まっしろレポートとふたつの炎   作:アリィ

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Report4-4 [メルティの力]

[Report4-4 メルティの力]

 

メルティの歓迎会が行われた翌朝。

気持ちよく晴れた空の下、鈍月街道でピコとメルティが向き合っていた。

 

「んにっ!メルねぇも炎ポケモンなんだよね。

 どんな戦い方するのか楽しみだよ!」

 

「ふふ、ピコ君お手柔らかにお願いしますね!」

 

スゥは彼女の戦闘時の能力を確かめる為、組手をさせてみる事にした。

ルールは1対1、全力の技を直撃はさせてはいけない。

また、両ポケモンはスゥの指示無く自由に戦うように決めた。

 

「それじゃあ、まずはピコ対メルティだね。

 ファルナも二人について気付く事が有ったら言ってくれ。」

 

「うん、わかった!

 二人ともー、ケガしないようにね!」

 

ファルナはスゥの隣で一緒に観戦する。

スゥはピコとメルティがお互い臨戦体勢になった事を確認し、合図した。

 

「よし、バトル始め!」

 

スゥの合図が出て最初に動き出したのはピコであった。

小手調べの軽い電気ショックをメルティに向かって放出する。

青白い電流が瞬時にメルティの居た場所へ届いた。

 

電気ショックのスピードに驚いたメルティだったが、

タンッと軽い音を出し一瞬でその場から上に飛び上がった。

 

「んにっ!?飛んだ!?」

 

「高い!10メートルはあるぞ!?」

 

予備動作も無く跳んだにも関わらず、そのジャンプ力にスゥ達は驚いた。

ピコの電撃を避け着地したメルティは、屈んで脚のバネを解放する。

 

「今度は私の番!いきますよ!」

 

バンッ!と力強い音を立てて再び跳ねる。

その高さは屈んで力を溜めた分、先ほどのジャンプより遥かに上だった。

目視でざっと30メートル程度。

ピコはメルティの姿を追おうと空を見上げたが、日光が眩しくてなかなか直視出来ない様子。

メルティは宙で一回転し、脚を突き出しピコをめがけて急降下した。

 

「踏み付け!」

 

「わわっ!!」

 

降下して来たメルティをようやく目視出来たピコが、その素早さを活かしてとっさに避ける。

空高くから勢いを付けて踏み付けた地面が少し抉れている。

しかし、スゥは想像していた程の威力では無かった事に疑問を持っていた。

 

「あんな高くからの踏み付けの割には、あまり…かな?」

 

「スゥ、多分だけどメルちゃんの体って軽いんだよ!」

 

「ああ、なるほど!軽いから高く跳べるけど、その分威力も低いのか。」

 

スゥとファルナが状況を考察している間、メルティはすぐさま次の行動に移っていた。

メルティは手の平に火の玉を作り出し、ピコに向けて放った。

 

「火の粉!」

 

踏み付けを避けて後ろに飛び退いている最中のピコは、これを避けられずに攻撃を受けてしまう。

ボッボッと細かな炎がピコに着弾する。

 

「んに”っ、熱い熱いー!

 …けど、まだまだ大丈夫!メルねぇ、行くよ!」

 

「っ…やっぱり私の攻撃力じゃピコ君も倒せない…

 けど、頑張らなきゃ!」

 

まだ体力が十分に残っているピコを見てメルティは身構えた。

ピコは次の電撃を確実に当てようとするため、頬に帯電させながらメルティの周りを素早く駆け回る。

これに対してメルティはピコの狙いに気付いた様子で、自らも駆け出した。

彼女もまた、もう一度確実に火の粉を当てるチャンスを狙うために手の平に火球を持ちながら走る。

 

目で追うのが大変な程のスピードで草原を駆け回るピコとメルティ。

 

「わあ…二人ともすっごい速いよ!私だったら二人の動きについていけないよ。」

 

「確かに、ピコが速いのはもちろんだけどメルティも素早い!

 だけど、やっぱりピコの方が速そうかな…?

