まっしろレポートとふたつの炎   作:アリィ

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ハナダシティ編第9話です。
スゥとファルナのデート後編ですが、日常パートだけでなく
重要な会話も含まれています。



Report5-9 [初めてのデート - 後編]

ハナダシティの市街地にて昼食を済ませたスゥとファルナ。

現在、彼らはゴールデンボールブリッジを渡った先、

ハナダシティの北端に位置する恋人岬に来ている。

 

その場所は、名の通りデートスポットである。

木々に覆われた坂道をしばらく上った先にある

拓けた広い高台。

 

「わあ…!凄いね、スゥ!

 ハナダシティがあんなに下にあるよ!」

 

高台からハナダの市街地を見下ろしてファルナは言う。

 

「結構上って来たもんなー。

 岬はまだもう少し進んだ先みたいだけど、

 まずは『マサキ』さんの家を探そうか!」

 

スゥは昨晩のうちにノンから貰った、

ノン自作の略地図を取り出してファルナに言う。

 

「うん!

 ねぇねぇ、ノンが地図を書いてくれたんだよね?

 どこに『マサキ』さんの家があるの…?」

 

早く用事を済ませて先に進みたい、と言いたげな様子で

ファルナはスゥが取り出した地図を覗き込む。

 

「ちょっと待ってね、広げるから。」

 

そう言ってスゥはガサガサと地図を広げる。

…その瞬間、スゥとファルナの顔が凍り付いた。

 

 

『………』

 

 

「ねぇ、スゥ。」

 

「……ああ、ファルナ。言いたい事は分かるよ。

 こう言いたいんだろ?」

 

「…うん。」

 

 

 

 

 

『ヘタ過ぎーー!!』

 

 

 

 

 

二人が見たのは、ミミズが這ったような線で描かれた

恋人岬の見取り図…らしきもの。

 

「…そうだった…アイツ、こういうの不器用なんだった…!」

 

「…ノンの意外な弱点だね…。

 そういえばアクアちゃんもそんな事言ってた気がするよ。」

 

がっくりと頭を下げる二人。

ノンの名誉の為に補足しておくと、下手なのは『絵』の部分だけである。

随所にノンは注釈を書いているのだが、その字は達筆そのもの。

ただ、彼の性格の所為なのか…注釈がやたらと細かい。

『この辺りに電灯が3つ並んでる』

『岬から歩いて大体5分』

『木が茂ってる奥に家がある』

など、矢印や吹き出しを駆使しながら、

小さな字でびっしりと地図に書き込んでいる。

 

 

「…うん、まあ…これだけ情報があれば辿り着けるかな…?」

 

スゥは地図に書かれた細かい字を、

目を凝らしながら読んで言った。

 

「…ノンが頑張って教えてくれようとしてるのは分かるね。」

 

ファルナも額から汗をかきながら、その場に居ないノンをフォローする。

 

「そうだね、手掛かりはコレしか無いし、

 頑張って探そうか!」

_____________________________

 

スゥ達はノンの地図の『絵』ではなく『注釈』を頼りに

散策を始める。

 

散策している中、いかにも恋人同士といった様子の

男女の組がちらほらと見受けられた。

 

「さすが『恋人岬』って名前だなあ…

 行く人行く人、みんなカップルっぽいね。」

 

「ほんとだねー。

 みんな手繋いでるもんね!

 それに…」

 

ファルナは往来するカップルの、女性の方が着ている服装を見ている。

今着ている服もだいぶ慣れてきたものの、やはり少し恥ずかしさが残る。

しかし、他の女性の服を見てみると

ファルナと同じようにか、それ以上に薄手の生地で

露出の多い服を着ている人がほとんどであった。

 

「…店員さんが言ってたの、嘘じゃなかったんだ…

 ちょっと安心したかも。」

 

そう呟くファルナを見て、スゥは彼女に顔を近づけて尋ねる。

 

「ん?ファルナ、何か言った?」

 

「えっ!?

 い、いや別に…!」

 

「…?そうなのか。

 それにしても、みんな何と言うか…

 薄着だなあ…」

 

スゥはファルナが周りの女性を見て思った事と、

同じ感想を言った。

 

そして、よせばいいのに更に言葉を続けるスゥ。

 

「ファルナの服も、最初はキワドイなあ…って思ったけど

 案外みんな似たような服を着てるんだね。」

 

スゥの言葉に、ファルナは顔を赤くして体をブルブルと震わせている。

 

 

 

「…っ!

 どこ見てるのよスゥ!!」

 

 

 

言葉を放つと同時に、拳を一発放つファルナ。

ドゴッ!!と鈍い音がスゥのお腹に響く。

 

「ごふっ!!」

 

本気を出せば『竜星群』を砕く、ファルナの一撃。

人間であるスゥがそれを受け、悶絶するだけで済んでいるのは

ファルナが一応、極限まで手加減しているからなのだが…

 

「あわわわ…ご、ごめんねスゥ!

