インフィニット・ストラトス 遥かなる虹の輝き   作:雷狼輝刃

17 / 55

 ストックが切れたので投稿ペースを落とさせてもらいます。


第14話  学年別トーナメント

 

 学年別タッグトーナメントの開催発表から約一ヶ月が過ぎた6月7日月曜日、トーナメントの初日を迎えた。

 

 日程としては月曜は全部で10あるアリーナの内、第1から第4アリーナまでを1年生、第5・第6アリーナを2年生、第7・第8アリーナを3年生が使い1回戦が行われる。 火曜日に2回戦、水曜日に準々決勝、木曜日に準決勝、金曜日に決勝が行われる。

 

 試合時間も1年生は1回戦、2回戦は制限時間30分、それ以降は60分で行われる。 参加人数の少ない2年生、3年生は全ての試合が60分で行われる。

 2年生、3年生の参加人数が少ないのは理由があり、2年生に進級すると共に進路を整備科か操縦科に別れる為である。 

 ちなみに試合に参加しない整備科の生徒達は全ての機体の調整・整備&修理を整備員に混じって行う事になっている。

  

 

 第1アリーナ入り口の設置されている電光掲示板の前にはISスーツに着替えた1年生が集まっており、トーナメントの組合せの発表を今か今かと待ちわびている。

 

 また、トーナメントの影で学食チケットを掛けたトトカルチョが行われており、優勝候補本命にはシュート&マドカペア、ラウラ&シャルロットペアが同率で並び、対抗馬としてセシリア&鈴ペアの名前が上がっている。 簪は本音とペアを組んだのだが、本音の実力が未知数の為に10番人気となっていた。

 ちなみに一夏は抽選の結果、ナギとペアを組む事になり大穴に指定されている。 そして神楽は清音とペアを組み、箒はクラスメイトの谷本療子とペアを組んだが、どちらもトトカルチョには名前が上がっていない。

 

 

 「ねぇ兄さん、誰と当たるかな?」

 

 「誰と当たっても全力で臨むだけです。」

 

 そうシュートとマドカが会話していると電光掲示板に組合せ表が表示された。

 

 「「「「キャァァァァァァァーーー!!」」」」

 

 「?! これは!」

 

 「兄さん、これって偶然なの?」

 

 黄色い悲鳴が上がり、二人が驚いたのも無理はない。

 

 

 トーナメント表には全30試合の組合せが表示されているが、午後からの部の試合の1つがなんと

 

 織斑一夏&鏡ナギ VSシュート・アルカンシェル&マドカ・アルカンシェル

 

 となっていたからだ。 運命のイタズラとしか言い様の無い組合せだ。 ちなみにこの組合せを知り、大穴を狙い一夏のペアに掛けていた生徒達は膝をつき項垂れていた。

 

 

 

 

 

  時間は進み、何のトラブルもなく午前の部は終了した。 ラウラ・シャルロットペアとセシリア・鈴ペアは午前の部に登場し、無傷で勝利した。

 

 そしていよいよ午後の部が始まろうとしていた。 第1アリーナには多数の人が集まっていた。 それもそのはず、男性操縦者同士の試合なのだから。

 

東側のピットではシュートとマドカが入念に準備をしていた。 

 

 

 「ねぇ兄さん、ガナリーカーバーの能力は何処まで見せてもいいの?」

 

 「そうだな、ビットモードとフルバースト・・・それに

 奥の手の【B・M・X】と単一仕様能力は使うな。」  

 

 「それって通常モードのみってことじゃない。 欲求不満になるよ。」

 

 「仕方ないだろう、お前のガナリーカーバーはそれほど特殊な武器なんだ、全ての機能をそう簡単に披露するわけにはいかない。 まあ、リフレクターの使用許可は出しているんだからそれで我慢しろ。」

 

 マドカの頭を撫でながら慰めるシュート。

 

 

 『まもなく午後の部の試合を開始致します。 両ペアともアリーナに出撃してください。』

 

放送の呼び掛けにシュートとマドカはISを展開しカタパルトからアリーナに向かって飛び出す。

 

 シュートとマドカがアリーナに飛び出して少しして一夏とナギが出てきた。

 一夏は打鉄をナギはラファールを纏っていた。 一夏の打鉄は両肩のシールドがなく戦闘機のような形状のスラスターが装着されている。ナギのラファールは両手にガトリングガン、両肩にミサイルランチャー、両足にミサイルポッドを装着した重装型になっていた。

 一夏は近接ブレード『葵』によく似た刀を呼び出し

 

 

 「シュート、今日こそお前を倒して俺や千冬姉が正しい事を証明してやる。 そして白式を取り戻すんだ。」

 

 まるで白式の没収がシュートの責任のような一夏の言い方・・・・毎度の事ながらもシュートとマドカは、呆れてしまい何も言えなかった。 

 

 

 「ナギさん、打ち合わせ通りに行くよ。」

 

