インフィニット・ストラトス 遥かなる虹の輝き   作:雷狼輝刃

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第24話  夏休み

 

 

 夏休み・・・・それは学生達にとって至福の時間。それはIS学園の生徒達にもかわりない。 殆どの生徒は帰省しており、学園に残っているのは一部の留学生と補習を受けなければならない生徒のみ。

 

 福音事件において無断出撃をした一夏と箒。 箒は事件終了と同時に学園へ強制送還、撃墜された一夏は怪我その物は軽く3日入院した後、学園戻り罰を受ける事になった。その処罰は謹慎1週間に反省文700枚とかなり緩い物だった。 これには理由があり、福音事件が国際的にも秘密裏に処理しなければならない事案であり、その事件に関わったことでの処罰は大々的に公表することも出来ず、その為に処罰その物は軽いものになったのだ。 だがその分内申にはかなり響いている。

 

 箒は謹慎期間中は懲罰室での反省文書き、一夏はそれに加えてテストの成績不振による補習が加わっている。

 

 

 一方シュート達はというと、代表候補生であるシャル達はそれぞれ国が行うイベントや合宿等に参加せねばならず忙しい。 シュートとマドカは、会社関係のイベントやパーティーに会議等、此方も忙しい。

 それでも大半はデュノア夫妻が代わりに参加してくれているのでフランスに戻ることなく、日本にとどまっていた。

 

 8月の中旬、夏休みも残り2週間程になっていた、ある日。

 

 

 「ねぇ兄さん、明日の予定は?」

 

 「ん? 明日の予定か・・・・たしか・・」

 

 「明日の予定は珍しく何も入っておりません。」

 

 生徒会室で、夏休み前から持ち越していた書類を片付けていたシュート、マドカ、虚の3人。シャル・刀奈・簪は明日まで合宿、本音は所用で実家に戻っていた。 一段落したのでお茶を始めた所でマドカからの質問にシュートがスケジュールを確認しようとすると、すかさず虚が答えてくれた。 

 

 

 「虚さんも忙しいのに、スケジュール管理を任せてごめんね。」

 

 「いいえ問題ありません。寧ろこういった物は得意分野ですのでお気になさらず。」

 

 シュートが虚を労うと虚は謙虚な態度を示す。

 

 

 「ん~、なら兄さん。明日は遊びに行かない? 折角の夏休みなんだしプールに行きたい! ほら、この間貰ったプールの招待券があるじゃない。」

 

 「あぁあれか。たしか2枚貰って1枚で4人まで入場可能だったな。そうだな、織斑の方が問題無ければ可能なんだが・・・」

 

 一応、一夏の護衛の関係もあるので即答できないシュート。 未だに補習が終わらない一夏、そこで同じく学園に残っているスコールに一夏の現状について問い合わせた。するとスコールが生徒会室に来るという。 そしてやって来たスコールから

 

 

 「シュート、織斑君は今日で補習が終了したわ。明日から一旦自宅に戻るそうよ。外出許可並びに外泊許可が申請されて条件付きで許可されたわ。」

 

 「ようやくか・・・・」

 

 一夏の補習は中々終わらなかった。再試験に合格しなかったからだ、特にIS学科が。 最後は千冬と真耶にスコールのスリーマンセルによる徹底指導が行われたのだ。

 学園内での警護はシュート達が行っているが、学園外では学園が手配したSPによる警護と、シュート達が手配した更識警備会社からの警備員が密かにつくことになっている。

 

 

 「それなら行けそうだな。スコールも一緒にどうだ?」

 

 「そうね、たまにはいいかもね。」

 

 『ちょっと待ったーーー! 私達も行くーーー!!』

 

 突然、生徒会室のディスプレイが起動し画面にタバネとクロエとオータムの姿が映る。

 

 

 「「「「タバネ((姉さん))(様)」」」」

 

 驚くシュート達。いち早く我にかえったスコールが尋ねる。

 

 

 「ちょっと待ってタバネ! 行くって言ってもあなた達はフランスにいるのよ。今からじゃ間に合わないんじゃ?」

 

 『にししししぃ~、実はタバネさん達は今、日本にいるのだーー!』

 

