インフィニット・ストラトス 遥かなる虹の輝き   作:雷狼輝刃

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 短いですがどうぞ。


第17話  ドイツからの来訪者

  

 

  「「失礼しました。」」

 

 学園長室での事情聴取をおえて部屋を後にするシュートとマドカ。

 二人の行動はスコールからの要請によるものなので帰された。 一夏は未だに気を失っており保健室で寝ている。 彼の場合は何らかの処分がおりるかも知れないが、いまのところはわからない。

 

 

 「シュート、マドカちゃん。」

 

 呼ばれたので振り返る二人、そこには刀奈がラウラを伴って立っていた。

 どうやら二人が出てくるのを待っていたようだ。

 

 

 「どうしたんだ何か急用でも出来たのか?」

 

 「ちょっとね。一緒に来てほしいの。」

 

 そう言って刀奈は歩き出す。

 

 

 「ラウラは知っているのか?」

 

 「イヤ、私も訳が分からぬままに更識生徒会長に先程呼び出されたのだ。」

 

 シュートの問いにラウラが答える。 ラウラも何故呼び出されたのか分からず困惑しているようだ。

 やがて【応接室】と書かれたプレートのある扉の前についた。

 

 

    コン  コンコン

 

 刀奈が扉をノックすると、扉のロックが外されて開き中から虚が顔を出して

 

 

 「お待ちしておりました。中へどうぞ。」

 

 そう言って招き入れる。 

 

 

 「「「「失礼します。」」」」

 

 礼をして室内に入るとそこには、ソファーに座るクロエ、テーブルを挟んで反対側のソファーに座るスーツを着た金髪の男性、その後ろに立つ同じようなデザインのショルダーパッド付きの色違いのジャケットを着た一組の男女がいた。

 シュートとマドカはクロエがいたことにも驚いたが、それ以上にソファーに座る男性と背後に立つ女性の存在に驚いた。 どちらもかなりの有名人だからだ。

 ソファーに座っているのはドイツの外務大臣エルザム・V・ブランシュタイン。 そして後ろに立つ女性はドイツの国家代表のエクセレン・ブロウニング。

 

 

 「わぉー、ラウラちゃんひさしぶり。元気にしてたー」

 

 そう言ってエクセレンはラウラにかけより抱きつく。

 

 

 「エ、エクセねえ様。ど、どうして日本? それにうぷっ?!」

 

  「もちのろん! ラウラちゃんに逢うためよ! もう寂しかったんだから!」

 

 「フガ、フゴ・・・・・エフフェネェヒャマ・・クルフィイ。」

 

 エクセレンの胸に顔を挟まれて窒息寸前のラウラ、ソファーの後ろに立っていた男性が止めに入る。

 

 

 「エクセレン、その辺りで開放してやれ。ラウラが苦しんでいるぞ。」

 

 「あらやだ、ごめんねラウラちゃん。」

 

 「ハァハァハァハァ、助かりましたキョウスケ教官。」

 

 「大したことではない、だが元気そうで何よりだラウラ。」

 

 「はい、キョウスケ教官もおかわりなく。」

 

 そう言ってラウラは敬礼する。

それを見てエルザムがソファーから立ち上がり

 

 

 「さて自己紹介をさせてもらおうかな。私はドイツの外務大臣を勤めるエルザム・V・ブランシュタインだ。」

 

 「ドイツの国家代表を勤めるエクセレン・ブロウニングよ! エクセ姉さまと呼んでね♥ イタッ!」

 

 「ドイツ軍所属 教導隊主任教官を勤めるキョウスケ・ナンブだ。」

 

 エクセレンに拳骨をして挨拶するキョウスケ。

 

 

 「アルカンシェル社、社長代理のシュート・アルカンシェルです。」

 

 「アルカンシェル社所属 企業代表のマドカ・アルカンシェルです。」

 

