俺が妹とらぶらぶする話。   作:雨宮照

3 / 37
妹からのラブレター。

……読み終わった。

 

はっきり言って、妹の小説は、最高の出来だった。

主人公と兄貴がいちゃいちゃするシーンが最高に萌えて、胸がきゅんきゅんした。

 

話はすべて妹目線で描かれ、妹の兄に対する素直な気持ちや、複雑な心境、気持ちの変化が事細かに、また、詩的に彩られている。

 

こんなもの見せられたら……好きになっちゃうじゃないか。

よく考えたらこんな小説を兄に読ませるなんて、ラブレターを読ませているようなものだ。

 

涼菜は、初めて俺に自分の作品を見せた恥ずかしさからか、顔を赤くしながらこちらを伺っている。

 

読み終えたのを確認すると、声をかけてきた。

 

「お兄ちゃん、私の作品は、どうでしたか?」

 

俺は、戸惑う。

この作品は素晴らしい。

しかし、この作品を認めてしまっては、妹の愛を俺が受け止め、妹と結婚ーーーなんて事に……!

 

それだけは避けなければならない。

 

「これは、誰をモデルにして作ったとか、ないよな。完璧なフィクション作品だよな」

 

主人公たちが涼菜と俺じゃないことを確認するため、気持ちを落ち着けるために聞いてみる。

 

もちろん望んでいる答えは、フィクションだ。

 

「もう、お兄ちゃんったら聞いてないんですから。この作品に出てくる主人公の桜ちゃんは私の分身、兄の佑輔くんはお兄ちゃんの分身だって言ったじゃないですか」

 

ふふふ。と、妹が言った。

やはりこれは妹から兄に当てた、愛のこもったラブレターなのだろうか。

 

だがしかし、これが妹のラブレターであったとしても、俺はこの作品から逃げることはできない。

例え親の仇が書いた作品であっても、良い作品は素晴らしいのだ。

それは変わることのない価値なのである。

 

だから俺は、肯定することを、選択した。

 

「お前の作品は、素晴らしいものだった。妹がかわいくて、きゅんきゅんした。この気持ちを言葉に表すための、的確な言葉を俺は持ち合わせてないけど……脳が蕩けるような、そんな作品だった」

 

じゃあ、と目を輝かせる涼菜。

 

しかし、もう一方は肯定できない。

 

ただ寝るだけが、どうしてそんなに嫌かって?

恥ずかしいからに決まってるだろ!

家にある普通のベッドで、妹とはいえ超絶美少女と寝るんだぞ!

恥ずかしいし、ドキドキして寝られるはずがない。

 

「私と、寝てくれますか?」

 

太陽のような満面の笑みを浮かべる涼菜。

正直恥ずかしい以外に一緒に寝ない理由がない俺。

 

「ああ、寝てやる。お前の作品は面白かった。ぜひ、お前に協力させてくれ」

 

意気地がなかった。

やはり、美少女と寝るというのは魅力的すぎるほど魅力的なので、断ることはもったいなかった。

 

ーーー 賽は投げられた。

 

もう後戻りはできない。

 

今から俺にできることは、妹に興奮しないこと、妹に手を出さないこと、妹にあまりくっつかないこと、いびきをかかないことの4つだ。

 

いや、大事なものを忘れていたな。

 

アソコの膨張を抑えること、だ。

 

俺は壁に開けられた穴をヒョイっと抜ける妹に続き、妹の部屋に入るのだった……。

続く

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。