まっしろレポートとふたつの炎   作:アリィ

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Report2-10 [トキワの森]

Report 2-10. [トキワの森]

 

 

ノン達が早朝から101番道路で二人目のポケモンを探している一方

スゥ達はのんびりとした朝を迎え、出発の準備を整えてトキワシティを後にしようとしていた。

 

行き先は[ニビシティ]。

トキワの北、[102番道路]~[トキワの森]を抜けた場所に位置する。

 

 

[トキワの森] カントー地方の密かな観光名所であり、

生い茂る木々は昼間でも太陽の光を遮るため薄暗く、天然の迷路を成している。

今でこそ管理によって順路が確立され、観光名所として扱われているが、以前は遭難者が後を絶たなかったという。

 

ちなみに、訪れる者の多くはこの森に数多く生息している[虫ポケモン]捕獲が目的のようだ。

 

この森には「知る人ぞ知るポケモン」がいるらしいが、滅多に人間の前には出てこず、

捕まえることが叶わずとも、せめて遭うためだけにわざわざ遠路から来たる猛者もいるという。

 

 

 

                    [朝]

             [102番道路 トキワの森・ゲート前]

 

スゥ達は102番道路を経由し、道中にあるトキワの森へ向かっていた。

 

スゥ「うーん・・・ニビシティに行くには、やっぱりこのトキワの森を抜けないとダメみたいだね。」

 

ファルナ「この前も森で野宿したから平気だよ!」

 

スゥ「あれは森って言っても、ちょっと木が多かっただけだよ。

  トキワの森は木の葉っぱで空が埋め尽くされてるせいで、昼でも暗いんだって。」

 

ファルナ「昼でも暗いって・・・

   お化けとか・・・、出てこないよね?」

 

スゥ「ぷっ・・・、ははは!

  いくら暗いって言っても昼に出てくるお化けなんていないって!」

 

ファルナ「むぅ・・・マジメに言ってるのに~!」

 

スゥ「他に先に行く道が無いから仕方ないよ。

  それに、一応[観光名所・トキワの森]って書いてるから好き好んで来る人もいるみたいだよ。」

 

ファルナ「うぅ~・・・。じゃあ、早く抜けようよ!」

 

スゥ「そうだね。出来るだけ森での野宿は避けたいし。

  このゲートの先だな。行こう、ファルナ。」

 

ファルナ「はーい・・・。」

 

ゲート係員「君達、これから森に入るのかい?」

 

 

スゥ達はゲートを抜けて[トキワの森]に足を踏み入れようとした

・・・所を、ゲートの係員に呼び止められた。

 

スゥ「え?

  はい。ここを抜けてからニビシティに行こうと思ってるので。」

 

ゲート係員「そうか。ちゃんと順路に従って抜けるんだよ。

     薄暗いから落し物には気をつけて。

     

     それと、順路の中なら大丈夫だろうけど、もしかしたら[虫ポケモン]が出てくるかもしれない。

     [虫タイプのポケモン]は毒を持ってるから、万一の為に『どくけし』も忘れずに。」

 

スゥ「(虫タイプ・・・?どんなポケモンだろう)

とりあえず、『どくけし』は持ってます。ありがとうございます。」

 

ゲート係員「それならいい。気をつけていってらっしゃい。」

 

スゥ「どくけしか・・・。すぐ使えるようにしといた方がいいかもな。」

 

そう呟いてスゥはバッグから[どくけし]を一つ取り出し、ポケットにしまっておいた。

 

 

 

 

               [トキワの森]

 

               ザワザワ・・・ 

                 

                  ザワザワ・・・

 

ファルナ「うう・・・スゥ、やっぱり怖い・・・」

 

スゥ「本当に暗いな・・・木漏れ日もほとんど射してないや。」

 

森に入ったスゥ達は、「評判」が誇張では無かったことをその体で確かめた。

ファルナに至っては森の暗さは想像以上だったらしく、葉が風で擦れる音さえも怖がっている。

 

スゥ「(これは・・・正直、俺も怖いかも・・・)」

 

 

               ガサッ!

 

ファルナ「ひぅっ!」ビクッ

 

ファルナは道端の物音に驚いてスゥの服の裾を掴んだ。

スゥは物音に対して、というよりも突然ファルナに掴まれた事に少し驚いた。

 

スゥ「ぅわっ!

