周囲の人に聞かれても物騒な話なので、俺と先輩は話を取り敢えず保留し、ファミレスを後にした。
店を出ると、辺りはすっかりと暗くなっていて、どれだけ先輩が相談を切り出さなかったのかがよく分かる。
「先輩。この話なんですけど、絶対に一週間後までに決着をつけたいんです。」
桜子が頷く。
俺は続けた。
「だから、時間が無いんです。今日の夜、詳しく話しに行ってもいいですか?」
すると、桜子はおしとやかに微笑んで。
「もちろんよ。千秋くんに夜も会えるのなら、断る理由なんて無いじゃない」
ああ、こういう時に頼れるお姉さんって、いいなぁ。おっぱいデカいし。
「それに、貸しが出来たら、千秋くんに悪戯した時、抵抗したくても出来ない千秋くんのなんとも言えないかわいい表情が見られるかも知れないじゃない?」
うん。前言撤回。
この人ダメな人だ。
この件をダシに使う気満々じゃないか。
「じゃあ、妹と飯食ったら先輩の家に行きますから。……あ、戸締りはしておいて下さいね。家の前に着いたら電話するんで。」
そう言う俺に、先輩は目を輝かせて。
「私の家、覚えててくれたの!? 千秋くんって、女の子を喜ばせることに関しては本当に素敵な人なのね。」
「いや、よく昔乙葉と3人で遊んだじゃないですか。それで覚えてるだけですよ」
謙遜とかじゃなく。
先輩には残念ながら、本当にそれだけだ。
「むぅ……。あ! そうだ。今日、涼菜ちゃんも連れてきなさいな。ストーカーがいるかもしれないのにお留守番をするのは、とっても怖いんじゃないかしら」
確かにそうだ。
寝かせてから出てこようとも思ったが、それだと何時になるか分からない。
それに、
「一人で行ったら俺にも危険が及びそうなので、連れていきます」
そう言う俺に先輩はクスリと笑って。
「あら、千秋くんもストーカーが怖いのね?
もうっ。かわいくて虐めがいがあるんだからぁっ」
そんな先輩に。
「違いますストーカー違いです俺の目の前にいる悪質なストーカーです」
本人によるストーカー被害を訴えたのだった。
そんなこんなで、一緒に家に帰って妹を連れてからお宅にお邪魔した方がいいとの結論に至った俺たちは、先輩に腕を引かれるかたちで早速帰路についた。
久しぶりに先輩に会って、内心嬉しかった俺は、この時には気づくことが出来なかった。
胸を痛めながら俺たちの様子を呆然と見ていた、少女の姿があったことに……。
続く。
(文字数が足りないので取り敢えず文字を綴ります。)