BLAZBLUE 黒の少女の物語   作:リーグルー

7 / 63
第6話投稿。



一年ほど時間が飛んでいます。(ここら辺はあんまり書けないんです。)
「蒼の魔導書」独自設定として扱いに失敗すると暴走するようにしました。



最後に、やっぱりグダグダになりました。ちゃんと最後まで書くって意外と難しい。


第6話

第6話

 

 

 

もはや見慣れた風景となった森の中に二つの人影があった。片方は銀髪の目立つ格好をしており、もう片方は黒いコートを身に纏い、コートについたこれまた黒いフードを被っていて、顔が見えない、という夜でなければ前者よりも目立つ格好をしている。

 

 

 

「ラグナ〜。調子は?」

 

 

 

「あ〜〜〜!!クソッ!!わっかんねぇ!!つーか、術式なんてそうほいほい出来る訳ねぇだろ!!」

 

 

 

「それは慣れの問題。一回やってやり方さえ覚えちゃえば………ほら。こんな感じで結構ほいほい使えるようになるって。」

 

 

 

調子を聞く黒いコートの人影――――イオに対し、銀髪の青年――――ラグナは噛みつく様に返す。そんなラグナにイオは宥める様にして諭しながら黒い剣を取り出してして見せる。見た目的に言っても年齢的に言ってもラグナの方が年上である筈なのに、今の状況を見れば、どう見てもラグナの近くに方が年下にしか見えない。

 

 

 

「いや、その一回目が出来てねーんだけど。何かコツとか無いのか?

 

 

 

その言葉にイオは少しだけ考え込む様な仕草を見せてから、顔をあげ、

 

 

 

「ん〜。とりあえず、何よりも集中することかな?そして次に、自分がそれを出来るんだって疑わない事。この二つが出来れば使えるようになる…………筈。」

 

 

 

「筈、って…………意外と自信無いんだな。ってかそれでもまだ分かりづらい。」

 

 

 

「仕方ないじゃん。そもそも今日ラグナにこれを教えてんのは今日の朝早くに言われた事何だから。師匠も無茶言うよ。「自分は気になる事があるから今日はいない。お前も来て一年になるし、術式はお前の方が理解してるからな。今日はラグナに術式を教えろ。」なんてさ。」

 

 

 

そう、イオは殆ど何の準備もせずにラグナに術式を教えている様なものなのである。そんな状態で分かりやすく教えろ、と言う方が無理な話である。

 

 

 

「あ〜、はいはい。分かったよ。んじゃせめて、具体的なイメージとかねぇか?イオが使う時にするやつ。」

 

 

 

「ん〜、私が使うときは、そうだな〜。何て言うか、体から体温を手のひらに集中させる、みたいな感じかな?…………うん、そんな感じ。あ、でも、あくまでも私のイメージだから。もしかしたらラグナは違うかもしれないよ。」

 

 

 

「まぁ、やってみる価値はあんだろ。よし!やってみるか。」

 

 

 

そう言ってラグナは自分の右腕に集中し始める。イオがそれを見ていると、後ろから声が聞こえる。

 

 

 

「イオ、今帰った。どうだ?ラグナの修行は順調か?」

 

 

 

その声にイオが振り向くと、そこには黒と白のツートーンの毛並みを持つ獣人――――獣兵衛が立っていた。

 

 

 

「師匠!どこ行ってたんですか。って言うか進んでる訳無いですよ!何にも考えてなかったんですから。」

 

 

そう言って咎める様な視線を向けるが、向けられた獣兵衛は肩を竦めながら、

 

 

 

「まぁそう言うな。少しイブキドに行ってきた。都市が殆ど壊滅していたぞ。あれ位の被害が出たのはここ数年ではイウラの爆発事故位だな。生き残りは一人らしい。火災の中で、一人だけ立っていたらしい。」

 

 

 

その言葉を聞いて、イオの思考は一瞬だけ停止する。しかし、すぐに頭の中の記録に該当するものを見つけ出す。

 

 

 

第十二素体。そっか。あの子が自由になったのは今日なんだ。そうイオは考えて、恐らく、今は未だ付けられていない、そして、これからの彼女を示す名前を口にする。

 

 

 

「ノエル、ノエル=ヴァーミリオン、か。」

 

 

 

「ん?何だその名ま「うお!何だこれ!!」何?」

 

 

 

獣兵衛に被せる様にラグナの驚愕の声が響き渡る。イオがそちらを振り向くと、そこには、黒い、どこまでも黒い明らかに左手よりも大きい右手を持ったラグナがいた。巨大化した右腕は、更に肥大化していき、その形さえも変えていく。