  ・・・

  怖がりだなー、ファルナ。」

 

ファルナ「そ、そんなこと言ったって・・・

   スゥは怖くないの?」

 

スゥ「思ってたよりも不気味だなー・・・って位かな。

  ちゃんと順路も有るんだから安心だって。

  ・・・あ、そうだ。ボールに入ってたら大丈夫じゃないか?」

 

ファルナ「うう・・・でも、それじゃスゥが危ない時に、すぐに戦えないし・・・

   それに、ボールに入ったら一人になっちゃうから、余計に怖いよ・・・」

 

スゥ「あ・・・ありがとうな。

  うーん、だけどずっと怖がらせるのは可哀想だし・・・

  それじゃあ、手つないでたらちょっとは安心する?」

 

そう言ってスゥはファルナの手を取った。

 

ファルナ「ぁ・・・!

   ありがとう。スゥの手、暖かくてホッとする・・・。」

 

スゥ「そうか、それならよかった!

  じゃあ、先に行こっか!」

 

ファルナ「うん!」

 

ファルナの声にも元気が戻り、普段の調子になったのをスゥは感じ取った。

手を握られたときに僅かに頬を赤くしていた事には全く気付かなかったようだが。

 

ファルナ「えへへ・・・早く森抜けられなくてもいいかも・・・♪」

 

小声でファルナが呟く。

スゥはそれには気付かなかったが、元気が出た様子の彼女を見て

一安心していた。

 

 

スゥ「そういえば、[虫ポケモン]って、昨日ノンが長々と説明してた中にあったっけ?」

 

ファルナ「あったよ~![炎ポケモン]は[虫ポケモン]に強い、だったはず!」

 

スゥ「おぉ~・・・よく覚えてるな。

  俺は全然覚えられてないから、ノート見直さないとって思ってたのに。」

 

ファルナ「えへへ~。すごいでしょ♪」

 

スゥ「うぅ、トレーナーの方が知識で負けてる。

  これはちゃんと本気で勉強しないといけないな!」

 

ファルナ「実はね、私が[炎ポケモン]だから、誰に強くて、誰に弱いか

   覚えておこうと思って聞いてたから答えられたの。

   偶然だよ、偶然♪」

 

スゥ「あ、なるほど!」

 

ファルナ「でも、スゥにも[炎ポケモン]の関係くらいは覚えていてほしかったな~。」

 

ファルナは少し意地悪く、いじけたようにスゥに言った。

もちろん、ただの皮肉ではなくスゥへの激励の意味も込めた言葉だった。

 

スゥ「・・・やっぱり反省してしっかり勉強します。」

 

ファルナ「うん、頼りにしてるね♪」

 

 

 

 

 

               ガサッ

 

スゥ「ん?」

 

               ガサガサガサッ!

 

ファルナ「っ・・・!!」ギュゥッ

 

スゥ「今度は、何かいる?」

 

その物音は順路の外、深い茂みの奥から発せられていた。

今度の物音は、さっきまでのような些細なものではなく、明らかに「何か」がいる激しい音だった。

「何か」が発する音はスゥ達のいる順路の方へと近づいている。

 

ファルナは思わず繋いでいた手に力が入り、スゥにピッタリくっついていた。

余裕をかましていたスゥもさすがにヒヤリとし、音の方に警戒した。

 

 

 

               ザザザッ

 

少年「ふーっ!いたいた!やーっと捕まえたぞ!」

 

深い茂みから出てきたのは、麦わら帽と虫かごにモンスターボールを入れているのが特徴の少年だった。

何か収穫が有ったのか、汚れた服で満足気な様子だった。

 

スゥ「何だ、子供か。ファルナ、怖がらないでも大丈夫だよ。」

 

ファルナ「子供・・・?よ、よかった・・・」

 

 

少年「ん・・・?あっ!おまえー!」

 

スゥ「え、俺?」

 

少年「そうだ!ポケモン連れてるおまえ!トレーナーだな!?」

 

スゥ「そうだけど?」

 

少年「ボクと勝負しろっ!さっき捕まえたポケモンで相手してやる!」

 

 

その少年はスゥの腰のボールと、連れているファルナを見て勝負を挑んできた。

 

スゥ「勝負か!どうだ、ファルナ?いけるかな?」

 

ファルナ「おっけー!初めてノン以外のトレーナーと勝負だね!」

 

スゥ「おう!