 つい…!」

 

そこまで手加減した拳でも、相当のダメージを受けているスゥを見て

ファルナは焦りながら謝った。

 

「げほっ、げほっ!!

 な、何を怒ってるんだファルナ…」

 

スゥは暫くの間うずくまりながら、ファルナに聞く。

彼が鈍いのか、彼女が何に対して

顔を赤くしているのか分かっていない様子。

 

「だ、だって…」

 

「…だって?」

 

「その…他の人を見て…

 ……エッチなこと考えてるんじゃないかって…」

 

「なっ…!違う違う!!

 別にやましい事は思ってないよ!」

 

「う”-…ほんと?」

 

ファルナが怒って手を出した理由を聞き、

スゥは慌てて弁明する。

しかし、彼は気付いていないのだろうが

周りの女性を見た時の彼の目は泳いでいた。

 

ファルナはそんな彼の言葉が

すぐには信用出来ずにいた。

 

 

 

 

 

「ほ、ほんとだって!

 ファルナ以外に『そんな事』思わないから、安心してよ。」

 

「そうなの…?

 じゃあいいんだけど…

 ………」

 

「………」

 

 

『あっ』

 

 

二人とも少し落ち着いた所で、ようやく理解した。

結構な『問題発言』と『問題回答』をしてしまった事を。

 

 

「…」

 

「…」

 

顔を真っ赤にして言葉が出てこない二人。

どちらも互いに目を合わさず、沈黙が続いていた。

 

「…えぅ…何か言ってよスゥ…」

 

「へっ!?

 何かって言われても…!

 そうだな…ま、まだ『そんな事』なんて早いよな!」

 

「そ、そうだよね!

 だって私たち、まだ恋人になってすぐだし…

 …って、そうじゃなくてー!!

 もー!!

 スゥのエッチ!!」

 

「ちょっと待てってファルナ!

 また殴るのはナシ!冷静になって!」

 

ファルナに急かされ、言葉を選ぶ時間が無かったスゥは

さらに問題発言を繰り出す。

ファルナも反射的におかしな返事をしてしまい、

恥ずかしさと、それを隠す為に

再度、思わず手を上げようとしていた。

 

そんな時であった。

 

 

 

 

 

 

「なんや?真っ昼間からイチャコラしよって。

 あー、この辺はこんなんばっかや!

 やっぱ引っ越したろうか。」

 

 

 

 

 

 

不機嫌そうな声で、スゥ達に向かって当てつけのように

攻撃的な口調で独り言を言う人物がいた。

 

それを聞いたスゥとファルナは、人の往来の中で

あまり大声で話すべきでは無い内容を話していた事に

急に恥ずかしくなり、俯いてしまった。

 

気を取り直して、スゥはファルナに言う。

 

「ま…まあ、ファルナ。

 俺が悪かったよ。また『マサキ』さんの家を探そう!」

 

スゥの言葉と、知らない人間の野次が、ある意味ファルナの助け船となった。

ファルナもまた気を取り直して、スゥの手を取り答える。

 

「ううん。私の方こそ叩いちゃってごめんね、スゥ。

 早く行こっか!」

 

そう言って歩き出そうとした二人。

そんな彼らに、先ほど野次を飛ばしていた人間が言う。

 

 

「おーい、お二人さん!!

 ワイを探しとるんか?

 それに『スゥ』って言いよったな!

 なんや、それなら早よ言わんかい!」

 

 

彼の言葉に驚いたスゥ達は、まさかと思い

その人間に話しかける。

 

 

「あの…もしかして、あなたが『マサキ』さんですか?」

 

「もしかせんでも、ワイが『マサキ』や!

 キミやな?こないだノン君が言っとった『スゥ君』ってのは。」

 

「は、はい!

 ノンからマサキさんに話を聞くように言われて、

 あなたの家を探してた所だったんです。」

 

「そうやったんか!

 そんなら丁度ええ所に来たわ。これから帰る所やったんや!

 案内したるから、ついてき!」

 

 

偶然にも、スゥ達は家を探すまでもなく

『マサキ』本人に遭遇した。

スゥは、もうノンの手書きの地図は不要だと思い

それを畳んでマサキについて行った。

 

______________________________

 

マサキに連れられた家に到着したスゥ達。

そこは恋人岬の中でも、ひと際高い場所に位置しており、

周りには民家らしいものは見当たらない。

マサキの家はそれほど大きなものではないが、

見晴らしが素晴らしい立地にあった。

 

 

「さ、上がりや!

 コーヒーでも煎れたるわ。

 砂糖とミルクは使うんかな?」

 

「あ、すいません!

 それじゃあ、どっちも頂きます。」

 

「わ、私もどっちもお願いします!」

 

スゥとファルナは、マサキの家の玄関でいそいそと靴を脱ぎながら答える。

 

「オッケーオッケー、ほな準備するからな。

 適当にその奥のリビングでくつろいどって!

