに俯いた。その様子を見たヴィルヘルム六世は苦笑しながら続きを言う。

 

「いやぁ、アルベルトが血筋にうるさい奴じゃなくて良かったよ。もし騒ぐようだったら一生独身になるつもりだったよ」

 

そうなればドイツ帝国は皇帝を失うことになる。たとえ養子で別の誰かを皇帝にしても血筋は繋がっていないため影響力はかなり下がるだろう。クロエはそう考えて少しゾッとした。

 

「…それでお相手はどちらで?」

 

クロエはたとえどんな人であろうと皇帝に忠義を尽くそうと心の中で考えた。しかし、次のヴィルヘルム六世の言葉に固まってしまう。

 

「クロエとラウラ」

 

「…へ?」

 

「だからクロエとラウラ」

 

「…」

 

予想外のことにクロエは固まってしまう。ヴィルヘルム六世はそれを無視して続きを言う。

 

「やっぱり結婚するならクロエとラウラしかいないからな。俺は四年前にも言ったが二人となら結婚しても良いと思ってるぞ」

 

「…~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!!!」

 

クロエはこれ以上ないまでに顔を真っ赤にして声にならない声をあげた。それに加えてヴィルヘルム六世の膝の上で暴れる。

 

「おい、落ち着けって」

 

暴れるクロエを押さえつけつつ更に続ける。

 

「これはアルベルトも他の高官達も認めている。今さら撤回はできないぞ」

 

アルベルト達が認めたのは単純にヴィルヘルム六世に早く結婚して後継者を作って欲しかったからなので、ヴィルヘルム六世もそれを察して今回の行動に出たのだ。

 

「それで?クロエはどうなんだ?俺はクロエとラウラと結婚してもいいと思うがクロエが嫌なら俺は無理強いはしないぞ?」

 

嫌なら断れとクロエに言うがクロエとて答えは決まっていた。

 

「…不束ものですがよろしくお願いします」

 

「勿論だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クロエの返事を聞いたヴィルヘルム六世はその後部屋に戻ってきたラウラにも結婚の件を伝えた。本人は真っ赤になっていたが了承した。結婚の日はクロエとラウラが十八になってからと決められた。

 

婚約者となったこと以外特に三人に変わったことはなかったが元が新婚生活みたいな感じだったのでそれが本当になっただけだが。

 

そして何事もなく時間は過ぎていき1月になった頃ドクトルから呼び出しがあった。

 

クロエとラウラ、ターニャを引き連れてヴィルヘルム六世は再び中央技術研究所を訪れた。

 

「ハハハハハハハハハハハッ!!!!!良く来てくれましたな!」

 

前に来たときと同じくハイテンションなドクトルはヴィルヘルム六世が語りかける前に話し始める。

 

「前に頼まれたISは問題なく完成しました。後は乗ってから確かめるだけですよ!」

 

「分かった。案内しろ」

 

ヴィルヘルム六世の言葉に従いドクトルはISが保管されている地下室へと向かう。

 

「いくらなんでも今回のは世界を揺るがすことなので信頼のおけるものしか知るものはいません」

 

地下につくと一番奥の扉を開ける。そこには黒いISが佇んでいた。そのISはそこにあるだけで高貴な雰囲気を出していた。

 

「これが陛下が操縦なされるIS。シュヴァルツェア・カイザーです!」

 

想像以上の出来具合にヴィルヘルム六世は人知れず笑うのであった。

 


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