まっしろレポートとふたつの炎   作:アリィ

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Report1-4 [お母さん]

[Report1-4 お母さん]

               スゥ宅前

ファルナ「ここがスゥのおうち?」

スゥ「そうだよ。もうこの時間なら母さんがご飯作ってくれてるんじゃないかな?」

フシギダネ「ご飯?やった、お腹すいたー!早く入ろ!」

スゥ「俺も今日は色々あったから腹減ったな~。」

 「母さん、ただいまー。」

 

母「おかえり・・・あら?スゥ、そちらの女の子は?」

スゥ「今日博士から貰ったポケモンだよ。こっちの赤い髪の子がヒトカゲ。ファルナっていう名前で、俺が付けたんだ。

それで、緑の子はフシギダネ。」

ファルナ「はじめまして、ファルナです。スゥのお母さん、よろしくおねがいします!」

フシギダネ「お母さん、よろしくね~!」

 

母「あらあら、可愛い元気な子達ねぇ。よろしくね、ファルナちゃん、フシギダネちゃん。ご飯出来てるから三人ともめしあがれ。」

ファルナ・フシギダネ「やった~!ご飯、ご飯♪」

スゥ「その前に母さん、少し話があるんだ。」

母「お話の中身は何となく分かるわよ。みんなお腹空いてるでしょうから先にご飯にしましょ。」

スゥ「ん。じゃあ後で話すよ。少し長くなるかもしれないしね。

  で、今日のご飯は何?」

母「スゥの好きな肉じゃが。たくさん作ってるからしっかり食べなさいね。」

スゥ「おおっ!ファルナ、フシギダネ、早く手洗って食べるぞ!」

ファルナ・フシギダネ「はーい!」

 

               ~食後~

 

スゥ「やー、やっぱり母さんの肉じゃがは美味いね~。」

ファルナ「おいしかったー!」

フシギダネ「こんなおいしい料理、研究所じゃ出てこないもんね。」

ファルナ「でもふーちゃん、食べすぎじゃない?」

フシギダネ「だいじょーぶ。あたしは太らないからっ!ちゃんと頭に栄養が行くの!

    それと、折角おいしいんだから沢山食べないともったいないでしょー♪」

母「みんなお上手ねぇ、おそまつさま。

  ・・・それで、スゥ。お話あるんでしょ?多分その子達も関係してるんでしょう。」

スゥ「うん。母さんにお願いもあるんだ。」

母「はいはい、聞きましょう。」

 

スゥ「昨日の話の続きなんだけどね。

  俺はこのファルナと一緒に旅に出ることにした。」

母「・・・。

  そう・・・やっぱり行くのね。あなた一人じゃ心配だったけど、ファルナちゃんも一緒なら安心ね。

  ファルナちゃん、スゥをよろしくね。

いい加減な所があるけれど、基本的にはいい子だから、どうか見放さないであげて頂戴ね。」

スゥ「ちょ、ちょっと母さん。そりゃ無いよー・・・」

ファルナ「はいっ!スゥ、私がいるから大丈夫だよ~♪」

スゥ「おいおい、お前までなぁ・・・

  まあ、いいや。えーと、もう一つなんだけど。

  俺みたいに、ノンも一人貰ってるんだけど、博士は公平にって一人に一人ずつにしたんだ。

  それでフシギダネが残ったんだけどさ、母さんと一緒に暮らさせてくれないかな?」

母「あらあら、私は喜んでよ。

  フシギダネちゃんはどうなのかしら?」

フシギダネ「一緒にいたい!お母さん優しい人だし、おいしいご飯作ってくれるし、大好きだもん!」

母「ふふ。ありがとう、フシギダネちゃん。

  スゥが旅立っちゃうと寂しくなりそうだったけど、あなたが居てくれるのなら寂しくなくなるわ。私こそお願いしますね。」

フシギダネ「はい!

    ちゃんとお手伝い頑張るよ!よろしくね~!」

母「あらあら、スゥよりもしっかり者ね。心強いわ。」

スゥ「むぅ。気をつけろよ、フシギダネ。ちょっと悪いことしたら頬とか引っ張られるぞ。」

母「あらあら、こんな風にかしらー?」

               ギウゥ

スゥ「ん”ん”~ん”っ」

 

ついまた余計な事を言ってしまった・・・

自分で招いた結果に見舞われながらスゥはそう思った。

 

フシギダネ「あたしはいい子だから大丈夫だよ~っ。」

母「そうそう。スゥもいい子にしてたらやらないわよ?

  それで。えーと、フシギダネちゃん?ファルナちゃんみたいに名前があった方がいいのかしら?」

フシギダネ「え!名前付けてくれるの!?」

母「名前は人を表す大事な物ですもの。

  それじゃあ付けてもいいのね。どんな名前がいいかしらね?」

フシギダネ「綺麗なお花の名前がいいな~!あたし、草タイプのポケモンだから!」

母「綺麗なお花ね。そうねぇ・・・

  ・・・

  バラはどうかしらね。

  バラなら[ローズ]とか。あ、でも少し派手かしら・・・?

  もうちょっとおとなしい感じの名前の方が可愛いかしらね。

  ・・・

  ・・・あ!

  [ロゼ]。[ロゼ]はどうかしら?可愛い名前だと思うんだけれど。」

フシギダネ「ロゼ、バラのことだよね?嬉しい!お母さん、ありがとうね!」

ロゼ「あたしは[ロゼ]!」

母「気に入ってくれたみたいね。ロゼちゃん、よろしくね。」

ロゼ「はいっ!」

ファルナ「良かったね、ロゼちゃん!」

ロゼ「うんっ!

