インフィニット・ストラトス 遥かなる虹の輝き   作:雷狼輝刃

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第8話  VS侵入者

 謎のISが侵入してくる少し前、シュート達にファントムタスク専用の通信コードを通じて連絡が入った。

 

 

 『ファントムタスクメンバーに緊急通達、IS学園上空1500mに謎のIS反応を3機確認。 現在時速300K m で降下中、予想降下ポイントは現在一年生の試合が行われている第3アリーナ。』

 

 

 その通信の直後だった、赤い光がアリーナの天井を破り地面に突き刺さったのは。

 そしてその穴から見たこともない、尻尾を持つ爬虫類のような姿の3機の全身装甲のISが侵入してきた。

 それと同時にアリーナの観客席の出入口の扉に隔壁が降りた。 そして観客席の生徒達がパニックをおこし始めた。

 

 

 『管制室、こちらはシュート・アルカンシェルです。 観客席の全ての出入口の隔壁がおり生徒の避難が出来ません。 指示をお願いします。』

 

 

 シュートが管制室に連絡すると千冬が応答してきた。

 

 

 『こちらは管制室の織斑だ。 現在全てのシステムがハッキングされ操作することが出来ない。 今、教師や3年生が総掛かりで対処にあたっている。』

 

 

 『織斑先生、隔壁を破壊してもよろしいでしょうか? 俺やマドカ、シャルロットの武装なら可能です。 謎のISはアリーナに展開されている防御シールドを破る武装を持っています。 このまま観客席にとどまるのは危険です。』

 

 

 シュートの意見に千冬は

 

 

 『駄目だ、今[ドゴォォォォーーーーン]何だ?!』

 

 

 

 『私が許可するわ、思う存分にやりなさい。』

 

 

 

 渋っていた千冬。そこに謎のISが放ったビームが防御シールドを破って観客席に命中した。 幸いにも生徒達は出入口に殺到していたので誰も居なかったが、その惨状を見て更なるパニックを起こす。

 そして千冬にかわりスコールが許可を出す。

 

 

 『何を勝手なことをするミューゼル先生!』

 

 

 『織斑先生、あのISは天井の防御シールドを破り侵入し、今も防御シールドを破り観客席を破壊しました。 この場に留まれば怪我人どころか死者が出る可能性があります。』

 

 

 『・・・・・わかりました。破壊に同意します。』

 

 

 

 

 

 『了解しました。 マドカ、シャルロット、それから簪ちゃん、隔壁を破壊するぞ。 セシリアは生徒の避難誘導を!』

 

 

 そう言ってシュート達はISを展開する。

 

 

 「いくぞ、ロシュセイバー。」

 

 

 腰にマウントされているロシュセイバーを使い隔壁を切断する。 マドカはガナリーカーバーの先端に高周波ブレードを展開して隔壁を切り裂いていく。

 別の場所ではシャルロットがストライクアームで隔壁をぶち抜き、簪が高周波ブレードの薙刀で隔壁を切り刻む。 

 こうして生徒達の避難が始まる。 その様子を見てからアリーナの方に視線を移すと、鈴音が一人で3機の正体不明機と戦っているが、多勢に無勢の上にたいしてダメージを与えられていない。

 その上、SEが無くなり何も出来ない筈の一夏が何故か避難せずに鈴音の後ろで敵に向かっていこうとして鈴音に止められている。

 

 

 「マドカ、あとは頼む。 俺は侵入してきた無人機を排除する。」

 

 

 「やっぱり無人機なんだ。」

 

 

 「あぁ、機械の駆動音のみで生体反応がまるでない・・・・ただ・・・まあいい。」

 

 

 『織斑先生、ミューゼル先生、教師防衛隊はまだアリーナに突入出来ないのでしょうか? アリーナ内の2人がかなり追い詰められていますが? 』

 

 

 『格納庫のロック解除に手間取っていて、もうしばらく時間がかかる。 アルカンシェル君、本来ならこのような事を生徒に頼むのは心苦しいのですが、アリーナに入って教師防衛隊の到着まで何とか時間を稼いでもらえませんか?』

 

 

 そう言って許可を出すスコール。流石の千冬も一夏の身が危険だと思っているので口を挟まない。

 

 

 『了解しました。 それではシュート・アルカンシェル、アリーナ内部に向かいます。』

 

 

 そう言ってシュートは防御シールドが破れた部分からアリーナに入る。

 

 

 

 

 

 一方、シュート達が隔壁破壊を始める前。

鈴音は、侵入してきた謎のISと対峙していた。 尻尾があり、どことなく爬虫類を思わせる形状のIS。壁に激突した一夏は気絶しているのか身動き1つしない。

 そのうち、3機は鈴音に目をくれずに斜め後ろに倒れている一夏の方に向きをかえる。 そして肩の部分にある砲身らしき部分に赤い光が灯りはじめた。

 目的をすぐに悟った鈴音は

 