 いや、何か違う気がする…」

 

スゥはピコが徐々にメルティの横や後ろを取る頻度が上がっている事に気が付いた。

しかし、本当にメルティの方が遅いのだろうか。

動き回る二人を見ながらスゥは疑問を持っていた。

 

「へへーん、メルねぇ!ボクの方が速いみたいだね!

 後ろ取ったよ!電気ショックー!」

 

「くっ…!」

 

ピコはメルティの背後から電気ショックを放った。

背後から襲ってくる電撃に対して、メルティは一直線に駆け抜けた。

そのスピードは電撃が地面を伝わる速さにも劣らなかった。

 

「は、速い!」

 

ファルナは目を丸くしていた。

電撃から一直線に逃げるメルティを見て、

スゥは先程の違和感の答えが分かった様子。

 

「そうか!そういう事か!」

 

「えう?スゥ、どうしたの?」

 

急に納得した声を上げたスゥにファルナは何の事か分からない様子。

スゥは彼女に答えを言う前に問いかけた。

 

「ファルナ、ピコとメルティの追いかけ合いを見てたらピコの方が速そうに見えただろ?」

 

「う、うん。正直に言うとピコ君の方が速かったかなーって…」

 

「それはある意味正しいし、間違ってるんだ。

 ピコとメルティは二人とも速いんだけど、得意な動きが違うんだよ。」

 

「得意な動き…?」

 

「電撃から一直線に逃げるメルティの速さに驚いただろ?

 つまり、メルティは直線を速く走るのが得意なんだ!

 それに対して、ピコはジグザグ方向を変えながらスピードを落とさずに走るのが得意。

 だからさっきみたいな…」

 

「そっか!後ろを取り合うのはジグザグ動けるピコくんの方が得意なんだ!」

 

「その通りだよファルナ!

 うーん、メルティに指示を出したいけど、それはしないルールだしなあ…」

 

スゥ達が話している内に、ピコが放った電撃は勢いを削がれて消滅した。

メルティは足を止め、再びピコに向き合う。

 

「凄いよメルねぇ!ボクの電撃から逃げきっちゃうなんて!」

 

「ありがとうございますピコくん。

 私、脚の強さだけは自信があるんです!」

 

ピコに褒められて嬉しそうに答えるメルティ。

ピコは次の手を考えていた。

彼が思いついた手、それを実行に移す。

 

「でもねメルねぇ!次はちゃんと攻撃当てるからね!」

 

そう言って再びピコはメルティに向かって走りだした。

得意の多角的な動きでメルティの周りを走り回る。

 

「ピコくん、背後を取っても無駄ですよ!」

 

対してメルティもピコに火の粉を当てるために動き回る。

 

「ピコくんとメルちゃん、また走り回ってる!

 ねぇスゥ、これって決着つくのかな…?」

 

「先に体力が無くなって動き疲れた方が負けるんだろうね。

 うーん…でも、ピコの奴、何か企んでる感じなんだよな。」

 

ピコもメルティも走る事に関しては、まだまだ体力の底が見えない様子だった。

ぐるぐるとお互いの周りを回りながら、電撃と火の粉を打ち合う。

中々決着が付かない状態が続いた。

スゥはそろそろピコとメルティの勝負を止めてもいいだろうと思った矢先。

メルティに変化が見られた。

 

「ぁ…か、体が何だか痺れ…っ!」

 

唐突にメルティはスピードを失ってその場に座り込んでしまった。

 

「ふふーん!メルねぇ、ボクの勝ちだよ!

 ばーん!」

 

メルティが動けない事を確認したピコはゆっくりと彼女の前に立ちふさがり、

人差し指を彼女の額に向けて電撃を打つ真似をした。

 

「ま、参りました…ピコくん、何をしたの…?」

 

「にひひ、ボクのとっておきの技、『電磁波』だよ!

 これを出すとね、ボクの近くに長い時間居ると体が痺れちゃうって技なんだ!

