インフィニット・ストラトス 遥かなる虹の輝き   作:雷狼輝刃

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第42話  隠された真実

 

 

 薄暗い室内で唯一光を放つディスプレイ、そこには爆散するヴァルシオンの姿が映し出されていた。

 

 

 「まったく、なんの役にもたたなかったわね。 グローリーキングダムもここまで育てたのに・・・でもまあ良いわ。 今から私がこの圧倒的不利な状況をひっくり返してあげましょう。」

 

 ディスプレイを眺めていた女性はそう呟くと壁に飾られていた宝飾で彩られた杖を掴む。

 

 

 「ヴァルシオンにラズムナニウムにブレインモジュール、そしてメイガス。これだけ揃えば問題無いわ。」

 

 そう言って女性は部屋を出るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「タバネ姉さん!」

 

 「マーちゃん!」

 

 レプリカメイガスを破壊したタバネが部屋を出たところでマドカと鉢合わせしたタバネ。

 

 

 「マーちゃん、急いで上に出るよ。」

 

 「どういうことだタバネ姉さん?」

 

 「説明は後々! このまま天井ぶち抜いて!」

 

 そう言ってタバネはワンダーアリスを纏う。

 

 

 「わかった! いくぞガナリーカーバー出力最大、レイ・ストレイターレット!」

 

 右腕のガナリーカーバーから高出力のビームが放たれて天井を貫く。そして続けて左腕のガナリーカーバーからも時間差で放たれる。やがて貫通したらしく光が見える。 

 

 

 「開いたよタバネ姉さん!」

 

 「よし、それじゃあ行こうか! 急いでシュー君達と合流しなきゃ!」

 

 二人は天井の穴に飛び上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よし、それじゃあ城に向かおう!」

 

 刀奈にそう告げて城に向かおうとしたシュート。 

 

 

 『その必要は無いわよ。私はここにいるわよ』

 

 突然響きわたる女性・・・・エーデルの声。城の中央部分のバルコニーにその姿はあった。

 

 

 「エーデル・ベルナル委員長・・・いや、グローリーキングダム幹部Empress 、エーデル・ベルナル!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「えっ?? Empress 様?! でも、そんな?!」

 

 半壊した司令室の唯一生きていたモニターに映し出されたエーデルの姿、音声は途絶えているもののしっかりとその姿をとらえた映像に驚くオペレーター。 自分の側に倒れて息絶えているはずのエーデルがバルコニーにいる。その現実に混乱するオペレーター。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「まさか、ここまで追い詰められるとは思っていませんでしたわ。」

 

 「エーデル・ベルナル、グローリーキングダムもここまでだ。おとなしく投降しろ。」

 

 シュートがそう言うと、エーデルは

 

 

 「ウフフフフ、何を言い出すかと思えば愚かな事を。 まだまた終わってわいないのよ。 この私がいる限りね。」

 

 そう言うと右手の杖を掲げる。

 

 

 「さあ、今こそその姿を現しなさい。グローリーキングダムの真の最強の守護神【ライグ=ゲイオス】」

 

 杖が光を放ちエーデルの体を包む。 光は球体となり徐々に巨大化していく。 光が弾けたとき、そこにはヴァルシオンを上回る巨大なISが現れた。

 

 

 「これこそがグローリーキングダムの真の守護神、ライグ=ゲイオスです。不完全なヴァルシオンとは違いますわ。」

 

 ライグ=ゲイオス・・・エーデルが密かに作り上げたIS。ヴァルシオンのデータを元にラズムナニウムとレプリコアにブレインモジュールを加えることでより高性能のISとなった。 だが、それだけではなかった。

 

 

 「さあこのエーデル・ベルナルがくだす裁きを受けなさい!」

 

 だが、それを見ても動じないシュート、そして

 

 

 「そろそろ仰々しい芝居は辞めたらどうだい? エーデル・ベルナル・・・いや、織斑四季!」

 

 シュートの言葉に動きを止めるエーデル。先程まで浮かべていた笑みは無くなり無表情になる。

 

 

 「ふっ、驚いているな織斑四季。 織斑千冬と一夏の祖母。 そしてその両親、織斑春斗・万季夫妻を殺した張本人。」

 

 「・・・・・・・・お前は一体何者? 何故その事を知っている? 篠ノ之束に聞いたのか?」

 

 「教えてあげようか?織斑四季。」

 

 エーデル・・・四季の疑問に答えようとタバネの声が響く。 シュート達の背後にタバネとマドカが現れる。 そしてタバネはワンダーアリスのフェイスカバーを開き顔を露にする。

 

 

 「こうして顔を会わせるのは久しぶりだね織斑四季、以前と顔が違うから驚いたよ。 どこまで体を弄ればそうなるの?」

 

 「やはり君が絡んでいたのか束。 行方を眩ませてから方々探したが見つからなかったのは、どうやら何者かの手助けがあったからのようね。 それも一国ではないわね。」

 

 「師匠達はお前の思惑に気づいていた。だからこそ万が一に備えて様々な保険をかけていた。その1つが国連秘密特別部隊ファントムタスクの設立と私の保護。」

 

 「国連・・・ルヴェールの仕業か。 あの男、やはりただ者ではなかったか。」

 

 「そうよ、轡木十蔵と並ぶ伝説の男。 お前を欺くなんて朝飯前みたいよ。」

 

 「・・・・・・」

 

 「そうそう、お前の疑問に答えてあげるよ。」

 

 タバネの言葉にシュートとマドカはフェイスカバーを開く。

 

 

 「? なんの真似だ?」

 

 「まあ、顔を見てもわからないか。 面影はあるんだけどな。」

 

 「何? ・・・・・・・・まさか?!」

 

 ようやく気がついた四季。

 

 

 「そうだよ、師匠達がお前に隠していた事実。織斑家の次男と次女。織斑一夏の同じ時期に産まれた兄妹だよ。」

 

 「何故だ?! 何故、その存在を隠・・・・・まさか!」

 

 「そうだよ、この二人こそがお前が目指していたオリムラプロジェクトの真の成功例、そう言えば解るだろ!」

 

 「まさか完成していたのか、マシンセル! 究極のナノマシン、私が求める永遠の命が!!」

 

 「勘違いするな! 永遠の命なんて手に入らないよ、あくまでもナノマシンはナノマシン。 そんな都合の良いものなんて無い!」

 

 「違う、マシンセルこそが究極のナノマシンよ!伝説のアムリタ、賢者の石、エリクサーの再現。私が望む永遠の命と若さを与える奇跡の力よ。さあ私に寄越しなさい!!」

 

 先程までと違い、全く余裕の無い四季。 タバネの話に耳を貸さない。そして刀奈やタバネに目をくれずにシュートとマドカに向かっていく。

 だがそれはタバネ達の作戦だと知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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