インフィニット・ストラトス 遥かなる虹の輝き   作:雷狼輝刃

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 あけまして おめでとうございます。

 本年もよろしくお願いいたします


第18話  テストという物

  

 

 7月2日金曜日

 

   カリカリカリカリカリカリ

 

  教室に響き渡る筆記音。全員が真剣になって机の上にあるテストを解いている。

 

 期末テスト・・・IS学園において学期毎に行われる唯一の学力テストである。

 日本語・英語・数学・社会(日本史・世界史・地理)・理科(生物・物理・化学)・IS学の6教科に加えてIS実技(1学期は起動並びに基本動作)のテストが3日に渡って行われる。

 

 ちなみに赤点(50点以下)を取ると夏休み期間中に1学科に付き10時間の補習と再テストが行われる。 再テストで60点以下の場合は更に5時間の補習追加と再再テストが行われる。 下手すると夏休みが潰れてしまうこと間違いなしなので全員真剣だ。

 

 余談だが、昨年フォルテが日本語で赤点を取ってしまい補習を受ける事になり、ギリシャへの帰国の予定が大幅にずれてしまいダリルと遊ぶ時間が殆ど無くなり泣く羽目になった。

 

   キーンコーンカーンコーン

 

 

 「そこまで、テスト終了です。 筆記用具から手を離して答案用紙を裏返してください。」

 

 スコールの言葉と同時に全員が行動する。 そして後ろの席から真耶が答案用紙を回収していく。

 

 

 「これで1学期の学期末テストの全日程は終わります。 みなさんも知っての通りに赤点を取った者には夏休み期間中に補習を受けて貰うことになっています。」

 

  IS学園は世界で唯一のISの専門学校である。入学倍率もかなりの物だ。日本にある一般の高等学校に競べて高いレベルの授業が行われている。 

 課題以外にも予習復習を行い、尚且つ部活動やISの訓練を同時に行う必要がある。 即ち文武両道が求められるのだ。

 さて、ここまで説明すればわかって頂けると思うが、先程のスコールの話に顔を青くした人物がいる、一夏だ。

 彼は中学時代、赤点を取ったことはなかった。だが優秀な成績だったかと言われれば、そうでもない。

 可もなく不可もない成績だった。 そんな一夏だか、IS学園に入学してからというもの学業よりISの訓練が中心となっている、ということは・・・・

 

 

 ( ま、不味い! 半分も出来てない! もし赤点を取ったら千冬姉から怒られる・・・赤点は35点以下のはず、現段階の自己採点ではぎりぎりいけるはず・・・・)

 

 と考えてている一夏だが、事前説明の赤点ラインをちゃんと聞いていなかったことが地獄を招くことになる。

 

 

  「さて、話は変わりますが来週の火曜日から2泊3日の日程で臨海学校が行われます。 準備を怠らないようにお願いしますね。 それでは今日はこれまでです。」

 

 そうスコールが締めくくり終わった。

 

 

 

 

 

 「臨海学校の準備は終わっているの兄さん?」

 

 学期末テストのために午前中で授業が終わったので、昼食を取り生徒会室に集まったところでマドカがシュートに聞いてきた。

 

 

 「だいたいは終わっている。後は携帯用の洗面道具や水着だな。」

 

 「ねぇシュート、明日みんなで買い物に行かない? 私も水着を新調したいしさ。」

 

 「それなら私と虚ちゃんも一緒に行くわ。」

 

 シャルの話に乗ってくる刀奈。

 

 

 「実はお嬢様と私も臨海学校に同行することになったのです。理事長からの指示で。」

 

 虚の話に驚く一堂。

 

 

  「ここ最近、イベントの度に事件が起きてるでしょ。 それで理事長が万が一の事態に備えて上級生の専用機持ちを同行させる事を決めたの。そして同行するのが私とサポート役の虚ちゃんなの」

 

 「確かに2回連続でイベントで事件がおきてるしね。用心に越したことはないよね。」

 

 刀奈の話に納得するシャル。

 

 

 「ということは、明日に備えて目の前の案件を今日中にある程度目星をつけないといけないわけだ。」

 