 ちょっと散らかってるんやけど、勘弁してな。」

 

そう言ってマサキは、台所に湯を沸かしに行った。

スゥ達はとりあえずリビングに入り、何となく周りを見渡してみた。

 

マサキが『散らかってる』と言ってた通り、床には

様々な書類が散乱している。

 

その書類の内容は、少し覗いて見た所、

ポケモンの生態に関する事、その姿のスケッチが書かれている。

そしてポケモンに関する事だけではない。

何やら難しそうな数式や、『量子化論』、

『通信技術』、『データ処理の効率化』など

とてもスゥには理解出来そうに無い内容の物があった。

 

その様子が、まるでオーキド研究所のような雰囲気だと感じる二人。

 

「ねぇ、スゥ。

 マサキさんって、もしかしてポケモンの研究者?

 オーキド博士みたいな。」

 

「うーん…そうかもしれない。

 若い人なのに、こんな難しい事が分かるんだ…!」

 

スゥの目から見て、マサキの年齢は大体20代後半~30歳程度に見えた。

間違いなく、かなり頭の良い人物だと思われる。

そんなマサキが、一体ノンと自分にどんな話があるのか…

スゥには全く見当がつかなかった。

 

 

「なんや二人とも、そんなとこに突っ立っとらんで

 その辺に座りぃや。

 …って言ってもすまんな。書類が散らかっとって座れんか!

 ちょい待ってな!」

 

 

コーヒーを煎れてきたマサキが、テーブル周りの書類を

適当にガサガサとかき集め、部屋の端に持って行った。

 

「…こんなもんでええやろ。

 まずはくつろぎながら、自己紹介でもしようやないか。

 ほれ、砂糖とミルク、好きに使ってや。」

 

「ありがとうございます、マサキさん。」

 

「マサキさん、いただきます!」

 

マサキに向かい合うように、スゥとファルナは並んで座る。

彼はコーヒーを向かいの二人に配り、

自分のコーヒーに、砂糖をスプーン山盛り3杯入れながら話を始める。

 

「…さて、まずはワイから紹介しよっか。

 さっきから話してるから今更やけど、『マサキ』や。

 ポケモンに関する研究や開発をやっとるねん。

 例えば、ポケモンセンターの『ポケモン管理システム』とか

 『トレーナーとポケモンのID管理システム』とかな。」

 

「やっぱり研究者だったんですか!

 凄いなあ…マサキさんって、まだ若いですよね?」

 

「ワハハハ!嬉しい事言ってくれるやんか。

 ワイは割と老け顔やからな、

 あんまりそう言ってくれる人は少ないんやけど

 年齢は25やで。

 それじゃあ、そっちの自己紹介も頼むわ。」

 

マサキはそう言って、スゥとファルナの自己紹介を促す。

スゥはコーヒーにミルクと砂糖を1杯入れ、一口すすってから喋ろうとする。

 

「あ、このコーヒー美味しい…!」

 

「せやろ?貰い物なんやけど、結構イケるんや!

 そっちのお嬢さんはどうやろ?」

 

マサキに声を掛けられ、ファルナはミルクを多めに入れて

砂糖は…色々と思う所があるのか、1杯だけに我慢して飲んでみた。

 

「いただきます!

 …う”…!」

 

『苦い~!』と言わんばかりに、顔をしかめるファルナ。

彼女は、オーキド研究所に居た頃にもコーヒーを飲んだことは多々あるが、

毎回コッテリと砂糖を入れなければ飲めなかった。

 

今は少し大人の姿になったんだから…と、見栄を張ってみたが、

まだ少量の砂糖では難しいようだった。

 

「ワハハハっ!

 そりゃ苦いやろ!ポケモンは感覚が人間より鋭いからなぁ。

 苦味も強く感じるんやろな。

 遠慮せずもっと砂糖使いや!」

 

「えぅぅ…あ、ありがとうございます…」

 

そんな彼女の様子を笑顔で見ながら、スゥはマサキに話し始めた。

 

「改めまして、俺はスゥっていいます。

 マサラタウンから、オーキド博士に『ポケモン図鑑』を完成させる

 手伝いを任せられて旅をしてるんです。

 それと、旅に出てから『ポケモンリーグ』に

 挑戦したい…って思うようになりました。」

 

「おー、ノン君からもオーキド博士からも聞いとるで!

 オーキド博士の期待の星って所やな。

 …って、自己紹介させといて『知っとる』って言うのも悪いな。

 ポケモン図鑑も、ポケモンリーグも長い旅になるなぁ。

 スゥ君は年齢はいくつや?」

 

「18歳です。」

 

「はー、青春真っ盛りやな!

 ええなあ、その歳から面白そうな事しとって。

 そんで、その子がパートナーなんやろ?」

 

「はい!

 ほら、ファルナ。自己紹介して。」

 

マサキはファルナの方を見て言う。

彼女はコッテリと甘くしたコーヒーを美味しそうに飲みながら

彼に自己紹介する。

 

「私は『リザード』のファルナです!

