昼食をとるために近所のステーキ屋へ向かう途中にも、俺のプレゼントの案を考え続けている俺のハーレム達。
「私はお兄ちゃんに、五ついうことを聞いてもらう権利を所望します!」
「ダメに決まってるでしょうが! あんまり審判を困らせないでよ!」
「じゃあ千秋くんのおちんちんを……」
「もうそのワードが出た時点でアウトだよね! 分かってて言ってるよね!」
「じゃあ先輩と結婚を……」
「あぁぁぁあぁぁぁもうっ!」
お願いがさっぱり来なくて暇している俺とは対照的に、変な参加者への対処で疲れ果てて混乱している、げきりんな乙葉だった。
近所のステーキチェーン店に着くと、多少混雑はしているものの、空いた席もちらほらあり、すぐに席に座ることができた。
午前中からケーキを食べたため、少し胃がもたれている気もするが、卵雑炊がいい感じに調子を整えているのか、食欲が湧いてくる。
取り敢えず全員で摘めるように厚切りポテトを頼むと、すぐに店員さんが持ってきた。
メニューと睨めっこしながら、莉華。
「……どんなものを食べたら笹原先輩みたいな、抜群のスタイルになるんですか?」
ぺたん娘の莉華には、桜子の出るとこが出すぎているくらいに発達した身体に憧れるのだろう。そんなことを聞いた。
すると、それに涼菜も賛同する。
「桜子ちゃん、どうやったらそんなにおっきなおっぱいになるの?」
それに対して、目をつぶって聞いていた桜子は目を勢いよく開けて、仰々しく言った。
「ふふふ、その秘訣はね……」
「「その秘訣は……?」」
数秒の沈黙が起こる。
気のせいか、ほかの席に座っている客も、桜子の言葉に耳を傾けているような気配がする。
静かな平原に雷を打ち込むかのように、沈黙を切り裂いた桜子が言う。
「千秋くんを想って、毎日自慰行為に励むことよ!」
……炙るぞ。
出禁になったらどうしてくれるんだ。
注文を終えステーキが届くと、全員で肉を頬張る俺たち。
上品に切り分けて食べる莉華や、かぶりつくものの口が小さくて少ししか食べられない涼菜、その豊かな肉体から分かるように肉に大きな口でかぶりつく桜子など、性格が食べ方に出ている。
しかし、乙葉だけは、見た目からは想像出来ないような食べ方をしていた。
いや、食べ方としては上品で莉華に近いのだが、食べる量が尋常じゃない。
ステーキ二枚をペロリと平らげた乙葉は、チリスープとグリルチキンを頼むと、山ぶどうジュースを一気に煽ると、満足そうに俺の方を見る。
乙葉は身長もそこまで大きくはないし、体型も締まってはいるがどちらかと言えば華奢なので、身体のどこにそんなに栄養が使われているのかと疑問に思ったが、その疑問はすぐに解消された。
……どう考えても太ももだわコレ。
莉華がいちごのパフェを遠慮がちに頼んだ頃には、ほぼ全員がステーキを食べ終えて、食後のデザートを食べていた。
しかし、涼菜は口や体だけでなく胃袋も小さいらしく、四分の一程度余らせてしまっている。
もう食べられないと苦しそうにしていた涼菜は、小さく切ったステーキをフォークに刺して、隣に座っている俺に差し出した。
「お兄ちゃん……食べてください」
「お、おう。……出来るだけ頑張るぞ」
妹が口に運んでくれるステーキをぱくりと食べると、一口サイズのそれを飲み込む。
すると、他のみんなはそれを見て黙っていない。
「間接キスだね……」
「間接キスですね……」
「近親相姦ね……」
いや、最後のやめろ。
続く。