インフィニット・ストラトス 遥かなる虹の輝き   作:雷狼輝刃

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第30話  突入

 

 

 「いくぜジガン! ギガァーーントナァァックル!!」

 

 ジガンスクードの両腕に装着された盾のような巨大な手甲でレストレイルを殴り飛ばすカチーナ。

 殴り飛ばされたレストレイルは背後にいた2機にぶつかり、2機を巻き込みながら爆発する。 だが、カチーナの周囲にはまだ10機以上のレストレイルがいる。

 

 

 「オメガキャノン! ビッグミサイル! ブーストナックル!」

 

 グルンガストの背中のバインダーが肩越しに前方に向けて展開されてレーザーが、脚部からミサイルが、左腕が肘から外れて、それぞれレストレイルに向かって放たれる。

 レーザーとミサイルが複数のレストレイルをブーストナックルが1機のレストレイルを撃破する。

 だが、こちらも周回にまだ10機以上のレストレイルがいる。

 

 

 「ちっ! きりがねえぜ! 」

 

 「カチーナ、前に出すぎだ。 後方部隊と距離が開いたぞ。」

 

 「だけど、このままじゃらちが明かないぜ。」

 

 宣戦布告と共に突如として出現した地図に記載されず誰の目にも触れることなく存在した島、グローリーキングダムの本拠地とされる島。

 カチーナの所属するロシアとリンの所属する中国の連合軍は島の西側の海域から、アメリカとイスラエルの連合軍は島の東側海域から攻撃を開始したものの、直後に島の周囲を強力なシールドで覆われて上陸はおろか直接攻撃も出来なくなった。

 更に何処からか出撃したのかわからないが、見たこともないタイプのISの大軍が襲ってきたのである。

 

 

 「くそ! このままじゃ「カチーナ、うしろ!!」えっ、なっ?!」

 

 ギガントナックルでレストレイルを殴り飛ばした直後だった、カチーナの背後に今までとは違うタイプのIS・・・ゼカリアが剣を振り上げて斬りかかろうとしていた。

 

 

 (不味い、避けられない! どうする・・・スラスターをやられたら動けなくなる。間に合え!!」

 

 カチーナは姿勢をかえて腕に装着されている手甲で受け止めようと動くが間に合わない。

 

 

 バシュン!  ドガァァァーーーン!!

 

 剣が振り下ろされる直前だった、何処からか飛んできた銃弾がゼカリアの頭部に命中し、爆発する。

 周囲には遊軍機は見当たらない、だとすれば何処から飛んできたのか。もし、離れた場所から狙撃したのならば相当の腕の持ち主だということだ。

 カチーナとリンにはそれだけの腕の持ち主に心当たりがあった。 二人はハイパーセンサーで銃弾が飛んできた方向を見ると、そこには

 

 

 「パンパカパーン! 騎兵隊、只今参上!」

 

 大型輸送艇タウゼントフェスラーの機体の上に立ちオクスタンランチャーを構える純白のIS・・・エクセレンの専用機ヴァイスリッターの姿があった。

 

 

 「「エクセレン!!」」

 

 「はぁ~い、お二人さん。助けにきたわよ。」

 

 そう言ってエクセレンは一機また一機とオクスタンランチャーで撃ち落としていく。

 

 

 「助けにきたって、お前ひとりじゃ・・・」

 

 「心配御無用よ、カチーナ。私ひとりじゃないし、翔びっきりの助っ人を連れてきたから。」

 

 エクセレンがそう言うと、背後から一人の女性が姿を現した。

 ツインテールにした茜色の髪、着崩して胸元を大きくはだけた着物を纏い、赤いピンヒールを履き、右目に刀の鍔の眼帯をつけた女性

 

 

 「「ア、アリーシャ・ジョゼスターフ!!」」

 

 第2回モンドグロッソ優勝者、元イタリア国家代表アリーシャ・ジョゼスターフだった。

 

 

 「アリーシャさん、右腕の具合はどうですか?」

 

 「悪くないサね。 感謝するサね、こんな立派な義手をくれるなんてね。」

 

 アリーシャの右腕と右目はテンペスタⅡの起動実験で失った。 その後、隻腕隻眼ですごしていたが今回の作戦に当り新型の義手(タバネ作)を贈られたのである。

 

 

 「あの時の決着をつけるには万全にしとかないとサね。」

 

 その言葉でカチーナとリンは理解したアリーシャがこの場に現れた理由を。

 

 

 「ところで、あの檻をどうするつもりサね? あれをどうにかしないと中にも入られないサね。」

 

 「その心配はありませんわアリーシャさん。上から[ファントムタスク(ウチ)]の凄腕達がやって来てぶち壊してくれますから。」

 

 そう言ってエクセレンは上空を指差す。それに釣られてアリーシャにカチーナとリンも空を見る。

 一筋の光が此方に向かって来るのが見えた。

 

 

 

 

 

 「タバネさま、グローリーキングダムの本拠地の島を確認しました。あと30秒後にシールドに接触します。」

 

 「よーし、それじゃあいくよ! 艦首モジュール[超大型回転衝角エクスカリバードリル]起動。 」

 

 タバネの掛け声と共に艦首のドリルが激しく回転する。

 

 

 「みんな衝撃に備えてね。 光学迷彩解除、全速前進、気まぐれな鋼の猫(カプリース・スチールキャット)突撃!!」

 

 タバネの号令と共に艦のドリルは薄紅色の光の膜と衝突する。

 

 

  ギュルルルルルルルルルルーーーー

 

 激しく火花を散らし激突するドリルとシールド

長く続くかにおもわれた衝突は、突然終わりを迎えた。

 

 

        バシュン

 

 シールドが耐久限界を越えて消失したのだ。 艦はドリルを激しく回転させたまま島へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  遠目でそれを見届けていたエクセレン達。

 

 

 「どうやら檻は消えたみたいサね。 それじゃあいこうか、ロッソ・・・・ビアンカネーヴェ・ロッソ!」

 

 そう言ってISを展開するアリーシャ。深紅のIS・・ビアンカネーヴェ・ロッソを纏い

 

 

 「露払いは頼むサね。」

 

 そう言って島へと飛び立つ。

 

 

 「了解~! 射撃はおまかせ! んふふ~、どこを狙ってほしい?」

 

 そう言ってエクセレンはオクスタンランチャーを構えて

 

 

 「カチーナとリンも1度こっちに下がって補給しなさ~い。」

 

 そう言ってレストレイルを撃ち落としていく。

 




 
 国家代表と専用機

ドイツ国家代表:エクセレン・ブロウニング
専用機:ヴァイスリッター


ロシア国家代表:カチーナ・タラスク
専用機:ジガンスクード


中国国家代表:リン・マオ
専用機:グルンガスト


イタリア国家主席:グラキエース・ルイーナ
専用機:ファービュラリス


フランス国家代表:アクア・ケントルム
専用機:サーベラス


イタリア元国家代表:アリーシャ・ジョゼスターフ
専用機:ビアンカネーヴェ・ロッソ

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