 

 

 

「まずい!「蒼の魔導書」が暴走しているぞ!」

 

 

 

「え?暴走?師匠、何ですか、暴走って。私、そんなの知りませんよ?」

 

 

 

イオは出来るだけ冷静になろうとしながら獣兵衛に聞き返す。魔導書の暴走何て言う言葉は、イオが知っている知識の中には無く、普通の魔導書にはそんな機能は無い筈だった。

 

 

 

「あぁ、聞いたことは無いだろう。あれは「蒼の魔導書」限定のものだからな。あまりにも強すぎる魔導書で、境界に繋がるあれは、その圧倒的な力の反面、使い方を間違えると暴走するらしい。あれを押さえるには、一度あの手を機能停止にするか、境界との接続を切るか、どちらかしかない!」

 

 

 

その言葉にイオは少しだけ考える仕草を見せてから、顔を上げて、

 

 

 

「師匠。私がやります。私がやるのが一番成功率が高い筈です。」

 

 

 

と言った。獣兵衛はそれに対し、

 

 

 

「…………分かった。良いだろう。やってみろ、イオ。」

 

 

 

と何時ものように笑いながら言い、それにイオは、

 

 

 

「じゃあ、あのバカ兄弟子を止めてきます。師匠。」

 

 

 

そう言って、ラグナの方に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

「ラグナ〜。聞こえる〜?」

 

 

 

ラグナに近付いたイオはラグナに向かって声を掛ける。

 

 

 

「その声、イオか?イオ!どうなってんのか分かるか?今!」

 

 

 

「今の状況を説明すると、ラグナが「蒼の魔導書」を暴走させたらしくて、それを止めるには、その腕の機能を一時的に停止させるしか無いんだって。で、それを私がやるから、ラグナは痛いかもしれないけどその腕を動かさない様にしててね。」

 

 

 

イオの言った言葉に、ラグナは、軽く頷く。それが見えたのか、イオは、ラグナが頷くとほぼ同時に走り出し、その手に持つ剣をラグナの右腕に突き刺そうとするが、突然動き出した腕によって後退した。

 

 

 

「………そんな簡単にはやらせてくれないよね……。」

 

 

 

ラグナは自分の意志で右腕が動かせない、ということを確認したイオは、そう呟きながら走り出す。自分を吹き飛ばそうとしてくる巨大な腕を、両手の黒い剣で受け流していく。

 

 

 

(くっ………。一本でも刺せれば、あの腕を止められるのに……………。仕方ない。ちょっと捨て身でやるとしますか。)

 

 

 

イオは、一度離れると、再びラグナの下へと向かう。そして、振られる腕に、カウンターの様に剣を突き刺し、自分は頭を殴られて吹き飛ばされて近くの木に叩き付けられる。

 

 

 

「か………ぐっ………。だ、大丈夫?ラグナ?」

 

 

 

「あぁ、あんたに刺された右腕がすげぇいてぇが、ま、大丈夫だ。つーか、人の心配より自分の心配をしろっての!最後のあれ、バカか!自爆覚悟で突っ込んでんじゃねーよ!死んだらどーすんだ!ったく、ほら、さっさと治療しろ。頭から血が出てんじゃねーか。」

 

 

 

その言葉にイオは自分の頭に触れてみると、さっき殴られた時に切ったらしい、確かに血が出ていた。それを見てからふと疑問を口に出す。

 

 

 

「ラグナ………何で私の顔の怪我が見えるの?」

 

 

 

「何でって………イオ、お前、顔見えてないと思ってんのか?外れてんぞ、フード。」

 

 

 

その言葉でイオはようやく自分がフードを被っていない事に気付く。

 

 

 

「………ごめんね。ラグナ。」

 

 

 

「…………はぁ。何でそれ被ってたかはお前の顔を見て大体予想はついたが………ったく、てめぇはバカか?俺もそんな子供じゃねーからな、んな事で気を使うなっつの。サヤはサヤ、お前はお前で、混同したりはしねぇよ。………ほれ、さっさと治療してこい。顔、血で凄ぇ事になってんぞ。」

 

 

 

「へ?うわ!ほんとだ!じゃ、ラグナ。私ちょっと血を止めてくるね。」

 

 

 

そう言ってイオはラグナに背を向けては走り出す。

 

 

 

――――ありがとう、ラグナ。

 

 

 

そう、心の中で礼を言いながら。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。