インフィニット・ストラトス~ドイツの黒き皇帝~(凍結)   作:鈴木颯手

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皆さんお待たせしました!あの某白銀さんが登場しますよ!…最後にちょろっとですが


第十五話

「いよいよ明日だな姉上」

 

「そうね」

 

ドイツ帝国皇帝が住む皇宮はごく一部のものしか入れないようになっていた。入れるのはお世話をする使用人に皇帝の護衛である武装親衛隊、そして信頼されている一部の大臣のみとなっていた。

 

現在その皇宮のまえで二人の女性がいた。腰まで届く銀髪に整った顔はまるで人形のような可愛らしさを持っていた。

 

二人は皇宮に入るために門に近づく。それを見た門番が何事かと見ると武装親衛隊の証である鎌十字の腕章をつけているのを見て慌てて敬礼すると同時に今日配属される新しい武装親衛隊員のことを思い出してこの二人かと納得する。

 

二人は門番のところまでくると同じく敬礼する。

 

「本日より配属された武装親衛隊のものです。こちらがその証明書です」

 

そう言って片方が二枚の紙を見せてくる。それを受け取って確認すると偽物ではない正規の証明書だと分かり二人に返す。

 

「確かに確認しました。皇帝陛下は現在執務室にいらっしゃいます」

 

「分かりました。それでは」

 

そう言って二人は門をくぐって皇宮に入っていく。ふと二人を見て首をかしげる。

 

「可笑しいな、どっかで見たことがあるぞ」

 

彼が門番になったのは六年前から。その間に見たのは確実だが忘れてしまったので警備に集中することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

執務室でヴィルヘルム六世はどことなく落ち着きがなかった。ヴィルヘルム六世も既に23になり立派な男になっていた。

 

「いよいよか」

 

ヴィルヘルム六世は四年前に軍に入隊した二人を思い出す。あれから一度もあっていない。会うのは武装親衛隊に入ってからと三人で決めたからだ。

 

コンコンと扉がノックされる。それに対してヴィルヘルム六世は「入れ」と伝える。

 

「失礼します」

 

その声を聴いて心臓が跳ねる。待ち遠しい。世界の流れが遅く感じる。

 

扉が開かれて二人の少女が入ってくる。ドイツ帝国軍の軍服に身を包み武装親衛隊の証である鎌十字の腕章を付けた姿ではあるがそれは懐かしい、待っていたものだ。

 

ある程度入ると二人は敬礼する。

 

「本日より武装親衛隊第五部隊に配属になったクロエ・フォン・ボーデヴィッヒです」

 

「同じく武装親衛隊第五部隊に配属になったラウラ・フォン・ボーデヴィッヒです」

 

「…よく来たな。二人とも。楽にしていいぞ」

 

ヴィルヘルム六世は久しぶりに会えた二人を見て感動している。そして二人は敬礼を解くと

 

「「陛下!」」

 

ヴィルヘルム六世に抱き着いた。

 

「久しぶりだな。クロエにラウラ」

 

「お久しぶりです。また会えてうれしいです」

 

「私もです」

 

しばらく三人は抱き着いて離れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「報告には上がっていたが二人とも出世したな。身長は出世していないようだが」

 

しばらく抱き合った後離れて今後の予定を大まかに決めて思い出話へと移行した。そしてヴィルヘルム六世は久しぶりになるクロエとラウラの頭をなでる。

 

「いいんです。いろいろと教わりましたから」

 

「私もです」

 

二人は膨れるが撫でられてうれしそうであった。

 

「そういえば私たちはどこで寝泊まりするのでしょうか?」

 

「その辺は言われてなくて」

 

普通なら武装親衛隊は時間制で交代して護衛をするため寝るところは別にあるが二人はそれを聞かされていなかった。

 

ああそれか、とヴィルヘルム六世はいう。

 

「俺の寝室だ」

 

「「え!?」」

 

「俺の寝室だ」

 

「「…」」」

 

「俺の寝室だ」

 

「…なぜですか?」

 

まさかの事態に二人ともフリーズしてしまう。

 

「理由は単純。俺が二人がいなくて寂しかったからだ。異論は認めん」

 

「そ、それだと護衛が…」

 

「それならベルノルトに了承済みだ」

 

ベルノルトとは武装親衛隊統括官の名前でヴィルヘルム六世は既に二人を特別任務としてヴィルヘルム六世のお着きにさせろとお話し(という名の反論を許さない命令)していたのである。

 

「さて、これから二人は武装親衛隊第五部隊隊員を兼ねて俺のお着きとなったのだ。どうだ?」

 

「「…」」

 

いきなりのことで先ほどから呆けっぱなしの二人。それをヴィルヘルム六世は嬉しいのだと思い「早速頼むぞ」と執務室を出て行った。その音で正気に戻った二人は慌ててヴィルヘルム六世の後を追うのであった。

 

フリードリヒ・フォン・ヴィルヘルム・ヴィクトル・プロイセン。

 

お気に入りの二人と四年ぶりにあえたことで暴走気味であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの。これからどこに向かわれるのですか?」

 

走って何とかヴィルヘルム六世に追いついた二人はどこに行くのかと問う。

 

「それはな、ドイツ帝国中央研究所だ」

 

中央研究所。そこは別名「世界技術の最先端」と呼ばれておりその名の通り数々の技術がここで生まれてきた。二人も知っていたがそこに何の用があるのかと疑問に思う。

 

「理由は単純。三人の専用機を取りに行くぞ」

 

「「専用機!?」」

 

まさかISを主武装にする武装親衛隊第五部隊に入隊したとは言えいきなり専用機がもらえることに驚くが三人という言葉に疑問を持つ。

 

「陛下、三人とは」

 

「ん?ああ、あいつの分だよ」

 

陛下の目線の先には軍服を着た二人と変わらない身長の金髪幼女がいたが二人は彼女を知っており

 

「ターニャちゃん!?」

 

自分たちの元同僚で上司に当たるターニャ・フォン・デグレチャフに驚くのであった。

 


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