 「「「「えぇーーーーーー!!」」」」

 

 タバネの告白に再び驚くシュート達。

 

 

 『思うところがあって暫く日本に拠点を置くことにしたの。とりあえず今は更識重工の地下秘密ラボにいるよ。』

 

 「せめて事前に連絡してくださいよ。驚いたじゃないですか。」

 

 『にししししぃ~サプライズ成功!』

 

 「はぁ~、とりあえずわかりましたから。 ですが、タバネ姉さんが表に出ると色々と問題がありますよ。」

 

 『ノープロブレム、問題なし! ちゃんとわからないように変装するし!』

 

 こうなってはタバネを止める事は出来ない。

 

 

 「わかりました、それじゃあ明日の朝10時に駅前に集合で。」

 

 『了解~! それじゃあ明日ね~』

 

 そう言って通信はきれる。そしてスコールと虚に

 

 

 「さて、さっそくだけど明日行く予定のプールとその周辺の警備態勢の確認と強化をしないとな。」

 

 「明日行く予定のプールはたしかオープンして間もない屋内型プール[ウォーターワールド]ですね。ウォーターワールドの警備態勢は最新型のセキュリティーシステムと監視態勢で万全を誇っているようです。」

 

 シュートの言葉に虚が直ぐに端末を使いプールの警備態勢を調べて告げる。

 

 

 「念のために更識から人員を派遣して貰ってガードして貰ったほうがいいわね。」

 

 「わかりました、そのように手配します。」

 

 スコールの意見に虚が承諾して直ぐに手配はかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウォーターワールド・・・・7月にオープンしたばかりの屋内型プール施設。 1周300mの流れるプールに人工波を発生させるビーチ型プール、7種類のウォータースライダーに児童用プール・・etc. とかなりの種類のアトラクションがあり、前売り券は9月分まで既に完売しており、当日券も開園わずか30分で完売するという大盛況振り。 シュート達が訪れた日も混んでいたか、ゆったりと遊べる事を前提にしており、人がごった返す程混雑している訳ではない

 

 もっともシュートにとっては、混んでいようがいまいがあまり関係なかった。 いや、混んでいるからこそ周囲からの(主に男性からの)羨む視線が容赦なく突き刺さる。同行しているのが見目麗しき美女&美少女なのだから仕方がないことだ。

 黒のタンキニ姿にイルカの浮き輪を抱えたマドカ、白地に黄色で縁取りされたモノキニに黄色パーカーを羽織った虚、胸元から臍の辺りまで大胆にカットが入った黒いハイレグワンピース姿のスコール、同じデザインの豹柄の水着姿のオータム、花柄のワンピース姿のクロエ、金髪のウィッグにゴーグルタイプの色の濃いサングラスをかけ赤色のビキニ姿のタバネ、そして狐の着ぐるみ型の水着を着た本音。 

 本音は通信が終わった後にちょうど戻って来てプールの話を聞き、最後の一枠を勝ち取った幸運の持ち主である。

 

 

 「うわ~! 凄いなここは!!」

 

 「こんなの初めて見ました。」

 

 「ねぇねぇマドッち・クロっち、あのスライダーから行こうよ! あっお姉ちゃんも一緒に!」

 

 施設の遊具に目移りするマドカと本音とクロエ。 それを見て苦笑する虚。スコールとオータムはサーフボード型の大型の浮き輪を借りて二人で流れるプールの方に向かった。 タバネはシュートの腕を取り

 

 

 「さて、シュー君はどこに行く? 」

 

 「タバネ姉さんの行きたいところに付き合うよ。」

 

 「それじゃあ、最初はビーチの方でボディーボードでもしようか。」

 

 そう言ってビーチ型プールに向かう。

 

 

 

 

 

 

 それから2時間後、シュート達は昼食をとるために4階にある特別テラス席にいた。 ここはVIP専用の場所で、他のテラス席と違い直通のエレベーターで水着のままで入室することができ、部屋には更衣室のほかシャワールームもある。 また、周囲はガラス張りになっているが、外から中の様子を見ることは出来ず、逆に中からは外の様子を見ることはできる。

