インフィニット・ストラトス 遥かなる虹の輝き   作:雷狼輝刃

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第41話  喪失

 

 

 「うっ、つつつ!」

 

 グローリーキングダムのオペレーターの女性は全身に感じる痛みで意識を取り戻した。

 ただ、自分の身にいったい何が起きたのかは未だに理解できていなかった。 

 

 

 (いったい何が? 私はどうなっているの? これは床?)

 

 痛みと共に体の感覚が少しづつ戻ってきたのか、自分が床にうつ伏せに倒れているのがわかった。 そして背中に何が重いもの・・・ただし自分の力で退かす事がなんとか出来そうな位の重さ・・・乗っていることも。

 ただどういう訳かなかなか目を開く事は出来なかった。

 

 

 (・・・・思い出すのよ、何が起きたの? Empress が出陣なされて戦闘が始まって・・・・?!。そうだ、玉座の側に設置してあるエレベーターが開いて・・・)

 

 オペレーターは必死になって思いだそうとするが思い出せない。 だが、それは仕方ない事だった。

 エレベーターが開いたと同時に起きた爆発の爆音と衝撃は瞬時にオペレーターの意識を奪ったのだ。

 オペレーターは周囲の状況を何とか確認するために顔に手をやり瞼をあけようとする。 その瞬間手に何か粘りのある液体と瞼に張り付いて塞ぐ塊のようなものを感じた。

 

 

 (何これ? ともかくこれを取れば目が開くはず)

 

 オペレーターは必死になり目を塞ぐ塊を擦り落とした。 そしてようやく目が開く・・・・・そこに広がる光景は

 

 「えっ?! これは・・・・あ、あ、あ、あ?!」

 

 自分が床にうつ伏せに倒れているのはわかった。 そこから見えた光景は凄まじいものだった。 

 司令室の様相は一変していた。 ありとあらゆる物が散乱し、全てのモニターは砕け散り何も映さず、全ての機器もまた火花を散らし機能を失っていた。

 それだけではなかった目の前には同僚のオペレーターが幾人も倒れていた。見るからに助からないのは見てとれた。 

 

 

 「そんな・・・・・・そうだ、Priestess様は?」

 

 オペレーターはPriestess ・・・エーデルを探すために起き上がろうとしたが背中に乗っている物が邪魔をしていた。何とか身を捩り、背中に乗っている物による手をやり退け、起き上がる事ができた。 ただ背中の物に手を添えた時に何やら粘りのある液体にふれたのが気になった。

 

 

 「Priestess 様は何処に・・・?!」

 

 オペレーターはエーデルを探そうとした時だった、自らの手を見てしまった。 真っ赤に染まった手を

 

 

 「これって血? 何で・・・」

 

 そこで始めて気づいた。 手だけでなく、自分が倒れていた場所に血溜りができていることに。慌てて自分の状態を確認したが外傷らしきものはなかった。 そして先程、自分が退けた背中に乗っていた物に目をむける、そこには・・・・

 

 

 「?! い、イヤャャャャーーーー!!」

 

 オペレーターが目にしたのは変わり果てたエーデルの姿・・・・手足は有り得ない方向に折れ曲がり、腹部からは内蔵が溢れ、そして頭部の一部が消失していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よし、これで動力炉へのアクセスはこの端末以外は遮断できた。 あとはこのシステムへアクセスを遮断すれば・・・よし、完了!」

 

 タバネは自分のタブレットを目の前の巨大な円柱型タワーコンピューターに接続し作業していた。 

 

 

 「これであとはメイガスを・・・・」

 

 タバネがタブレットを操作すると、タワーコンピュータは中央から左右に分かれていく。そこには銀色に輝く女性像があった。 だがそれはタバネが求めているものではなかった。

 

 

 「これはレプリカ! そんな本物のメイガスは何処に?」

 

 メイガス・・・それはタバネの師匠、そしてシュート達の母親でもある織斑万季が作り上げた演算ユニットだ。

 それも現在存在するなかで最高機能を有する物だ。 タバネですら未だに作り出すことが出来ない程規格外な。 もっとも未完成だが・・・

 奪われてから、ずっと探し続けていた。 奪った人物はわかっていたシュート達の祖母にあたる織斑四季だ。

 

 

 「急いで本物を探さないと、あの女がメイガスの秘密に気付く前に。」

 

 タバネはタブレットを操作してレプリカの機能を停止させると、部屋をあとにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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