 しかも電磁波は相手には見えないんだよ!」

 

「そ、そうなんですか…私はてっきり体力勝負を挑まれてるんだとばっかり…」

 

ピコが種明かしをした所で、スゥはバトル終了の合図をした。

 

「はい、二人とも勝負あり!

 メルティ、お疲れ様だったね。」

 

スゥはメルティの頭を撫でながら言った。

メルティは負けてしまった事を申し訳なさそうにしている。

 

「ぁ…ありがとうございます、スゥくん。

 ごめんなさい、あまり良い所を見せられなくて…」

 

「そんな事ないよ!メルティの強み、一つ分かったからね。

 正直、途中でピコを負かすために指示したくてウズウズしてた位だよ。

 ほら、麻痺治しだよ。これを飲んで。」

 

そう言いながらスゥはメルティに麻痺治しの錠剤を手渡した。

コクンと喉を鳴らして飲み終えたメルティは、スゥに問いかける。

 

「ぁ、痺れが治りました…!

 スゥくん、ピコくんをあの状況から負かせる方法があったんですか?」

 

「ちょっと思いついた事が有ったんだ。

 まあ、それはまたまとめて話すよ!

 それとピコ!ピコもお疲れ様。」

 

「にひひ、スゥにぃ!どうだった?ボクの戦略!」

 

スゥにも言わずに隠し持っていた技、『電磁波』を褒めて貰いたくて

胸を張るピコ。

 

「ああ、凄かったよ!よく自分であれだけ考えて動いたな!

 …でもなピコ、あんな技が有ったなら予め教えてくれよ。」

 

ピコの頭をクシャクシャと撫でながらスゥは言う。

トレーナーとして、自分のポケモンが持っている武器は一通り知っておきたいのは当然である。

それを教えてもらっていなかった事にスゥは文句を言った。

 

「だーってー!今まで使うタイミングが無かったんだもん!

 イワークには電気の技は効かないし、最近戦った人たちはあんまり強くなかったし!」

 

開き直るピコに、スゥは諦めたように笑った。

 

「ははは…まあいっか!ピコ、電磁波もこれから頼りにしてるからな!」

 

「任せてよ、スゥにぃ!」

 

_____________________________________

 

ピコとメルティの勝負が終わってひと休憩。

次はファルナとメルティの勝負をさせようとスゥは思っていた。

 

「さて、メルティ。そろそろ元気が戻ったかな?

 ファルナとは戦えそう?」

 

「はい!私はもう大丈夫です!

 それじゃあファルナちゃん、お願いしますね。」

 

「うん!こっちこそお願いします!

 炎タイプ同士で戦うのって初めて!」

 

メルティもファルナもいつでもバトル開始できる状態であるようだ。

スゥは二人を向かい合わせ、合図をした。

 

「よし、二人とも…バトル始め!」

 

スゥの掛け声と共にメルティが大きく飛び跳ね、空中から火の粉を降り注いだ。

 

「いきますよファルナちゃん!

 火の粉!」

 

ファルナの頭上から雨のように降り注ぐ火の粉。

ファルナは自らも炎を手に取り、火炎放射で火の粉を薙ぎ払った。

 

「避けられそうに無いから、全部消しちゃうよ!

 火炎放射ー!」

 

空中でメルティとファルナの放った炎が全てかき消えた。

それを確認したファルナはメルティの体勢に驚く。

 

「まだです、ファルナちゃん!

 踏み付け!」

 

「そうか、火の粉は当てるつもりじゃないのか!

 本命はそっちなんだ、トレーナーの指示無しであれだけ動けるんだ…」

 

メルティにとっては火の粉は目くらまし程度のものであったようだ。

本当の攻撃はファルナを足止めした状態での踏み付け。

スゥは彼女が自分で攻撃の組み合わせを考えて動ける事に驚いていた。

ファルナはその踏み付けを避ける時間が無いと判断し、防御の姿勢を取る。

 

ドカッ!とメルティの踏み付けがファルナに当たり、その反動でメルティは距離を取った。

 

「くうっ!痛ったぁ…!

