インフィニット・ストラトス 遥かなる虹の輝き   作:雷狼輝刃

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第19話  臨海学校

 

 

 臨海学校・・・・IS学園1年生の1学期最後の行事である。

 日程は2泊3日で、初日は海での自由時間。 殆どの生徒がこれを最大の楽しみとしている。 2日目は一般生徒と専用機持ちに別れての訓練。 3日目は2日目の訓練のレポートを纏めた後に昼食までの間、自由時間となり昼食後に学園に向かって出発となる。

 

 

 初日、シュート達は特にトラブルもなく海でおおいに遊んだ・・・もっとも一夏がラッキースケベのスキルを発動させて、泳いでいる最中に清香の水着のトップスを取ってしまったり、転けた拍子に神楽を押し倒したり、ビーチバレーでナギのお尻の下敷きになったりして、箒の制裁を受けたりしていたが、それ以外は平穏無事に過ぎた。

 

 

 そして、今日は2日目。 一般生徒達は訓練機を使用しての海中並びに砂浜での起動訓練。そして専用機持ち達は国や企業が運びこんだ、武装やパッケージのテストを行う。

 

 シュート達も、それぞれ新しい武装やパッケージのテストする為の準備をしていた。

 

 

 「シュート殿、私のゲシュペンスト・レーゲンの専用パッケージが完成したと聞いたが?」

 

 ゲシュペンスト・レーゲン・・・・アルカンシェル社がラウラの専用機としてグリシーヌをベースに作り上げた万能型の機体である。 

 

 「あぁ、今まではグリシーヌのパッケージを代用して使用して貰っていたが、今日からは専用パッケージになる。仮称[ガルーダ]、ラプターとパワードの能力を合わせた物だ。」

 

 

 そう言ってシュートはラウラをコンテナの前に誘導する。

 

 「ラウラ、私が手伝うからインストールしようか。」

 

 「む、すまないなマドカ。 だが、自分の機体の方は何もしなくていいのか?」

 

 「私の機体は特に追加の装備や武装が無いからな。兄さんとシャルはあるけど、そっちは刀奈や簪が手伝うみたいだ。」

 

 「だが、2人のコンテナが見当たらないが?」

 

 そう言って周囲を見渡すラウラ。目の前にはラウラの装備が入ったコンテナが1つあるだけだ。

 

 

 「俺とシャルのは既に臨海学校前にインストールしてあるんだ。」

 

 そう答えるシュート。 シャルロットのソレイユは確かに臨海学校前にインストールしたのだが、シュートのリュミエールは違う。 リュミエールのコアが自ら考えて生み出すのだ。 

 

 

 「ちなみにどの様な物なのだ?」

 

 「私のはアリーナでは試す事の出来なかった高機動用のフライヤーシステムと水中用のダイバーシステムの2つだよ。」

 

 「俺のは搭乗型の高機動砲戦ユニットだ。」

 

 そうラウラに説明してシュートは自分達の装備のテストをするために、そこから離れようと向きを変えた時、ある一団が目に入った。 石動光子と白衣を着た数人の女性が2つのコンテナの前にいた。

 そしてそこに向かって歩く3人の男女・・・千冬に一夏、そして箒。

 

 

 「イスルギ重工社長の石動光子ね。織斑君の専用機を持ってきたみたいね。 でも、何故篠ノ之さんが? まさか彼女に専用機を?」

 

 いつの間にか側にきていた刀奈がそう言う。その疑問にスコールが答える

 

 

 「そう見たいよ。イスルギ重工は篠ノ之さんを企業代表操縦者に任命するそうよ。」

 

 「篠ノ之束の妹というネームバリューは企業の看板には最適だろうしな。 もっとも本人の技量がそれに相応しい物ならだけどね。」

 

 シュートがスコールの話を聞き補足する。

 一夏と同じく箒もまた剣のみの戦いに拘り、銃火器を使う事はない。 もっとも一夏と違い、授業での成績は悪くわない。

 

 

 「・・・・・・・何も起こらなきゃいいけど。」

 

 簪の呟きが全員の心に響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 千冬は一夏と箒を伴って光子の元に向かっていた。

 

 

 「それにしても驚いたな、箒も俺と同じ所から専用機をも貰えるようになっていたなんて。」

 

 「あぁ、織斑先生から機体を受けとるまでは他言無用と言われていたで話せなかったのだ。」

 

 「それなら仕方ないな。 箒の専用機も俺のと同型なんだろう、それなら心強いな。」

 

 「私語はそこまでだ二人とも。 お待たせして申し訳ない。」

 

 「いえいえ、むしろ機体の完成を今日までお待たせしたのは此方ですので。 さて、あなた方とは初めてお会いしますわね。私があなた方二人の専用機の製作いたしましたイスルギ重工の社長を務めます石動光子と申します。 」

 