 シュート達は現在、ある問題を抱えていた。

事の発端は先月行われた学年別タッグトーナメントにある。 ローズガーデンの襲撃によりトーナメントは中止となった。

 一応、データ取りのために1回戦のみが行われて、そのデータが国や企業に参考データとして渡されたのだが、国や企業からはそのデータの少なさに不満が噴出してきた。 それは直接又は学生を通じて学園に寄せられた。 学生側も余りのクレームの多さに、改めてトーナメントを開催することを決定し国や企業に伝えた。

 問題はそれらの日程やレギュレーションを生徒会に一任したことだ。 予定外の行事の為に教師がやっていたら間に合わないと言われたのだ。

 

 

 「今のところ、2学期の行事として9月の第2週目の金曜・土曜が学園祭の予定です。 そして9月の最終週の土曜にキャノンボールファスト、10月の第1日曜日に体育祭が予定されてます、更に11月の中旬には1年生の修学旅行が予定されています。」

 

 「となると、10月後半から11月の頭に開催するのが日程としてはベストね。」

 

 虚が2学期の行事を読み上げたのを聞いて刀奈が判断する。

 

 

 「レギュレーションだけど、専用機部門・専用機を持たない代表候補生部門・一般学生部門に別けて開催してはどうかな? 」

 

 「そうですね、それなら全体的にバランスの取れた試合が出来るとは思います。」

 

 「そうね、試合の順番もそれぞれ交互に調整すれば見る方も楽しめるわね。」

 

 シュートの提案に虚と刀奈が同意する。

この後もトーナメント乗ってくるレギュレーションを決める為の話し合いが続けられた。

 

 

 

 

 

 

 

 テストが終わった後、箒は自分の部屋のベッドに腰かけて携帯の画面を見つめていた。

 そこには[姉さん]と表示されている。

 

 

 (・・・・・・・どうしよう、姉さんに連絡するべきなのか・・・・だが、今更間にあわないだろうし・・・しかし・・・もしかしたら私への誕生日のサプライズプレゼントとして用意してるかも・・・・・)

 

 携帯の画面とにらめっこしながら自問自答する箒。

箒が悩むのは訳があった。 中止となった学年別タッグトーナメントの後に千冬からイスルギ重工の企業代表に選ばれたと告げられた。 更に一夏と同型の専用機が与えられるとも。 

 箒にとって思いがけない話で嬉しかった。 だが、それと同時に不安でもあった、新鋭企業の作るISが果してアルカンシェル社の第4世代機を上回る性能を持つのか? 

 それなら姉である束に頼むほうが良いのでは。 そんな考えが浮かぶが、クラス対抗戦の時の束の声明がその考えを押し止める。

 結局、結論を出せぬまま臨海学校が近づいてきた。 唯一の希望として臨海学校の2日目の7月7日が箒の誕生日であるため、束が誕生日プレゼントとして最新鋭の機体を準備しているかも、という淡い期待だけがあった。

 

 もっとも当の束は、箒に専用機をプレゼントするつもりは全く無く、これまでの箒の行動から専用機を渡せば傲慢になると考えている。 また、箒が束の名前を利用し続ける悪癖を断つ為には荒療治が必要と考えており、その為の準備を束はしているのだった。

 

 

 

  

 

 

 

 職員室では期末テストの採点が行われていた。

そんな中、ある生徒の答案用紙を採点し終えた真耶は頭を抱えてしまった。  そこに千冬とスコールがやってきた。

 

 

 「どうしました山田先生?」

 

 そう言って真耶に声をかけるスコール、そして机の上にある答案用紙を見て納得してしまう。 千冬もまた答案用紙を見て手で顔を覆い盛大な溜め息を吐く。

 

 

 「・・・・ハァァァァーーー あの馬鹿が!」

 

 「流石にこの点数は不味いですね織斑先生。」

 

 「どうしましょうか先ぱ・・・織斑先生?」

 