 そして最大の特徴として、併設している様々なレストランから、料理を部屋に届けさせて食べる事ができるのだ。フランス料理に中華料理、懐石料理に寿司まで色々ある。 

 そんななか、シュート達が食べているのは

 

 

 「んーーー~! やっぱりプールに来たらこれこれ、このソース焼きそばに限るわ! このソースの香ばしい薫り堪らない!」

 

 「何を言っているのタバネ、プールといったらカレーじゃない! 冷えた体にこのスパイシーな味はベストマッチじゃない! そうよねオータム!」

 

 「あぁ、スコールの言うとおりだ。」

 

 焼きそばとカレーで熱く語るタバネとスコールとオータム。

 

 

 「ねぇ、本音・・・本当にそれ美味しいの?」

 

 「うん美味しいよ。色んな味がいっぺんに楽しめてお得だよマドッちとクロッちも一口どう?」

 

 「「遠慮します」」

 

 7色のカラフルなかき氷を美味しいそうに食べる本音を見て少し引きぎみに見守るマドカとクロエ。二人はそれぞれイチゴとメロンのかき氷食べている。

 

 

 「中々本格的な豚骨ラーメンだな。とてもフードコートの物とは思えないくらいだ。」

 

 「私のきつねうどんも出汁がきいていますし、麺の腰もあって本当に美味しいです。」

 

 シュートは豚骨ラーメン、虚はきつねうどんを食べてそれぞれ感想を述べる。 シュート達はレストランではなく1階のフードコートの料理を食べている。 全員が、プールに来てまで凝った料理を食べなくていいという感覚でフードコートの物を選んだのだ。 

 テーブルには他にも唐揚げにフライドポテトにたこ焼きという物が並んでおり、思い思いに口に運んでいる。

 

  PIPIPIPIPIPI  

 

  シュートのスマホがメールを受信する。画面を見ると、一夏の護衛についている更識の警備員からの定時報告だった。

 

 

 「警備員からですか?」

 

 虚が聞いてくる。

 

 

 「あぁ、織斑が外出したそうだ。そして現在、鏡ナギと行動を共にしているそうだ。 おそらくデートだろう。」

 

 「・・・・・トラブルの予感しかありませんね。」

 

 「・・・・何事もなく終わると助かるんだが。」

 

 シュートと虚、二人揃って溜め息をつく。

 

 

 

 

   昼食をとり、再び遊び始めた一行は、更に2時間ほど存分に遊びまわり、プールを後にした。

 そして、そのあとは全員で少し早めの夕食をとった。 

 

 

 「いやーー食べた食べた。やっぱり焼肉は和牛に限るね。柔らかさとジューシーさが違うね。」

 

 高級焼肉店で全メニューを制覇したタバネはご満悦だ。 タバネに釣られるようにシュート達もかなりの量を食べ全員が満腹状態だが、それでも楽しかった。

 

 

 「兄さ~ん、お腹いっぱ~い、眠い~」

 

 「ほら、マドカ。しっかりしろ。帰ってからシャワーくらい浴びないと。」

 

 「お姉ちゃん~、私も限界~」

 

 「本音! しっかりしなさい。 」

 

 妹コンビが年長者に甘える。 それを暖かい目でで見守る面々。 なごやかな空気に包まれていたが、シュートと虚とスコールのスマホが突然鳴り響く。

 

 

 「刀奈からだ。」

 

 「私は更識警備からです。」

 

 「私は学園からよ。」

 

 それぞれ着信した相手を告げて電話にでる。

 

 

 「もしもし、刀奈どうしたんだ? 合宿から帰って来たのか?」

 

 『挨拶は後! そこにみんないるの!』

 

 「あぁ、マドカに虚さんに本音にスコールとオータムとタバネ姉さんにクロエもいるよ。虚さんは更識警備と電話中でスコールは学園と電話中だよ。」

 

 『たぶん、虚ちゃんとスコールさんの電話の内容は一緒だと思うわ。 いいことよく聞いて、織斑一夏君が襲われて意識不明の重体で病院に運ばれたわ。そして襲った相手は篠ノ之箒さんよ。』

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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