まっしろレポートとふたつの炎   作:アリィ

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Report1-5 [いってきます!]

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               翌朝

 

              ヂリリリリリリリリリ

  

               ベシッ

スゥ「ん、ん"~っ。もう時間か~・・・やっぱ早起きは辛いな・・・。」

 

普段では全く考えられない、日も出ていないような時間。

スゥは部屋の明かりをつけ、カーテンを空ける。

 

スゥ「まだ外は暗いね。」

ファルナ「~、クゥ・・・」

スゥ「ファルナはまだ寝てるか。

  ・・・本当に見た目は人間の女の子だよな。さすがにこういう髪の色の子は滅多にいないけど。」

スゥはファルナの髪を指で梳かしながらそんな事を思う。

ファルナ「・・・ん、んぅ・・・」

スゥ「っ、とと・・・」

 

ファルナが起きそうになった事に少し驚き、スゥはすぐに手をどかした。

 

ファルナ「ふぁ・・・ぁ。ぅん・・・。

   あ、スゥおはよー。」

スゥ「おはよ。起きたら準備しよ。」

ファルナ「う~ん、もう少し寝たい・・・」

スゥ「こら、二度寝は良くない。

  (って、いつも母さんに言われる側だけど・・・)

  大体、今日は出発するんだから。もう起きるよ!」

ファルナ「んぅ~、わかったよぅ・・・。」

 

ファルナは渋々といった様子で起き上がる。

 

ファルナ「ふぁぁ~・・・。なんでこんな早くに行くの?まだお外が暗いよ?」

スゥ「冒険の出発はな、夜明け前にって相場が決まってるんだ。」

ファルナ「ん~ぅ、なにそれ?」

 

               1階

 

ロゼ「あ、降りてきた。二人ともちゃんと起きれたんだ、おはよ~!」

母「あら、本当に起きれたのね?スゥ。おはよう。」

スゥ「もちろん!おはよう。」

ファルナ「おはよ~!」

ロゼ「スゥ。ファルナに変なこ・・・」

スゥ「し て ま せ ん 。

  ロゼ、もうそのネタはダメ。」

ロゼ「ちぇ~。スゥ冷たい~。」

スゥ「冷たくないっ」

母「さあ、朝ごはん出来たわよ。でもみんなこんなに朝早く食べれるかしら?」

スゥ・ファルナ・ロゼ「いただきます!」

母「あらあら、みんな元気ねぇ。」

 

スゥ達はまだ夜も明け切っていない時間にも関わらず、元気に母の作った朝ごはんを平らげてしまった。

スゥの母は多目に作った朝ごはんを箱に詰め、お弁当として二人に持たせた。               

            

スゥ「それじゃあ、母さん。そろそろ行くよ。」

母「そう・・・。体は大事にするのよ。無茶や危ない事はしないでね。

  時々は手紙でも書いたり、帰ってきなさい。

  あなたはお母さんの大事な子供だって事、ちゃんといつも覚えておきなさいね。

スゥに何かあったらお母さん・・・、お母さんね・・・」

 

スゥ「・・・母さん。心配しないでよ。俺はいつでも元気でいるから。

危ない事は時々はあるかもしれないし、するかもしれないけど、ファルナやこれからの仲間が居ればきっと大丈夫。

  手紙もちゃんと書くよ。母さんもロゼと元気に暮らしていてね。母さんが元気なら俺だって元気だから。

  だから・・・」

母「スゥ・・・」

 

スゥ「・・・いってきます。母さん、ロゼ!」

母「・・・はい。いってらっしゃいスゥ、ファルナちゃん!

  いい旅をね。大きくなって帰ってらっしゃい!」

ロゼ「二人ともいってらっしゃい!帰ってきたら旅の事たくさん聞かせてよ!」

ファルナ「いってくるね~!お母さん、ロゼちゃん!

お母さん、スゥは私が守るからね、心配しないで!