 3人が視線をやる答案用紙の氏名の欄には[織斑一夏]と書かれていた。

 答案用紙には赤色のペンでいくつもの印がしてあり、何れも30点から40点台だった・・・つまり赤点である。 しかも6教科全てで・・・

 

 

 「夏休みの課題もあるから、彼は夏休み遊ぶ暇は無さそうね。」

 

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 目に見える形で示された弟の現状は千冬を大きく打ちのめした。 確かにIS学園の授業レベルは高いが、それでも真面目に授業を受けて居れば少なくとも6教科全てで赤点を取ることは無い。 

 そして更に追い討ちをかける事が起きる。

 

 

 「織斑先生、実は学科だけで無く実技の方でも・・・」

 

 真耶が申し訳なさそうに告げる。

 

 

 「織斑先生も知っての通り、専用機持ちの実技は一般生徒とは別の物を受けてもらいます。 一応、彼も専用機持ちですので、そちらを受けさせたのですが射撃と射撃回避が赤点です。」

 

 それを聞き肩を落とす千冬。 姉の面目丸潰れである。 だが、いまは一夏を叱る事が出来ない。 月曜日のテストの返却が終るまでなにも出来ない。

 

 

 

 

 

  

 




 
 前話で掲載するのを忘れていたラウラの専用機のデータを掲載します。 本格的な出番は臨海学校からになります


 ゲシュペンスト・レーゲン  第3世代型IS

 搭乗者 ラウラ・ボーデヴィッヒ

 外見 量産型ゲシュペンストMKーⅡ改

 ドイツがアルカンシェル社に依頼してグリシーヌをベースにして作ったラウラの専用機。
 近接・遠距離をこなせる万能型IS、またシュヴァルツェア・レーゲンのコアを移植した為に親和性が高い。
 AICの改良型が登載されており、使いやすくなっている。
 ちなみに機体の命名はエクセレンである。(機体を見たエクセレンが「わーお、ヴァイスちゃんと違って恐持てなお顔、まるで幽霊[ゲシュペンスト]ね」 と言ったところから名付けられた。)



 
 武装
 リニアガン X2 : 翠華月と同型の物。


 フォールディング・ツーウェイ・キャノン X 1: リュミエールに装備されているマグナ・ビームライフルの発展型。 速射の[ショートレンジ・S]と単射・高出力の[ロングレンジ・L]の2つのモードがある。 


 プラズマバックラー ×2: 格闘専用特殊武装。両腕に装着された着脱可能なバックラー型のプラズマステーク。 


 スプリットミサイル ×8:発射後に多弾頭ミサイルを内部から射出するミサイル。 背面のバックパック に内蔵されている。 


 プラズマカッター ×2:腰のスカート部分に収納されている、エネルギー刃。 通常形態の他にラウラの希望により、刃の短いナイフ形態への切り替えが可能。

 コールドメタルナイフ ×1:コールドメタルソードのナイフ版


スラッシュリッパー ×4:思念誘導型の手裏剣のような形状をした実体刃。 AI補助により思念誘導の負担が大幅に軽減されている。


 AIC改 :シュヴァルツェア・レーゲンに登載されていたAICの改良型。 マーカーで指定した場所を中心として直径3mの球形力場を形成し、その力場内部に捕らえた物の動きを10秒間止める。 マーカーを指定する際にのみ意識を集中させればいいが、その分拘束力が弱い。その代わり同時に5つまで力場を形成することができ、重ねて形成する事で拘束力を強くすることが出来る。 また、以前のAICと同じように使う事が出来るが、その際は集中し続ける必要がある(その際はマーカーでの力場形成が出来なくなる)。


専用パッケージ:ガルーダ (外見 FMラプターシュナーベル)

ラプターとパワードの能力を合わせ持つパッケージ
大型レールキャノンと大型ウイングを持ち、高機動と攻撃力を実現。 背面に装着されるが、単体でも自立型支援機として使用できる。 また支援機活動時に、その上に乗りサーフボードのように操る事が出来る。


武装
 ツインレールキャノン ×2:大型のレールキャノン。 

 ホーミングミサイル ×30:自動追尾機能を持つミサイル


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