インフィニット・ストラトス 遥かなる虹の輝き   作:雷狼輝刃

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第34話  亀裂

 

 

 「Doctor とMerchant と連絡がとれないですって?」 

 

 密かにオペレーターからの報告を受けたエーデルとエルデは顔を見合わせた。 グローリーキングダムの中で油断ならない人物を上げろと言われれば、二人は光子とアギラを上げるであろう。 お金に執着する光子、研究のみに執着するアギラ、この二人はグローリーキングダムの中でも異質と言ってもよかった。 表向きは女尊男卑の思想を唱っているが、決して本心からで無いのは二人は知っていた。それでも、二人は組織に対して忠誠を誓い様々な功績をあげてきた。 それ故に警戒心が薄れていたのであった。

 

 

 「Priestess 、まさかこのタイミングで・・・・」

 

 「ともかく、早急かつ内密に最後に確認された二人の位置から行き先を予測しサーチしてください。」

 

 「わかりましたPriestess 様。」

 

 磐石の体制を築いたと思っていた筈の組織に亀裂が走る。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「フム、どうやら気付かれたか。沈み行く船に何時までも乗っている訳にもいかんのでな。 急ぐぞオウカ?」

 

 「ハイ、母様。」

 

 アギラはそう言って、背後にいる少女・・・オウカに声をかける。 二人は薄暗い湿気の充満した岩の裂け目のような場所を僅な灯りを頼りに進んでいた。 ここは万が一に備えてアギラが準備していた脱出ルートである。

 アギラも早々にこのルートを使うことになるとは予想していなかった。 だが、イージスを破られレストレイルが全て撃破されたとなると、未だかなりの戦力を保有しているとはいえ、万が一の場合を備える必要がある。そこで、一旦島を離れることにしたのだ。 ただ唯一の誤算は、

 

 

 (それにしても、まさか石動光子に見つかり邪魔をされるとはな。)

 

 部屋を出て、このルートに向かう最中に光子と鉢合わせし、行動の不振さを指摘されてしまいやむなくオウカに始末させたのだった。

 

 

 (まあよい。ともかく今は一刻も早く、この島から離れて秘密ラボに向かわなければ。 暫くは身を隠して、またどこぞの裏組織に潜り込むかの。これまでの研究結果とレプリコア、それにこのデータがあれば、どの組織でも直ぐに飛び付いてくるじゃろうて。)

 

 そんな事を考えながらアギラ達は道をすすむ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何?! Merchant が!」

 

 オペレーターからの内密の報告に思わず大声をあげそうになったのをこらえるエーデルとエルデ。

 

 

 「ハイ、Doctor の私室の近くで眉間を撃ち抜かれて亡くなっている所を発見したとのことです。おそらく・・・・」

 

 「Doctor の仕業ね。どうしますPriestess ?」

 

 「Merchant の遺体をなるべく人目につかないように回収し、引き続きDoctor の探索を。」

 

 「わかりました。」

 

 「たいへんです! 例の戦艦からISが出撃しました。数は5機、真っ直ぐ此方に向かってきます。」

 

 オペレーターの報告を聞きエーデルは

 

 

 「Assassin に連絡をして艦の制圧を! それから此方に向かってくるISに対して防衛部隊とPaladin に出動させて。」

 

 「Priestess 、私は万が一に備えてあそこに向かうわ。」

 

 「お願いProfessor 、私はEmpress の元に出陣をお願いしにむかうわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、出撃したシュート達。 メンバーはシュート、刀奈、シャル、スコール、オータム。だが、出撃したのはシュート達だけではなかった。 タバネとマドカが別ルートで出撃していた。 しかもタバネ特製のステルスマントを装備している為にレーダーやセンサーには引っ掛からないのだ。 タバネ達は島の外れにある滑走路から地下を目指している。 無論これには訳があった。

 島の全体をサーチしたところ、人工に作られた島であり島の地下に動力炉があることがわかったのだ。

 そこで動力炉を止める為にタバネが向かう事になったのだ、そしてマドカがその護衛ということになった。

 

 

 司令塔である城を目指すシュート達の前にISを纏った数十人の女性達が現れた。

 その先頭のAssassin ・・・レジアーネは腕に斧のようなものがついた完全装甲型ISギャノニアを纏っていた。

 

 

 「まさかたった5人で乗り込んで来るとは愚の骨頂ですね。 身の程を弁えなさい。エキドナ、私は艦の制圧に向かいます。Paladin がこられるまで貴女が指揮をなさい。」

 

 レジアーネはそう言って後ろにいるアメリカの第2世代型ISアラクネを纏ったエキドナに告げて、その場を離れようとするが、スコールがその行く手を塞ぐ。

 

 

 「何処に行くのかしら? 簡単には通さないわよ。」

 

 「それは此方の台詞です。Assassin 様の邪魔はさせません。」

 

 「お前こそスコールの邪魔するなよ。私が相手になってやるよ。」

 

 エキドナがスコールの元に行こうとするのをオータムが遮る。 それを見てシュート達は

 

 

 「よし、二人の幹部はスコール達に。俺達は他のを落とすぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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