本話はまだ導入になりますが、本章もよろしくおねがいします!
【重要なご連絡】
現在、6章執筆中ですが、今後の話の構成や描写を考えるにあたり、是非ともアンケートを取らせていただきたい案件があります。
※※※感想欄でのアンケート、リクエストは禁止されています※※※
なので、以下リンクにて
アンケートの内容をご覧のうえ、ご回答いただければ幸いです。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=208670&uid=190319
Report6-0 [いざクチバへ!]
「はい、着きましたよ。
運賃3000円ね。」
「えーっと…はい、これで。
ありがとうございました!」
「またのご利用お待ちしております。」
バタン。と、ドアの閉まる音。
スゥは旅に出てから初めて『自動車』で移動していた。
そして…
「わあ!
もう街が見えたよ、スゥ!」
「いやはや、さすが都会だなあ…
こんな巨大な地下道が有るなんて。」
ハナダシティジムを攻略した翌日。
スゥ達一行はカントー地方最大の人口を誇る
『ヤマブキシティ』へと向かう…
…予定だったのだが。
『つべこべ言わない!!
アタシとノンは後から行くから、先にクチバシティへ行っておくのよ!!』
…と、カスミの命令でヤマブキシティのそのまた南、
『クチバシティ』へと向かっていた。
「カスミさんが言っていた通りですねえ。
カントー2大地下通路、『縹朽トンネル』を通れば
あっという間に着くって。」
メルティがカスミの言葉を思い出しながら、
スゥ達に相槌を打つ。
『縹朽(ひょうきゅう)トンネル』。
ハナダシティ~ヤマブキシティ~クチバシティと順に
南に位置しているが、ハナダとクチバを直通で繋ぐ、
ヤマブキをバイパスする巨大な地下通路。
それが縹朽トンネルだ。
こんな巨大な地下通路が建設された理由。
それは、ヤマブキシティがカントー地方の中心地であり、人の往来が非常に激しいことによる。
今のスゥの状況のように、ヤマブキシティを跨ぐ時に
人込みや交通に巻き込まれ、不便な思いをしないよう、
ヤマブキをバイパスする南北と、東西の2つのトンネルが作られたのだ。
総長数十キロに渡る2つのトンネル。
徒歩では、このトンネルを渡り切るにも4~5時間程度はかかる。
さすがに徒歩でこの地下通路を通る人間は少なく
大多数は『自動車』や『バイク』、『自転車』で通行する。
スゥ達がこれまで旅してきた、マサラ・トキワ・ニビは
カントー地方の中では、言わば『人里離れた町』である。
そのため、中心地であるヤマブキシティ周辺のように
自動車といった文明の利器をあまり見かけることが無かったのだ。
「んにーっ!やっぱり人間さんって凄いね!
『じどうしゃ』だったっけ…?
ボク達よりも速く走れるんだね~。」
ピコは初めて自動車に乗った経験に、
目を輝かせながら感心していた。
「俺も凄く久しぶりに乗ったよ!
マサラタウンに住んでたら、見る事すら滅多に無いからなあ…
ピコ、驚くなよ?
クチバシティには『船』っていう乗り物があるんだ。」
「…んに?『ふね』?」
「船ってのは、海を泳ぐ乗り物なんだ。」
スゥがそう答えると、ピコだけでなく
ファルナ達全員が驚いた表情を向ける。
「う、海を!?」
「泳ぐ…!?」
特にファルナとメルティは、『水』が大の苦手である。
ましてや、海となると足が竦むほどに怖い。
そんな海を泳げる乗り物があると聞き、
乗ってみたいような、遠慮したいような
複雑な気持ちを抱く。
そんな中。
「ほう、それは興味深い!
我と、その『フナ』なる物、どちらが速いのか
勝負せねばなるまい!!」
誰よりも『船』を見る事を楽しみに、
ベルノがビョンビョンと飛び跳ねながら
クチバシティへと突っ走る。
「『フナ』は魚だよベルノ。まあフナも泳げるけど…
って、待て待てベルノ!!勝手に行くなー!!」
「我は最強であり最速なのだ!!
急がねば置いて行くぞ、家来達!
わはははははは!!」
最強ついでに『最速』まで言い出した…と、少し呆れながらも
スゥ達は胸を高鳴らせて
次なる街、『クチバシティ』へと駆け出していった。