インフィニット・ストラトス 遥かなる虹の輝き   作:雷狼輝刃

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 今回は短いです。


第2話  騒乱

 午後の授業が始まった瞬間だった。千冬が唐突に

 

 

 「 そう言えば再来週に行われるクラス対抗戦の代表を決めないといけなかったんだ。 任期は一年間、交代は認められない。 まあ、簡単に言えばクラス委員長みたいなもんだ。 自薦他薦は問わない。」

 

 

 千冬の話を聞いた瞬間からクラスからは一夏を推薦する声が次々あがる。

 最初は自分の名前が上がった事に他人事のような顔をしていたが、ようやく自分直ぐだとわかり焦りだす。

 

 

 「 えっ?! お、俺?! ちょ、ちょっと待ってくれよ。 俺はやらないぜ! 」

 

 

 「 馬鹿者、他薦された者は辞退できない。」

 

 

 慌てて辞退しようとするが、千冬にバッサリ退路を断たれる。 

 

 

 「 くっ! それなら俺はシュートを推薦するぜ。 」

 

 

 いきなりシュートの名前を出して巻き込もうとする。

だが、シュートはすぐさま手をあげて

 

 

 「 織斑先生、申し訳ありませんが俺とマドカとシャルロットは生徒会長より生徒会に所属する事が決められまして、クラス代表には慣れません。 」

 

 

 シュートの発言にやや渋い顔をしながら

 

 

 「 そうか、生徒会に所属したか。 ならば仕方無い、アルカンシェル兄・アルカンシェル妹・デュノアは除外しろ。」

 

 

 「 ちょっと待ってくれよ千冬姉、何でグハッ!!! 」

 

 

 「 織斑先生だ、馬鹿者!! 」

 

 

 シュート達が除外された事に抗議しようとした一夏だったが千冬の手から投げられた出席簿が頭に命中し、再び千冬の手に戻る。

 

 

 「 生徒会に所属した者は学校行事毎の準備や後片付け、書類業務や生徒からの陳情処理の為にそういった行事にはまともに参加出来ないのだ。 わかったか! 」

 

 

 千冬の説明に殆どの生徒は納得したが、一夏は納得出来ないでいた。 そこに千冬がさらに

 

 

 「そう言えば織斑、お前には日本政府から専用機が渡される。 」

 

 

 千冬の言葉にクエスチョンマークを浮かべる一夏。 そんな一夏に溜め息をつきながら

 

 

 「 織斑、教科書の42ページを読め。 」

 

 

 一夏は千冬に言われた通りに教科書を音読する。

 

 

 「 お前の場合は男性適性者のデータ取りの意味合いが大きい。心しておけ。 」

 

 

 千冬の言葉に一夏は

 

 

 「 なぁ千冬姉、シュートにも専用機は送られるのか? 」

 

 

 とあまりにも馬鹿な質問をしてきた。此方は先程生徒会室で事前に聞いていたので、既に対応していた。

 一夏の問いに再び渋い顔をし答える千冬

 

 

 「 あぁ、アルカンシェル兄にも日本政府から専用機が与えられる予定だったが、先程急遽撤回された。 フランス政府とアルカンシェル社からの抗議でな。 」

 

 

 苦々しい表情をしながら千冬の答え為に一夏が何を思ったのか此方に噛みついてきた。

 

 

 「 おいシュート、何で断るんだよ。 折角日本政府が専用機をくれるといってるのに! 」

 

 

 一夏の言いがかりに呆れながら

 

 

 「 おい、織斑一夏。 友人でも無いのに勝手に名前で呼ぶな、少しは常識を弁えろ。 それから専用機の件は断って当たり前だ。 俺はフランス国籍の人間でISメーカーの社長代理を勤める人間だぞ。 何故日本政府から専用機もらう必要がある。それも自社製品以外のISを。 」

 

 

 どうやらシュートの答えが気にくわなかったのか、さらに噛みついてくる。

 

 

 「 別にいいじゃん、たった二人の男性なんだから壁作らなくても。 それにフランスの人間だとかISメーカーとか関係ないじゃねえか、貰えるんだったら貰っておけよ! 千冬姉に迷惑かけんな。」

 

 

 どうやら一夏はシュートが断ったことで千冬の面子が潰されたと思ったらしく、他人の事情等、御構い無しにせまってくる。

 

 

 「 まったく、少しは冷静になって物事を考えろ! ISメーカーの社長代理が他社のISに乗っているとわかれば、うちのISはその会社のより性能が劣ると宣伝するような物だ、それくらい理解しろ。 」

 

 

 余りの傍若無人な噛みつきかたに、本来なら護衛対象にも関わらず、少し怒りを覚えてしまい乱暴な物言いになったシュート。

 そして傍観している千冬にも怒りを覚えた。

 

 

 「 織斑先生、いつまでこんなに不問な問答無用を続けさせる積もりですか? これ以上他薦が無いのなら織斑一夏がクラス代表で良いのではありませんか? 」

 

 

  議論を打ちきる事を千冬に求めるシュート。 しかし一夏は未だに止まらない。

 

 

 「 逃げるのかよ腰抜け!!! 会社をたてに逃げるようなクズの会社なんて、どうせロクな会社じゃないぜ! 」

 

 

 一夏がその言葉を発した瞬間だった、クラスの空気が変わった。 真耶の時とは比べものにならない位の殺気がシュート、マドカ、シャルロット、セシリアから放たれた。

 殆どのクラスメイトが青ざめた。 あの千冬ですら気圧された。

 肝心の一夏も呼吸出来ない位のプレッシャーを受けて大量の汗をかき、手足が震えていた。

 

 

 「 織斑一夏・・・・今の発言は流石に聞き逃せ無いな・・・・ 織斑先生、彼は俺のみならず会社を侮辱しました。 本来なら日本政府に抗議するところですが、彼のネジ曲がった精神を矯正するために、その身を以て思い知ってもらいたいので彼との模擬戦をお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?」

 

 

 「 織斑先生、私も兄と同じ考えです。アルカンシェル社の全ての従業員は私達にとって家族同然です。 彼はその家族を侮辱しました。 家族を侮辱した罪は大きいと思います。」

 

 

 「 会社に所属する人間にとって会社を侮辱されたことは万死に値する行為です。 正式な謝罪を織斑一夏とその保護者である織斑先生に求めます。 」

 

 

 三人の話を聞き今さらながら自分の発言の重大さに気づいたが後の祭りである。 模擬戦か千冬との謝罪かのどちらをとるかと問われれば、模擬戦を取るしかない。 これ以上、千冬に迷惑を掛けない為にも。

 

 

 「 おう、いいぜやってやるよ。 」

 

 

 一夏が答えたあと、セシリアが挙手をして席をたち

 

 

 「 織斑先生。今さらかも知れませんが、わたくしイギリス代表候補生 セシリア・オルコット クラス代表に自薦させていただきます。 彼のような稚拙な思考の持ち主をクラス代表にしてはクラスの品位を疑われます。  つきましては、選出方法としてわたくし、セシリア・オルコットと織斑一夏さんのクラス代表をかけた模擬戦の許可をお願いします。 」

 

 

 

 セシリアの突然の発言に驚いた一夏。 結局、一夏はセシリアとのクラス代表をかけた模擬戦も行う事になった。 

 後に一夏は後悔することになるだろう。自分のうかつな発言や行動が自分のみならず千冬の立場に重大な危機をもたらす一歩であったことに。

 

 

 




ちょっと無理矢理感満載ですが、何卒ご容赦を

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