 「わかったわ一夏君。」

 

 何やら打ち合わせをする二人、ただし此方にも聞こえている。

 

 

 『ねぇ兄さん、あの二人の考えた作戦って何だと思う?』

 

 『大方、鏡さんが一斉射撃をして俺達を分断、もしくは視界を奪って、その隙に織斑が接近してきて斬りつける。 織斑の思考だと、そんなものだろう。 ただ、あのブレードが気になる・・・打鉄の装備の葵に似ているけど、何か違う。 一応、気にしておいてくれマドカ。』

 

 プライベートチャンネルで話ながらシュートは右手にマグナ・ビームライフルをマドカはガナリーカーバーを呼び出して構える。

 

 

 

     ブーーーーーーーーーー

 

  そして、試合開始を告げるブザーが鳴り響く

 

 

  「先手必勝!」

 

 ナギはブザーと同時にトリガーを引き、両手のガトリングガンに両肩のミサイルランチャーに両足のミサイルポッドを一斉に発射する。 狙いを完全には定めずにただ前方に撃っただけだが。 

 

 

  「「させない!!」」

 

  「キャァーーー!!」

 

  「えっ?! グワッ!!」

 

 しかし、それらは全て発射と同時にシュートのマグナ・ビームライフルとマドカのガナリーカーバーのビームで迎撃された。 そして、全てナギの側で誘爆した為にその爆風がナギを襲う。 

 いやナギだけではない、シュート達の読み通りにナギの一斉射撃と同時にシュート達に接近するために1度降下し、下から一気に上昇して行く予定だったが運悪く真上で誘爆してしまい、その爆風をまともに頭上から受けて地面に叩きつけられる。

 一夏のたてた作戦が早くも崩壊し、視界も煙で遮られ、どう動いていいのかわからないナギは一夏の姿を探す。 そして爆風で地面に叩きつけられて横たわる一夏の姿を確認する。

 だが、ここでナギは重大なミスを犯す。 

 

 

 「い、一夏君! 大丈夫なの?」

 

 「?! ナ、ナギさん避けて!!」

 

 「えっ?!」

 

 一夏の指摘に正面を向くと、煙の中から飛び出してきたシュートとマドカの姿があった。

 下から見ていた一夏はシュートとマドカがナギに向かって煙の中に飛び込んでいくのが見えていた。 そして警告をだしたが遅かった。

  試合最中に対戦相手から目を離しというミス、だがナギを責める事は出来ない。 そもそも実戦経験もなく、搭乗訓練時間も僅か、それに加えて一夏との偏った訓練、それで専用機持ち相手をするのだ。

 どう考えても無理がある。 しかし、それでも勝負は非情である。

 

 目の前に突然姿を現したシュートとマドカにナギは驚き硬直してしまった。

 

  

  「「先ずは一機!!」」

 

 シュートは左手に持つロシュセイバーで、マドカはガナリーカーバーに内蔵された高周波ブレードで斬りつける。

 

 

 「キャァー!」

 

 そしてそのまま至近距離でシュートはマグナビームライフルをマドカはガナリーカーバーをマシンガンモードで撃つ。 避けることが出来ずにナギは全ての攻撃を受ける。

 

 

 「キャァァァァァァァーーー!!」

 

 そのままアリーナの地面に墜落し、その直後にSEが尽きたのかISが解除されてしまう。

 

 

 『鏡ナギ、ラファール SEエンプティ 』

 

 ナギに駆け寄る一夏。

 

 

 「ナギさん大丈夫?」

 

 「うん、大丈夫。ごめんね一夏君、何の役にも立てなかった。」

 

 「ナギさんが謝ることないよ。 それにしても二人がかりで攻撃するなんて卑怯な奴等だ。 俺が仇をとるからナギさんはピットに避難して。」

 

 そう言って一夏はナギをピットに向かわせて自分はシュート達のもとに向かう。

 

 

 「二人がかりでナギさんを攻撃するなんて卑怯じゃないか! 正々堂々と戦えよ。」

 

 「何言ってんの? タッグマッチなんだから当たり前じゃない。 1対1、2対2、2対1の構図は想定の範囲内よ。それを頭に入れて訓練したり作戦を考えるのが普通よ。」

 

 マドカに言われ、自分達の訓練のあり方、作戦内容の不味さが露呈することになった一夏。 そう一夏は常に1対1の構図を作る事しか頭に無かった。 

 

 

 「くそー こうなったらシュート、男同士1対1の決闘で勝敗を決しようぜ。勝った方が試合の勝者だ。」

 

 起死回生とばかりに1対1の決闘を提案する一夏。 少しでも自分の都合の良い状況にしようと試みるが

 

 

 『織斑君、選手間での勝手なルール変更は認められてません。 ペナルティにより警告1を与えます。もう一度警告を与えられたら失格となります。』

 

 管制室から真耶の警告が一夏にでる。警告がでると思わなかった一夏は表情を歪める。

 