 

 「一夏、起きなさい! 一夏!! あぁもう仕方ないわね。 喰らえ龍砲!!」

 

 

 壁に激突した際に気を失ったのか、一夏に呼び掛けるも反応がないので、鈴音は試合では使用せずに隠しておいた龍砲を拡散モードで発射して3機のISを攻撃する。

 龍砲は命中したが、ダメージを受けたように見えなかった。それでも2機はビームの発射を中止したし、もう1機のビームも発射されたが一夏には命中せずに近くの壁に命中した。

 だが、その威力は凄まじく防衛シールドを破り観客席の一部を破壊したのだ。

 

 

 「なっ?!、なんて威力なの? それに龍砲を喰らって無傷なんて! 拡散モードだから威力が落ちたのかしら・・・・」

 

 

 今の衝撃で目を覚ました一夏は惚けたような顔をして

 

 

 「いったい何なんだ今の衝撃は? それに俺は・・・・・そうだ! 試合は? って、なんだコイツらは?!」

 

 

 「やっと目を覚ましたわね。 簡単に説明するけど、コイツらは侵入者で敵。 むちゃくちゃ強い、だから私が時間を稼ぐから一夏はピットに避難して。」

 

 

 「はぁ? 何言ってんだよ! 俺も戦う。 鈴を置いていけるかよ!」

 

 

 「あんたこそ何言ってんのよ。 あんたのSEはほとんど無いのよ、足手まといだからさっさと逃げて!」

 

 

 「嫌だ! 男が女を置いて逃げれるかよ! 俺も一緒に戦う。」 

 

 

 「こんな状況で何を言ってんのよ。 さっきも言ったけど、あんたの機体はSEがほとんど無いのよ。 戦う事なんて出来ないの、さっさと逃げて!」

 

 

 女に守られる、その事がプライドを大きく傷つける事をわかっている一夏は逃げる事を拒否する。 

 そして、その事を本能で察知した鈴音は一夏に幻滅していた。 

 

 

 「一夏!!」

 

 

 そこに敵のISから再びビームが発射された。 咄嗟に鈴音は一夏を庇いながら地面にふせる。 だが避けきれずに右のスラスターを破損してしまう。そして、甲龍のSEも大幅に減ってしまう。

 

 

  「くっ、一夏早く逃げなさい。このとおり、やつらの攻撃力は出鱈目よ。 SEの無いあんたが喰らえばあの世行きよ、早く逃げて。私がギリギリまで時間稼ぐから。」

 

 

 「嫌だ!、女に護られて逃げるなんてカッコ悪いことできるかよ!」

 

 

 敵を目の前にして言い争いになる二人。 それを見逃すはずもなく、二人を狙い敵のISがビームを放つ。

だが、ビームが二人に命中することはなかった。 

 

  

 「二人とも大丈夫か? 遅くなったが出動準備に時間がかかっている教師防衛隊の代わりに救援にきた。 この場は俺に任せて避難しろ。」

 

 

 グラビティテリトリーを展開し二人をビームから護りながら声をかけた。

 防御シールドを破り甲龍のSEを大幅に減らした高出力のビームを平然と防いでいるシュートに驚いている鈴音だったが直ぐに我にかえり

 

 

 「あ、ありがとう って、あんたは誰? 声からして男だけど、もしかして二人目の男性適性者? 」

 

 

 「そういえば、面と向かって話すのはこれが初めてですね。 申し遅れましたが1年1組、シュート・アルカンシェルです。 さあ、あとは俺に任せて避難を 「シュート! 遅いぜ、何やってたんだよ。 助けにくるならもっと早くこいよ。 」・・・・・織斑一夏、文句は後で聞くから早く逃げろ。」

 

 

 鈴音に簡単な自己紹介をして避難を促している最中に一夏に謂れのない文句を言われるがシュートは敢えて流して避難を促す。

 だが一夏は

 

 

 「何言ってんだよ。俺も戦うぜ! 」

 

 

 再び我が儘を言い出す。 そんな一夏を無視してシュートは重力操作能力を利用して一夏を防御シールドの破れている場所目掛けて弾き飛ばした。

 

 

 「えっ?! うわぁぁぁぁぁぁぁーーー グヘッ!」

 

 

 弾き飛ばされた一夏はそのまま観客席の瓦礫に頭から突っ込み気を失う。

 

 

 「あんた一人で3機も相手できるの?」

 

 

 一夏には目もくれずにシュートに言う鈴音。 相手の攻撃力を体感したからこそ、不安を隠せないでいた。

 

 

 「3機? いいえ、1機しか残ってませんよ。」

 

 

 そうシュートが言った瞬間だった。 左右にいた敵ISの手足が急に切り飛ばされ、さらに首と胴体が別れて倒れた。 

 そしてシュートのもとに4つのリープスラッシャーが戻り格納された。

 

 

 (いっ、いつの間に?! それに今の武器は何? それにあんなに簡単にやっつけた。というか殺したの?)

