GWということで、三日間連続投稿させていただきます。
玉座の右に立ち、エーデルは話し続ける。
『偉大なる聖母、篠ノ之束様が虐げられた女性の為にもたらした神器ISは、その力を遺憾無く発揮し私達女性に救いをもたらしました。 ですが、聖母様はそれと引き換えに悪しき男達の手にかかり命を落とされました。』
エーデルがそう言うと、旗の飾られた壁の下が開き中からタバネによく似た姿をした女性が納められた水晶の棺があらわれる。
『私達は耐えがたきを耐えて力を蓄え、この日を迎えました。 そしてその決意の表れとして聖母様の命を奪った卑劣なるオーストラリアに対して裁きの雷を持って審判を下しました。』
エーデルがそう言うと、画面が切り替わり空から放たれた光の条がキャンベルに直撃し都市が焼かれる映像が映し出された。 再び画面が切り替わりエーデル達が映る。
『私達の行く末を遮るものには裁きの雷を下します。 ですが恐れることはありません、私達の元に訪れし同じ志しを持つ同胞達は温かく迎え入れます。 また、私達の元に来たくても来られない同胞達は私達が迎えに参ります。』
そこでエーデルは一旦言葉をきり、両手を組み合わせ祈りを捧げるポーズをする。
『同じ志しを持つ同胞達のなかには聖母様の訃報を聞き心落とす者も居られるでしょう。しかし希望の火は消えてはいません。聖母様と同じ血を持つ御方が私達の王として、聖母様のかけがえのない友が私達の剣として私達の元に来てくださいました。』
エーデルがそう言うと玉座が床に沈む。そして再び玉座が現れると、そこには純白のドレスに真紅のマントを纏い、頭に豪華な装飾のなされた王冠を被った少女・・・箒が無表情のまま座っていた。
『聖母様の血を受け継ぐ御方、私達を導く女帝、Empress ・・・篠ノ之箒様です。』
そして玉座を挟んでエーデルの反対側に白銀の甲冑を纏い、翼の飾りが付いた兜を被った千冬が姿を現す。
『聖母様の無二の親友でブリュンヒルデの称号を持つ御方 Paladin ・・・織斑千冬様です。』
二人の紹介したところで画面が切り替わり、格納庫のような場所に整然と並ぶIS・・・見慣れた打鉄にラファールに加え、以前IS学園を襲った無人機レストレイルに見たことも無い緑色と青色の完全装甲型IS・・・が500機以上。
『聖母様は重要なISコアの製造法を私達に伝えて下さる前にこの世を去りました。 私達は残された資料からオリジナルコアに準ずる能力を持つ疑似ISコア・・・レプリコアを作り上げました。 それによりこれだけの戦力を有することが出来ました。』
再び画面が切り替わりエーデル達が映る。
『勿論オリジナルコアも保有しており、今後は世界に散らばっている全てのオリジナルコアを回収し、私達が管理運用致します。オリジナルコアを保有している国、組織は何も言わずに私達にコアを進呈してください。拒否するのであれば申し訳ありませんが実力を持って回収させていただきます。』
エーデルはそこで一旦言葉をきり、両手を大きく左右に広げて
『さあ今より新時代の幕開けです。』
エーデルの宣言の後に、画面は乱れ再び特別報道番組に戻る。 どの番組も突然の出来事に驚いているのか、誰も言葉を発せずに無言の状態が続いている。
「発信源が特定出来ました・・・というか隠す気がないようです。我々以外にも逆探知を試みていた全ての組織や国が特定したようです。 グアムと日本の中間点の太平洋上です。 地図と照らし会わせても島等は確認出来ませんので船もしくは人工島だと思われます。」
クロエが報告する。タバネがため息をつきながら
「やれやれまさか死人にされるなんね。まあこればかりは感謝かな。これでタバネ・アルカンシェルとして活動しやすくなったし。さて、シュー君どうするの? 後手後手にまわっちゃているけど。 」
「ルヴェール事務総長からは作戦の立案と実行、部隊の編成と運用を行う事の出来る緊急権限を与えられているから、時間も無いのでそれを執行します。」
「と言うことは全員で本拠地に乗り込む寸法か?」
「ダリル先輩好みの作戦スね。」
「残念だけど、全員で乗り込む訳には行かない。半分はIS学園の防御に回ってもらう。」
ダリルとフォルテの言葉にシュートが答える。
「あーー、成る程。確かにIS学園を護る奴がいるか。」
「そうスね。訓練機に使われているオリジナルコアに将来有望なIS装着者と整備士の卵が集まっていて、尚且つ国家施設に比べて防御能力が低いから簡単に落とせるスからね。」
ダリルとフォルテはシュートの言った事を直ぐに理解した。
「ということで本拠地に向かうのは俺と刀奈、シャル、マドカ、スコール、オータム、タバネ姉さん、クロエ。 ダリル、フォルテ、サラ、リム、セシリア、簪、ラウラはIS学園の防御に。虚さんと本音は全員のサポートを。他のメンバーは連絡が付いた時点で振り分けます。」
シュートの話を聞き全員の表情が引きしまる。