  ・・・お昼ね、ふたりが名前付けて貰ってるの羨ましかったの。

  だから、今すっごく嬉しいよ!名前っていいねー、ファルナちゃん♪」

ファルナ「だよね!ロゼちゃん♪」

スゥ「いい名前つけて貰えて良かったね、ロゼ。」

ロゼ「へへ~♪ありがとうね、スゥ。」

 

スゥ「・・・さてと、それじゃあ明日の準備をするかな。」

母「明日はいつ出発するつもりなの?」

スゥ「夜明け前には出ようと思ってるんだ。・・・えーと、5時くらいかな?」

母「5時ねぇ・・・。いつもねぼすけな癖に、ノンちゃんと張り合う時は随分頑張るのね。

  きっと旅の途中でも会ったら勝負ばかりするんでしょ。」

スゥ「もちろん!ノンの奴、絶対今日のリベンジだって言って勝負しようとしてくるだろうしな。また勝ってやるぞ、ファルナ!」

ファルナ「まかせてよっ!スゥとならこれからもきっと勝てるよ!」

スゥ「おう!ノンには絶対負けねえ!」

 

 

               就寝前

 

スゥ「ふあ~ぁ・・・そろそろ寝よ。母さん、ファルナ、ロゼ、みんなおやすみ。

  ファルナ、明日は4時に起きるから早く寝なよ?明日起きられないよ。」

ファルナ「じゃあ私も寝るー!スゥ、一緒に寝よっ♪お母さんもロゼもおやすみ~。」

スゥ「ん、おやす・・・

  ・・・うぇっ!?

  ファルナは母さんやロゼと一緒に寝るんじゃないのか?」

ファルナ「んぅ・・・スゥは一人で寝る方がいいの?」

スゥ「え?い、いやそういうんじゃなくて・・・」

母「いいじゃないの。一緒におやすみなさい。これからの旅でどうせ一緒に寝ることになるでしょ?」

ロゼ「そうだよ、スゥ。どうして嫌が・・・

  ・・・。

  (あー、そーいうことね♪)

 

  ・・・ふふふ・・・スゥ~、ファルナに変なことしちゃ駄目だよ~?」

母「あらあら・・・?

  スゥ。そこは男の子ならちゃんと分かってるわよね。ファルナちゃん傷つけちゃだめよ?」

 

ニヤニヤと意地の悪そうな笑みでロゼはそう言う。

ロゼの言葉の意を解してスゥの母までも同じ表情をスゥに向けている。

ロゼはファルナやアクアと同程度の年齢だが、一体何処で知ってくるのか・・・

"増せた知識"は彼女ら3人の内で一番知っているようだ。

逆にファルナやアクアはその辺りの事には疎い為、今までロゼがからかおうとしても"よく分からない"という顔をされて彼女は面白くなかったようだが・・・

今日はスゥという遊び甲斐のありそうな対象が居る事に、彼女の性格が黙っていなかった。

 

スゥ「し、しないよっ!何でそうなる!?母さんもニヤけるなっ!何も無いからっ!」

ファルナ「?

   ねえスゥ、変なことって何?」

スゥ「い、いや、だから・・・」

ロゼ「ああ、"変なこと"じゃファルナには分かんなかったかな?

  ファルナは純粋っ子だもんね~。

  えーっとね、"変なこと"っていうのはねー?えっ・・・」

スゥ「し な い っ

  やっぱり一緒には寝ない!」

ファルナ「えぇ~っ!?なんで!?スゥ私のこと嫌いなの?」

スゥ「(っ~・・・話せば話すほど深みに嵌ってる気がする・・・)

わかったよ。ちゃんと一緒に寝てあげるから。

  ・・・寝るけど、

  寝るけどさ・・・頼むからその顔やめろよあんたらっ!!」

母・ロゼ「はいはい、おやすみなさい~。」

スゥ「くそっ、母さんとロゼ仲良くなりすぎだよ・・・はぁ。」

母とロゼからの絡みから開放されたスゥは疲れた足取りで自分の部屋へ戻る。

その後ろをファルナがちょこちょこと追いかけていく。

 

ロゼ「スゥって面白いね~♪」

母「そうでしょう?あの子にはついつい意地悪したくなっちゃうのよね~♪」

ロゼ「それよく分かる~!」

 

・・・ロゼは実に満足そうだ。

           

               スゥの部屋

 

スゥ「それじゃ、ファルナもおやすみ。」

ファルナ「うん。おやすみ、スゥ。

   ・・・今日は色々有ったね~。」

スゥ「そうだな。まだ会って初日なのにな。

  博士からファルナを貰って、ファルナに名前をつけて。

  おまけにノンとバトルもしたし。忙しかったなー。」

ファルナ「今日会ったばかりだけど、もう仲良しだよねっ!」

スゥ「あはは。そうだね。」

ファルナ「ん~。お布団ふかふかで気持ちいいね。」

スゥ「きっと旅では野宿が多いから今のうちにしっかり味わっておけよ。」

ファルナ「は~い。

   でも、スゥと一緒だったら野宿でもよく眠れると思うよ。」

スゥ「ベッドや布団じゃないぞ俺は。」

ファルナ「んん・・・ク~、ク~・・・」

スゥ「・・・寝ちゃったか。俺も寝よ。」

 

スゥは目を閉じて眠りに落ちるのを待つ。

目を閉じると、静かな暗闇の中でこれからの事をつい考えていた。

 

スゥ「(・・・

  ・・・

  俺、強いトレーナーになれるかな・・・

  ポケモンって何種類くらいいるんだろうな・・・

  図鑑完成ってどれだけかかるのかな・・・

  ちゃんと野宿出来るかな・・・

  母さんに今度はいつ会えるだろう・・・

  ・・・

  母さん・・・

  ・・・)

  」

 


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