 メルちゃん、やっぱり動きが速いね…!」

 

ファルナは少しよろけたが、すぐに体勢を立て直した。

 

「ごめんなさいファルナちゃん、後で謝りますね!

 だけど、まだまだ行きますよ!」

 

メルティは炎の塊を手に取り、素早い動きでファルナの周囲を回る。

 

「私だって、やられっぱなしにはしないよ!

 火の粉!!」

 

ファルナも負けじと火の粉をメルティに狙いをつけて放つ。

しかしメルティはそれらを全てかわしつつ、動きの取りづらいファルナに火の粉の連撃を放つ。

 

「熱っ!そ、そんなに痛くないけどこのままじゃ…!」

 

身動き取れず火の粉を受け続けるファルナを見て、スゥはピコに話しかける。

 

「やっぱり、メルティは攻撃の方法が器用だな。

 だけど、あまり火力が無い…

 ピコの時も思ったけど、メルティには中々決定打になる攻撃が無いんだ。」

 

「んにぃ、確かにメルねぇの攻撃はあんまり痛くなかったよ。

 ファルねぇみたいに力持ちじゃないのかな?」

 

「そうだなあ、見るからに細身だしなあ…

 あの脚の強さを活かせる方法があればいいんだけど。」

 

その会話が耳に入っていたファルナが顔を赤くする。

 

「スゥ、ピコくん!また力持ちって言ってー、もう!

 メルちゃん、これならどう!?」

 

ひたすら火の粉を浴びせられるファルナは、得意の大技『火炎放射』を

ムチのように振り回してメルティを追尾させる。

 

「火炎放射…!ちょっと避けにくいですね!

 はっ!」

 

メルティはファルナの周りを動いていてはいつか火炎放射に当たると判断し、

高く飛び上がった。

それを見てファルナはチャンスだと思った。

ぐっと拳に力を込めて身を低く構えた。

 

「もう一回、踏み付けです!」

 

メルティは空中で一回転し、ファルナを目がけて再び急降下する。

ファルナはこれを予想していた。

 

「やっぱり踏み付けに来たね!

 あんまり使いたくないんだけど…行くよ!

 『メガトンパンチ』!!」

 

ファルナは地面を目一杯強く殴りつけた。

ドォン!と轟音を立てて周囲の地面が抉れ、飛び散る。

地面が飛び散った無数の破片がメルティに向かって放たれた。

 

「メルちゃん、空中なら逃げられないでしょ!」

 

「なっ、しまった…!きゃあっ!!」

 

降下してきたメルティを、破片の連打が襲った。

メルティは空中では軌道修正できず、全てまともに受けてしまった。

踏み付ける姿勢からバランスを崩して地面に倒れたメルティ。

 

スゥとピコはファルナ放ったメガトンパンチの威力に青ざめていた。

 

「なあピコ、あの地面みたいになりたく無かったらもう力持ちって言っちゃダメだよ…」

 

「んに…ファルねぇって怒ると怖そう…!気を付けるよスゥにぃ。」

 

「もーっ!!スゥ、だから覚えるのイヤだって言ったのに!」

 

ファルナはタケシから貰った技マシン『メガトンパンチ』を覚えるのを嫌がっていた。

理由は当然、これ以上力持ちという印象を持たれたくなかったからだ。

しかし得意な分野を伸ばすべきだとスゥに諭され、仕方なく覚えさせられていた。

 

ファルナは後でスゥに文句を言ってやるつもりで、決着をつけるべく

メルティに火の粉を放った。

 

「メルちゃん、ごめんね!

 これで私の勝ちだよ、火の粉!」

 

「ぁ…避けられない!!」

 

メルティはまだ立ち上がれておらず、迫ってくる火の粉を避ける手段が無かった。

そして火の粉は彼女に着弾し、ボウッと音を立てて火柱が上がった。

それを見ていたスゥは決着がついたと思い、声を上げようとした。

その瞬間。

 

メルティの特徴である炎の髪と炎の尻尾が『青色』に燃え盛った。

 

「ぁ、あれ…?私、ダメージ受けてない…

 炎が青い!?」

 

その場の全員がメルティの姿を見て驚いた。

 

「メルちゃん!?だ、大丈夫…?