  受けて立つよ、勝負だ!」

 

少年「そう来なきゃ!ボクはヒロ。

   さっそく出番だぜ!

   いけっ、ビードル!」

 

               ボンッ

 

「ビードル」と呼ばれて出てきたのは、赤く丸い鼻、額に鋭い角が生えているのが特徴的なポケモンだった。

虫取りの少年、ヒロが「さっき捕まえた」ポケモンだろう。

捕まえたばかりだからか、懐いておらずどうにもダルそうな態度でいる。

 

 

スゥ「俺はスゥ!

  いくぞ、ファルナ!」

 

ファルナ「はい!」

 

ビードル「え・・・何?戦うの~?・・・

    めんどくさっ・・・」

 

スゥ・ファルナ「あ、あれ…?」

 

ヒロ「何言ってるんだよ!ちゃんと言う事聞かないとやられるぞ!

  ビードル、[どくばり]だ!」

 

ビードル「は~、はいはい。

    そりゃっ!!」

             

               ピュピュッ

 

ビードルが頭の角をファルナの方に向けると、角から数本の細い針が飛び出した。

 

スゥ「[どくばり]!?

  よけろ、ファルナ!」

 

ファルナ「わ、わわっ!!」 ドカッ ドカッ

 

ファルナは走り回って[どくばり]を避ける。針は地面に刺さった途端、粉状に散って消えた。

 

ファルナ「あ、あぶなかった~・・・!」

 

スゥ「[どくばり]に気をつけて![ひっかく]!」

 

ファルナ「はいっ!」ダッ

 

ファルナがビードルに向かって駆け出した。

 

ヒロ「もういっちょ![どくばり]!」

 

ビードル「はいな。」

 

               ピュピュピュッ

 

ファルナ「っ!わわわっ!!」 ドカドカドカッ

 

ファルナ「スゥ!危なくて近づけないよ!」

 

スゥ「くっ・・・」

 

ヒロ「まだまだ![どくばり]だ!」

 

ビードル「(虫使いが荒いなー、この人・・・[どくばり]出すのだって結構疲れるんだけどなぁ・・・)

    あいよー!」

 

               ピッピッ

 

ファルナ「も~![どくばり]はやめてよー!」

 

スゥ「ファルナ![ひのこ]は使えないか!?」

 

ファルナ「や、やってみる!

   ・・・あっ!?」

 

スゥ「どうした!?」

 

 

ファルナ「リボン結んだままだよ!炎出したら燃えちゃう!」               

 

スゥ「い、今はそれどころじゃ・・・!」

 

ファルナ「せっかく買ってもらったんだもん!

   燃やしたくないよっ!」

 

スゥ「ま、参ったなぁ・・・」

 

ヒロ「話してる暇は無いぜ!

  ビードル、今度は当ててくれよ![どくばり]!」

 

スゥとファルナが揉めている間にもヒロはビードルに指示を出した。

 

ビードル「よそ見は厳禁~」

 

               ピッ!

 

スゥ「! ファルナ、危ない!!」

 

ファルナ「え・・・あっ!」

 

               ピシッ!

 

ファルナ「きゃっ!」

 

ビードル「命中~」

 

揉めている間、ファルナの注意が逸れた隙を見てビードルは[どくばり]を命中させた。

ファルナの右腕に命中した針は細かく散っていった。

 

 

ファルナ「っつ・・・あれ?あんまり痛くない・・・」

 

スゥ「ん?全然効いてない・・・?威力は大した事が無いのかな。」

 

スゥ「ファルナ、[ひっかく]でも行けるぞ!一気に決めよう!」

 

ファルナ「はいっ!」

 

 

ヒロ「あ、あれっ・・・?