 そう言って一礼する二人。どうやら刀奈と虚とクロエは既に挨拶を済ませていたようだ。 

 そしてこの時になってラウラはクロエの存在に気づいて驚いている。

 

 

 「貴女は?!」

 

 「アルカンシェル社の社長秘書を勤めるクロエ・アルカンシェルと申します。」

 

 ラウラはクロエの顔を見つめて動揺していた。余りにも自分に似ている為に。

 ラウラが口を開こうとしたが、その前にエルザムがソファーに座るように示しながら

 

 

 「さて、積もる話も沢山有るだろうが先に重要な要件を済ませよう。」

 

 エルザムの進めに従いソファーに座る。

 

 

 「さて、先ずはボーデウィッヒ少佐。君のISを待機状態のままで出してほしい。」

 

 エルザムがそう言ったのでラウラは右腿にはめているレッグバンドを外してテーブルに置く。

 それを見てエルザムが頷くとクロエがパソコンを取り出して起動させコードをレッグバンドに接続する。

 かなりのスピードでキーボードを叩くクロエ。

 

 

 「ありましたわ。」

 

 キーボードを叩くの止めるクロエ、デッスプレイには

 

      Secret―mode―system

   Valkyrie ―Trace ―System

  MODEL―CHIFUYU ・ORIMURA ―KUREZAKURA

 

   そう表示される

 

 

 「そちらが入手された情報通りにシュヴァルツェア・レーゲンにVTシステムが隠されて組み込まれていました。 発動条件は機体のダメージレベルがDになり、装着者の精神が衰弱すること。そして【怒り・憎しみ・憤り】といった感情がトリガーとなり発動するようです。」

 

 クロエの言葉に騒然となる。

 

 

 「事の発端は先日、ドイツ軍に所属していた女性研究員が逃亡したことにある。 その研究員には背任や横領の容疑で逮捕寸前だっのだ。 しかし直前に察知した研究員は逃亡、我々はその研究員の残した物を調べていた。 そして昨日、研究員のパソコンからVTシステムに関する研究データーが発見された。」

 

 エルザムはそこまで言うと、テーブルのレッグバンドに視線をやる。

  

 

 「更に調査した結果、その研究員が関わっていたISの中にボーデウィッヒ少佐のシュヴァルツェア・レーゲンが含まれているのが先程わかり、調べたという訳だ。」

 

 「VTシステム・・・・とすると、その研究員はローズガーデンの関係者か若しくは匿われた、という事でしょうか」

 

 「恐らくな、いまインターポールを通じて国際指名手配をかけてもらった。」

 

 シュートの話に同意するエルザム。

 

 

 「VTシステムの削除が完了しました。」

 

 そう言ってクロエはレッグバンドからコードを外す。

その作業が終わったのを見てシュートが

 

 

 「そう言えばクロエ、何故今日来ているんだ? 予定では木曜日に来るはずたったよな。」

 

 「はい、本来なら木曜日からの観戦予定でしたがブランシュタイン外務大臣の来日に合わせて繰り上げたのです。 どうせならば実物を目にしていただこうと思いまして。」

 

 「もしかしてクロエ、もう出来たの?」

 

 「はい、マドカ姉様。」

 

 「なに~、もしかしてラウラちゃんの専用機なの?」

 

 クロエとマドカの会話から予測をつけたエクセレンが口を挟む。

 

 

 「ほ~、もう出来たのか速いな。流石はアルカンシェル社というところか。」

 

 「えぇ、速いですね。我が国でシュヴァルツェアを作った時は6ヶ月はかかりました。」

 

 エルザムとキョウスケが誉める。

そして漸く理解したラウラが

 

 

  「私の新しい専用機が!!」

 

  「間もなく、第10アリーナのピットに搬入されます。」

 

 そうクロエが答える。

 

 

 「そうか、それは楽しみだな。 では早速見学に向かうとしようか。」

 

 エルザムが立ち上がったのを見て全員が移動を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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