 そんなに強い火の粉は打たなかったんだけど、ごめんね!」

 

ファルナは狼狽えながらメルティに駆け寄って身を案じた。

心配してくるファルナに、メルティは落ち着いて答える。

 

「うん、大丈夫だよファルナちゃん。

 痛いどころか、何だか力が湧いてくるみたい…!」

 

これまで感じたことの無い、体から湧いてくる力強い感覚に戸惑うメルティ。

スゥは図鑑をメルティに向けてみた。

青い炎をまとったメルティを読み込んだ図鑑。

そこには新しい情報が記載されていた。

 

「これは…『貰い火』…?」

 

「んにっ?もらいび?って何?」

 

スゥは図鑑の説明を読み上げる。

 

「貰い火とは…周囲の炎を自身に取り込み、炎の威力を上げる特性。

 …凄い、メルティってこんな事が出来るんだ!」

 

その説明を聞いてファルナは安心した様子。

メルティは今まで炎タイプを相手に戦った事が無く、自身のこの特性を知らなかった様子。

 

「知りませんでした…!私、こんな力が…

 スゥくん、試しに火の粉を出してみてもいいですか?」

 

スゥも『貰い火』を受けた状態のメルティの力を確認しておきたかった。

当然、試し撃ちを許可した。

 

「もちろん!メルティ、空に向かって撃ってみて!」

 

「わかりました!…火の粉!!」

 

メルティが手の平に持つ炎はやはり青く、その大きさは今までの3倍ほど。

大きな青色の火球を空に放つと、花火のように炸裂して広範囲に炎が降り注いだ。

青い火の粉は、地面に落下しても尚燃え続けている。

やがて青色から赤色の普通の炎になり、ボッと音を立てて消えた。

 

普段では絶対に出し得ない威力の炎に、呆然としているメルティ。

ファルナは興奮した様子でメルティに抱き着く。

 

「凄いよメルちゃん!

 私の火の粉よりも絶対強いよ!」

 

「ふぁ、ファルナちゃん苦しいです…!

 えへへ…だけど、ありがとうございます!

 私でも強い技が出せるなんて、本当にうれしいです!」

 

メルティはスゥの方を向いて語りかけた。

 

「スゥくん、私…見てもらった通り、技の威力が全然無かったんです。

 しかも打たれ弱くてすぐに倒れちゃって…

 だから中々勝てなくてダイチに見放されてたんです…」

 

スゥはそれを聞いて、優しくメルティに言う。

 

「メルティ、ファルナと一緒ならもう火力不足に悩まなくて大丈夫だな。

 …だけどねメルティ。もし『貰い火』が無かったとしても、俺は他の方法で

 メルティの力を引き出そうと考えてたよ。」

 

「他の方法…?」

 

「そうだよ、今日はもう疲れちゃっただろうからまた明日教えるよ。

 ファルナもピコも、お疲れ様。

 今日はポケモンセンターに戻って体を休めよう!」

 

スゥは今日一日の目的を達成したことに満足して、メルティ達を休ませることにした。

彼はメルティの戦闘を見て分かった事を心の中でまとめていた。

 

「メルティの長所は…高くジャンプできて、速く走れる強い脚力。

 短所は火力不足と少し打たれ弱いこと。

 だけど、火力不足は『貰い火』と『戦い方』で補える。

 こんなところかな。

 …

 …」

 

 

 

「…いくらでも強くなる可能性があるじゃないか。

 これのどこが『出来損ない』なんだ。

 …

 ダイチ、次に会う時は覚えてろよ。

 あいつがメルティに言った事、絶対に後悔させてやる!」

 

スゥは密かにそう決意して拳を握りしめていた。

 

 


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