  おい、ビードル!全然効いてないぞ!」

 

ビードル「うっさいな~・・・まあ見てなよ、ヒロ。」

 

大してダメージを負っていない様子のファルナを見て、ヒロはビードルにつっかかった。

それに対しビードルは悪態をついていたが、何故かあまり焦った顔をしていない。

 

[ひっかく]を叩き込むため、ファルナがビードルとの距離を射程範囲まで詰める。

あとは腕を振り切り、[ひっかく]を命中させるだけ・・・のはずだったのだが。

 

 

ファルナ「あれ・・・」

 

スゥ「え?ファルナ?」

 

ファルナ「腕が・・・上がらない・・・? 

   ・・・さ、寒い・・・!」ブルブル

 

スゥ「なにっ!?」

 

ビードル「効いてるね~。・・・ボクの[毒]。」

 

ヒロ「おおっ!?何だかわからないけど、凄いぞビードル!」

 

ビードル「(何だかわからないって?

さっきからさんざん["毒"針]って命令してるくせに・・・。)」

 

ヒロ「よしっ![たいあたり]でふっとばせ!」

 

ビードル「弱ってるところ、ごめんなさいよ~っと!」

 

               ドカッ!

 

 

先ほどファルナの右腕に刺さった[どくばり]はダメージ自体は大した事がなかった。

 

問題なのは[毒]に侵されてしまった事。[どくばり]の直撃を受けた右腕は全く力が入らず、[ひっかく]は不発。

毒が体に回ってファルナの顔色は悪く、体を震わせていた。

そうして動けなくなったところへのビードルの[たいあたり]が直撃した

 

ファルナ「きゃうっ!」

 

スゥ「しまった![毒]が回ったのか・・・!」

 

スゥは急いでファルナの元に駆け寄った。

 

ファルナ「はぁっ・・・ぅ、スゥ、寒いよ・・・」

 

スゥ「ファルナ、ごめん!俺がよそ見させたせいだ…」

 

ファルナはその場にうずくまり、身を丸めて震えていた。

スゥはポケットに入れていた[どくけし]を取り出し、彼女の右腕の袖を捲り、薬を塗ってやった。

 

体の毒はかなり洗い流されたが、毒で弱った所への[たいあたり]のダメージが響いている。

 

 

ファルナ「・・・あ、毒が・・・」

 

スゥ「ファルナ、まだ戦える?」

 

ファルナ「うん・・・。体は動くから、もうちょっとだけ行けそう!

   ごめんね、スゥ。私がわがまま言ったせいで・・・」

 

スゥ「ファルナが謝る事ない。戦う前にリボンに気付かなくてごめんな。

  大事にしてくれてるもんな。」

 

そう言ってスゥは労わるようにファルナの頭を撫でた。

 

ファルナ「んぅ~・・・」

 

ビードル 「はぁー…そういうのはバトル終わってからにしてくれる?」

 

ヒロ「何うなってるんだ、ビードル?」

 

ビードル「別に。ま、お子様には分からないんだろうけど~。」

 

ヒロ「お子様って、同じくらいの見た目じゃねーか!」

 

ビードル「はいはい。あ、それよりも再開しなくていいの?相手のポケモン、必要以上に回復させちゃうよ~?」

 

ヒロ「はっ!本当だ!

 

  おーい!もういいか~!?

  ずっと休んでるのはズルだぜ!」

 

 

スゥ「あっ、そうだな。

  ファルナ、リボンは預かっておくからな。」

 

ファルナ「ありがとう、スゥ。いってくるね!

   [ひのこ]出せるように頑張ってみる!」

 

スゥ「よし!待たせたなヒロ!」

 

 

ヒロ (あれ?リボン取っちゃうんだ。汚れるからかな・・・?)

 

ヒロはファルナのリボンが取られた意味を深くは考えていないようだった。

 

 

ヒロ「それにしても、どくけし持ってたんだな!

  ビードル、もう一発[どくばり]!

  向こうが持ってる[どくけし]を全部使い切らせるぞ!」

 

ビードル「そんなにたくさん[どくばり]は出せません~。

    まあ、もう少しだけ。おりゃ~!」

 

               ピュピュッ

 

ファルナ「もう毒はヤダ!ぜったい当たらないからね!」ヒョイッ

 

               ドカドカッ

 

[毒]で痛い目に遭ったファルナは[どくばり]に強く警戒した。

疲れた体で精一杯走り回って[どくばり]をかわす間にも、なんとか[ひのこ]を出す努力をしていた。

 

ファルナ「(炎・・・ほのお・・・!)」

 

ファルナの髪がわずかに赤く光りはじめた。

 

スゥ「もう少し・・・!