 

 

 「いくら装甲が丈夫でも稼働する関節部分を狙えば問題ない。 それからあれには人は乗っていない。 無人機だ。」

 

 

 鈴音の心を読んだかのように答えるシュート。よく見れば、切られた部分からは血ではなくオイルが流れ出ていた。

 シュートの実力を目にし鈴音は避難することにした。

 

 

 「・・・・・気を付けて。 それから、ついでにあの馬鹿も回収していくわ。」

 

 

 鈴音はそう言って一夏が飛ばされた部分に向かった。

 

 

 「さて、後一機というわけだけど・・・・どうやらコイツだけは他の2機とは違うみたいだね。」

 

 

 シュートは気づいていた。 このISが動くことで他の2機が合わせて動いていたことに。 つまり、目の前のISが指揮していたことに。

 シュートがロシュセイバーを構えた瞬間だった。

 

 

 『一夏ぁぁぁぁーー 何時までそんな所で寝そべっている! 男なら立ち上がって立ち向かえぇぇぇーーー!』

 

 

 スピーカーから大音量で聴こえてきた箒の声。 どうやら放送室に無断侵入したようだ。

 だが、その声は無人機に敵対行為と認識され、放送室に向けてビームを放つ。 

 

 

 『エッ?!』

 

 

 箒は放送室に向けてビームが放たれるとは考えていなかった為に、突然のことに呆けてしまった。

 迫り来る赤い光の意味を認識したとき箒は目を閉じた。

 だが、そのビームは放送室に直撃することはなかった。 

 

 

 「グラビティテリトリー全開!」

 

 

 放送室とビームの間にシュートが割って入りロシュセイバーを突き出し、更にグラビティテリトリーを展開しビームを防いでいた。

 シュートは放送室に軽く視線をやると、そこには箒が尻餅をついた状態で呆けており、更にその背後には数人の女子生徒が倒れていた。 箒が放送室に侵入した際に止めようとして倒されたのだ。 そしてそこにはシュートの知っている女子生徒・・・・虚の姿もあった。

 

 

 『誰か放送室に向かってくれ、怪我人がいる。それからついでに大馬鹿者を拘束してくれ!』

 

 

 シュートが呼びかけるとマドカが返事した。

 

 

 『わかったわ、兄さん。 シャルとセシリアを連れていくわ。』

 

 

 シュートは通信を終えて、ビームが途切れた瞬間にロシュセイバーを無人機に向けて投げつける。

 そしてそのまま背後に周りこむ。

無人機はロシュセイバーを紙一重でかわし、今度はシュートに向けてビームを放とうとするが、そこには既にシュートの姿はなく、背中を蹴り飛ばされ倒れこむ。

 

 

 「さあ、フィナーレだ。 Gインパクトステーク、セット。 」

 

 

 右手にGインパクトステークを呼び出し倒れている無人機の背中に先端を突きつけ

 

 

 「どんな装甲だろうと、撃ち貫くのみ! ゼロ・ファイヤ!」

 

  

   トリガーを3度引く。 

 

 

   ドン! ドォン!! ドォォン!!!

 

 

 Gインパクトステークの先端から杭状に形成された漆黒の重力波が3度 無人機を貫く。

 

 最初の一撃で、無人機は仰け反り、地面にめり込む。

 

 次の一撃で、無人機は四肢から火花を放ち、地面に亀裂が走る。

 

 最後の一撃で、無人機は全身を激しく震わせ煙を上げて動きを止め、地面にクレーターを作る。

 

 

  

 シュートはすぐさま無人機から離れて様子を見る。 完全に無人機が機能停止したことを確認し、

 

 

 『こちらシュート・アルカンシェル。 侵入してきた3機のISを撃破しました。 』

 

 

 管制室にいる千冬に連絡する。

 

 

 『ご苦労だったアルカンシェル。 遅くなったが今、教師防衛隊が出動した。後始末はそちらに任せて報告をしに学園長室まで来てくれ。』

 

 

 『わかりました。』

 

 

 『・・・・ところでアルカンシェル確認したいんだが、織斑を観客席に飛ばしたのはお前の仕業か?』

 

 

 『えぇ、そうです。SEもほとんど残っていないのに避難することを拒み、一緒に戦うと現状を全く理解していない発言をして私のみならず凰さんを困らせていましたので、緊急措置として致し方なく。 あのままでは生命の危険性がありましたので、何か問題でもありましたか?』

 

 

 『・・・・・・・・・いや。・・・・・・・・それでは学園長室で待つ。』

 

 

 

 こうして、学年別クラス代表戦は幕を閉じた。


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