 小さい頃からオーキド博士の研究所で暮らしてたんですけど、

 私もマサラタウンからスゥと一緒に旅をしてるんです!」

 

元気よく自己紹介するファルナ。

マサキは彼女の経緯を聞き、尋ねる。

 

「ファルナちゃんって言うんやな。

 オーキド博士の研究所で育てられたんか。

 …そりゃ、色々とワケありなんやろうな。

 何で博士の所におったんや?

 あ、言いにくいんやったら別に構わんで。

 不躾な事聞いとるのは分かっとるからな。」

 

「え、えっと…」

 

ファルナは、しばらく答えるか迷っていたが、

マサキがオーキド博士と繋がりを持っていそうな事から、

話しても良いかと思い、説明する。

 

幼い頃に炎ポケモンに襲われ、両親と離れ離れになった事。

それがトラウマになり、炎が使えなかった事。

そして、今はスゥのお陰で炎を取り戻した事。

 

穏やかでは無い経緯であることは、マサキも予想しており

やはりな…といった顔で彼女に言う。

 

「…そりゃ大変やったな。

 せやけど、炎のトラウマをスゥ君がなぁ…。

 成程、それでファルナちゃんはそっちの彼に惚れてもうた訳か。」

 

「えぅっ!?」

 

「ちょっ、マサキさん…!」

 

マサキの言葉に動揺する二人。

面白そうに笑いながら、マサキは続ける。

 

 

 

 

「ワハハハッ!ええなあ、青春やなあ。

 …丁度ええ話題になったわ。

 せっかくやし、『本題』に入らせて貰おっか。」

 

 

 

 

急にマサキは真面目なトーンになり、二人に言う。

スゥもファルナも、何故今の話から『本題』に入るのか

想像できずにいたが、とりあえず彼の話を聞く事にした。

 

「…『本題』ですか?」

 

「せや。

 …二人とも、『ロケット団』って、知っとるやろ?」

 

「!!

 ロケット団…もちろん、知ってますよ。」

 

「ポケモンに酷い事をしてる人達…!

 おつきみ山でも…」

 

マサキが言った『ロケット団』という言葉に、

スゥ達は険しい表情になる。

二人の反応を見たマサキは、

既に彼らがロケット団と衝突した事が容易に想像できた。

 

「…やっぱ色々有ったみたいやな。

 それなら、これも知っとるか?」

 

「…何をですか?」

 

 

 

 

 

 

「奴らの使う『M-プロト』の事や。」

 

 

 

 

 

 

 

「M-プロト…!あの黒いモンスターボール…」

 

「そう、そのボールや。

 まあその反応なら、今更どんな物か説明は要らなさそうやな。

 折角のデートやのに、気分悪くさせて堪忍な。

 大事な事やから、ガマンして聞いて欲しいんや。」

 

「…はい。」

 

「スゥ君。キミの使ってるモンスターボールについて、

 オーキド博士が何か言っとらんかったか?」

 

「ええ。聞いてます。

 …でも、何でマサキさんが知ってるんですか?

 M-プロトにしても、俺が持ってるモンスターボールにしても…

 簡単には答えられません。」

 

スゥはここまで来て、マサキに疑いの目を向けた。

目の前のマサキが『ロケット団員』じゃない保証が無い。

これまで、マサキはオーキド博士と繋がりがあるような口ぶりで話してはいるが、

それが本当であるかは分からない。

 

今までの調子で、上手く乗せられて『防御プログラム』の事を

うっかり話してしまえば、何か悪い事が起きるのではないかと

彼は危惧していた。

 

 

 

 

 

「…なんや、結構お利口さんやなスゥ君。

 あっさりと話さんとはなあ。」

 

 

 

 

 

不穏な口調でマサキがスゥに言う。

緊張した空気を感じ取ったファルナは、スゥの傍に近づいて

髪に炎を灯した。

 

彼女も、場合によってはいつでも臨戦態勢が取れるように

警戒し始めていたのだ。

 

「おっと、ファルナちゃんも怖い目しとるなあ。

 やっぱり大事なんやな、スゥ君の事。」

 

「…当たり前です。

 マサキさん、もしスゥを襲おうとしたら…!!」

 

そう言ってファルナは髪に手を沿え、

『火炎放射』の準備動作をしている。

 

その姿を見て、マサキは流石に焦りだし、

彼らに言った。

 

 

 

「ちょ、ちょー待ち!!

 火はアカン!

 スマン、スマンって!

 ちょっと悪ノリしてもうたわ!」

 

 

「…悪ノリ?」

 

警戒を解かないスゥと、まだ炎を灯しているファルナ。

 

「いや、ホンマごめんって!