   ロゼちゃんもお話楽しみにしててね~!」

母「ふふ、ありがとう。ファルナちゃんも元気でね。

  あ!それとスゥが悪い子にしてたらみっちり叱ってやってね!」

ファルナ「はーい!まかせてください!」

スゥ「うぅ、最後の最後まで・・・。お手柔らかにしてよ。

  ロゼ、俺が居ない間は母さんの事、よろしくな。」

ロゼ「まかせてよ、スゥ。気をつけていってらっしゃい。

  スゥもファルナも大好きだから二人ともケガしちゃイヤだよ?」

スゥ「ん。ありがとうな、ロゼ。」

ファルナ「ありがとうロゼちゃん、しばらくさよならだね。元気でいてね!」

 

スゥ「よしっ!行こう、ファルナ!!」

ファルナ「はいっ!」

 

母「・・・スゥ、ファルナちゃん、気をつけてね。いってらっしゃい。」

 

スゥの母は旅立つ二人の背中が見えなくなるまで見送っていた。

また彼らの元気な顔を見られることを祈りながら・・・

 

 

               マサラタウン 某所

 

ノン「おい、スゥ!」

スゥ「あっ!ノン!ノンもこんな早く出発してたのか!」

ファルナ「あ、ノンさんとアクアちゃん!おはよう!」

アクア「おはようございます。ファルナちゃん、スゥさん。」

スゥ「おはよう、アクア。ノンには慣れたかい?」

アクア「あ・・・はい。とても!」

ノン「スゥ、お前の性格なら、どうせ俺に負けないようにってこんな張り切りすぎな時間に出るだろうと思ってたよ。」

スゥ「そう言って、結局こうやって同じ時間に出てるじゃないか。」

ノン「はは。まあ、俺も人の事言えないってやつだな。昨日はずっと興奮して落ち着かなかったしな。」

スゥ「それで、まずはノンも隣町のトキワシティに向かうつもりだよね?」

ノン「まあ、マサラからだったらそこしか無いな。」

スゥ「一緒に行く?」

ノン「・・・いや、それはやめよう。お前と一緒に行けば、楽しみが減ってしまうからな。

  次会えた時、お互いにどれだけ強くなっているか。そういうのが楽しみなんじゃないか。違うか?スゥ。」

スゥ「そう言うと思ったよ、ノン。俺達は別々の道で行こう!

  また会ったなら、その時は勝負だ!」

ノン「望む所だな。それじゃあ、先に行くぜ。行こう、アクア。」

アクア「はい。スゥさん、ファルナちゃん、またいつか。」

ファルナ「またね、ノンさん、アクアちゃん!」

スゥ「アクア、ノンと仲良くな~!」

 

スゥ達は次に会う時のお互いの成長を楽しみにしながら、少しの間の別れを告げた。

 

 

スゥ「さて・・・そろそろ日が昇る時間かな。空が白んできたね。

  ファルナ。こんな朝早く出発したのは、ノンに先越されたくないからっていうのと、もう一つ理由があるんだ。」

ファルナ「えっ?何、まだ理由があるの?教えてよスゥ!」

スゥ「俺に付いてきて。きっと理由が分かるから。」

ファルナ「・・・?そうなの?」

そう言ってスゥはファルナを引きつれて歩き出した。

その足はマサラでも一段、周りより高い丘へ。その丘を上り切った頂上、そこには・・・

 

ファルナ「!!

   わあーっ!!すごいっ!

   ねえ、スゥ、すごいよ!お日様が昇ってる!すっごくキレイ!」

スゥ「この町で俺が一番好きな景色だよ。この町にお別れするなら、これを見てからにしたかったんだ。」

 

そこには、山々の間から眩しく覗く太陽が見事な朝焼けを作り上げていた。

自分の住む町が朝焼けに照らされ、白い光と影が強いコントラストを生む。

いつもの場所が幻想的な光景に変わるこの景色がスゥのお気に入りだった。

 

ファルナ「ねぇ、スゥ。これからどんな旅になるのかな。

   こんな景色がいっぱい見られるのかな。

   楽しみだねっ!」

スゥ「きっと沢山見られるよ!

  楽しい旅にしような!」

ファルナ「スゥが一緒ならぜったい楽しい旅になるよ!」

スゥ「よしっ、マサラにお別れのあいさつしてから行こうか、ファルナ。」

ファルナ「うんっ!」

 

スゥ「さ、「せーの」、でいくよ。」

スゥ・ファルナ「・・・「せーのっ」・・・」

 

 

 

              「"マサラ"は始まりの色。真っ白な色。」

 

                 駆け出しトレーナー・スゥ

                初めてのパートナー・ファルナ

            彼らの旅はこれからどのように彩られるのだろうか

       マサラの朝焼けのように純白な彼らの心は、これからの旅の希望で一杯だった

              

 

 

               スゥ・ファルナ「いってきます!!」

 

~第1章 マサラタウン編 [旅立ち] ~ 終

 


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