 そう言って光子は二人に挨拶をする。 ちなみに光子の側には大きなパラソルを掲げたスーツ姿の男性が立っており、光子がその影中心になるように持っている。

 更にそのパラソルの柄からコードが伸びて男性の背負うリュックらしき物につながっていた。 光子が、この日差しの中で汗1つかいて無いのは、恐らくパラソルから冷風が吹いており光子を快適な気温で過ごさせているのだろう。

 

 

 「それでは早速ですが、お二人の専用機のご説明と最適化と一次移行を行います。」

 

 光子がそう言うと2つのコンテナが開き、中から細部が異なる白と赤の機体が姿を現した。

 

 

 「お二人の専用機は当社が開発した第3世代IS[ガーリオン]をカスタマイズしたものです。白色の機体が織斑一夏さんの機体で[ガーリオンカスタム・雪羅]機動力重視の機体です。 赤色の機体が篠ノ之箒さんの機体で[ガーリオンカスタム・紅百合]防御力重視の機体です。」

 

 そう言って白衣の女性がタブレットを取り出して通常のガーリオンの姿を呼び出して比較する。

 雪羅は、両肩のスラスターが大型化され、更にバックパックにガーリオンには無い小型のスラスターが増設されている。

 紅百合は、両肩のスラスター部分に打鉄のシールドによく似た大袖型の装甲が追加され、腰の部分にも似たような装甲が追加されている。

 

 

 「それでは最適化を開始しますので、搭乗してください。」

 

 女性がそう進めるので二人はそれぞれの機体に乗り込む。

 二人が作業を開始したのを見ながら千冬は光子に話かける。

 

 

 「ところで一夏の機体だが、例の物は?」

 

 「それなんですが、今の段階ではまだ登載されておりませんの。 例のシステムのデメリットを解消法のプランが幾つか出てますので、それを1つずつ試している最中ですわ。」

 

 そう答える光子。 そう雪片弐型を一夏の機体に装備させる予定だったのだが、そのままでは問題があると思った研究室が解消法を考えて試しているのだった。 

 

 

 「む、それならば仕方ないな・・・・ただ出来るだけ早い内に装備出来るようにしてくれ。」

 

 「わかっておりますわ。それから、篠ノ之さんの紅百合ですが高機動ブースターユニットをインストールしてあります。 時間があればテストをお願いたします。」

 

 一夏達の作業を見ながら二人はガーリオンの事で話を続ける。

 

 

 

 一次移行も終わり、いよいよ機体テストを始めようとした瞬間だった。

 

 

 「お、織斑先生~ ミューゼル先生~ た、たいへんです!!」

 

 真耶が一般生徒達のエリアからタブレットを抱えて走ってくる。

 

 

 

 

 

 

 




 
 一夏と箒の機体を紹介します。 独自の機能・武装・解釈がありますのでご注意を
 


 ガーリオンカスタム・雪羅  第3世代IS
 
 イスルギ重工の第3世代ISガーリオンを一夏専用に近接戦闘と機動性を強化したカスタム機体。
 両肩のスラスター部分が大型化され、更に背中の部分に小型のスラスターが増設されている。
お また、射撃の命中率が壊滅的な一夏にバーストレールガンを持たせても意味が無いと判断され代わりに取り扱いの簡単なサブマシンガンも装備することに。


武装
アサルトブレード ×1:打鉄改に装備していた物と同じ仕様の剣


サブマシンガン ×1:P90タイプのサブマシンガン


脚部内蔵型ミサイルポッド ×2:脚部に内蔵されているホーミングミサイルを4発装填されたミサイルポッド。


ソニックブレイカー : 機体前方にエネルギーフィールドを展開して突撃する。 ちなみに雪羅は、加速度が通常のものより高い為に攻撃力が高くなっている。




ガーリオンカスタム・紅百合  第3世代IS


 イスルギ重工がガーリオンを箒用にカスタマイズした
防御機能を強化した機体。
 両肩のスラスター部分に大袖のようなシールドと、腰の部分にも同じような装甲がつけられている。また、装甲そのものも厚くしてある。その為、雪羅と比べると機動力が劣る、その分防御力は格段に優れる。


武装
アサルトブレード ×1:雪羅に装備されている物と同じ


アサルトブレードⅡ ×1:紅百合用に作られた専用ブレード。 ブレードの峰の部分に銃身があり、トリガーを引くとレーザーが発射される。 威力はあるが射程は短い。
 

バーストレールガン ×1:携帯型レールガン。 炸裂弾を使用しているため威力は高め。


サブマシンガン ×1:雪羅の物と同じ


ソニックブレイカー :雪羅の物と同じ。 ただし、紅百合の方が加速が劣る為に威力は落ちる。


ブースターユニット :背面に装着する大型ブースター。 これを紅百合に装着した場合、機動力は雪羅を上回る。 ただし、その加速度故に小回りがきかない。


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