 意味深な言い方してもうたな。

 スゥ君、キミが持っとるモンスターボールの事なんやけど、

 『防御プログラム』が付いとるやろ?」

 

 

「っ…そ、そうですけど…

 だから、何でそれを知ってるんですか…?」

 

鋭い目つきで見てくるスゥに、マサキは笑いながら言う。

 

 

 

「だって、それ『ワイが作った』プログラムやからな!

 そりゃトーゼン知っとるわ!ワハハハハ!」

 

『…え?』

 

 

 

マサキの言葉に、スゥとファルナは呆けた表情を呈す。

 

「なんや、信じられへんって顔してるな?

 証拠でも見せたろっか?

 …って、資料見せても分からんわな。

 うーん…せやなあ…」

 

マサキはどうやったらスゥ達に、敵では無い事を信じて貰えるか

方法を考えている。

 

「せや!

 何なら、今からオーキド博士とテレビ電話でもしよっか!

 『防御プログラム』は、博士と共同で作ったんや。

 博士が証言してくれたらワイの疑いも晴れるやろ?」

 

「え、ええ…まあ、それなら…」

 

 

そう話が纏まったところで、マサキはすぐにパソコンを起動し、

オーキド博士の研究所に通信した。

 

 

 

 

……

 

 

 

……

 

 

 

 

 

「マサキさん!疑ってすいませんでした!」

 

「わ、私もごめんなさいー!」

 

マサキに平謝りするスゥとファルナ。

オーキドと連絡を取ったマサキは、親しげな様子で

『防御プログラム』を作った当時の思い出を語っていたのだ。

 

疑う余地もなく、マサキが敵では無い事が分かったスゥ達。

むしろ、恩人である彼に敵意を向けた事を悔いていた。

 

そんな彼らをマサキはまた笑いながら許していた。

 

「ワッハハハハ!!

 いやー、良かったわ!

 これでワイがロケット団じゃないって分かったやろ?」

 

「は、はい!

 …あの、ありがとうございます。

 マサキさんのお陰で、ファルナ達と安心して旅が出来てたんですね…」

 

「メルちゃんも、助けてくれたのはマサキさんだったんだ。

 睨んでごめんなさい、マサキさん…」

 

シュンとしている二人に、マサキは言う。

 

「ええってええって!

 むしろ、そんだけ口が堅けりゃ安心してお願い出来るってもんや!」

 

「えぅ…?」

 

「お願い…ですか?」

 

 

 

 

マサキの言う『お願い』。

それこそが、彼が話したかった『本題』であった。

 

 

 

 

マサキはパソコン机の鍵付きの引き出しから、

ある物を取り出した。

 

それは『玉』の形状をした白い機械。

直径はモンスターボールよりも一回り大きく、

それはまるで…

 

「マサキさん、それって…」

 

ファルナは目を丸くして、マサキが手に持つ物を見て呟く。

スゥはファルナが思っているだろう事を代弁してマサキに言った。

 

「『白い』M-プロト…?」

 

マサキが手に持つ装置。

それは、見た目の禍々しさは無いものの、

大きさや、モンスターボールを覆えそうな機構は

まるで『M-プロト』の様相であった。

 

マサキはスゥ達に真剣なトーンで話し始める。

 

「あんなモンと一緒にせんとってんか。

 これはワイが作った、『アップデーター』や。」

 

「アップデーター…?」

 

「スゥ君、キミの『防御プログラム』付きのモンスターボールはな、

 このアップデーターで作ったんやで。

 コレには、そのプログラムを書き込む機能があるんや。

 コレがあれば、どんなモンスターボールでも

 『防御プログラム』を書き込んでM-プロトに対抗できるんや。」

 

スゥはファルナを格納するモンスターボールを手に取り、

それを見ながら呟く。

 

「このボールが、そのアップデーターで…

 そうか、博士が言ってた『特注品』って、

 マサキさんに依頼して作ってたんだ。」

 

そう呟いた後、スゥは一つ疑問が浮かんだ。

 

「ん…?

 マサキさん、それなら、

 そのアップデーターをトレーナーみんなに広めたら

 誰もM-プロトでポケモンを奪われなくて済むんじゃ…?」

 

スゥの質問に、マサキは溜め息を付きながら答える。

 

「そりゃなぁ…それが出来れば、ワイもそうしたいんやけど。

 …まあ結論から言えば、『出来へん』のや。」

 

彼の答えに、ファルナは辛そうな表情を浮かべる。

彼女は1人でも、メルティのような思いをするポケモンを

減らしたいと思っているのだ。

 

『アップデーター』は、それを可能にする絶好の装置なのに、

何故マサキが広めようとしないのか、理解出来ずにいた。

 

「ど、どうして…?

 何で出来ないんですか!?

 マサキさんがそれを人間さんに広めたら、

 メルちゃんみたいな人を減らせるのに…!」

 

「メルちゃん、ってのは…?