  がんばれ!ファルナ!!」

 

               ボッ

 

ファルナ「!

   やった!ちょっとだけど、炎が!」

 

赤い輝きは少しずつ増していき、ついに髪に火が灯った。

 

残る毒と、負ったダメージの為に、アクアの時の勢いとは比べ物にならない程に弱々しい炎だった。

 

 

ヒロ「おわぁ!何だそれ!かっこいい~!」

 

ビードル「ヒロ、呑気な事言ってないで!炎はボク苦手・・・って、聞いてないし!!」

 

ビードルがヒロに何かを訴えていたが、ファルナの火を見て興奮し、騒いでいる彼の耳には届いていなかった。

 

ファルナ「スゥ、ごめん・・・!今はこれが精一杯!」

 

スゥ「十分だよ!頑張ったな。いけっ、[ひのこ]!」

 

               ボウッ

 

ファルナが髪に纏うわずかな火を手に集め、小さな炎の玉を作った。

 

ファルナ「集めても、たったのコレだけ・・・効くのかな…?

   いけぇっ![ひのこ]っ!」

 

 

ヒロ「すげーっ!炎だ!すげーっ!」

 

ビードル「『すげーっ!』じゃないでしょ~!指示!指示!」

 

ヒロ「はっ、忘れてた!」

 

ビードル「(ダメだ、こいつ・・・後で刺してやろっか・・・)

    ど、[どくばり]っ!!」

 

ヒロの指示を待っていては[ひのこ]に間に合わないと悟ったビードルが独断で[どくばり]を連射した。

 

               ピピピッ! ピピッ!

 

 

               ボボボボボッ・・・

 

・・・が、精一杯連射した[どくばり]は小さな[ひのこ]に、あっさりと焼き尽されてしまった。

 

ビードル「やっぱりダメか~!

    ぎゃあぁ~~~~っ」

 

ビードル、戦闘不能。

 

ヒロ「ああっ!ビードル!」

 

 

スゥ・ファルナ「弱点ってすごい・・・」

 

ほんの小さな火の玉から分裂した[ひのこ]でもビードルを一撃で倒せてしまった事に、

スゥ達は「相性」の恐ろしさを感じずにはいられなかった。

 

 

 

ビードル「・・・プスプス・・・」

 

ヒロ「ごめんよ~、ビードル~。」

 

ビードル「このやろ~…マッタク。とりあえず回復させて・・・。」

 

ヒロ「たはは・・・反省反省。ゴメンって。

  すぐポケモンセンターに戻るから待ってて!」

 

ヒロは自分の不注意の結果、地面で焦げ転がっているビードルを前に、ただただ下手に謝るしか無かった。

 

 

スゥ「やったな、ファルナ~!」

 

ファルナ「えへへっ、私の勝ちっ!」

 

スゥ・ファルナ「いえぃっ!」パチン!

 

駆け寄ってきたファルナに、スゥはハイタッチをして勝負を締めた。

 

 

ヒロ「スゥ、ほらよ!賞金。」

 

そう言ってヒロはスゥに300円を払った。

 

スゥ「へへっ、どうも。」

 

ヒロ「いやー、そのファルナって子、ほんとカッケェな!」

 

ファルナ「か、かっけぇ・・・?」

 

ヒロ「火だよ、火!すっげぇよな~!

  炎とか雷とか男のロマンだよな~。

  

  でも、やっぱりボクは[虫ポケモン]が一番だけどな!な、ビードル!」

 

ビードル「ご機嫌取りはいいから、早く回復させてよ。ヒロ。」

 

ヒロ「たはは・・・本当なのに・・・」

 

ヒロ「じゃあなスゥ!また会ったら勝負してくれよ!」

 

ジト目で睨んでくるビードルに急かされて、ヒロはトキワシティへと帰っていった。

 

 

 

 

ファルナ「・・・かっけぇ?」

 

スゥ「まあ、褒められてよかったね。(女の子を褒める言葉じゃないけど・・・。)」

 

 


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