 

 「織斑、1対1がお望みなら最初は私が相手してあげる。 私を倒すことができたら兄さんと1対1で戦えるわよ。」

 

 そう言ってマドカはシュートの前に出てガナリーカーバーを構える。 そして、高周波ブレードを展開し一気に一夏に向かって接近する。

 

 

 「くそー、接近戦なら負けないぜ。いくぞ近接ブレード【断葵(たちあおい)】」

 

 一夏は手にしていたブレードの柄にあるトリガーを引く。 その瞬間に僅かだが刀身に青白い火花が散る。 そしてマドカはそれを見逃さなかった。

 

 

 (何、今のは? 放電現象みたいだったけど、用心にこしたことはないわね)

 

 マドカは直ぐ様ブレードを収納してマシンガンモードに切り替えて撃つ。 避けられないと思った一夏は断葵の刀身からマドカに向けて突きだしトリガーを引き

 

 

 「三つ葉葵!」

 

 掛け声と共に刀身を中心に三枚の葉っぱのような形状の電磁シールドが展開されてマシンガンの弾丸を防ぐ。

 

 

 「どうだ! えっ?! いない? グフッ!」

 

 電磁シールドでマシンガンの弾丸を防ぎきった一夏は得意気にマドカを見ようとしたが、既にそこにマドカの姿は無かった。 次の瞬間、頭部に殴られたような衝撃を受けた。

 マドカがガナリーカーバーの銃床部分にある突起で一夏の頭を殴ったのだ。

 更に背中を見せた一夏に対して容赦なくマシンガンを撃つ。 流石に背中に電磁シールドを張ることが出来ない一夏はまともに喰らう。

 

 

 「どうだ、ガナリーカーバーはこういう使い方も出来るんだぞ。 さあ、お次はこいつだ。」

 

 そう言ってマドカがガナリーカーバーのトリガーを引くと銃身からビームが何発も発射される。 間一髪で避ける一夏。

 

 

 「避ければビームなん グフッ!?」

 

 一夏が避けたはずのビームが何故か全て背中や太股に命中する。 避けたはずのビームが命中したことに混乱する一夏。 

 アリーナの観客達には、何が起きたのか見えていた。理由まではわからないが、ともかく一夏が避けたビームが突然、何かに当たって向きを変えたかのように直角に曲がり一夏に命中したのだ。

 

 

 「なんで? 避けたはずなのにグフッ、グワッ!!」

 

 訳も分からず混乱する一夏に容赦なく追撃を行うマドカ、先程と同じくガナリーカーバーの銃床部分の突起で連続で殴る。

 そのままアリーナの地面に再び叩きつけられる一夏。

 上空からそれを見下ろすマドカは、ガナリーカーバーの銃身を一夏に向けた、

 

 

 

 

 

 その瞬間だった、アリーナ全体に爆音と共に衝撃が走ったのは




 今回は一夏の打鉄改について紹介します


 打鉄改    第2世代型IS

 一夏が暫定的に使用することになった打鉄をイスルギ重工がカスタマイズしたもの。 当初は学園の打鉄を使用する予定だったが、イスルギ重工が新しい専用機のデーターを得るためにカスタマイズしたものを持ち込んだ。 ただし、コアは学園の物を使用。
 特筆するところは、両肩に設置されていたシールドを外し、代わりに小型スラスターを設置し防御重視から機動力重視にした。
 また射撃能力が壊滅的な一夏の為に高性能の射撃補助システムを登載し射撃能力のサポートしている。 ただこのシステムの容量が重かった為に武器は余り登載出来なかった。


 武装
近接ブレード[葵弐型]×2:ガーリオンのアサルトブレードをベースに改良した刀。 特徴としては柄の部分に交換式のエネルギーカートリッジを登載し、IS本体のエネルギーを使用しないで2つの機能を使うことができる。 なお、カートリッジ1つに付き5回発動できる。
 機能1 電撃刀[断葵]:ボイスキー+トリガーで発動し、刀身に高圧電流を纏わせたスタンブレードにする。
 機能2 電磁シールド[三つ葉葵]:ボイスキー+トリガーで発動し、刀身を中心に三枚の葉っぱのような電磁シールドを発生させる。

アサルトライフル[焔備]×1:打鉄の標準装備のライフル。射撃補助システムにより命中率は格段にアップしている。

ミサイルポット[彼岸花]×2:脚部です装着されたミサイルポット。射撃補助システムとホーミングシステムにより命中率はかなりの物。


射撃補助システム:射撃の腕前が壊滅的な一夏の為に載せられたシステム。超初心者でも、このシステムを使えば命中率が90%に到達する。しかし、実戦においてはシステムの容量の重さと超初心者向け設定が足を引っ張る事になる。 しかし一夏はこのシステムを利用しないと命中率が一桁台になるので載せている。ちなみにシステムを使用しての命中率は60%弱である。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。