 …ああ、まあええわ。多分『そういう事』やな。」

 

マサキはファルナの口調から、メルティがどんな目に遭わされたのか、

大体の推測はついた。

そしてファルナに答えの続きを言う。

 

「ファルナちゃん、ごめんなぁ。

 …『人間』ってのは、ええ奴ばかりやないねん。

 本来は、普通の人がモンスターボールに

 こんな細工をするのは『違法行為』なんや。

 …当然やんなぁ?

 勝手にそんな細工をするのを許したら、

 『M-プロト』みたいな、ポケモンを支配する事に特化したボールが

 横行してまうのは目に見えとるからな。」

 

「えぅ…

 …確かに、良い人間さんばかりじゃないのは見てきたけど…」

 

ファルナは、マサキの話を聞いて

渋々と納得していた。

 

しかし、スゥは彼の説明でもまだ納得出来ていない様子。

 

「マサキさん、アップデーターを広められない理由は分かりました。

 …じゃあ、どうしてモンスターボールのメーカーに相談しないんですか?

 メーカーなら、防御プログラムを書き込むのは

 多分『違法』じゃないんですよね…?」

 

彼の質問に、マサキは少し笑みを浮かべながら答える。

 

「ッハハ…、さすがオーキド博士ん所で育っただけはあるなあ。

 聡い子や。

 ノン君も同じこと言っとったわ。

 スゥ君、ワイはな…信用ならんのや。」

 

「…信用出来ない…?何をですか?」

 

 

 

 

 

 

 

「そりゃ、モンスターボールのメーカー…

 『シルフカンパニー』が、や。」

 

 

 

 

 

 

 

「…!!

 もしかして、マサキさん…

 M-プロトを作ったのが、

 その『シルフカンパニー』だって思ってるんですか…?」

 

冷や汗を流しながら、マサキに尋ねるスゥ。

 

「…そうかもしれん、って思ってるだけや。

 証拠なんか無いからな、決めてかからんとってや?

 …けどな、ワイが『防御プログラム』を作るために

 モンスターボールのプログラムを解析したんやけど、

 とんでもなくややこしかったで。

 それこそ、ワイや博士みたいにプログラムに精通しとる奴か、

 『メーカー』の人間でもないと弄られへん位にな。」

 

スゥは、ここまでマサキの説明を受けて

ようやく納得した。

彼が『アップデーター』を世に広めない理由を。

 

仮にマサキが言う通り、M-プロトが『シルフカンパニー』製であるならば、

マサキがアップデーターを提供すると、さらにその対策を取った

『改良版M-プロト』が作られる可能性がある。

 

メーカーが疑わしい以上、個人のレベルで秘密裏に

M-プロトの対策をしなければいけないのだ。

 

「…分かりました。

 それで、俺は何をしたらいいんですか?

 マサキさんの『お願い』って…」

 

「納得して貰えたみたいやな!

 ワイがスゥ君とノン君にお願いしたいんはな、

 この『アップデーター』で

 各地のトレーナーのボールに『防御プログラム』を書き込んで欲しいんや。

 もちろん、全員に対応するなんて不可能や。

 キミが旅の中で出会う、大事な人だけでも構わん。

 『この人は口外しない、信頼出来る』って思った人に、

 この装置を使ってやって欲しいんや。」

 

マサキは『アップデーター』をスゥに渡し、

深く頭を下げた。

そして、補足するようにスゥ達に言う。

 

「大抵、強力なポケモンってのはトレーナーとの信頼関係が厚いんや。

 友情にせよ、愛情にせよ、何かしら強い繋がりを築いとる。

 …キミらもそうやろ?」

 

マサキは、スゥとファルナを交互に見ながらそう言った。

二人は互いの顔を照れた様子で見ながら、マサキに頷いた。

 

「ロケット団が狙うんは、主には強力なポケモンや。

 トレーナーが手塩にかけて育てた強いポケモンを、

 手っ取り早く戦力にしたがっとる。

 強い絆で繋がったポケモンとトレーナー達を、

 少しでも多く助けてやって欲しい。

 …頼まれてくれんか?」

 

マサキの願いに対し、スゥとファルナは

どちらも力強く答える。

 

 

『まかせてください!!』

 

 

二人の答えにマサキはホッとした様子。

一仕事終えたといった表情で、スゥ達に言う。

 

「おおきにな!

 何か困った事が有ったら、オーキド博士だけやのうて

 ワイにも相談してきや。」

 

マサキの言葉に、スゥとファルナは礼を言おうとした時、

マサキは急にニヤけた表情でスゥに耳打ちする。

 

「…特にスゥ君、ちょい耳貸し。」

 

「えっ…?」

 

訝し気な表情のファルナを他所に、

マサキはスゥにヒソヒソと小声で話す。

 

「キミも男やろ?

 あんな………が………たら

 ……我慢できん時…………とか…」

 

「ちょっ…!

 俺は………事は………!」

 

「まー強がらんと。

 そういう時はな………で、………」

 

「~~~~!!」

 

彼女は、スゥ達が何を話しているのか全く聞こえないが、

マサキが何か言う度にスゥの顔が赤くなっている事は分かった。

 

そしていよいよスゥの頭から煙が上がり始めた。

 

 

「~~っ!!も、もういいですよー!

 それじゃあ、そろそろ失礼します!

 ほら、ファルナもおいで!」

 

真っ赤な顔でスゥはファルナを急がせる。

マサキはニコニコと満足そうな表情。

 

「なんやー、もう帰るんか?

 そんじゃ、スゥ君。

 何でもこのマサキ先輩に『相談』してきーや!」

 

「だ、だから…!

 …もしかしたらお願いするかもですけど…

 とにかく、ありがとうございました!

 失礼します!」

 

「え、えっ…?スゥ?

 何が何だか…

 マサキさん、ありがとうございました!

 …待って、スゥー!」

 

「ワハハハハッ!!

 頑張るんやで、二人とも!」

 

 

玄関でセカセカと靴を履いて出て行こうとするスゥを、

ファルナは急いで追いかけていった。

 

 

________________________________________

 

 

夕刻。

マサキの家にて随分長い時間を過ごしていた二人。

彼らは今、恋人岬の最端に来ていた。

 

「わあーっ!!綺麗ーっ!!」

 

ファルナは岬の柵に駆け寄り、

目の前の景色に感動している。

 

岬からは、一面に広がる海が見える。

視界には、空と海以外の何も無い。

それらが夕日に煌々と赤く照らされている。

 

静かに揺れる水面が、夕日を反射してキラキラとひと際明るく光っていた。

 

「凄い…!海がずーっと先まで続いてる…!」

 

ファルナの隣でスゥが言う。

それから暫く、目の前の絶景に言葉が出ない二人。

 

落ちていく夕日が水平線に触れ、少しずつ溶けていく。

それだけが、今の彼らに時間の経過を分からせるものであった。

 

 

「…スゥ。」

 

「…ん?」

 

 

ファルナは名前だけ呼び、スゥに寄りかかる。

彼は特に言葉を出さず、それを受け止めている。

体が触れる事に中々慣れず、気恥ずかしいスゥだったが、

いつまでもそんな事は言ってられないと思い、

今の彼なりに出来る『積極的』な行動を取ってみる。

 

 

「ファルナ。」

 

「ひゃっ…!!」

 

 

肩を抱き寄せられ、頬を染めるファルナ。

少し戸惑う彼女の反応に、スゥは声を震わせながら言う。

 

「…な、何となく…だけどね?」

 

「…えぅ?」

 

「今日は、ファルナが頑張ってくれてたような気がしたんだ。」

 

「う、うぅ…そうだよ。

 …結構恥ずかしかった…かも。」

 

「あはは、ありがとうな。

 その…だからな。俺も応えたいな、って思ったんだ。」

 

「…どうやって?」

 

照れながらではあるが、期待を持った瞳で

スゥを見つめるファルナ。

 

 

「…ん…ぅ」

 

 

2度目のキス。

最初の時よりも、心の準備が出来ていたのか

ファルナは大きくは驚かず、じっと目を閉じて

唇の感覚に集中している。

 

その感覚に二人はゆっくりと浸る。

 

そして、離れる。

 

 

「…ファルナ、どうかな。

 『お返し』、ちゃんと出来たかな…?」

 

「…ぅーん…

 ねぇ、スゥ。もう少し…」

 

蕩けた表情で甘えるファルナ。

これまでは、ピコ達に隠れながら

スゥと親しく接してきたが、今はみんなが認め、応援してくれている。

僅かにモヤを感じていた頃とは違い、心置きなく彼に甘える事が出来ていた。

 

しかし、ファルナのその表情は

今のスゥには少々刺激が強かったようだ。

 

「っ…!ファルナ、俺もそうしたいのは山々なんだけど…

 ちょっと…ガマンが辛い…」

 

「えぅ…?ガマン…?

 何がガマン出来なくなるの?」

 

ファルナは残念そうな表情で、スゥに尋ねる。

彼が一体何を我慢しているのか、よく分かっていない様子。

 

スゥは耳まで真っ赤にしながら、ファルナを抱き寄せて

彼女の耳元で小さな声で囁く。

 

「…ファルナ、分かってる?

 俺、一応『それなりの年齢の男』なんだけど…。」

 

その問いの意味が、全く分からない訳では無いファルナ。

ぼんやりと意味を察した彼女は、今までで一番顔を赤くし、

たどたどしく声を出した。

 

「~~っ…!!

 ぁ、あの…ね…

 ……ぅん。わ、分かる…よ。

 …リザードに進化してから…ね。」

 

「そっか、進化したら高い『知力』を…って、言ってたっけ。

 …今だから言えるけど、そのファルナの服も

 正直、色々と目が行ってしまうし…」

 

「ぇぅ…わ、私は……その…

 嫌、じゃないよ…?スゥなら…」

 

「ちょっ、ファルナ…!

 頼むから、もう少し警戒して…!」

 

ファルナの言葉に、いよいよ限界が近いスゥ。

そんな時…

 

 

 

 

 

「だぁ~っ!!

 アンタらねぇ~っ!黙って見ていれば!!」

 

 

 

 

 

『ふわっ!?』

 

唐突にスゥ達に声を荒げる女性が一人。

彼女はずかずかとスゥの前に近づき、彼の額に指を突き立てて言う。

 

「さっきからずーっと甘酸っぱい話ばっかして!

 そりゃ『恋人岬』よ?アンタ達は何も悪くないわよ?

 恋人ですもんね!カップルですもんね!

 そういう雰囲気にもなるわよねー!

 でもでもでも~~~!!

 イチャつくにも限度ってのが有るでしょうがー!

 何々?

 彼氏にフラれたアタシへの当てつけ!?

 そうなの?そうなのね!?

 いーや、それともこう言いたいんでしょ!

 『そんな時にこんな所に来る方が悪い!』って!

 分かってるわよー!

 でもいいじゃない!

 初デートの場所でフラれた感傷に浸るくらい!

 こっちの気持ちも考えなさいってのー!!」

 

 

…スゥとファルナは耳を手で押さえ、

見知らぬ女性の謎の叫びをシャットアウトしていた。

 

「…スゥ、今日こんな感じの事が多いね。」

 

「あ、ははは…ある意味助かったかも…

 冷静になれたし。」

 

 

「ちょっとアタシを無視しないの!

 また当てつけ!?当てつけなのね!?

 『キミしか見えてないよ』的な!?

 あの男もそんな事言ってたわよ!

 付き合い始めはね!

 何よ何よ!

 見てなさいよアンタら!

 今はそんなんでも、ボロが出てくるんだから!

 『段々キミのワガママに付き合いきれなくなってきた』

 なんてノタマうのよ男ってやつはー!」

 

 

「そ、そうなの?スゥ…」

 

女性のマシンガントークを一応聞いていたファルナが

心配そうにスゥに尋ねる。

 

「い、いや…俺はそんな事言わないけど。

 …と言うか、この人がフラれた理由って他にあるんじゃ…」

 

冷や汗を流しながらヒソヒソと話す二人。

しかし、スゥの言葉はその女性に届いていた。

どうも逆鱗に触れてしまったようだ。

 

「ハァーーーッ!?

 アタシが悪いっての!?

 アタシの事を何も知らない癖に!

 アタシが『ハナダジムリーダー』だからって

 軽々付いてきたあの男みたいに!

 男ってみんなそう!

 『自分は悪くない、お前が悪い』

 なんて事を根っこでは思ってるのよー!

 アタシの何が悪いってのよ!

 『ハナダのおてんば人魚・カスミ』って言われてるのよ!?

 絶世の美女かつ希代の才女なのよ!?

 何が不満なのー!

 あー、もう頭にキタわ!

 アンタら!コテンパンにしてあげるからアタシのジムに来るのよ!?

 いいわね、逃げるんじゃないわよ!?

 ケンカ吹っ掛けてきたのはそっちなんだからね!!

 わーーん!!」

 

 

その女性は一しきり叫び、泣きながら走り去っていった。

 

シーン…と、妙な静寂に取り残されたスゥとファルナ。

 

 

「何か色々と重要な事言ってた気がする…

 ハァ…ハナダジムに挑むの、気が重いなあ…」

 

どうも、ヒステリックに叫んでいた彼女は

ハナダシティのジムリーダー『カスミ』だったようだ。

ハナダに到着して数日。

そろそろ挑戦に行こうかと思っていたスゥだったが、

再び彼女に会わなければならない事に、気を重くしていた。

 

「コテンパン…って言ってたねぇ…」

 

ファルナも気を重くしていた。

そもそも、『水属性』のジムなのだ。

ただでさえ彼女にとっては苦手な相手。

それが本気で自分を潰しに来るという宣言を受け、

正直な所かなり怯んでいる様子。

 

少し悩んでいた二人は一つの結論に至った。

 

 

「ま、ピコに任せるか。」

「わ、私も今回はピコくんに任せた!」

 

 

ピコの与り知らぬ所で決められた重要な話。

彼らもまた、その時ピコの背筋がゾワッとしていた事は知る由も無かった。

 

 

最後に少々水を差されてしまった二人の初めてのデートだったが、

案の定、晩御飯を食べる頃には

ファルナは元気一杯。

スゥも、彼女が終始楽しそうだった事にホッとし、

二人とも充実した一日を過ごせたようだ。

 

「それにしても、マサキさんが変な事言うから危なかったなあ…」

 

就寝前に、心の中で思うスゥ。

マサキに何を吹き込まれたのか、それをスゥが明かす事は無いだろう。

 

 




話の流れ上、少々詰め込み過ぎた感がありますが、
切り所が分かりませんでした(笑)

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